🔔27」─1─米・英・カナダは政府機関から中国製監視カメラ撤去。そのとき日本は。〜No.80No.81No.82 

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 2022年11月24日19:33 産経新聞「中国「警察支援」名目で太平洋進出 初の閣僚級会議に豪州警戒
 森 浩
 三塚 聖平
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 中国外務省の趙立堅副報道局長(共同)
 【シンガポール=森浩、北京=三塚聖平】中国が治安維持支援を名目に、太平洋島嶼(とうしょ)国への進出を強化している。22日には一部の島嶼国と初めての「法執行・警務協力閣僚級会議」をオンライン形式で開催。各国の治安維持部門を取り込んで、関与の足掛かりとしたい考えだ。島嶼国に距離が近いオーストラリアは警戒を強め、情勢を注視している。
 中国の発表によると、会議にはソロモン諸島、フィジー、バヌアツ、キリバス、トンガ、パプアニューギニアの警察部門の責任者が出席した。
 習近平国家主席が地方勤務をしていた時代からの側近として信頼を置く王小洪公安相が共同議長の1人であり、中国が力を入れている様子がうかがえる。」
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 11月26日07:42 MicrosoftStartニュース 読売新聞「英、政府機関から中国製監視カメラ撤去…安保上のリスクに対応
 【ロンドン=池田慶太】英政府は24日、機密性の高い政府機関の建物から中国製監視カメラの排除を決め、各部局に指示したと明らかにした。機微な情報が中国に流出する安全保障上のリスクに対応した措置で、設置済みの中国製品は順次入れ替える方針だ。
 政府が議会に提出した文書によると、民間企業に国の情報収集活動への協力を義務づける中国の国家情報法を踏まえ、監視カメラなど政府内の「視覚監視システム」の安全性を再評価した。機密性の高い部局に対し、同法の対象となる企業の監視システムを設置しないよう命じた。設置済みの監視カメラについては、内部の中核ネットワークに接続せず、設備更新を待たずに撤去を検討するよう求めたという。英国への脅威やネットワークを通じた外部との接続性向上などを考慮したとしている。
 中国監視カメラ大手のハイクビジョン、ダーファ・テクノロジーの製品は情報流出の懸念や中国国内の少数民族抑圧に利用されている人権上の問題があるとして、米国が政府内での利用を禁止した。英国では政府や警察、地方自治体などで2社製品が広く使われており、英下院外交委員会は昨年、禁止を提言していた。」
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 11月26日11/26 YAHOO!JAPANニュース KYODO「中国監視カメラ大手が米に反発 通信機器の販売禁止措置
 ハイクビジョンのロゴ(共同)
 【上海共同】ロイター通信は26日までに、中国の監視カメラ大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)が米当局による中国の通信機器5社の製品販売禁止措置に反発したと報じた。禁止対象に含まれる同社は「米国の中小企業や学校、消費者は自らの身を守ろうとしており(今回の決定は)より多くの害を及ぼす」と主張した。
 ハイクビジョンは、自社製品が米国の安全保障を脅かすことはないとも強調し「これからも米国の規制を順守しながら、顧客にサービスを提供する」と訴えた。
 米国は機密情報の流出を懸念し、同盟国にも中国の華為技術(ファーウェイ)の製品を利用しないよう圧力をかけてきた。」
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 11月26日19:01 産経新聞「中国監視カメラ大手、日本でシェア拡大狙う 安全保障上の懸念指摘も
 今仲 信博
 有料会員記事
 ハイクビジョンのロゴ(共同)
 人権侵害への関与や安全保障上のリスクを理由に米英政府から取引禁止などの措置を受けている中国の監視カメラメーカー大手2社が、日本でのシェア拡大に動いている。5月に成立した経済安全保障推進法を受け、安保上の脅威となる外国製品を基幹インフラから排除する事前審査の制度設計が今後進められるが、現時点では監視カメラが対象に含まれるかどうかは不透明。与党の一部からは個人情報漏洩(ろうえい)の危険性を懸念する声もあり、制度設計上の課題の一つになりそうだ。
