🔯17」─3・C─日本人が知っている「世界古代四大文明」は欧米では通じない!。~No.55 

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 2023年12月7日7:02 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「日本人が知っている「世界四大文明」は欧米では通じない!…「日本特有の教科書用語」が生まれた「驚きの理由」
 インカのマチュピチュ遺跡(撮影:青山和夫)
 日本の教科書に書かれた「世界四大文明」という言葉。じつは「学説」ではないことはあまり知られていない。
 【画像】コロンブスが引き起こした「人類史上稀に見る悲劇」
 「四大文明」という言葉が長年一人歩きし、「世界に最初に生まれた4つの文明」というイメージが広く定着している。だが、じつはほかにも文明は生まれていた。
 日本に流布している「世界四大文明」史観を脱構築していこう。
 【※本記事は、青山和夫編『古代アメリカ文明  マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像』(12月14日発売)から抜粋・編集したものです。】
 「四大文明」と言ったのは、口調がいいから
 図メソアメリカ文明アンデス文明
 日本の読者にとっては、「世界四大文明」(メソポタミア、エジプト、インダス、黄河)は耳慣れている言葉であろうが、じつは学説ではない。考古学者の江上波夫が普及させた教科書用語である。
 それは、江上が関わった山川出版社の高校教科書『再訂世界史』に1952年に登場した特異な文明観であり、欧米には存在しない。なお「四大文明」という呼称は、20世紀初頭には日本と中国に存在していた。
 ユーラシア史家の杉山正明によれば、江上はマヤやアンデスなど世界には他に文明が栄えたことを認めていた。一方で「四大文明」と言ったのは、「口調がいいからで、本当はいろいろあるさ」と杉山に大笑いしたという。
 ところが「四大文明」は一人歩きして長年にわたってマスメディアや教科書に取り上げられ、旧大陸(ユーラシア大陸とアフリカ大陸)中心的な世界史観を形成してきた。
 本書で取り扱う古代アメリカ文明は、メソアメリカ文明アンデス文明からなり、先スペイン期(16世紀以前)に盛衰したさまざまな社会の総称である(図)。
 古代アメリカ文明はAncient American Civilizationsの訳であり、ここでいう「古代」は日本列島の縄文時代から室町時代に相当する。日本史の古代とは異なるので、気をつけていただきたい。
 メソアメリカとアンデスは、旧大陸社会と交流することなく、アメリカ大陸でそれぞれ独自に興隆した一次文明であった。一次文明とは、メソポタミア文明中国文明と同様に、もともといかなる文明もないところから独自に生まれたオリジナルな文明を指す。
 じつは一次文明は世界に4つしか誕生しなかった。つまり、メソアメリカ文明アンデス文明は世界で4つだけの「世界四大一次文明」の二つを構成した。
 メソアメリカとアンデスという一次文明の研究は、旧大陸や西洋文明と接触後の社会の研究だけからは得られない新たな文明史観や視点を提供して、西洋中心史観や旧大陸のいわゆる「四大文明」中心的な世界史の脱構築につながる。
 アメリカ大陸の二大一次文明に関する研究は、日本でもかなりの蓄積がある。しかし残念ながら、今なお学術研究と一般社会のもつ知識の隔たりは大きい。
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 ヨーロッパ人「発見」以前の新大陸の歴史を私たちは軽んじていないか? 
 人類史の常識に再考を迫る最新知見がおもしろい! 
 「多くの人が生贄になった!?」「大河の流域でないと文明は生まれない!?」「 無文字社会リテラシーは関係ない!?」「 王は絶対的な支配者だった!?」
 ――「常識」の嘘を明らかにし、文明が生まれる条件を考える。青山和夫編『古代アメリカ文明  マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像』は12月14日発売です! 
