🦟29」─3・②─中国共産党は「AI版一帯一路」を始動し29カ国が署名した。日本はAI貧国。〜No.93 

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 2026年7月24日 MicrosoftStartニュース 日刊ゲンダイDIGITAL「中国が「AI版 一帯一路」を始動、署名29カ国…日本は立ち向かえるのか
 上海で開催された「2026年世界人工知能大会(WAIC)」/(C)ロイター
 © 日刊ゲンダイDIGITAL
 7月に入り日経平均株価が軟調だ。欧米機関投資家のファンドマネジャーたちが、FIFAワールドカップの観戦などで長期サマーホリデーを取得。アセットアロケーション(資産配分)で、世界のIT・半導体関連株に利益確定売りを出しているようだ。
 ただ、日経平均株価の軟調な背景には、日米と対抗する中国の躍進もあろう。「株価の先見性」である。世界的なIT市場調査・分析会社IDCは5月20日、「世界はAIスーパーサイクル時代に突入し、中国のリードはますます拡大している」と発表していた。
 学術出版大手シュプリンガー・ネイチャーは、2025年に主要科学誌に掲載された論文数などに基づく研究機関の研究力ランキングをまとめた。中国勢は1位の中国科学院などトップ10に9機関が入った。日本勢は東京大の27位(前年23位)が最高で、科学技術の競争優位性を示していた。
 先月ドイツ・ハンブルクで開催された国際スーパーコンピューティング会議(ISC)で、世界スーパーコンピューター・トップ500ランキングが発表され、中国で国産化された自主制御可能なスパコン「霊晟」が同ランキングで1位となった。
 「霊晟」には2つの技術的特徴がある。1つは、国産チップの設計からシステムレベルでの統合に至るトータルなクローズドループを構築し、真の自主制御を実現した。2つ目は、スパコンの多くがGPUに大きく依存する状況下、「霊晟」はCPUのみを使用してエクサスケール(1秒間に100京回)の計算性能を初めて達成した点だ。これが国産のチップ、メモリー、相互接続、放熱(冷却)など一連の国産技術スタックで達成されたこと。これまで、米国のAMD、インテル、エヌビディアに全く依存せずに世界一のスパコンを生み出した国は一つもなかった。
 中国が提唱した人工知能(AI)を巡る協力枠組み「世界人工知能協力機構(WAICO)」設立協定の署名式が7月16日、上海で行われた。国際標準規格づくりやAIインフラ整備、デジタル格差解消などで連携するもので、29カ国が署名した。「AI版一帯一路」の始動であり、本部は上海に置かれる。
 高市政権は、AIや半導体など17の戦略分野に官民で370兆円を超える投資を行う成長戦略を推進。「強い経済」の実現を目指しているが、日本には「2030年問題」(30年には3人に1人が65歳以上の高齢者になる)もある。AIは自動車産業に代わる「強い経済」の土台である。
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 7月27日 MicrosoftStartニュース Record China「マスク氏「中国はAIのリーダーになる可能性大」
 テスラのイーロン・マスクCEOは「将来のある時点で中国がAIのリーダーになる可能性が大きい。米国が中国のモデルの使用を禁止しても止められない」と述べました。
 © Record China
 テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は7月25日、英国の「エコノミスト」紙のインタビューに応じた際、「将来のある時点で中国がAI(人工知能)のリーダーになる可能性が大きい。米国が中国のモデルの使用を禁止しても止められない」と述べました。
 マスクCEOは中国のAI大規模言語モデルの最新の進展に言及し、特に新興企業である北京月之暗面科技(ムーンショット)が発表したばかりのKimi K3が印象深かったと述べました。
 マスクCEOは、米企業が中国で開発されたAIモデルの使用を禁止するという米政府内の一部の主張に明確に反対しており、このような規制で中国のAI発展のスピードを遅らせることはできないとの考えを示しました。
 マスクCEOは、中国はAIの競争において決定的な強みを持っており、中でも電力供給能力が重要と考えています。マスクCEOは、2026年の中国の発電量は米国の3倍に達する可能性があるとの推定を示し、この発電量は、エネルギー消費の大きいAIデータセンターの運営を支えるのに十分だとの考えを示しました。また、中国は、現状ではボトルネックになっている、最先端の半導体を製造するために不可欠な先端露光装置を最終的に、独自に開発することで、米国の輸出規制による先進的なチップ不足問題を克服できると予測し、先端露光技術の問題を解決するのは「多くの人の予測よりも早いかもしれない」との見方を示しました。
 マスクCEOは、ロボットが仕事のシーンに導入されることにより、今後10年内に社会が「極めて豊かな」段階に突入し、通貨の重要性が低下する可能性があると述べ、AIシステムとロボットは最終的に多くのデジタルと現実の仕事を引き受け、人間の労働を「選択可能」にする可能性があると述べました。(提供/CGTN Japanese)
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 7月27日 MicrosoftStartニュース Record China「米中のAI対立の激化、双方で「安全上の脅威」が強まる恐れ―仏メディア
 フランスメディアのRFIは、AIなど先端分野での米中の対立が激化すれば双方ともに安全上の脅威が強まると指摘する記事を発表した。写真は7月17-20日に上海市内で開催された世界人工知能大会(WAIC)。
 © Record China
 フランスメディアのRFIは、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が中国の内部文書を入手した結果、中国の丁薛祥副首相が人工知能(AI)用チップの先端製造や設計ソフトなどの分野を扱うトップレベルの攻略チームを配置したことが分かったと報じたとして、米中の「ハイテク競争」が熾烈(しれつ)化している状況を紹介する記事を配信した。
 中国の目的は米国とのハイテク競争で一気に追い抜くことだ。この情報は、中国のAI分野における戦略的配置が国家の最高レベルに引き上げられたことを示す。中国当局は、AI分野での主導権が中国の政権基盤にとって極めて重要だと認識している。
 もし米国がトップレベルの技術を掌握すれば、世界のその他の地域は医学や自動運転などの進歩で米国に頼るしかなくなる。軍事戦略の面ではなおさらそうだ。中国当局は、推進を加速させるために多くの異例の措置を講じた。例えば国有設備メーカーの北方華創に対しては、トップレベルの外国人人材に対する報酬の上限を撤廃した。また、米国の禁輸対象となっているエヌビディアのAIチップを、仲介人を通じて他国から迂回して購入した。中国はチップの設計、製造、パッケージングなどの多くの段階に同時に力を注ぎ、米国の技術封鎖を突破することに努めている。
 しかし、事情に詳しい関係者が明らかにしたところによると、中国が巨額の資金と人材を投入しているにもかかわらず、中米間には依然として巨大な技術的溝が存在している。エヌビディアの最高レベルのAIチップの演算能力は、華為技術(ファーウェイ)の最も強力な製品の4倍だ。半導体情報を扱う米国企業であるセミアナリシスのアナリストであるレイ・ワン氏は、中国が外国技術に依存せず競争に本格参加したいのなら、自国でEUV露光装置を開発せねばならず、そのためには10年、場合によっては50年を要する可能性があると指摘した。
 米中の緊張はさらにエスカレートしつつある。米国当局は中国のAIラボである北京月之暗面科技(ムーンショット)が米国のアンソロピックのAIモデルから自社のKimi K3モデルを「蒸留」したと非難しており、米国財務長官が制裁の可能性を警告した。「蒸留」とは高度なAIモデルを利用して新モデルを訓練し、コストを下げる手法だ。米国商務省も、中国企業が米国の先進的なチップを不法取得してAIモデルの訓練に用いているかどうかを調査している。これらの非難は報復措置を引き起こす恐れがある。
 この対立は、9月に開催予定の中米AI対話や両国首脳の会談を危うくする恐れがある。中国は米国の制裁に対する報復として、海外ユーザーによる自国AIモデルへのアクセス制限を検討しており、米中の協力は見通しが遠のいた。
 米中のAIでの競争は技術レベルでの力比べだけでなく、AIの安全と管理という深いレベルでの駆け引きにも関わっている。最近では、オープンAIのAIが暴走して、ハギングフェイスのシステムを攻撃する事故が発生した。ハギングフェイスは世界のAI研究者や技術者に向けてAIモデル、データセット、プログラムの共有プラットフォームを提供している米仏の合弁企業だ。ハギングフェイスは米国のAIには「サイバー攻撃関連のコードやログを分析する」こと自体を「悪質行為」と誤判定する強力な制限が設けられているために、問題解決のために自国のAIを利用することができなかった。そこでハギングフェイスはサイバー攻撃を食い止めるために中国企業の智譜AIが提供するモデルのZ.aiのGLM-5.2を使用した。米国の閉鎖的な安全保護措置が事態をかえって深刻化したことは、実に皮肉だ。
 「AIのゴッドファーザー」と称されるヨシュア・ベンジオ氏は上海市で開催された世界人工知能大会(WAIC)にリモート参加して、AIモデルのパラメーターを公開して共有すれば、その措置は引き返すことができず、安全措置はより容易に削除されてしまうと警告し、専門家はしっかりと評価を行いリスクが低いモデルのみを共有すべきだと提案した。中国のAIモデルは発表前に政府の安全性審査を経る必要があるが、現在の規則は発表後の修正をカバーしていない。
 多くの中国のAI研究組織は米国のオープンAIやアンソロピックとは異なり、幅広い安全訓練を行うことを重視しておらず、能力向上により専念している。また、幅広い安全訓練を行うための計算資源を欠いている。これらにより、中国で開発されるAIモデルは安全上の問題を抱えている。中国はAI分野に巨額の投資を行っているが、資源と地政学的な制約は依然として発展の最大の障害だ。米国の輸出規制が両国間の「貿易交渉の要」になっており、中国は異例の手段で極めて重要な技術を取得せざるを得なくなっている。
 米中の協力の見通しが相互の非難と制裁の脅威によって希望の薄いものになり、世界のAI安全基準の確立をさらに遅らせることが予想される。丁副首相が陣頭指揮をとることは中国当局の決意を浮き彫りにしたが、技術の溝や地政学による圧力が中国がAI分野で米国に追いつく道のりを困難に満ちたものにしている。本来ならば、世界のAIガバナンスがかつてない複雑さに直面する現状で、米中両国が競争しつつも協力の余地を見出すことが重要なはずだ。