 この2社は、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)と浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)。市場調査会社のテクノ・システム・リサーチ(東京)によると、インターネットに接続できるネットワークカメラ(監視カメラ)の2021年の世界市場シェアは1位がハイクビジョン、2位はダーファで、両社だけで約4割を占める。人工知能(AI)を使った高性能さと低価格が特長という。」
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 11月27日15:25 YAHOO!JAPANニュース 共同通信「米首都に中国製ドローンが進入 中枢へのスパイ活動懸念
 【ワシントン共同】米首都ワシントンの飛行制限区域に娯楽用の中国製ドローンが進入する事態が頻発している。政治サイト、ポリティコが27日までに報じた。市民らが趣味で飛ばしているケースがほとんどとみられるが、進入が容易なため、米政府はドローンが中国側にハッキングされ、ホワイトハウス国防総省など中枢機関を狙ったスパイ活動に悪用される事態も排除できないと懸念している。
 問題視されているのはドローン世界最大手の中国企業DJI製の機体。同社は中国政府系の投資機関から資金を得ているとされ、進入したドローンにも同社製が多く含まれているとみられる。」
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 11月28日12:44 MicrosoftStartニュース 時事通信「英の監視カメラ規制に反発=中国
 【北京時事】中国外務省の毛寧副報道局長は25日の記者会見で、中国製監視カメラに対する英政府の規制に関し「国家安全概念を拡大し、中国企業を理不尽に抑圧することに断固反対だ」と反発した。さらに「中国政府は、中国企業の正当かつ合法的な権益をしっかり守る」と強調した。
 ロイター通信によると、英政府は24日、安全上の理由から中国製監視カメラの設置を政府機関の一部の場所で禁じた。中国の製造会社からも反発が出ている。 
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 11月28日14:51 MicrosoftStartニュース Reuters「軍事目的の宇宙開発で中国の脅威拡大、米宇宙軍高官が指摘
 © Thomson Reuters 軍事目的の宇宙開発で中国の脅威拡大、米宇宙軍高官が指摘
 [シドニー 28日 ロイター] - 米宇宙軍司令部のニナ・アルマーニョ中将は28日、中国の軍事力の急速な進歩は、宇宙空間における米国の優位性に一段の脅威をもたらしているとの認識を示した。
 中国は衛星通信や再利用可能な宇宙船など、軍事目的の宇宙開発で著しい進歩を遂げたと指摘。
 「中国が米国に追いつき、追い越す可能性は十分にある」との見方を示し、驚くべき進歩を驚異的なスピードで遂げているとした。豪米両政府が一部出資するシンクタンク、オーストラリア戦略政策研究所のイベントで語った。
 中国は「国際秩序を再構築する意思と、その目的を達成するための経済力、外交力、軍事力、技術力を備えた唯一の国」とした。
 また、ロシアと中国が近年に「無謀な」ミサイル実験を行った結果、宇宙に危険な量の破片が漂っていると指摘。
 「このようなデブリ宇宙ごみ)は、宇宙にあるわれわれの全てのシステムを脅かしており、これらのシステムは全ての国の安全保障、経済、科学的利益にとって不可欠だ」と強調した。
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 11月28日18:03 MicrosoftStartニュース 時事通信「ファーウェイ完全排除を決定=中国5社の認証禁止―米通信当局
 © 時事通信 提供 ファーウェイのロゴ(AFP時事)
 【ワシントン時事】米連邦通信委員会(FCC)は25日、国家安全保障を脅かすと見なした通信機器とサービスに対し、米国での販売や輸入に必要な認証を新たに付与することを禁止する規則を全会一致で採択したと発表した。華為技術(ファーウェイ)など中国IT大手5社が対象に含まれる。国内通信網から事実上排除する狙いで、ハイテク分野における米中の分断も辞さない構えだ。
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 11月28日18:37 産経新聞「中国有人宇宙船打ち上げへ ステーション実質完成
 中国・酒泉衛星発射センターで記者会見に出席する「神舟15号」の宇宙飛行士=28日(共同)
 中国政府は28日、有人宇宙船「神舟15号」を29日午後11時8分(日本時間30日午前0時8分)に打ち上げると発表した。3人の宇宙飛行士が搭乗し、中国が独自に建設中の宇宙ステーションと連結して乗り移る。成功すればステーションが実質的に完成したことになる。
