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2026年7月24日 MicrosoftStartニュース 日刊ゲンダイDIGITAL「中国が「AI版 一帯一路」を始動、署名29カ国…日本は立ち向かえるのか
上海で開催された「2026年世界人工知能大会(WAIC)」/(C)ロイター
© 日刊ゲンダイDIGITAL
7月に入り日経平均株価が軟調だ。欧米機関投資家のファンドマネジャーたちが、FIFAワールドカップの観戦などで長期サマーホリデーを取得。アセットアロケーション(資産配分)で、世界のIT・半導体関連株に利益確定売りを出しているようだ。
ただ、日経平均株価の軟調な背景には、日米と対抗する中国の躍進もあろう。「株価の先見性」である。世界的なIT市場調査・分析会社IDCは5月20日、「世界はAIスーパーサイクル時代に突入し、中国のリードはますます拡大している」と発表していた。
学術出版大手シュプリンガー・ネイチャーは、2025年に主要科学誌に掲載された論文数などに基づく研究機関の研究力ランキングをまとめた。中国勢は1位の中国科学院などトップ10に9機関が入った。日本勢は東京大の27位(前年23位)が最高で、科学技術の競争優位性を示していた。
先月ドイツ・ハンブルクで開催された国際スーパーコンピューティング会議(ISC)で、世界スーパーコンピューター・トップ500ランキングが発表され、中国で国産化された自主制御可能なスパコン「霊晟」が同ランキングで1位となった。
「霊晟」には2つの技術的特徴がある。1つは、国産チップの設計からシステムレベルでの統合に至るトータルなクローズドループを構築し、真の自主制御を実現した。2つ目は、スパコンの多くがGPUに大きく依存する状況下、「霊晟」はCPUのみを使用してエクサスケール(1秒間に100京回)の計算性能を初めて達成した点だ。これが国産のチップ、メモリー、相互接続、放熱(冷却)など一連の国産技術スタックで達成されたこと。これまで、米国のAMD、インテル、エヌビディアに全く依存せずに世界一のスパコンを生み出した国は一つもなかった。
中国が提唱した人工知能(AI)を巡る協力枠組み「世界人工知能協力機構(WAICO)」設立協定の署名式が7月16日、上海で行われた。国際標準規格づくりやAIインフラ整備、デジタル格差解消などで連携するもので、29カ国が署名した。「AI版一帯一路」の始動であり、本部は上海に置かれる。
高市政権は、AIや半導体など17の戦略分野に官民で370兆円を超える投資を行う成長戦略を推進。「強い経済」の実現を目指しているが、日本には「2030年問題」(30年には3人に1人が65歳以上の高齢者になる)もある。AIは自動車産業に代わる「強い経済」の土台である。
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7月27日 MicrosoftStartニュース Record China「マスク氏「中国はAIのリーダーになる可能性大」
テスラのイーロン・マスクCEOは「将来のある時点で中国がAIのリーダーになる可能性が大きい。米国が中国のモデルの使用を禁止しても止められない」と述べました。
© Record China
テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は7月25日、英国の「エコノミスト」紙のインタビューに応じた際、「将来のある時点で中国がAI(人工知能)のリーダーになる可能性が大きい。米国が中国のモデルの使用を禁止しても止められない」と述べました。
マスクCEOは中国のAI大規模言語モデルの最新の進展に言及し、特に新興企業である北京月之暗面科技(ムーンショット)が発表したばかりのKimi K3が印象深かったと述べました。
マスクCEOは、米企業が中国で開発されたAIモデルの使用を禁止するという米政府内の一部の主張に明確に反対しており、このような規制で中国のAI発展のスピードを遅らせることはできないとの考えを示しました。
マスクCEOは、中国はAIの競争において決定的な強みを持っており、中でも電力供給能力が重要と考えています。マスクCEOは、2026年の中国の発電量は米国の3倍に達する可能性があるとの推定を示し、この発電量は、エネルギー消費の大きいAIデータセンターの運営を支えるのに十分だとの考えを示しました。また、中国は、現状ではボトルネックになっている、最先端の半導体を製造するために不可欠な先端露光装置を最終的に、独自に開発することで、米国の輸出規制による先進的なチップ不足問題を克服できると予測し、先端露光技術の問題を解決するのは「多くの人の予測よりも早いかもしれない」との見方を示しました。