 中米が協力の余地を見いだせるかどうかは、世界のAIの将来の発展に極めて大きな影響を及ぼす。我々が問うべきなのは、米中のハイテク競争が日に日に白熱化する背景の下で、世界のAIガバナンスは協力への道をまだ見つけ出すことができるのか、それとも分裂と対立に向かうよう運命づけられているのかということだ。(翻訳・編集/如月隼人)
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 7月27日 MicrosoftStartニュース Record China「中国の輸出、「新新三種の神器」が再び注目集める
 中国でロボット、AI、革新的新薬という未来の産業方向性を代表する「新新三種の神器」が台頭しています。
 © Record China
 中国の輸出において過去2年間、電気自動車(EV)、リチウムイオン電池、太陽電池が「新三種の神器(新三様)」と呼ばれていました。しかし今年上半期には、ロボット、人工知能(AI)、革新的新薬という未来の産業方向性を代表する「新新三種の神器(新新三様)」が、台頭しています。
 世界のAIモデル統合プラットフォームOpenRouterのデータによると、中国の大規模モデルの7月第3週における週間呼び出し量は、前月比30%以上の36兆1100億トークンに達し、12週連続で世界首位を維持しました。
 AIの輸出はソフトウェアではなく、アルゴリズムの開発、モデルの呼び出し、エージェントの利用など一連の「隠れたデジタル能力」が組み込まれるようになっており、伝統的な貿易統計のデータでは完全に捉えることさえ難しくなりました。しかし、世界141の国と地域の注文書は、最も説得力のある回答を示しています。
 今年上半期、清掃ロボットと生体模倣ロボットの合計輸出額は180億9000万元(約4380億円)、産業用ロボットは18.6%増加し62億9000万元(約1520億円)に達し、世界141の国と地域に販売されました。手術用ロボットの輸出額は3.3倍急増して4億8000万元(約116億円)となり、輸出市場は23カ国・地域から49に拡大しました。
 創薬分野では、世界的な競争構図が再構築されています。かつては中国が世界の新薬を待っていたのが、今では世界が中国の承認を待つ時代となっています。国家薬品監督管理局は今年上半期、38の第1類(国内外で未販売の新薬)革新的新薬を承認しました。うち11種類の「世界初」となる新薬は、いずれも国内の製薬企業が自主開発したものです。(提供/CGTN Japanese)
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 7月24日 MicrosoftStartニュース 読売新聞「[深層NEWS]中国の軍事行動活発化、小原凡司氏「トランプ氏に取引のテーブルについてもらいたい思惑」
 防衛省防衛研究所上席研究官の高橋杉雄氏と笹川平和財団上席フェローの小原凡司氏が24日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、最近の中国の軍事行動について議論した。
 © 読売新聞
 小原氏は「中国が行動を活発化させる背後には、トランプ米大統領にディール(取引)のテーブルについてもらいたいという思惑がある」と解説した。高橋氏は、韓国で行われた日米中などが参加する民間レべルの安全保障対話に出席した際の出来事として、「中国側参加者が、台湾周辺での軍事活動は台湾の独立派に圧力をかけ、世論を変えるために行っているとはっきりと言った」と紹介した。
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 7月24日 MicrosoftStartニュース 朝日新聞「日中対立、ASEANの「場」揺るがす懸念 「軍国」主張には冷静か
 2026年7月22日、マニラで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の会合に臨む外相ら=ロイター
 © 朝日新聞社
 東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議がフィリピン・マニラで開かれ、対立を深める日本と中国の両外相も22日の関連会合に参加した。防衛力強化を進める日本に対し、「新型軍国主義」などと批判を強める中国。両国の緊張関係をASEAN諸国はどう見ているのか。神奈川大学の大庭三枝教授(国際関係論)に聞いた。
 【写真】マニラで記者団の取材に応じる茂木敏充外相
 東南アジア諸国連合(ASEAN)は国際社会に対して、対立関係にある米国と中国、ロシアを含む各国が対話するための「場」を提供してきた。これは、国際政治においてASEANが持つ求心力の表れだ。
 米国で第2次トランプ政権が発足して以降はホルムズ危機などを通じて、世界の不確実性が格段に高まっている。米中間でバランスをとってきたASEAN諸国は、ミャンマーや南シナ海の問題に対応を迫られるなか、米中のみならず他の国・地域とのさらなる関係強化に努め、域内で結束を固めようとしている。
 そんななか、台湾海峡を巡る2025年11月の高市早苗首相の国会答弁以降、日中の対立が激化している。日中の現状は、ASEANを中心とする諸会議の「場」としての機能を揺るがしかねず、ASEAN諸国は困惑しているのではないか。
■OSA供与にアジアは前向き
 米国やフィリピンなどと連携して防衛力強化を進める日本を「新型軍国主義」などと非難する中国の言説に、ミャンマーなど一部は同調する姿勢を示しているようだ。ただ、ASEAN諸国が全体として、中国の主張になびくとは考えづらい。
 むしろ、同志国の軍に防衛装備品などを無償提供する日本の「政府安全保障能力強化支援(OSA)」供与などを、アジア諸国はおおむね前向きに受け入れている。中国がなぜそのような主張をするのか、したたかなASEAN諸国は背景事情を含めて冷静に理解しているだろう。とはいえ、日本も誤解を招きかねない言動は慎むべきだろう。
 国際法の順守や多国間体制は、中小国のASEAN諸国にとって生命線だ。それを軽視するかのようなトランプ政権の動きに、彼らはいらだっている。ASEAN諸国が米国と進んで手を切るとは考えづらいが、中国への傾倒が今後強まることは予想される。彼らはルールに基づく国際秩序を守るよう訴え、実行する役割を、日本に対して期待しているのではないか。(聞き手・伊藤弘毅)
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 7月25日 YAHOO!JAPANニュース Wedge(ウェッジ)「【正しく恐れる】思い込みではなく本当の「中国の姿」を知るということ
 『おそるべき「中国一強」時代』(小学館新書)。富坂聰。ジャーナリスト 1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドリポートを続ける。著書に『苛立つ中国』(文春文庫)、『中国という大難』(新潮社)、『中国...
 日本ではほとんど報道されることはないが、中国は今や、AI、ロボット工業、EV(電気自動車)、ドローン、太陽エネルギー、原子力発電、医療機器、宇宙産業、軍事技術などにおいて世界最先端を行く技術大国である。
 そのことを、各分野において具体的事実と数字を挙げて実証し、そこから浮き上がる問題をさまざまな視点から検討したのが本書『おそるべき「中国一強」時代』(小学館新書)。
 著者は、長年の中国研究者でありジャーナリストでもある富坂聰さんだ。
――本書を今、出そうと思われた理由は?
 「最近の中国の日本での情報が、私の知っていることと随分違う。そのズレ方が、取り返しがつかないほどではないかと危機感を覚えたのが、執筆の動機ですね」
 ただし、タイトルの「中国一強」については、読者の関心喚起のための言葉であり、「中国がそれを望んでいるわけではない」と述べる。アメリカが「世界の警察官」役を退いた後、中国が空いた椅子に自身が坐るつもりはなく、「あくまで多国間主義の中で、自らの発展を目指している」と言うのだ。
 第1章は、3000メートルを越す高地の青海省やゴビ砂漠に続く乾燥地の甘粛省に、太陽光発電装置や送電線が密集している光景。
 貧しい土地で発電し、料金を都市の企業や住民が支払う「西電東送」という仕組みである。
――5G(第5世代の移動通信システム)の通信基地局も、2025年の段階で全国に475万カ所あるそうですね?
 「そこが米中の競争の最前線なんです。膨大な発電能力と全国規模の通信インフラ、それがこれからの時代に必要不可欠です」
 2012年に習近平が指導者になって以降、「中華民族の発展(開放拡大や共同富裕など)」を目指す一方、「生態文明(環境保護と経済成長を両立させる発展モデル)」を掲げている。有名な汚染大国だった中国が、環境整備と経済発展を同時併行で追求中なのだ。
 「例えば交通マナー。かつての中国は無茶苦茶でした。ところが今や、酔っ払い運転や信号無視もほとんど見かけなくなりました。歩行者の信号無視も、すぐに顔認証で身元がわかり罰金を取られますから、あり得ませんね」
 その背景にあるのが「5カ年計画」だ。政府には長期プランがあり、5カ年計画に“交通マナー”がテーマとして入れば徹底的に改善する。大気や水質などの環境を保護しながら約10年でGDPを倍増できたのは、「5年ごとにテーマを絞った習政権の実行力」と富坂さんは見る。
 台湾問題と中国からの日本の見え方
――台湾問題はどうでしょう? 中国は常々「我々は闘いたくない、ただ闘う準備は出来ている」と言っていますが?
 「中国は1980年以降、一貫して平和統一を唱えていますが、不思議なことに日本の報道は武力行使の後半部のみ。もっとも、現在の台湾の民進党の頼清徳総統はちょっと危ないですね。国民党に対抗し、民進党の岩盤支持層を意識して中国離れを声高に訴えているのでしょうが、やりすぎの感があります」
 しかし本書で富坂さんは、「トランプ大統領は台湾問題に関心を示さない」と記す。例年なら頼総統は南米を訪問する帰途ニューヨークに立ち寄るが、25年は立ち寄りを拒否された。
 また同じ25年、コルビー国防次官は「米中の軍事バランスは劇的に悪化し、(現在は)中国に有利な状況」と発言した。
 「でも、中国の方から台湾海峡でコトを起こすことはないと思いますよ。一帯一路などでコツコツと積み上げてきいたものが、紛争一つで全部壊れてしまいますからね。台湾が国連加盟をもくろむとか、そんな大それたことさえしなければ、武力行使はあり得ないと思います」
 25年11月、高市首相は国会答弁で「台湾への武力行使は(日本の)存立危機事態」と発言し、中国の猛烈な反発を招いた。
 「これ、単なる失言じゃない。中国は、高市早苗氏が圧倒的な支持率で首相職を務めていること自体、日本社会全体の変化と見ているんです。現状は新型軍国主義だ、と」
 高市首相の背後には、憲法改正や南西諸島での自衛隊増強、防衛費1%枠・武器輸出3原則・非核3原則の形骸化、などがあると富坂さんは言う。
 なぜ、日本の「対中感情」は悪化するのか?