 中国北西部の酒泉衛星発射センターから大型ロケットに搭載して打ち上げる。既にステーションに6月から滞在している別の3人は、新たな3人と合流した後、地球に帰還する。
 中国・酒泉衛星発射センターで開かれた記者会見に出席する「神舟15号」に搭乗する宇宙飛行士=28日(共同)
 ステーションは中核部分と二つの実験施設で構成している。今回の3人はいずれも男性で人民解放軍に所属。半年ほど滞在し、医学、宇宙技術など約40項目の実験や試験を行う。船外活動も実施する。
 中国有人宇宙プロジェクト弁公室の季啓明報道官は28日に記者会見し、今回の任務は「ステーションの建設終了と運用開始に当たる」と重要性を強調した。(共同)
 中国・酒泉衛星発射センターで開かれた「神舟15号」の打ち上げに関する記者会見で質問に答える季啓明報道官=28日(共同)
 有人宇宙船「神舟15号」を搭載した大型ロケット=21日、中国・酒泉衛星発射センター(新華社=共同)」
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 11月28日20:06 MicrosoftStartニュース 時事通信「カナダのインド太平洋戦略を非難=中国「脅威を誇張」
 【北京時事】中国外務省の趙立堅副報道局長は28日の記者会見で、カナダ政府が発表したインド太平洋戦略について、「イデオロギー的偏見に満ちており、中国の脅威を誇張している」と述べ、「強烈に不満で断固反対だ」と強く非難した。
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 11月28日20:23 YAHOO!JAPANニュース PHILE WEB「米政府、ファーウェイなど中国製通信機器を締め出し。「国家安全保障上のリスク」のため
 米連邦通信委員会FCC)は25日、中国ファーウェイやZTEなどが製造する新たな通信機器の販売および輸入を禁止すると発表した。これら企業の関連製品は、今後はFCCの認証が得られなくなる。
 アップル、米政府の圧力により中国YMTCからiPhone用チップ調達を保留か
 その理由について「国家安全保障上のリスク」をもたらす恐れがあるため、と説明されている。浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)や杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、中国海能達通信(ハイテラ・コミュニケーションズ)製品も対象となる。
 昨年11月に米バイデン政権は、安全保障上の脅威となる通信機器の認証を許可しないようにする「安全機器法」に署名して成立させた。今回のFCCによる発表は、それを実行に移すものだ。ただし、すでに米国内に輸入・販売されている機器は影響を受けず、これまで通りの扱いとなる。
 FCCは声明で「信頼できない通信機器が国内で使用を禁じることで、国家安全保障の保護に取り組んでいる」「新しい規則は、電気通信に関わる国家安全保障上の脅威からアメリカ国民を守るための我々の継続的な活動の重要な一部」だと述べている。
 もっとも、これらの企業からの通信機器が完全にブロックされるわけではない。FCCは特に「公共安全、政府施設のセキュリティ、重要インフラの物理的監視、およびその他の国家安全保障の目的」に関連する機器に焦点を当てると付け加えている。これらの企業が、通信機器を政府向けに販売していないと証明できれば、今後もFCCの認可を受けられる可能性もある。
 今回の発表は、ここ数年にわたり中国の大手IT企業を米国市場から閉め出す、あるいは米国のハイテク技術を中国に渡すことに歯止めをかける最新のものである。たとえばバイデン政権は、10月7日に先端半導体技術分野に関して中国への輸出規制を強化しており、そのためNVIDIAが中国向けのスーパーコンピューター用チップをわざわざ弱体化させていた。
 しかしファーウェイなど、中国メーカーの通信機器は米国製より安価なため、資金力に乏しい中小企業や地方政府にとっては半ば不可欠になっている、という現実がある。
 たとえばハイクビジョンは米Reutersに「FCCの決定は米国の安全保障を守ることには何の役にも立たず、米国内の中小企業や地方当局、学区、消費者らにとってより有害であり、自分自身や家、会社、財産を守るための費用が膨らむ」との声明を発表。その上で、米国の規制を「完全に順守」して米国の顧客に引き続きサービスを提供すると述べている。
 もしも厳密に法律を守れば、米国民に深刻なしわ寄せがおよぶ可能性もある。米中ともにハイテク覇権戦争を繰り広げつつ、落とし所を探っているのかもしれない。
 Source: FCC
 via: Engadget