 青山 和夫(茨城大学教授)
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 現代日本歴史教育は世界では通用しない。
 中世キリスト教会・イエズス会修道士会群と白人キリスト教商人は、アフリカ人と日本人を奴隷として売って大金を稼いでいた。
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 12月7日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「コロンブスじゃなかった!…アメリカ大陸の「真の発見者」と日本人の「意外な関係」
 青山 和夫茨城大学教授
 「アメリカ大陸を発見したのはコロンブス」と一般的に考えられていますが、じつは違います。ヨーロッパ中心の歴史観がそう解釈してきたにすぎません。
 アメリカ大陸の「真の発見者」は、今から1万5000年ほど前の氷河期にアジア大陸からやってきた新人ホモ・サピエンスでした。
 【※本記事は、青山和夫編『古代アメリカ文明  マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像』(12月14日発売)から抜粋・編集したものです。】
 アジア系狩猟採集民の末裔が築いた「二大文明」
 コロンブスは、1492年にアメリカ大陸を発見しなかった。アメリカ大陸を発見したのは、それよりも500年ほど前にカナダ北東部に到着したバイキングのレイフ・エリクソン一行でもない。どちらもヨーロッパ中心的な偏った歴史観である。
アメリカ大陸の真の発見者は、人類進化のうえでは最も新しいタイプである新人ホモ・サピエンスのうちアジア系の狩猟採集民であった。彼らは、今から1万5000年ほど前の氷河期に、アジア大陸から無人アメリカ大陸にやってきた。それは、700万年の長い人類史において「ごく最近の出来事」であった。
 アフリカ大陸に起源を持つ猿人、原人、旧人アメリカ大陸に到達することはなかった。アメリカ大陸は、世界五大陸のうち新人が最後に発見した大陸である。つまり、ヨーロッパ人が「発見」したから「新大陸」なのではない。「新大陸」という呼称は、先住民となる新人が最後に発見した大陸という人類史的な意味において適切といえよう。
 コロンブス以前のアメリカ大陸には、多様な先住民が暮らし、1800以上の言語が話されていた。しかしながら芸術や科学において高度な水準を達成した社会、すなわち文明が出現したのは、マヤやアステカが栄えたメキシコと中央アメリカ北部のメソアメリカとナスカやインカで知られる南米のアンデスという二地域だけであった。
 私たち日本人と同じアジア系の狩猟採集民の末裔である先住民が、メソアメリカとアンデスという、古代アメリカの二大文明を築いた。
 なおメソアメリカの「メソ」は「中間、中央」を意味し、メソアメリカはアメリカ大陸の中央部を指す。現在のメキシコと中央アメリカのグアテマラホンジュラスベリーズエルサルバドルが含まれる。
 世界の大部分の文明社会は、一次文明との交流のなかでその刺激を受けて成立した二次文明やその周辺で興った文明である。例えば、メソポタミア文明との交流によって二次文明のエジプト文明インダス文明ギリシア文明やローマ帝国が成立した。一方で、中国文明との交流のなかで二次文明である古代日本の社会が発展した。
 旧大陸の諸文明では地域間で物品や情報の交流があり、相互に影響しながら展開した。人類史における古代アメリカの二大一次文明の特異性は明らかといえよう。
 メソアメリカ文明アンデス文明は、長い年月をかけて個別に発展を遂げたという点において人類の文明の起源と形成を知るうえでたいへん重要な位置を占めるのである。
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 12月7日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「先住民虐殺」、「感染症の持ち込み」…コロンブスアメリカ大陸で引き起こした「人類史上稀にみる悲劇」の「本当の中身」
 青山 和夫茨城大学教授
 コロンブスアメリカ大陸への上陸は、侵略と先住民虐殺・虐待の先駆となり、さまざまな悲劇の始まりとなりました。
 「コロンブスの交換」と言われるきわめて不均衡かつ不平等な交流はいったいどんなものだったのか。そして、世界史をどのように変えていったのか。
 【※本記事は、青山和夫編『古代アメリカ文明  マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像』(12月14日発売)から抜粋・編集したものです。】
 世界の生態系までも大きく変えた
 さて、コロンブスのカッコつきの「発見」は、世界史のきわめて大きな転換点であった。
 コロンブスは、アメリカ大陸侵略と先住民虐殺・虐待の先駆となった。その後ヨーロッパ列強は、アメリカ大陸だけでなく、アフリカ、アジアやオセアニアの侵略・植民地化を推し進め、経済的搾取、政治的支配や深刻な文化変容をもたらした。