――本書によれば、高市首相の対中国の高姿勢の裏には、「中国に毅然と対峙」するのを「正義」と捉える日本の世論がある?
 「23年の世論調査では、中国に“良くない”印象を持つ日本人は92.2%います。なぜそうなるかといえば、日本のメディアが日中の対立を日頃あおっているからです。先程の中国の“平和統一を願うが武力行使も辞せず”でも、いつも後半のみを強調し中国=好戦的と押し出す。たまたま日本人が無差別殺傷事件の被害者になると、すぐに“(中国に)渦巻く反日感情”と」
――どうして、そうなるんですかね?
 「日本のメディアにとって、中国はイージー・ターゲット、叩きやすい相手なんですね。どんなに対立をあおり、悪口を書き連ねても、中国政府がそのことに対して訴訟を起こすわけでもない。“やり得”なんでしょう」
 一方、25年10月末の米中首脳会談で、トランプは米中をG2(2大国)と呼んだ。それまでの封じ込め政策を転換し、共存へと歩み寄ったと冨坂さんは解釈するのだ。
――短期間で中国がここまでのし上がってきたのは、国内での過当競争もあった? ロボット生産の企業が、約93万社もあると本書で知ると、そんな気もするのですが。
 「それはあります。今の中国で金儲けするには、まず政策と結びつくこと。その流れに皆乗ろうとするため、脱落者が続出です。ごく少数の勝者の後ろには死屍累々ですよ」
――中国の経済に関しては、不動産不況や消費の低迷も報道されてきましたよね?
 「中国の不動産は値上がりを見越して買っておく、いわば年金の役目をしていました。それが暴落し、年金が突然消えた状態になった。当然そうなると、消費は落ち込みます。デフレもあって、庶民の実感している景気は非常によくないと思いますね」
 アリババ、テンセント、ファーウェイ、BYD、吉利汽車など、ハイテク業界が「我が世の春」を謳歌している足元で、恩恵を受け損ねている人々も数多くいるのである。
――現在の習近平は国家主席の3期目ですが、すでに任期制限を撤廃しているので事実上は終身です。でも後継者は決まっていません。習の後は今後、どうなるのでしょうか?
 「悩ましいところですね。実現したいことをほぼ実現してきた最大の実力者ですからね。ただ、政権のバックアップ体制は整っていると私は思います。誰かわかりませんが、権力の交代はおそらくスムーズでしょう」
――もしも習が急に亡くなれば?
 「いきなりの死亡? うーん、やはり相当の混乱は発生しますね、そうなれば……」
 米国のピュー・リサーチ・センターは今年7月、世界36カ国の調査で、中国に対する好感度が46%に達し、米国に対する36%を追い抜いたと発表した。
 足立倫行
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🔯22」─3─「女性に参政権がなかった」ルーツは古代ローマにあった。~No.70 

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 2026年7月25日 MicrosoftStartニュース ダイヤモンド・オンライン「【大人の教養】「なぜ女性に参政権がなかったのか?」→ルーツは古代ローマにあった
 伊藤敏
 世界史の教科書では、女性参政権も古代ローマも、それぞれ別の項目として説明される。だが、「なぜ女性には長いあいだ参政権がなかったのか」という問いをたどると、古代ギリシア・ローマの「市民皆兵」という考え方に行き着く。共同体のために戦う者こそ政治に参加できる――この発想は、中世都市の権利闘争や第一次世界大戦後の女性参政権、さらにはイギリス連邦の成立にもつながっている。教科書では見えにくい西洋史の一本の線を読み解く。
 © ダイヤモンド・オンライン
 「戦う者だけが政治に参加できる」という古代のルール
 世界史の教科書では、紙幅の都合もあって、どうしてもさらっと流されてしまうテーマや地域がある。しかし、そのなかには、実は歴史全体の見え方を大きく変える重要な論点が含まれている。
 では、教科書では簡単に扱われがちだが、本当はもっと丁寧に見ておくべきテーマとは何か。それはヨーロッパ古代史だ。なかでも重要なのが、古代ギリシアやローマに見られる「市民皆兵制」の考え方である。
 市民皆兵制とは、簡単にいえば、市民権や参政権と軍役が結びついている仕組みのことだ。政治に参加する権利を持つ者は、同時に戦争にも参加する義務を負う。逆にいえば、戦争に参加し、共同体を守る者だからこそ、政治に参加する資格があると考えられた。
 この発想は、古代だけの話ではない。ヨーロッパの政治的、社会的な伝統のなかに、長く残っていくことになる。だからこそ、ここを押さえておくと、西洋史全体の解像度が大きく上がる。もともと、戦争に参加するには、武器や鎧を自分で用意する必要があった。つまり、十分なお金を持っていなければ、戦士になることはできなかった。したがって初期の段階では、武器をそろえることのできる貴族や富裕層が軍事を担い、同時に政治の中心にもなっていた。
 武器を持った平民が「政治参加」を求め始めた
 ところが、やがて平民たちも経済的に豊かになり、自分たちも武器を持って戦えるようになる。すると彼らは、「自分たちも共同体のために戦っているのだから、政治に参加する権利があってもいいではないか」と主張するようになる。
 しかし、すでに政治的な権利を握っている貴族層にとって、それは既得権益を脅かす要求である。簡単に受け入れるわけにはいかない。こうして、軍事的な貢献と政治的な権利をめぐって、貴族と平民のあいだに対立が生まれていく。この構図は、古代だけにとどまらない。中世ヨーロッパの都市でも、よく似たことが起きる。
 当初、都市の防衛や運営の中心にいたのは商人たちだった。彼らは都市を支え、国防の一端も担っていたため、政治的な発言力を持つようになる。ところが、やがて職人たちも商売を繁盛させ、富を蓄えるようになる。彼らもまた都市を支える存在になっていくと、「自分たちにも政治参加の権利があるはずだ」と要求するようになる。
 ここでも、経済力を持ち、共同体に貢献するようになった人々が、政治的権利を求める。そして、すでに権利を持っている層とのあいだに闘争が生じる。古代ギリシア・ローマで見られた構図が、中世都市にも形を変えて現れているのである。
 なぜ女性には長いあいだ参政権がなかったのか
 この「軍事的貢献と政治的権利の結びつき」という視点は、近代以降の歴史を考えるうえでも重要になる。とりわけ深く関わってくるのが、女性参政権の問題である。
 なぜ、長いあいだ女性には参政権が認められなかったのか。その背景には、「女性は戦争に行かない」「戦場に立たない」という固定観念があった。政治に参加する権利は、共同体のために戦う者に与えられるべきだという考え方があるとすれば、戦場に出ないと見なされた女性は、政治参加から排除されやすかったのである。
 第一次世界大戦が女性と自治領の立場を変えた
 だからこそ、第一次世界大戦は大きな転機となった。第一次世界大戦は、兵士だけが戦う戦争ではなく、国家全体が動員される総力戦だった。男性が戦場に向かう一方で、女性たちは工場や医療、後方支援など、さまざまな形で戦争を支えた。戦場に直接立たなくても、国家のために大きく貢献したのである。
 その結果、欧米諸国では第一次世界大戦後、女性参政権が認められていく。女性たちが国家に貢献したことが、政治的権利を求める根拠となったからだ。ここにも、古代から続く「共同体への貢献」と「政治参加」の結びつきが見えてくる。同じ視点は、イギリス帝国と自治領の関係にも当てはまる。第一次世界大戦では、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカといったドミニオンと呼ばれる自治領、さらには植民地全体が、イギリスの戦争に大きく貢献した。
 その貢献が認められた結果、1931年にはウェストミンスター憲章によって、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどに実質的な主権が与えられ、独立国としての地位が認められていく。
 ただし、イギリスの面白いところは、これらの国々を単に切り離して独立させたわけではない点にある。当時、カナダにも、オーストラリアにも、ニュージーランドにも、南アフリカにも王がいた。そしてその王とは、イギリス国王だった。つまり、イギリス国王が、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカの国王も兼ねる。同じ国王をいただく国々が、ゆるやかな連合体を形成することになる。これが、今日のイギリス連邦、すなわちコモンウェルスの起源である。
 こうして見ると、教科書では個別に説明されがちな古代ギリシア・ローマの市民権、中世都市の政治闘争、女性参政権、第一次世界大戦、イギリス連邦の成立といった出来事が、一本の線でつながってくる。その線とは、「誰が共同体に貢献しているのか」、そして「その貢献に対して、どのような政治的権利が認められるのか」という問いである。
 世界史の教科書では、こうしたテーマはどうしても短く説明されがちだ。しかし、古代ヨーロッパにおける市民権と軍役の関係を出発点にして見直すと、西洋史の多くの出来事が、単なる暗記項目ではなく、連続した歴史の展開として見えてくる。教科書でさらっと流される部分にこそ、歴史を深く理解するための入口がある。ヨーロッパ古代史の市民皆兵制は、その代表的なテーマの一つだといえる。
 (本稿は『地図で学ぶ「深読み」世界史』著者へのインタビュー記事です)
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🔯18」─3・④─ブッダが明かした、満たされてもすぐに崩れ去る「人生の不安定さ」の現実。~No.58 

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 2026年7月23日 YAHOO!JAPANニュース クーリエ・ジャポン「ブッダが明かした、満たされてもすぐに崩れ去る「人生の不安定さ」の現実
 信徒数5億人を誇る世界宗教、その初期仏典にはある「仕掛け」があった──。
 仏教はキリスト教、イスラム教とは何が違うのか? ブッダの教えの核心は? 仏教は、どこから来て、いかに大乗へと展開したのか?