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 11月30日12:57 YAHOO!JAPANニュース 毎日新聞「英、中国製「監視カメラ」を規制 スナク氏「黄金時代終わった」
 杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)本社前に設置された監視カメラ=中国・杭州市で2018年9月14日、赤間清広撮影
 スナク英首相が10月の就任以降、中国への警戒を強めている。英国内に設置された中国製監視カメラの規制に乗り出したほか、経済面で関係を深めた英中の「黄金時代」については「終わった」と明確に位置付けた。スナク氏は与党・保守党内で「中国に融和的だ」と度々批判された経緯があり、懸念を払拭(ふっしょく)する狙いもあるとみられる。
 「貿易(活発化)が自動的に中国の社会・政治改革につながるという考えは、もはや持っていない」。スナク氏は11月28日、ロンドンでの講演でそう語り、「いわゆる『黄金時代』は終わったと断言する」と述べた。さらに「中国は我々の価値観と利益に挑戦している」と非難。そのうえで、年明けに外交・安全保障政策の詳細な方針を発表する考えを示した。
 また、スナク氏は講演の中で、中国の「ゼロコロナ」政策への抗議行動を上海で取材していた英BBC放送の記者が27日、中国当局に一時拘束されたことにも言及。「中国政府は人々の抗議の声を聞く代わりに取り締まりを強化し、記者に暴行した」と批判した。
 英政府は11月24日、中国企業杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)と浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)の2社が製造した監視カメラを「機密性の高い場所」に設置しないよう関係省庁に指示した。BBCによると、2社の製品は警察や学校など多くの公共施設で導入されており、中国側への情報流出が懸念されていた。全面禁止ではないが、安全保障上の懸念がある場所では早めに撤去するという。
 2社の製品は新疆ウイグル自治区での少数民族監視にも関与したと報じられており、英下院議員らから使用禁止を求める声が上がっていた。
 英国はキャメロン政権時代(2010~16年)に対中関係を強化。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加についても、15年に主要7カ国(G7)で最初に表明し、英中関係は「黄金時代」と評された。スナク氏自身も財務相時代の21年7月、「中国とはバランスのとれた関係が必要」と発言。中国側を過度に刺激しない姿勢を示していたが、党内の対中強硬派議員らから度々、「中国に譲歩する姿勢が目立つ」などと批判されていた。【ロンドン篠田航一】
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🔯67」─1─豊かな国・地域と貧しい国・地域が生まれる3つの原因。~No.250No.251No.252 

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 2022年11月11日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「世界には、どうして豊かな国・地域と貧しい国・地域があるのか?その「3つ」の原因
 世界には、どうして豊かな国・地域と貧しい国・地域があるのか。
 オデッド・ガロー『格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか』は、1人当たりの所得の2010~18年の国家間格差のうち、原因がわからない部分の約4分の1は「社会の多様性」に帰せられ、「地理と気候の特性」でおよそ5分の2が、「病気の蔓延しやすさ」で約7分の1が、「民族や文化の要因」で5分の1、「政治制度」で約10分の1が説明できる可能性があると言う。
 【マンガ】約20年前にマイクロソフト株を「100万円」買ってたら今いくら?
 何が経済的繁栄の大幅な開きを生んだのか。貧しい国が豊かな国に追いつくのを阻んできたのは何なのか。同書の議論を紹介しよう。
 国家間格差の背景1:地理や気候の特性、病気の蔓延しやすさ
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 ヨーロッパの方が先に産業革命が起こって富を蓄積し、軍事力が強大になったことで、ほかの地域を圧倒するようになった――ということは誰にでも思いつく。ではどうして工業化社会への移行の時期の早い・遅いが生まれ、また、そのあと「追いつく」のに遅れる地域がいまだあるのか。