マスクCEOは、ロボットが仕事のシーンに導入されることにより、今後10年内に社会が「極めて豊かな」段階に突入し、通貨の重要性が低下する可能性があると述べ、AIシステムとロボットは最終的に多くのデジタルと現実の仕事を引き受け、人間の労働を「選択可能」にする可能性があると述べました。(提供/CGTN Japanese)
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7月27日 MicrosoftStartニュース Record China「米中のAI対立の激化、双方で「安全上の脅威」が強まる恐れ―仏メディア
フランスメディアのRFIは、AIなど先端分野での米中の対立が激化すれば双方ともに安全上の脅威が強まると指摘する記事を発表した。写真は7月17-20日に上海市内で開催された世界人工知能大会(WAIC)。
© Record China
フランスメディアのRFIは、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が中国の内部文書を入手した結果、中国の丁薛祥副首相が人工知能(AI)用チップの先端製造や設計ソフトなどの分野を扱うトップレベルの攻略チームを配置したことが分かったと報じたとして、米中の「ハイテク競争」が熾烈(しれつ)化している状況を紹介する記事を配信した。
中国の目的は米国とのハイテク競争で一気に追い抜くことだ。この情報は、中国のAI分野における戦略的配置が国家の最高レベルに引き上げられたことを示す。中国当局は、AI分野での主導権が中国の政権基盤にとって極めて重要だと認識している。
もし米国がトップレベルの技術を掌握すれば、世界のその他の地域は医学や自動運転などの進歩で米国に頼るしかなくなる。軍事戦略の面ではなおさらそうだ。中国当局は、推進を加速させるために多くの異例の措置を講じた。例えば国有設備メーカーの北方華創に対しては、トップレベルの外国人人材に対する報酬の上限を撤廃した。また、米国の禁輸対象となっているエヌビディアのAIチップを、仲介人を通じて他国から迂回して購入した。中国はチップの設計、製造、パッケージングなどの多くの段階に同時に力を注ぎ、米国の技術封鎖を突破することに努めている。
しかし、事情に詳しい関係者が明らかにしたところによると、中国が巨額の資金と人材を投入しているにもかかわらず、中米間には依然として巨大な技術的溝が存在している。エヌビディアの最高レベルのAIチップの演算能力は、華為技術(ファーウェイ)の最も強力な製品の4倍だ。半導体情報を扱う米国企業であるセミアナリシスのアナリストであるレイ・ワン氏は、中国が外国技術に依存せず競争に本格参加したいのなら、自国でEUV露光装置を開発せねばならず、そのためには10年、場合によっては50年を要する可能性があると指摘した。
米中の緊張はさらにエスカレートしつつある。米国当局は中国のAIラボである北京月之暗面科技(ムーンショット)が米国のアンソロピックのAIモデルから自社のKimi K3モデルを「蒸留」したと非難しており、米国財務長官が制裁の可能性を警告した。「蒸留」とは高度なAIモデルを利用して新モデルを訓練し、コストを下げる手法だ。米国商務省も、中国企業が米国の先進的なチップを不法取得してAIモデルの訓練に用いているかどうかを調査している。これらの非難は報復措置を引き起こす恐れがある。
この対立は、9月に開催予定の中米AI対話や両国首脳の会談を危うくする恐れがある。中国は米国の制裁に対する報復として、海外ユーザーによる自国AIモデルへのアクセス制限を検討しており、米中の協力は見通しが遠のいた。
米中のAIでの競争は技術レベルでの力比べだけでなく、AIの安全と管理という深いレベルでの駆け引きにも関わっている。最近では、オープンAIのAIが暴走して、ハギングフェイスのシステムを攻撃する事故が発生した。ハギングフェイスは世界のAI研究者や技術者に向けてAIモデル、データセット、プログラムの共有プラットフォームを提供している米仏の合弁企業だ。ハギングフェイスは米国のAIには「サイバー攻撃関連のコードやログを分析する」こと自体を「悪質行為」と誤判定する強力な制限が設けられているために、問題解決のために自国のAIを利用することができなかった。そこでハギングフェイスはサイバー攻撃を食い止めるために中国企業の智譜AIが提供するモデルのZ.aiのGLM-5.2を使用した。米国の閉鎖的な安全保護措置が事態をかえって深刻化したことは、実に皮肉だ。