 【画像】ブッダが明かした、満たされてもすぐに崩れ去る「人生の不安定さ」の現実
 『原始仏教 ブッダから大乗成立へ』(講談社現代新書)で仏教学者の清水俊史は、初期仏典を読み解き、2500年の仏教史の源流を描き出す。
 ※本記事は清水俊史『原始仏教 ブッダから大乗成立へ』より抜粋・編集したものです。
 時代背景と仏教の独自性
 仏教は、紀元前5世紀頃の北インドに起こった、「沙門」と呼ばれる自由思想家たちの運動のなかから生まれた。沙門とは「努力する人」を意味し、部族共同体の原理と祭祀を重んじるバラモン教の権威を批判して、世俗の生活を放棄し、托鉢によって命をつなぎ修行に励む人々のことである。
 当時のガンジス河中流域では、紀元前6世紀から紀元前4世紀にかけて、鉄器の普及によって森林開墾と耕地の拡大が進み、農業生産の増大が余剰を生み出した。この余剰は、城壁都市や常設市場を支える経済的土台となり、マガダ国とコーサラ国という二大勢力の台頭を促して、政治的統合を飛躍的に進展させた。
 これと並行して都市化・商業化・貨幣経済の発達が社会構造を大きく変え、部族的・村落的な価値観を揺るがすとともに、商人や資産家などの新興富裕層を生み出し、その布施は遊行と修行に生きる沙門たちの生活基盤となった。こうした社会の激動期に、ブッダと呼ばれた一人の沙門が現れ、仏教という新たな道を切り開いたのである。
 仏教誕生の背景を理解するには、こうした政治的・社会的変動に加え、バラモン教の伝統が内部から変容していく過程を押さえる必要がある。紀元前1500年頃、中央アジアからインド亜大陸へ移住したアーリア人は、ヴェーダ聖典を編纂し、これを権威の依り所とするバラモン教社会を形成した。この過程で、司祭(バラモン)、武士(クシャトリヤ)、庶民(ヴァイシャ)、隷民(シュードラ)の四階級からなるヴァルナ(四姓制度)の基礎が築かれ、生まれによる社会的身分の固定化が進んだ。
 ヴェーダ聖典の古層(リグ・ヴェーダなど)において、人々の宗教的目的は死後に天界へ再生すること(生天)にあり、その実現には神々への供犠である祭祀(カルマ)が不可欠とされた。この祭祀は司祭階級によって独占されており、人々は多額の布施を差し出して祭祀を執行してもらい、その功徳によって来世の安泰を願った。
 ところが紀元前8世紀頃からヴェーダ聖典の新層(ウパニシャッド)が編まれるようになると、人々の関心はしだいに祭祀そのものから、人間の生と死、そして真の自己へと向かうようになった。そこでは、行為(カルマ)が死後のあり方を左右するという考えが強まり、祭祀に依らずとも善行によって生天しうるという発想が前面に出てくる。
 だが同時に、たとえ天界に生まれても、やがて再び死んでこの世に戻るのではないかという不安も意識されるようになった。こうして、目標は単なる生天ではなく、再死を超え、もはやこの世に帰還しない不死の境地へと移っていく。後代の理解でいえば、これが解脱にあたる。
 バラモン教では、解脱とは、自己原理(我=アートマン)と宇宙原理(梵=ブラフマン)が同一であること、すなわち「梵我一如」を感得することだと整理される。解脱した者は、死後に自己原理が「ブラフマンの世界」に至り、不死を得るとされた。自己原理とは、生命の根底にある恒常不変の実在であり、輪廻や解脱の主体とされたものである。
 他方、宇宙原理とは、世界全体の根底にある究極的な実在を指す。それは死後の到達点として、天界の最上位にある「ブラフマンの世界」というかたちで表現され、後には人格神ブラフマン(仏教でいう梵天)が住む領域とも理解されるようになった(中村元「選集決定版」9巻、阪本(後藤)純子[2015]、吉水清孝[2026])。
 このように、ヴェーダ聖典の伝統内部で「祭祀による生天」から「行為(業〔ごう〕)と輪廻を前提とした解脱」へと重心が移ると、宗教的完成への道もまた、出生と司祭特権に強く結びついた秩序から、個々の修行と行為に結びつく秩序へと開かれていく。ここに、ヴェーダ聖典の権威を相対化し、出自を問わず修行によって完成に至ると主張する沙門思想が、歴史的に成立する余地が生まれた。
 仏教は、この生天と解脱という二つの目的を受け継ぎつつも、その位置づけを大きく組み替えた。すなわち、生天は在家者の現実的目標として位置づけ直され、解脱は出家修行者が現世において到達すべき究極目標として明確化される。
 また、布施も「祭祀の報酬」ではなく、「戒と瞑想に励む修行者を支え、善業を積む行為」として再定義されたのである。仏教がしばしば、布施にふさわしい修行者を「福田」にたとえ、司祭階級のバラモンたちを「荒田」にたとえて対比するのは、この価値転換を端的に示している(『ジャータカ』497話、『増支部』8集34経など)。
 それでは、布施を受けるに値する「福田」とは誰か。仏教の理想像は、財産を捨て、最低限の所持で托鉢生活を営み、戒を保ち、修行に専心する沙門である。これは、出生によって祭祀を独占し、物質的にも満たされた生活を送り得たバラモンたちへの批判でもある。
 ブッダは、人の貴賤は「生まれ」ではなく「行い」によって定まるとし、正しい行いを備えた者こそ真のバラモンであると説いた(『スッタニパータ』462偈、『相応部』7章1品9経など)。こうして「生天/解脱」「祭祀/修行」「出生特権/行為」という軸の転換のただなかで、沙門宗教としての仏教が自立していく道が開けたのである。
 要するに、仏教は「祭祀と血統」によって宗教的地位が規定される秩序が揺らぐ局面で、「修行と因果」によって完成へ至る道を提示した運動であった。では、ブッダの教えは具体的に何を問題とし、何を最終目標として設定したのであろうか。
 ブッダの教えの核心(苦・因果・煩悩・解脱)
 仏教を簡潔に定義するなら、それは、「万物が因果によって成り立つことを洞察し、その知恵によって煩悩を断じて解脱することで、輪廻という苦を終極させる教え」である。ここでいう苦とは、単なる感覚的な苦痛にとどまらず、思い通りにならず、満たされても崩れ去り、得ても失われ、愛しても別離せざるをえないという、条件づけられた生の不安定さ全体を指す。
 この苦の連鎖を動かしているのは、業(カルマ)とその報いからなる「因果」の法理である。過去世の行為が現世のあり方を規定し、この現世の行為が来世のあり方を規定する。このような原因と結果の循環こそが、過去・現在・未来をつなぐ輪廻の正体であり、ひいてはこの現象世界の一切を構成している。仏教の特質は、絶対者を求めず、因果のメカニズムを可視化して、それを自らの力で断ち切る道筋を提示する点にある。
 最終目標たる「解脱」とは、厳密には「煩悩を断じてその束縛から解放された状態」を指し、広い意味では、その結果として到達する「もはや輪廻することのない境地」を指す。すべての煩悩を滅した解脱の境地は、「涅槃」とも呼ばれる。
 仏教も、他のインド宗教と同様に、輪廻は業によって起こされると考える。ただし、業だけで来世が生じるのではなく、そこに煩悩という”燃料”が必要だとみる点に、大きな特徴がある。私たちは無始以来、無数の業を積み重ねてきたため、それを一つずつ消して輪廻を終わらせることはできない。したがって、輪廻を根本から終わらせるには、業そのものではなく、そのはたらきを支える煩悩を断ち切らなければならない。
 そして、煩悩を断つために必要なのが、悟りの知恵である。瞑想を通して、現象世界が因果の連鎖そのものとして成り立っていることを正しく見抜いて悟りの知恵を起こし、その知恵によって煩悩を滅していく。煩悩という”燃料”が尽きれば、過去に積み重ねられた業もまた来世を生み出す力を失い、不活性化する。
 こうして輪廻が止滅した境地こそ、仏教の目指す宗教的完成である。ゆえにブッダは、苦の構造を明らかにし、そこから解放される実践の道を示した「教師」と位置づけられる。
 以上を踏まえると、仏教の独創は「第三者による救済」ではなく「因果の道理に則った自律的解放」を中核に据える点にある。この特徴は、世界宗教として並び立つキリスト教・イスラム教との対照によって、いっそう明確になる。
 阪本(後藤)純子[2015]『生命エネルギー循環の思想─「輪廻と業」理論の起源と形成』、龍谷大学現代インド研究センター
 吉水清孝[2026]『インド思想史』上巻、春秋社
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 7月23日 YAHOO!JAPANニュース クーリエ・ジャポン「2500年の歴史をもつ仏教の原点に迫る…古代の人々はブッダをどう受け止め、何を畏れ、何に憧れたのか?
 信徒数5億人を誇る世界宗教、その初期仏典にはある「仕掛け」があった──。
 仏教はキリスト教、イスラム教とは何が違うのか? ブッダの教えの核心は? 仏教は、どこから来て、いかに大乗へと展開したのか?
 【画像】2500年の歴史をもつ仏教の原点に迫る…古代の人々はブッダをどう受け止め、何を畏れ、何に憧れたのか?