 20世紀後半には、技術進歩と物的資本・人的資本の蓄積が経済成長を促すと考えられ、途上国支援政策が進められてきた。しかし効果は限定的だった。つまり、こういったことだけでは繁栄の理由は説明がつかない。
 ガローによれば、産業革命に出遅れた地域は、狩猟採集生活から農耕・定住社会への移行を早くに果たしていたことが少なくない。たとえばトルコやヨーロッパ南東部はイギリスや北欧諸国より何千年も早く農耕社会を実現したが、今ではそれらの国より貧しい。そのほかの地域においても、農業化をいち早く経験した豊饒な土地は、ヨーロッパ諸国に植民地にされてしまったところが少なくない。
 どうしてなのか。農業へ特化したせいで都市化が妨げられたからだ、とガローは言う。つまり一種のイノベーションのジレンマである。
 農業で豊かな土地は、それに最適化した地理、制度、文化であるがゆえに、工業化社会に必要な、都市への人口集積、工場労働者になる人材に対する教育を施す社会制度などの整備が大きく遅れた。
 農業への早期移行を助けた力――生物の多様さ、家畜化や栽培化可能な動植物の豊富さ、大陸の横方向への広がり――は、産業革命以降はそれほど意味をなさなくなる。
 ようするに、地理的条件の違いによって、である。
 地理的条件によって、農耕に適しているかどうかだけでなく、採掘可能な化石燃料や鉱物などの自然資源の量も決まる。自然資源は莫大な利益を生むが、やはり長期的には「資源の呪い」をもたらす。資源が豊富だと、それに依存した産業・社会構造になってしまうからだ。
 また、これも広い意味では地理的条件と関わるが、病気の蔓延しやすさも医療が発達していなかった時代には大きな影響があった。
 サハラ以南の地域では病気が蔓延しやすかったために農業や労働の生産性が上がらず、農業技術導入や人口密度低下、政治の中央集権化が遅れた。
 スペインが16世紀にアメリカ大陸のアステカ帝国インカ帝国を攻撃した際、天然痘やインフルエンザ、チフス、麻疹など、アメリカ大陸にはまだ到達していなかった病気を伴って上陸し、無数のアステカ人を感染死させたことも病気の影響と言える。
 さらにヨーロッパの植民地になった地域の中でも北アメリカなど長期的な経済成長が生まれた場所とそうでない場所を分けたのは、やはり病気の蔓延しやすさが関係していた。ヨーロッパ人はマラリアや黄熱などの病気による死亡率が高い植民地には大人数で移住せず、少人数の支配階級のエリート(役人や軍人)を送り込んで地元民を搾取、奴隷化する制度運用をした。対して致死的な病気にかかる率が比較的低い北アメリカなどの地域には大量入植が行われ、そこではヨーロッパに準ずる制度成立が起こったのである。
国家間格差の背景2:民族と文化の要因、政治制度
 民族や文化、政治制度も国家間格差を説明する一因だと『格差の起源』は言う。
 食糧生産量が増えてもそれに合わせて人口を増やしてしまうので結果として社会の成員は一定以上に豊かになれないという「マルサスの罠」を、人類はいかにして抜け出したのか。
 この理由を、ガローは「人口転換」に見いだす。人口転換とは、工業化社会が始まると親が子に対する教育投資を増やすようになり、それが結果として人口増加を抑制、しかし教育を受けた人間がテクノロジーと資本の力を使ってひとりあたりの生産性・所得を増加させるから、人口増加率は低減するにもかかわらず社会全体で見るとより豊かになる、というサイクルのことだ。
 先んじて工業化し、国際貿易の拡大に乗り出したヨーロッパ諸国は、人口転換が順調に進んだ。一方で植民地化された非工業国は産業革命に遅れ、教育の整備(投資)も進まず、ゆえに人口転換が長きにわたって訪れなかった――人々が一定以上豊かになれない状態が続き、欧米との格差が開いていった、とガローは言う。
 16世紀に大西洋奴隷貿易が始まると、西アフリカでは地元首長がヨーロッパ人からの莫大な需要に応えるために拉致や民族間の紛争を激化させたが、これが長く続いたために、アフリカの人々はヨーロッパ人やよそ者に対してだけではなく、近隣の人や親族に対しても不信の念を抱くようになった。
 これが民主主義への信頼や人的資本投資の前提となる、人と人との協調活動やネットワーク=「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」をズタズタにした。大西洋奴隷貿易が終わったあとも民族や文化、政治制度に深い影響が及び、人口転換を阻害し、ヨーロッパに追いつくことを困難にした。
 奴隷貿易と関係のない地域であっても、専制的な支配体制の国、あるいは植民地化された国では国民に対して社会的に教育制度を用意し、教育に投資すべきだという気運は高まらず、人口転換は進まなかった。こうした制度の違い、そしてそれの前提となる文化などの違いが国家間格差をもたらした。
 国家間格差の背景3:社会の多様性