「AIのゴッドファーザー」と称されるヨシュア・ベンジオ氏は上海市で開催された世界人工知能大会(WAIC)にリモート参加して、AIモデルのパラメーターを公開して共有すれば、その措置は引き返すことができず、安全措置はより容易に削除されてしまうと警告し、専門家はしっかりと評価を行いリスクが低いモデルのみを共有すべきだと提案した。中国のAIモデルは発表前に政府の安全性審査を経る必要があるが、現在の規則は発表後の修正をカバーしていない。
多くの中国のAI研究組織は米国のオープンAIやアンソロピックとは異なり、幅広い安全訓練を行うことを重視しておらず、能力向上により専念している。また、幅広い安全訓練を行うための計算資源を欠いている。これらにより、中国で開発されるAIモデルは安全上の問題を抱えている。中国はAI分野に巨額の投資を行っているが、資源と地政学的な制約は依然として発展の最大の障害だ。米国の輸出規制が両国間の「貿易交渉の要」になっており、中国は異例の手段で極めて重要な技術を取得せざるを得なくなっている。
米中の協力の見通しが相互の非難と制裁の脅威によって希望の薄いものになり、世界のAI安全基準の確立をさらに遅らせることが予想される。丁副首相が陣頭指揮をとることは中国当局の決意を浮き彫りにしたが、技術の溝や地政学による圧力が中国がAI分野で米国に追いつく道のりを困難に満ちたものにしている。本来ならば、世界のAIガバナンスがかつてない複雑さに直面する現状で、米中両国が競争しつつも協力の余地を見出すことが重要なはずだ。
中米が協力の余地を見いだせるかどうかは、世界のAIの将来の発展に極めて大きな影響を及ぼす。我々が問うべきなのは、米中のハイテク競争が日に日に白熱化する背景の下で、世界のAIガバナンスは協力への道をまだ見つけ出すことができるのか、それとも分裂と対立に向かうよう運命づけられているのかということだ。(翻訳・編集/如月隼人)
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7月27日 MicrosoftStartニュース Record China「中国の輸出、「新新三種の神器」が再び注目集める
中国でロボット、AI、革新的新薬という未来の産業方向性を代表する「新新三種の神器」が台頭しています。
© Record China
中国の輸出において過去2年間、電気自動車(EV)、リチウムイオン電池、太陽電池が「新三種の神器(新三様)」と呼ばれていました。しかし今年上半期には、ロボット、人工知能(AI)、革新的新薬という未来の産業方向性を代表する「新新三種の神器(新新三様)」が、台頭しています。
世界のAIモデル統合プラットフォームOpenRouterのデータによると、中国の大規模モデルの7月第3週における週間呼び出し量は、前月比30%以上の36兆1100億トークンに達し、12週連続で世界首位を維持しました。
AIの輸出はソフトウェアではなく、アルゴリズムの開発、モデルの呼び出し、エージェントの利用など一連の「隠れたデジタル能力」が組み込まれるようになっており、伝統的な貿易統計のデータでは完全に捉えることさえ難しくなりました。しかし、世界141の国と地域の注文書は、最も説得力のある回答を示しています。
今年上半期、清掃ロボットと生体模倣ロボットの合計輸出額は180億9000万元(約4380億円)、産業用ロボットは18.6%増加し62億9000万元(約1520億円)に達し、世界141の国と地域に販売されました。手術用ロボットの輸出額は3.3倍急増して4億8000万元(約116億円)となり、輸出市場は23カ国・地域から49に拡大しました。
創薬分野では、世界的な競争構図が再構築されています。かつては中国が世界の新薬を待っていたのが、今では世界が中国の承認を待つ時代となっています。国家薬品監督管理局は今年上半期、38の第1類(国内外で未販売の新薬)革新的新薬を承認しました。うち11種類の「世界初」となる新薬は、いずれも国内の製薬企業が自主開発したものです。(提供/CGTN Japanese)