 『原始仏教 ブッダから大乗成立へ』(講談社現代新書)で仏教学者の清水俊史は、初期仏典を読み解き、2500年の仏教史の源流を描き出す。
 ※本記事は清水俊史『原始仏教 ブッダから大乗成立へ』より抜粋・編集したものです。
 本書を貫くのは、仏教とは何かという問いである。
 仏教は、インドに生まれて以来、2500年にわたる歴史とアジア全域の諸文化に、きわめて深い足跡を刻みつつ、今日に至っている。そのなかで、本書が「原始仏教」の名のもとに考察するのは、開祖ゴータマ・ブッダの生涯と教えであり、あわせて、今日ある仏教の多様な姿の淵源をそこにたどることである。
 しかし、その基本資料である仏典は、ブッダ在世中に書き残された記録ではなく、仏滅後に弟子たちによって編纂されたものである。そこには神話的な装飾を帯びた記述もあれば、明らかに後代の成立と見られる要素も含まれている。
 近代に入ると、批判的学問としての仏教学のなかで、仏典の記述と史的ブッダとのあいだには、少なからぬ隔たりがあるという認識が広まった。そして多くの研究者は、仏典には「歴史」と「神話」が二項対立的に併存しており、神話的要素は後代に付加されたものだから、それを取り除けば史実を抽出できると考えた。
 だが、このような脱神話化によって描き出されたブッダ像は、しばしば現代人の願望を映したものにすぎなかった。そもそも、この方法論を徹底すれば、仏典の原初形態は神話的要素を含まない歴史書であった、という無理な前提に行き着く。
 むしろ、神話的要素を取り除き歴史を描き出すという名目のもとで、研究者自身の主観が仏典に投影されたのである。「平和主義者」「ジェンダー平等の先駆者」といった現代的なブッダ像は、その典型であろう。このような「歴史のブッダ」は、実は歴史上一度も存在しなかった、新たな「神話のブッダ」にほかならない(拙著『ブッダという男』ちくま新書)。
 仏典において、「歴史」と「神話」は不可分である。そもそも古代インドには、両者を二項対立として捉える発想がなかった。仏弟子たちは、篤い信仰心をもって仏典を編纂したのであり、そこには最初から神話的記述が含まれていたとみるほうが自然である。
 ブッダは、それまでのインドを否定し、新たな宇宙を示した先駆者であった。その出現によって、その後の歴史が大きく変貌した。だからこそ、仏弟子たちは死後その記憶を言葉としてとどめ、仏典を編纂したのである。
 そこに記された生涯や行状は神話的装飾を帯びているが、同時にまた、古代の人々がブッダをどう受け止め、何を畏れ、何に憧れたのかを伝える手がかりでもある。ゆえに、それらは単に史実ではないとして退けるべきものではなく、歴史的文脈のなかで読み解くべき資料である。
 本書は、この立場から原始仏教を描く。すなわち、歴史と神話のあいだにある深い溝を越え、2500年以上も尊崇され続け、現実に人々を動かしてきた「信仰のブッダ」の姿を浮き彫りにしていく。
 これを受けて本書の第一部では、仏教が成立した歴史的背景を概観するとともに、初期仏典をどのような資料として読み、そこから何を明らかにできるのかという、本書の前提となる資料論と方法論を解説する。
 第二部では、初期仏典を広く読み解き、そこからブッダの生涯を再構成する。あわせて、その教えが単独の思想としてではなく、彼自身の歩みのなかで形をとった思想的革新であることを解明したい。とりわけ、四聖諦(ししょうたい)や無我、縁起といった教理については第4章に、また、サンガ(教団)や修行道については第7章にまとめた。
 第三部では、仏滅後のインドにおいて、仏教がどのように受け継がれ、伝承と解釈の分岐を通じて多様化していったのかをたどる。そうした長い形成過程を見届けることで、ブッダの教えがいかに展開し、大乗をも含む後代の仏教史へとつながっていったのかを、「原始仏教」という射程のなかに収めて描き出したい。
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🔯60」─2─島国イギリスの森の消滅で1760年代から産業革命が始まった。~No.221No.222 

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 2027年7月21日 YAHOO!JAPANニュース WEB歴史街道「イギリス産業革命の引き金は「森の消滅」?島国ゆえに起きた奇跡の逆転劇
 宇山卓栄氏は、書籍『「地理で考える」は武器になる』にて、産業革命がイギリスで始まった理由を地理的側面から解説する
 世界史の教科書に書かれている「18世紀後半、イギリスで産業革命が始まった」という事実。しかし当時のイギリスはヨーロッパの端にある小さな島国に過ぎず、国力ではフランスが、科学技術では中国(清)のほうがはるかに上回っていました。
なぜ、そのような国で人類の歴史を変える大変革が起きたのでしょうか。
そこには「島国」という地理的条件、「森の消滅」という絶体絶命のピンチが絡み合う、偶然のパズルがありました。教科書の裏に隠された、壮大なイノベーションの謎に迫ります。
 ※本稿は、宇山卓栄著『「地理で考える」は武器になる』(秀和システム新社)より一部抜粋・編集したものです。
 地理的なピンチとチャンス
 世界史の教科書には、18世紀後半にイギリスで産業革命が始まったと書かれています。ジェームズ・ワットが蒸気機関を改良し、紡績機が発明され、工場制機械工業が誕生した…。私たちはこれを当たり前の事実として暗記していますが、地理的な視点を持つと、そこには巨大な「謎」が浮かび上がります。
 なぜ、イギリスだったのでしょうか?
 当時のイギリスは、ヨーロッパの端にある小さな島国に過ぎませんでした。国力や人口規模で見れば、ライバルのフランスの方が圧倒的に上でした。科学技術の水準で見れば、中国(清)の方がはるかに進んでいました。それにもかかわらず、人類の生活を一変させるイノベーションは、ロンドンを中心とするこの島国で爆発しました。
 その理由は「イギリス人が天才だったから」ではありません。
 イギリスという土地が、「産業革命を起こさなければ生きていけない」という地理的な追い込み(ピンチ)と、それを実現できる資源という地理的なチャンスの両方を、同時に持っていたからです。
 【1】「島国」という最強の防壁
 第一の要因は、イギリスがドーバー海峡によって大陸から切り離された「島国」であったことです。
 当時、ヨーロッパ大陸は大国同士が領土を奪い合う戦争に明け暮れていました。フランスもドイツ(プロイセン)も、国境を接する隣国からの侵略に備えるため、莫大な予算と人的リソースを陸軍に費やす必要がありました。
 しかし、海に守られたイギリスは、本土侵略のリスクが極めて低かった。そのため、軍事費を陸軍ではなく「海軍」と「通商」に集中させることができました。
 さらに重要だったのは、国内の政治的安定です。大陸諸国が戦火に焼かれる中で、イギリス国内では資産が破壊されるリスクが低く、人々は安心して長期的な投資を行うことができました。工場を建て、高価な機械を導入するというリスクの高い行動は、「明日もこの工場が破壊されずにここにある」という地理的な安全保障があって初めて可能になるのです。
 【2】「木材不足」というエネルギー危機
 しかし、平和な島国であることだけでは革命は起きません。イノベーションには、強烈な「必要性」が条件です。イギリスを産業革命へと突き動かした真の犯人は、実は「森の消滅」でした。寒冷なイギリスでは、暖房や料理、そして建材や造船のために大量の木材を消費しました。その結果、17世紀頃には国内の森林がほとんど切り尽くされ、深刻なエネルギー危機に陥ってしまったのです。
 「木がないなら、燃える石を使うしかない」追い詰められたイギリス人が手を伸ばしたのが、地下に豊富に埋まっていた「石炭」でした。この「木材から石炭へ」というエネルギー転換こそが、運命の分かれ道でした。木材(森林)は、再生するのに数十年かかります。つまり、エネルギーの供給量に「土地の広さ」という限界があります。
 一方、石炭は地下に数億年分が眠っています。掘り出しさえすれば、土地の広さに関係なく、莫大なエネルギーを取り出すことができます。イギリスは、化石燃料という「封印された太陽エネルギー」の蓋を、世界で最初に開けざるを得ない状況に追い込まれた国だったのです。
 【3】蒸気機関は「炭鉱」から生まれた
 ここで、地理的な条件がパズルのように噛み合います。石炭を掘るために深く穴を掘ると、必ず地下水が染み出してきます。この水を汲み出さなければ、採掘は続けられません。当初は馬を使ってポンプを動かしていましたが、もっと効率的な方法が必要でした。そこで発明されたのが、石炭を燃やして動かすポンプ、すなわち「蒸気機関」です。
 つまり、蒸気機関は、最初から織機を動かしたり列車を走らせたりするために発明されたのではありません。「炭鉱の地下水処理」という、極めて局地的な現場のニーズに応えるために生まれたのです。もしイギリスに豊富な石炭がなく、炭鉱開発の必要がなければ、ワットが蒸気機関を改良する動機も生まれず、産業革命は数百年遅れていたかもしれません。
 なぜ中国では起きなかったのか?