 ヨーロッパ人の大航海と植民地支配によって、旧大陸アメリカ大陸の間で人間(植民者や奴隷など)、食物、動植物、物質文化や思想だけでなく、病原体のウイルスや細菌などがグローバルに行き交うようになった。
 それはヨーロッパ人の都合を優先した、きわめて不均衡かつ不平等な交流であった。教科書には「コロンブスの交換」と紹介されるが、決して平等な「交換」ではなかった。その結果、世界の社会、文化、農業、生態系が大きく変わった。
 コロンブスのいわゆる「発見」は、先住民には人類史上稀にみる悲劇の始まりを意味した。先住民の都市や町は、スペイン人によって破壊され、富や土地が略奪された。
 スペイン人が家畜を連れて植民すると、新たな感染症天然痘、はしか、水疱瘡チフスジフテリア、ペスト、おたふく風邪、百日咳、マラリア、新種のインフルエンザなど)が持ち込まれた。
 感染症は免疫力のない先住民の間で大流行した。数多くの先住民が戦死ではなく、「目に見えない敵」によって病死した。
 コロンブス(GettyImages)
 さらにスペイン人による大量虐殺、過酷な強制労働や虐待などによって先住民人口は激減し、17世紀には10分の1以下になった。
 その後、人口は回復していったが、先住民は植民地社会の最底辺に置かれ、服従と搾取を強いられつづけた。
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 12月7日7:02 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「数千年をかけて「100種類以上の野生植物を栽培化」…「古代アメリカ文明」がもたらした「食文化革命」
 青山 和夫茨城大学教授
 古代アメリカの栽培植物は、コロンブスアメリカ大陸を「発見」したことで、世界の食文化に革命を起こしました。
 現代に生きる私たちの食生活も、古代アメリカ文明の大きな恩恵を受けています。
 【※本記事は、青山和夫編『古代アメリカ文明  マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像』(12月14日発売)から抜粋・編集したものです。】
 数千年にわたり100種類以上の野生植物を栽培化
 古代アメリカ文明は、栽培植物という生活基盤から世界の歴史を変えたという点で、今日の私たちの社会や世界観にまで多大な影響を与えている。
 私たちは、古代アメリカ文明の大きな恩恵を受けて生活してきた。コロンブスによるアメリカ大陸のカッコつきの「発見」が、世界の食文化革命を引き起こしたからである。
アメリカ大陸の先住民は、前8000年頃から100種類以上の野生植物を栽培化・改良した。これは数千年にわたる先住民の努力の賜物であり、世界各地の社会の発展に大きく貢献した。アメリカ大陸原産の栽培植物は、世界の栽培種のじつに6割を占める。
 ヨーロッパ人が略奪し尽くした先住民の「贈り物」が、結果的に旧大陸に住む大勢の人の命を救った。トウモロコシは、メソアメリカの人びとの主食でありつづけている。トウモロコシやアンデス高地原産のジャガイモは、旧大陸原産の小麦やイネを栽培できない、痩せた土地でも高い収穫量をもたらした。南米で栽培化されたキャッサバ(マニオク)は熱帯アフリカの主要産物になっており、何度かブームになったタピオカの原料でもある。
 ジャガイモは寒冷な気候にも耐え、土中に育つので鳥の害もなく、小麦より何倍も収穫量が多い。ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB6やナイアシンといったビタミンやカリウムなどのミネラル類に富み、栄養価も高い。飢饉と戦争が頻発していたヨーロッパの人びとを救い、人口増加をもたらしたのがジャガイモであり、明治時代の北海道開拓にも大きく貢献した。ジャガイモは、トウモロコシ、小麦、米に次いで栽培面積が世界第四位を占める。
 イタリア料理の必需品トマトやズッキーニ、インド、タイ、韓国や四川料理に欠かせないトウガラシ、さらにカボチャ、サツマイモやバニラも先住民が栽培化した。果物類ではパイナップル、パパイア、カカオやアボカド、豆類ではインゲンマメや落花生もそうである。
 アメリカ大陸原産の栽培植物なくして、私たちの豊かな食生活は成り立たない。
 アメリカ大陸原産のタバコやゴムは、世界的な商品作物になった。秋の代名詞コスモス、クリスマスに人気のポインセチア、ダリア、サルビアマリーゴールドなど、アメリカ大陸原産の花や観葉植物も多い。
 このように古代アメリカ文明は、現代の私たちの日々の暮らしと深く関わっているのである。
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 ヨーロッパ人「発見」以前の新大陸の歴史を私たちは軽んじていないか?
 人類史の常識に再考を迫る最新知見がおもしろい!
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