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7月24日 MicrosoftStartニュース 読売新聞「[深層NEWS]中国の軍事行動活発化、小原凡司氏「トランプ氏に取引のテーブルについてもらいたい思惑」
防衛省防衛研究所上席研究官の高橋杉雄氏と笹川平和財団上席フェローの小原凡司氏が24日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、最近の中国の軍事行動について議論した。
© 読売新聞
小原氏は「中国が行動を活発化させる背後には、トランプ米大統領にディール(取引)のテーブルについてもらいたいという思惑がある」と解説した。高橋氏は、韓国で行われた日米中などが参加する民間レべルの安全保障対話に出席した際の出来事として、「中国側参加者が、台湾周辺での軍事活動は台湾の独立派に圧力をかけ、世論を変えるために行っているとはっきりと言った」と紹介した。
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7月24日 MicrosoftStartニュース 朝日新聞「日中対立、ASEANの「場」揺るがす懸念 「軍国」主張には冷静か
2026年7月22日、マニラで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の会合に臨む外相ら=ロイター
© 朝日新聞社
東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議がフィリピン・マニラで開かれ、対立を深める日本と中国の両外相も22日の関連会合に参加した。防衛力強化を進める日本に対し、「新型軍国主義」などと批判を強める中国。両国の緊張関係をASEAN諸国はどう見ているのか。神奈川大学の大庭三枝教授(国際関係論)に聞いた。
【写真】マニラで記者団の取材に応じる茂木敏充外相
東南アジア諸国連合(ASEAN)は国際社会に対して、対立関係にある米国と中国、ロシアを含む各国が対話するための「場」を提供してきた。これは、国際政治においてASEANが持つ求心力の表れだ。
米国で第2次トランプ政権が発足して以降はホルムズ危機などを通じて、世界の不確実性が格段に高まっている。米中間でバランスをとってきたASEAN諸国は、ミャンマーや南シナ海の問題に対応を迫られるなか、米中のみならず他の国・地域とのさらなる関係強化に努め、域内で結束を固めようとしている。
そんななか、台湾海峡を巡る2025年11月の高市早苗首相の国会答弁以降、日中の対立が激化している。日中の現状は、ASEANを中心とする諸会議の「場」としての機能を揺るがしかねず、ASEAN諸国は困惑しているのではないか。
■OSA供与にアジアは前向き
米国やフィリピンなどと連携して防衛力強化を進める日本を「新型軍国主義」などと非難する中国の言説に、ミャンマーなど一部は同調する姿勢を示しているようだ。ただ、ASEAN諸国が全体として、中国の主張になびくとは考えづらい。
むしろ、同志国の軍に防衛装備品などを無償提供する日本の「政府安全保障能力強化支援(OSA)」供与などを、アジア諸国はおおむね前向きに受け入れている。中国がなぜそのような主張をするのか、したたかなASEAN諸国は背景事情を含めて冷静に理解しているだろう。とはいえ、日本も誤解を招きかねない言動は慎むべきだろう。
国際法の順守や多国間体制は、中小国のASEAN諸国にとって生命線だ。それを軽視するかのようなトランプ政権の動きに、彼らはいらだっている。ASEAN諸国が米国と進んで手を切るとは考えづらいが、中国への傾倒が今後強まることは予想される。彼らはルールに基づく国際秩序を守るよう訴え、実行する役割を、日本に対して期待しているのではないか。(聞き手・伊藤弘毅)
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7月25日 YAHOO!JAPANニュース Wedge(ウェッジ)「【正しく恐れる】思い込みではなく本当の「中国の姿」を知るということ
『おそるべき「中国一強」時代』(小学館新書)。富坂聰。ジャーナリスト 1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドリポートを続ける。著書に『苛立つ中国』(文春文庫)、『中国という大難』(新潮社)、『中国...