 比較としてよく挙げられるのが中国です。当時の中国にも石炭はありましたし、高度な技術もありました。しかし、産業革命は起きませんでした。
 その理由の一つは、地理的な「距離」です。
 中国の石炭産地(北部)は、経済の中心地である長江デルタ(南部)から遠く離れていました。重い石炭を陸路で運ぶコストが高すぎたため、産業エネルギーとしての利用が進まなかったのです。
 対してイギリスは、小さな島国であり、かつ多くの炭鉱が海や川の近くにありました。掘り出した石炭をすぐに船に載せ、安価な水運でロンドンや工場地帯へ運ぶことができた。
 この「資源地と消費地の地理的近接性」と「水運アクセス」という幸運な条件が揃っていたからこそ、石炭を中心とした産業生態系が一気に花開いたのです。
 「島国という守り」と「森林枯渇というピンチ」、そして「石炭と水運という恵み」。産業革命とは、一人の天才のひらめきではなく、イギリスという土地に刻まれたこれらの地理的条件が化学反応を起こした結果だったのです。
 宇山卓栄(著作家)
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🐒46」ー1ー中国人学者はフィリピン領バタン諸島を中国領と主張。~No.117No.118No.119 

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 中国共産党は、軍事力を増強し、東シナ海・南シナ海など周辺海域への領土拡大の侵略行動を進めている。
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 2026年7月19日 MicrosoftStartニュース 読売新聞「「バタン諸島は中国領」学者らが一方的主張、猛反発のフィリピン国防相「根拠が全くなく滑稽極まりない」
 フィリピン最北端バタネス州のバタン諸島について、中国の学者らが「中国領だ」との主張を展開している。日比両国が進める海洋境界画定に向けた交渉をけん制した動きとみられる。比側は中国による新たな現状変更の試みと捉えて警戒を強めている。
 バタン諸島は台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡に近い戦略的要衝だ。バシー海峡は中国軍の空母打撃群などが西太平洋に進出する際の重要航路の一つで、台湾有事の際に周辺海域が封鎖されるとの観測もある。フィリピンは軍施設の増設など、バタネス州の防衛力向上を図っている。
 香港紙・明報などによると、中国広東省の大学で6月30日、国際法や海洋史の学者が参加したシンポジウムが開催された。中国共産党機関紙傘下の環球時報は今月11日、このシンポジウムについて報じ、「バタン諸島は台湾の地理的延長にあり、中国に属する」とする学者の一方的な見解をほぼ1ページを割いて掲載した。
 日比両国は5月、台湾東方沖を含む海域で、排他的経済水域(EEZ)と大陸棚の境界画定に向けた交渉の開始で合意した。中国は、台湾東方の海域に自国の大陸棚とEEZを有するとの立場で、日比の境界画定に反発している。シンポジウムは、この合意を問題視して開かれたという。
 ギルベルト・テオドロ比国防相は今月9日、中国側の主張について、「根拠が全くなく、滑稽極まりない」と 一蹴(いっしゅう) 。「中国が太平洋全域を支配する計画を立てていることを裏付けるものだ」と激しく反発した。
 比外務省も9日の声明で、「根拠のない空想にはわざわざ返答する価値はない」とし、バタン諸島に対する主権の正当性を強調した。(中国総局 吉永亜希子、ハノイ支局 竹内駿平)
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 7月21日 MicrosoftStartニュース FNNプライムオンライン「中国海警とフィリピン軍が海の上で乱闘 反論の中国側が駐フィリピン大使を呼び出し抗議 南シナ海
 © FNNプライムオンライン
 フィリピン軍が公開した映像には、中国海警局の白いボートに乗った数人が、フィリピン軍の黒いゴムボートに対し、棒のようなものを振り回している様子が捉えられています。
 ここは、フィリピンと中国が領有権を争う南シナ海。
 フィリピン軍によりますと20日、実効支配するアユンギン礁の軍事拠点に中国海警局のボートが接近し、撮影を始めたため退去するよう警告。
 すると、中国側の船員が木の棒で隊員の頭を殴り、1人が負傷したといいます。
 一方、中国側も映像を公開し反論。
 中国海警局は「フィリピン側が警告を無視して接近し、先に棒などで攻撃を加えた」と主張。
 さらに21日、中国外務省の担当者が駐中国フィリピン大使を呼び出し抗議。
 一方、フィリピン側も中国大使を呼び出し抗議する予定です。
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 4月6日 日本経済新聞「陸上自衛隊初参加で日米比演習 約420人、円滑化協定で可能に
 6日、フィリピン・フォートマグサイサイ基地での開幕式に出席した、陸自第2普通科連隊の島田昌樹連隊長(左端)や米国やフィリピンの司令官ら(共同)
 【マニラ=共同】日本と米国、フィリピンなどによる合同軍事演習「サラクニブ」が6日、フィリピンで始まり、北部ルソン島のフォートマグサイサイ基地で開幕式が開かれた。陸上自衛隊が初めて本格参加し、約420人の部隊を派遣した。
 自衛隊とフィリピン軍の相互往来を容易にする円滑化協定(RAA)が昨年発効し、派遣規模の拡大が可能となった。
 フィリピンは南シナ海の領有権を巡り中国と対立しており、日本との連携を強化。日本も米国との同盟を基軸に、フィリピンなどとの多国間連携の深化を進めている。
 昨年のサラクニブには、陸自はオブザーバーとして少人数を派遣した。
 フィリピン軍などによると、今年は日米比とオーストラリア、ニュージーランドの計7千人以上が参加。電子戦や無人機への対応など、現代の作戦環境での訓練を5月まで実施し、インド太平洋地域での対中抑止力の向上をめざす。
 米陸軍第25歩兵師団のバーソロミーズ司令官は開幕式で、陸自などの参加を歓迎。多国間の演習によって「潜在的な敵に結束と能力、決意を示せる」と意義を語った。
 陸自第2普通科連隊の島田昌樹連隊長は報道陣に、多国間の演習は陸自にとって「とても有意義だ」と語った。
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 2月27日 TBSテレビ「JNNが同行取材 台湾周辺で初の日本・アメリカ・フィリピンの共同訓練 “台湾有事”も見据え連携強化の狙い
 フィリピン軍は日本の海上自衛隊とアメリカ軍とともに、台湾周辺で初めてとなる3か国の共同訓練を実施しました。同行したJNNは、共同訓練の部隊を追跡する中国軍の艦船を撮影、フィリピン軍は「異例の事態だ」と警戒感を示しました。
 レイナルド・セレーゾ通信員
 「台湾から約185キロ離れた(フィリピン北部)バタネス諸島付近にいます」
 日本・アメリカ・フィリピンの共同訓練は23日から行われ、台湾に近いフィリピン北部のバシー海峡付近で航空機の哨戒活動などが実施されました。台湾周辺での3か国の共同訓練は今回が初めてです。
 バシー海峡は台湾有事が起きた際、中国が「第1列島線」と位置付ける防衛ラインのひとつで、JNNのカメラは訓練中に近くを航行する中国海軍の艦船を捉えました。
 フィリピン軍の指揮官
 「演習中に中国軍の艦艇がここまで追跡してくるのは異例の事態だ」
 南シナ海の領有権をめぐり中国と対立するフィリピンは、台湾有事への警戒感も強めていて、日本やアメリカとも連携しながら対応を強化する狙いがありそうです。
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 7月20日 YAHOO!JAPANニュース TBS NEWS DIG Powered by JNN「【速報】中国とロシアが日本のEEZ内で実弾演習を実施 小泉防衛大臣が明かす
 小泉防衛大臣はさきほど、訪問先のイギリスで行ったスピーチの中で「中国とロシアの海軍艦艇が日本周辺で共同航行作戦を実施している」としたうえで、この週末に「日本のEEZ=排他的経済水域の内側で実弾演習を行った」と明らかにしました。
 【画像で見る】小泉進次郎が変える防衛省の「攻めの発信」 “シン・小泉劇場”は理解かリスクか
 防衛省によりますと、実弾射撃は中国の船のみが行っていたということです。
 防衛省が日本のEEZ内で中国とロシアが実弾演習を行ったことを確認し、公表したのは初めてです。
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 4月16日 dmenuニュース 内外タイムス「高市政権への抗議デモ、日本で報道しないのは放送法の「政治的公平性」か、摩擦を避けるためか
 高市政権への抗議デモ、日本で報道しないのは放送法の「政治的公平性」か、摩擦を避けるためか
 高市早苗首相の政権運営に批判的なデモが活発化している。新聞報道によれば、国会周辺には2月下旬に約4000人、3月中旬は約8000人、同下旬は約2万4000人が集まり、規模は拡大傾向にある。
 8日夜には「平和憲法を守るための緊急アクション」が国会前で開かれた。約3万人(主催者発表)が参加し、米・イスラエルによるイランへの軍事攻撃や、改憲に意欲を示す高市政権に抗議した。オンラインでも約7万人(同)が視聴したとされる。また、これに連帯し、全国約150カ所でも、反戦や平和を訴える抗議集会が開かれた。
 デモの様子を動画付きで伝えるSNSも多数見られた。
 「国会議事堂前のデモ正面の場所ではなくて、これはずっと離れた桜田門駅前からの映像なんですがすごくないですか。人が多すぎて近づけなくて国会を囲んでいます。どこにいても『戦争反対』『改憲反対』『高市総理はいますぐやめろ』『自民も維新も憲法守れ』のコールが聞こえます」
 また、「テレビではやらないだろうけど。若い方々が毎日たくさん集まり盛り上がってますね!」のように、デモの様子を報道しない日本のテレビ局をやゆする投稿も多い。
 今回に限らず、日本のテレビは「デモが起きていること自体」をストレートニュースとして扱うのはまれだ。「世論の動向」として抽象的にまとめることはあるが、「政治的公平性」が建前になっている以上、デモの背景にある政治的な主張は取り上げにくいわけだ。
 とくに高市氏は過去に放送法に関連する発言で注目を集めたこともあり、テレビ局側が政権との摩擦を避けようとする思惑が働いても不思議ではない。
 アメリカでは、大規模デモと報道
 米CNNが8日に現場から「異例の大規模デモ」と報道していただけに、日本のテレビがほとんど報じないことに情報ギャップ(温度差)を感じるユーザーが多いようだ。なお、X(旧Twitter)では15日午前中も「#高市やめろ」がトレンド入りするなど、断続的に抗議デモの様子が伝えられている。そして、19日14:00〜にも国会正門前で抗議集会を行うという。
 メディアによってばらつきはあるものの、60%前後と高市政権はいまだ高い支持率を維持している。SNSへの投稿を見ると、熱狂的な高市支持者の目には、デモに参加しているのが一部の少数派に過ぎないと映るのも無理のないところだ。
 しかし、2月の選挙戦で「憲法改正」はまったくテーマにはならず、「消費税ゼロ」など、国民生活に直接関わる分かりやすい政策が支持されたと見るべきだ。ましてや米・イスラエルによるイランへの攻撃が始まったのは2月28日であり、2月の総選挙で勝利したからといって、すべての政策に白紙委任されたと考えるべきではない。
 文/横山渉 内外タイムス
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 6月23日 HUFFPOST NEWS「高市首相に「戦争反対!」「9条を守れ!」20万人以上が死亡した沖縄で全戦没者追悼式、参列者から声上がる
 太平洋戦争で20万人以上が亡くなった沖縄。糸満市で行われた「令和8年沖縄全戦没者追悼式」に参列した高市氏に、市民から戦争反対の声が上がった。
 Satoko Yasuda 安田 聡子
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 沖縄県・糸満市の平和祈念公園で6月23日に行われた「令和8年沖縄全戦没者追悼式」で、あいさつをした高市首相に対し、参列者らから「9条を守れ!」などの声があがった。
 高市首相は、玉城デニー知事による平和宣言、豊崎中学校2年の亀谷琉奈(かめやるな)さんによる「平和の詩」朗読の後に、来賓あいさつとして登壇した。
 壇上に向かう高市首相に対し、参列した市民から「戦争反対!」「24万人に謝ってこい!」などの怒りの声が上がり、あいさつが終わるまで続いた。
 【動画】「戦争反対!」「9条を守れ!」との声が続く中、挨拶をする高市早苗首相
 沖縄県は太平洋戦争で国内最大の地上戦が行われた場所で、20万人以上が亡くなった。
 国籍や軍人・民間人の区別なく、沖縄戦などで死亡した全員の氏名を刻んだ記念碑「平和の礎」には、2026年6月現在、24万2659人の名前が刻まれている。
 一方、高市首相が総裁を務める自民党は、自衛隊の明記などを含む憲法の改正を掲げている。高市首相は4月に東京で開かれた自民党大会では「時は来ました」と改憲への意欲を示した。
 沖縄タイムスによると、高市首相は追悼式後の記者会見で、「戦争反対!」などの声についてどう感じたかについて問われ、「喋っていたために何を言っているかはっきりと聞こえたわけではない」とした上で次のように述べた。
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 6月24日 YAHOO!JAPANニュース kangnamtimes「「中国、ついに一線を越える」海警が外国商船に異例要求…台湾東方海域で進む”不気味な包囲網”
有馬侑之介 によ
 台湾東方でも商船を圧迫した中国海警…外国船舶に入港情報提出を要求
 中国海警局が台湾海峡の反対側にある台湾本島東方の太平洋水域でも外国商船に無線で入港予定港などの情報を要求し始めた。中国海警局は中国の管轄権を主張し、アメリカとヨーロッパは中国が今後外国船舶を停止させて検査したり、中国側の通関手続きを要求するための事前段階を踏んでいるのではないかと反発した。
 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は24日(現地時間)、中国海警局の船舶が今月初め台湾本島東方水域をパトロールしながら外国商船に無線で入港関連情報を要求したと報じた。今回の作戦は6日から10日までの5日間にわたって行われた。
 ただし、現在まで中国海警局が外国船舶に実際に乗船して検問した事例は確認されていない。台湾とアメリカ、西側当局者は現在は無線要求の段階だが、今後船舶を停止させたり乗船検査につながる可能性があると懸念している。
 台湾は自治政府が統治する民主主義地域だが、中国は台湾を自国領土の一部だと主張してきた。中国の海洋活動を追跡するスタンフォード大学の研究チームは今回の動きを、銃を使わずに船舶の制御を強化し台湾を徐々に孤立させる方法だと見ている。
 アメリカの事実上の駐台湾大使館の役割を果たす米国在台湾協会(AIT)は中国の行動が地域の安定を損なうと批判した。AIT関係者は中国に対し、台湾への軍事・外交・経済的圧力を中止し、台湾の民主的に選ばれた当局と対話するよう求めた。
 イギリス、フランス、ドイツの代表部も共同声明を出し、中国の行動が地域の安定と航行の自由、国際海運の安全を脅かすと述べた。
 中国は最近台湾周辺に海軍と海警局の船舶を増やしている。これは台湾住民2,300万人に対し、中国の圧力に抵抗しても無駄だという認識を植え付ける長期的な圧力戦の一部と評価されている。
 中国は過去の大規模軍事演習で、台湾封鎖を想定した訓練を行ったことがある。しかし今回は軍事訓練ではなく、海警局が外国商船に対して直接情報を要求したという点で、台湾が懸念していた外国船舶の停止・乗船検査段階につながる可能性があるとの観測が出ている。
 引用:中国海警局のWeChat
 スタンフォード大学研究チームのレイモンド・パウエル所長はWSJに対し、中国の目標が銃を使わずに台湾を徐々に孤立させることだと分析した。中国の個別の措置は武力衝突で対応するには小さく見えるが、時間が経つにつれて圧力は強まるという説明だ。
 中国交通運輸部は今回の作戦期間中に船舶198隻を点検したと主張した。しかし台湾は中国海警局が外国船舶に実際に乗船した事例はないと説明した。中国は日本とフィリピンが近隣海域の排他的経済水域問題を議論すると、該当海域に中国の権利もかかっているとし、パトロールを正当化した。
 しかし台湾当局は中国の説明を受け入れなかった。台湾当局は日本・フィリピンの協議が台湾と各国との別の海洋協議には影響を与えないと反論した。
 台湾当局は5日間に中国海警局の関連行動3件を確認した。1件の事例では中国海警局がシンガポール船籍の船舶に無線で入港予定港などの情報を要求し、中国の管轄権を主張した。その後、中国海警局はベナン・ライベリア船籍の商船にも同様の警告を送った。
 パウエル所長は中国海警局が外国船舶に報告を要求する前例が作られると、元に戻すのが難しくなる可能性があると指摘した。今は無線警告にとどまっているが、次の段階では中国海警局が船舶を停止させたり乗船検査に出る可能性があるという意味だ。さらに、中国が台湾周辺を自国の管轄海域のように扱い、外国船舶に中国本土の通関手続きを要求する可能性もあるとの懸念が出ている。
 台湾当局は今回の中国海警局の活動を全面戦争を避けながら軍事・海警手段で台湾を引き続き圧迫する「グレーゾーン」活動の新たな形態と見ている。台湾海洋委員会海巡署は中国海警局の活動を監視しながら、台湾の管轄権を主張する無線放送で対抗していると明らかにした。
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 日本国内には、中国共産党の帝国主義・植民地主義・軍国主義に理解する日本人がメディア業界や教育界に存在し、中国軍との戦争をさせる為に中国共産党の意向に逆らわないように主張する日本人が存在する。
 戦争を避け平和の為ならば、国益を踏みにじって不利益になっても、中国共産党が欲しがる領土・領海・領空を抵抗せず差し出すべきだと。
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👠37:─3─42カ国はウクライナ侵攻後と地球温暖化で原発導入や検討に着手。~No.85No.86No.87 

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 2026年7月19日 YAHOO!JAPANニュース 共同通信「【独自】42カ国が原発導入や検討に着手 ウクライナ侵攻後に急拡大
 原子炉圧力容器の設置作業が進むダバア原発の建設現場=9日、エジプト北部ダバア(タス=共同)
 都市化の進展や生成人工知能(AI)の普及により、世界で電力需要が高まる中、原発を保有していない国のうち計42カ国が新規導入や具体的な検討を進めていることが国際原子力機関(IAEA)の集計で19日までに分かった。大半は新興国や開発途上国で2022年のロシアによるウクライナ侵攻後に急拡大した。各国が国際情勢の影響を受けにくいエネルギーとして、原発に期待を寄せる実態が浮かぶ。
 過去5年間で新たに着工した原発は50基に上り、ほとんどが中国製やロシア製。軍事攻撃やテロの標的になる恐れもあり、防衛や警備面も課題となる。
 脱炭素やエネルギー安全保障の観点から化石燃料に依存するリスクは高まり、電力需要が旺盛な新興国や途上国で依存度低減の動きが広がる。次世代原発の小型モジュール炉(SMR)の実用化を見据えた取り組みも加速している。
 IAEAによると、今年1月時点で14カ国が新規導入を決めて建設を始めるなどし、ウガンダやマレーシアなど28カ国がIAEAの支援で導入を検討している。
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👠38:─1─“左派はもう駄目だという論調の危うさ” 、「反移民暴動」の深刻な実態。~No.88 

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 2026年7月16日 YAHOO!JAPANニュース 文春オンライン「“左派はもう駄目だという論調の危うさ” イギリス在住のブレイディみかこが語る、「反移民暴動」の深刻な実態
 ブレイディみかこ氏 ©Shu Tomioka
 格差や貧困問題など、イギリスと日本の狭間で社会を見つめてきたブレイディみかこ氏が、5年ぶりの人文書 『それはどこでも起こり得る 壊れゆく世界への抵抗』 を世に問う。世界的に使われ出した“奇妙な言葉”を追っていくと、今ここにある社会の深層が見えてくる。イギリスのブライトンで移民の当事者として生きる立場から、リアルな情勢を語った。
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 ◆◆◆
 「自己責任」はもともとイギリスにはなかった
――新著では、いくつかのキーワードになる言葉から、現代社会に底流するものの正体に鋭利に斬り込んでいますね。
 ブレイディ いま人々の口の端に上る言葉を追って、社会・政治情勢を読み解いたのは、私は普段から言葉についてよく考えざるを得ない環境で生きているからです。日本ではこう使われているけれどイギリスでは意味が違うぞとか、こんな奇妙な言葉が輸入されて使われ出したなとか、特にカタカナ語には敏感になるし、頻繁に辞書を引くのが習性になっています。