日本ではほとんど報道されることはないが、中国は今や、AI、ロボット工業、EV(電気自動車)、ドローン、太陽エネルギー、原子力発電、医療機器、宇宙産業、軍事技術などにおいて世界最先端を行く技術大国である。
そのことを、各分野において具体的事実と数字を挙げて実証し、そこから浮き上がる問題をさまざまな視点から検討したのが本書『おそるべき「中国一強」時代』(小学館新書)。
著者は、長年の中国研究者でありジャーナリストでもある富坂聰さんだ。
――本書を今、出そうと思われた理由は?
「最近の中国の日本での情報が、私の知っていることと随分違う。そのズレ方が、取り返しがつかないほどではないかと危機感を覚えたのが、執筆の動機ですね」
ただし、タイトルの「中国一強」については、読者の関心喚起のための言葉であり、「中国がそれを望んでいるわけではない」と述べる。アメリカが「世界の警察官」役を退いた後、中国が空いた椅子に自身が坐るつもりはなく、「あくまで多国間主義の中で、自らの発展を目指している」と言うのだ。
第1章は、3000メートルを越す高地の青海省やゴビ砂漠に続く乾燥地の甘粛省に、太陽光発電装置や送電線が密集している光景。
貧しい土地で発電し、料金を都市の企業や住民が支払う「西電東送」という仕組みである。
――5G(第5世代の移動通信システム)の通信基地局も、2025年の段階で全国に475万カ所あるそうですね?
「そこが米中の競争の最前線なんです。膨大な発電能力と全国規模の通信インフラ、それがこれからの時代に必要不可欠です」
2012年に習近平が指導者になって以降、「中華民族の発展(開放拡大や共同富裕など)」を目指す一方、「生態文明(環境保護と経済成長を両立させる発展モデル)」を掲げている。有名な汚染大国だった中国が、環境整備と経済発展を同時併行で追求中なのだ。
「例えば交通マナー。かつての中国は無茶苦茶でした。ところが今や、酔っ払い運転や信号無視もほとんど見かけなくなりました。歩行者の信号無視も、すぐに顔認証で身元がわかり罰金を取られますから、あり得ませんね」
その背景にあるのが「5カ年計画」だ。政府には長期プランがあり、5カ年計画に“交通マナー”がテーマとして入れば徹底的に改善する。大気や水質などの環境を保護しながら約10年でGDPを倍増できたのは、「5年ごとにテーマを絞った習政権の実行力」と富坂さんは見る。
台湾問題と中国からの日本の見え方
――台湾問題はどうでしょう? 中国は常々「我々は闘いたくない、ただ闘う準備は出来ている」と言っていますが?