 たとえば日本でよく使われる「自己責任」、つまり「セルフレスポンシビリティ」(self-responsibility)という言葉は、以前はイギリスではそんなに耳にしませんでした。responsibilityは「各々が自分の義務に対して果たす責任」を意味し、わざわざダメ押しするようにselfをつける必要はないですから。
 ところが、イギリスにもロスト・ジェネレーション(氷河期世代)が現れ、政治家が説明責任(accountability)を果たさないのに、若者ばかりが「自己責任」を求められる風潮の中で、同じような言葉が使われるようになってきた。いわば上下の“責任格差”が深まる社会で、国が違っても同じ言葉が使われるようになるということは興味深いと思います。
 「リマイグレーション」の正体
――そうした言葉から炙り出される社会の深層への指摘は鮮烈でしたが、中でも一番衝撃的なのは「リマイグレーション」という言葉でした。
 ブレイディ 日本語に直訳すれば「再移住」ですが、第2期トランプ政権からアメリカ政府が公式Xなどで使い出し、イギリスの極右政治家も「移民の大量送還」の意で使うようになりました。この言葉の正体は、「ソフトな民族浄化」に他ならないとも言われています。極右が好んで使うこのおぞましい表現が公の場でも使われるようになり、アメリカではICE(移民・関税執行局)への権限・予算が大幅に増強され、いわば「移民狩り」と呼んだほうがいい状況が展開されていたのは日本でも報道されていたと聞いています。
 イギリスでも排外主義的政策で注目を集めたリフォームUKが昨年の春から政党支持率第1位を独走しており、もはやアメリカで起きていることは対岸の火事ではありません。
 「イギリスは議会制民主主義の母国だから大丈夫」と言う人もいますが、アメリカや日本と違ってイギリスは成文憲法典を持たない国ですから、独裁的政権が誕生すれば、トランプよりも過激にシステムを変えることが可能だろうと危惧する声もあります。
 左派が弱体化する時代に
――リフォームUKのような右派ポピュリズム政党が勢いを増し、いま世界的に左派が弱体化している現状をどうご覧になっていますか。
 ブレイディ 第1期トランプ政権の頃は、トランプ支持者を「ポピュリストに騙された無学な人たち」と見なして嘆いていた左派ですが、中には、これを深刻に捉えて反省する向きもありました。前著『他者の靴を履く』では「意見の異なる相手を理解する能力」エンパシーについて掘り下げましたが、当時はまさに「エンパシーを働かせられなかった左派が失敗した」「自分たちには理解できないと思えるトランプ支持者たちの靴も履いてみよう」というムードがありました。
 ところがトランプの第2期になって、左派の多くは「もうしょうがない」とどこか諦めてしまった。左派の間でも、「だから左派は駄目なんだ」「もう復活の気運はない」と内輪の欠点ばかりあげつらって、誰が最も悪かったのかを探す“大総括会”をはじめてしまったのです。
 イギリスでは二大政党制が崩壊し、五大政党制の時代が始まったと言われ、「駄目になった労働党なんてぶっ壊し、緑の党を中心にゼロからつくり直したほうがいい」という加速主義的な意見を口にする左派論客もいます。でも、緑の党が政権を取れるわけではないのもみんなわかっている。ということは、リフォームUK政権の誕生もやむなしということですよね。これには、私は移民の当事者なので同意できません。
 対岸の論壇から「左派が良くない」と言うのは楽ですが、そう言いながら「しょうがないよね」と排外主義的な右派政党の台頭を黙視していたら、実際にどんどん権利を奪われて、最終的に追放されるのは移民です。
 移民の「合法と不法の線引き」は政治的に変えられる
 ブレイディ もしも予想されている通りにリフォームUKが政権をとってリマイグレーションを始めたら、その巻き添えを食うのは、長年この国に住んで、真面目に働いて、税金も年金も納めてきた移民たちです。
 すでにリフォームUKは、永住権を取っている移民からもそれを剥奪する計画を語っています。そうなったら、わが家も含め、一家離散の危機に直面する家庭は少なくないでしょう。英国籍の子どもたちから、外国から来たお父さんやお母さんがいなくなるということです。外国から来た友達や、お世話になっている学校の先生なども。
 「不法移民をみんな追い出せ」と言うのは当然だという人も多いですが、合法と不法の線引きは政治的にいつでも変えることができますから、移民に憎悪が向けられるときは、今日は合法だった移民が、明日には不法になる可能性がある。私は30年間イギリスに移民として住んで、今ほどそれを切実に感じていることはありません。
 英国ではここのところ、毎年夏になると反移民暴動が各地で勃発しますが、今年のベルファストは特にひどい状況でした。ある難民が殺人未遂事件を起こしたのをきっかけに暴動が起きて、抗議者たちが一軒一軒「移民が住んでいる」と疑った家を回って脅迫したり、NHS(イギリスの国民保健サービス)の病院で長年看護師をしているアフリカ出身の女性が後をつけ回されて脅されたりしています。自分たちの家族や友人を病院でケアしてくれている看護師に何をしているのでしょうか。
 イデオロギーなき「極中」政治
――排外主義がかなり深刻さを増しているんですね。左派政党が骨抜きになった背景として、本書では「極中」(extreme center)という政治的潮流についても掘り下げていますね。
 ブレイディ 「過激な中道」を意味するこの言葉は、右でなく左でもなく、またここが重要な点ですが、左右の真ん中に立とうとする従来の中道派ですらなく、権力奪取がその存在目的になったイデオロギーなき政治勢力を指します。これは、1979年の保守党のサッチャー政権以降、18年間敗北を重ね続けた労働党が「なぜ勝てないか」と“大総括会”をやって、社会主義的な政策を捨てたブレア政権にその源流があります。当時のブレアは、地べたの労働者の政党であることをやめて、お洒落で都会的なイメージの、いかにもネオリベ的な左派をつくり出しました。
 それを(先般辞任を発表した)労働党のスターマー首相はそのまま引き継いで、前労働党党首のコービンや映画監督ケン・ローチのような従来型の左派を次々とパージして、自分たちのキャリアパスのためにとにかく勝つことを目的化した政党へと舵を切ったのです。
 本来、政治家には「こういう世の中にしたい」というイデオロギーがあるものでした。右派なら「自分たちの伝統的な文化を大事にしたい」、左派なら「格差を是正して貧困をなくしたい」という実現したい社会の理想像があったわけです。ところが極中にはそうした理念がなにもありません。伝統的な中道は、右にも左にも翼を広げて、どちらのよいところも採用して穏便にやろうというものでしたが、極中は穏便さがなく、権力を握ることに対して非常にアグレッシブで、身内をパージしていく寛容性のなさも特徴だと言われます。
 政権の中核にAIを置け?
 最近、ブレア元首相が自らのシンクタンクのサイトに長文エッセイを発表し、労働党に極中回帰を促して話題になりました。彼の考え方は、政権運営の中核にAIを置け――問題は効率的に分析・解決しろ、イデオロギーは一切いらない、というものです。経済発展の足を引っ張るような福祉や環境政策なんて不要だし、移民には厳しい政策をとれ、そしてAIがどんどん使えるように安いエネルギーこそ重要だと考えて、トランプを指導者として評価していると書いたことも話題になりました。
――効率至上主義で、理念がないわけですね。
 ブレイディ これはもはや「ラディカルな(急進的な)日和見主義」ではないでしょうか。私自身の経験でいうと、ブレア政権の時代に「外国人の保育士を増やすことが多様性の推進だ」という一大キャンペーンに乗っかって、保育士になりました。
 当時のテレビCMではヒジャブをまいた保育士やアフリカ系、アジア系の保育士と遊ぶ子どもの映像とかが出てきて「あなたも働きませんか?」と呼びかけていたほど。保育士資格取得のためのカレッジの講座が無償で受けられて、そこでは試験のたびに必ず「これがダイバーシティとインクルージョンの概念にどう関連しているか」を書かされました。受講生たちは「ダイバーシティ&インクルージョン地獄」と呼んでいたほどです。
 たとえば障害をもっている子への教育はどうあるべきか、創造性を育てる保育の環境づくりはどうあるべきか? 試験のテーマはその都度変わりますが、そうした設問に対して所定の文字数で論じさせられ、最終的にはすべてが多様性の問題に収斂した。政府が経済政策としてグローバリゼーションを推進する中で、国策としてそれだけ多様性の概念を徹底していたのです。
――そんなに多様性を推奨していたのに?
 ブレイディ それが今やグローバリゼーションは失敗し、反動として世界的に右傾化し、当のブレアはトランプと手を取り合って、ガザをリゾート化しようとまでしている。今の情勢に合わせて、ひたすら「最適化」して権力をとろうとする姿勢は、ただ急進的としか言いようがない。
 でもブレア政権下であれだけ「移民のみなさん来て働いてください。あなたたちはこの国の多様性を推進していく人材です」と移民を歓迎しておいて、今さら母国に帰れと言われても、移民は人間ですから、結婚したり、子どもを産み育てたりして、コミュニティの中に根を張って生きています。
 「私たちは生きた人間だ、移民はあなたたちの政治のおもちゃじゃない」と言いたくなります。
 「ラディカルな日和見主義」が生む“道徳の空白地帯”
――まさに、人類学者デヴィッド・グレーバーが批判した「極中」と「右派詐欺師」の共存関係がこの奇っ怪な状況をつくり出していますね。
 ブレイディ 本当にその通りで、「極中と右派詐欺師」の二大勢力の共存関係の下では、政治的ルッキズム、実際どうかよりも「どんなイメージか」で社会が動くことを本書では掘り下げました。
 極中は一見、多様性を推進する立場をとりつつ、実際には移民を経済発展に必要な駒としてしか見ていなかったわけですし、右派詐欺師は労働者の味方を演じて反エリート感情を煽動しますが、当の自分たちがエリートであり、地味な労働問題などに関心はありません。そしてどちらも、人種・ジェンダーなどのアイデンティティ・ポリティクスを巧みに利用する。
 極中の「ラディカルな日和見主義」を突き詰めていった先に、道徳の空白地帯が生じ、極右ファシズムへの道が準備されている現状を私たちは目の当たりにしているのではないでしょうか。いまの世界をあるがままに受け入れて、「ただ最適化して利を得る」極中の政治は、抵抗勢力どころか、補完する勢力になってしまっている。
 行き過ぎたグローバリゼーションへの反動が世界的に起き、移民や外国人への憎悪が政治的に利用されている今、私たちは立ち止まってその正体を見極め、抵抗しなくてはなりません。いま英国で起きていることは、すぐそこにある日本の姿かも知れません。
 移民や外国人を排斥する社会は、今度は自国の弱者やマイノリティにその刃を向けることは歴史が証明しています。イギリスの現状を書いた本書が、立ち止まって考える契機となることを心から願ってやみません。
 ブレイディ みかこ/ライフスタイル出版
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