「中国は1980年以降、一貫して平和統一を唱えていますが、不思議なことに日本の報道は武力行使の後半部のみ。もっとも、現在の台湾の民進党の頼清徳総統はちょっと危ないですね。国民党に対抗し、民進党の岩盤支持層を意識して中国離れを声高に訴えているのでしょうが、やりすぎの感があります」
しかし本書で富坂さんは、「トランプ大統領は台湾問題に関心を示さない」と記す。例年なら頼総統は南米を訪問する帰途ニューヨークに立ち寄るが、25年は立ち寄りを拒否された。
また同じ25年、コルビー国防次官は「米中の軍事バランスは劇的に悪化し、(現在は)中国に有利な状況」と発言した。
「でも、中国の方から台湾海峡でコトを起こすことはないと思いますよ。一帯一路などでコツコツと積み上げてきいたものが、紛争一つで全部壊れてしまいますからね。台湾が国連加盟をもくろむとか、そんな大それたことさえしなければ、武力行使はあり得ないと思います」
25年11月、高市首相は国会答弁で「台湾への武力行使は(日本の)存立危機事態」と発言し、中国の猛烈な反発を招いた。
「これ、単なる失言じゃない。中国は、高市早苗氏が圧倒的な支持率で首相職を務めていること自体、日本社会全体の変化と見ているんです。現状は新型軍国主義だ、と」
高市首相の背後には、憲法改正や南西諸島での自衛隊増強、防衛費1%枠・武器輸出3原則・非核3原則の形骸化、などがあると富坂さんは言う。
なぜ、日本の「対中感情」は悪化するのか?
――本書によれば、高市首相の対中国の高姿勢の裏には、「中国に毅然と対峙」するのを「正義」と捉える日本の世論がある?
「23年の世論調査では、中国に“良くない”印象を持つ日本人は92.2%います。なぜそうなるかといえば、日本のメディアが日中の対立を日頃あおっているからです。先程の中国の“平和統一を願うが武力行使も辞せず”でも、いつも後半のみを強調し中国=好戦的と押し出す。たまたま日本人が無差別殺傷事件の被害者になると、すぐに“(中国に)渦巻く反日感情”と」
――どうして、そうなるんですかね?
「日本のメディアにとって、中国はイージー・ターゲット、叩きやすい相手なんですね。どんなに対立をあおり、悪口を書き連ねても、中国政府がそのことに対して訴訟を起こすわけでもない。“やり得”なんでしょう」
一方、25年10月末の米中首脳会談で、トランプは米中をG2(2大国)と呼んだ。それまでの封じ込め政策を転換し、共存へと歩み寄ったと冨坂さんは解釈するのだ。
――短期間で中国がここまでのし上がってきたのは、国内での過当競争もあった? ロボット生産の企業が、約93万社もあると本書で知ると、そんな気もするのですが。
「それはあります。今の中国で金儲けするには、まず政策と結びつくこと。その流れに皆乗ろうとするため、脱落者が続出です。ごく少数の勝者の後ろには死屍累々ですよ」
――中国の経済に関しては、不動産不況や消費の低迷も報道されてきましたよね?
「中国の不動産は値上がりを見越して買っておく、いわば年金の役目をしていました。それが暴落し、年金が突然消えた状態になった。当然そうなると、消費は落ち込みます。デフレもあって、庶民の実感している景気は非常によくないと思いますね」
アリババ、テンセント、ファーウェイ、BYD、吉利汽車など、ハイテク業界が「我が世の春」を謳歌している足元で、恩恵を受け損ねている人々も数多くいるのである。
――現在の習近平は国家主席の3期目ですが、すでに任期制限を撤廃しているので事実上は終身です。でも後継者は決まっていません。習の後は今後、どうなるのでしょうか?
「悩ましいところですね。実現したいことをほぼ実現してきた最大の実力者ですからね。ただ、政権のバックアップ体制は整っていると私は思います。誰かわかりませんが、権力の交代はおそらくスムーズでしょう」
――もしも習が急に亡くなれば?
「いきなりの死亡? うーん、やはり相当の混乱は発生しますね、そうなれば……」
米国のピュー・リサーチ・センターは今年7月、世界36カ国の調査で、中国に対する好感度が46%に達し、米国に対する36%を追い抜いたと発表した。
足立倫行
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