 社会の多様性の度合いも格差に影響する、とガローは言う。今日ではあまりにも「多様性が重要」と言われているから、「またか」とうんざりする人もいるだろうが、経済発展には多様性が関係することは、いくつもの研究が示している。異なるものが出会うことでアイデアが交雑し、イノベーションが生まれるからだ。
 ただし多様性がもたらすのは、良いことばかりではない。価値観が異なる人たちが出会い、近接した場所で暮らすことは、社会の結束を弱め、内戦を増やし、個人間の信頼を低下させ、時には景気を悪化させてきたことも示されている。たしかにアメリカ社会を見ても、多様ではあるが衝突も多いことは容易に想像が付く。
 社会の「安定」だけを取りたいのであれば、多様でなくてもいい。しかし新しい技術やアイデア、「経済」を取りたいのであれば、あった方がいい。
 その影響はいかほどのものか? 世界でも国民の多様性が際立って低いボリビアで文化の多様性を上げれば、ひとりあたりの所得は現在の5倍になる可能性があるという。
 結局、国家間格差はどうにかできるのか
 国家間格差をもたらした理由を「地理・気候」「民族や文化」「政治制度」「社会の多様性」といったものにある程度特定できたとして、それらは変えられるものなのか。格差は埋まるのか。
 この点に関してガローは楽観的だ。制度や文化、地理、多様性の根は深く、地域差が完全に消えることはないだろうが、緩和は可能だ、と。
 たしかに病気の蔓延しやすさは医療の発達によってクリアされているし、文化の多様性もこのグローバル化したネット社会では自然とそうなるだろう。
 ただ今でも資源国はそれに寄りかかった産業構造になっているし、そうでなくとも気候・天候の経済への影響は意外と大きいように個人的には思う。ソーシャルキャピタルとそれが関係する政治体制に関しても、世界にはいまだ独裁の国も少なくなく、そう簡単には変わらないだろう。
 もうひとつ、われわれが気にするのは、日本の没落を止めるにはどうしたらいいか、ということだ。ガローの理屈から考えると、社会の中に多様性を増やすことと、文化・政治制度に影響を与える社会関係資本の充実くらいしかないのではないか。
 つまり、ジェンダーギャップ指数が世界146カ国中116位と先進国でぶっちぎりの最下位である状況を是正し、マイノリティの起用・活躍の場を増やし、移民を増やす。
 あるいは、OECD調査や内閣府調査で日本人の若者や高齢者は他者との交流に乏しく、悩みや心配事を相談する相手、頼れる人が確保できておらず、寂しいと感じる人の割合が断トツに多いことがわかっている。ここに手を付け、相互交流の機会を設け、人々の間の信頼を高める。
 ……こう整理すると、ガローは楽観的ではあるものの、日本ひとつとっても変革はなかなか難しいように個人的には感じる。果たしてみなさんは、『格差の起源』からどのように考えるだろうか? 
 飯田 一史(ライター)」
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🐒8」ー1ー中国人犯罪組織によるミャンマーでの人身売買。~No.22No.23No.24 

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 2022年11月25日 MicrosoftStartニュース NNA ASIA「【ミャンマー】中国組織がミャンマーで人身売買、比人救出[社会]
株式会社NNA
 © 株式会社NNA 救出されたフィリピン人(フィリピン上院提供)
 フィリピン上院は21日、ミャンマー東部カイン州(旧カレン州)で活動する中国人組織による人身売買の被害に遭っていたフィリピン人12人を救出したと明らかにした。リサ・ホンティベロス議員が公聴会で報告した。
 救出されたフィリピン人は、タイ国境にあるチャイナタウン「シェエ・コッコー新都市」で、暗号通貨詐欺への加担を強いられていた。暗号通貨を利用したマネーロンダリング資金洗浄)に関わる中国人組織によるものだとされる。
 12人のうち公聴会で証人となった人物は、フェイスブックなどの会員制交流サイト(SNS)を使った暗号通貨投資の勧誘を強制されていたと証言。「逃げようとしたらスタンガンで殴る」と脅されたと述べた。
 シュエ・コッコー新都市開発は2017年に始まった。大規模な不動産開発に伴い、サイバー犯罪やカジノ運営を手がける中国人組織が流入。複数の人権団体が、中国マフィアが法の目をかいくぐる手段としてシュエ・コッコーを使っていると指摘している。
 ミャンマーとタイに拠点を置く30の団体から成るカレン平和支援ネットワークは、シュエ・コッコーを中国人組織によるオンラインギャンブルの「単なる隠れ蓑だ」と表現。20年にカンボジアでオンラインギャンブルが禁止されたことを受け、シュエ・コッコーが新たな代替地になると批判していた。
 ミャンマーでは、フィリピン人だけでなく、タイ人やマレーシア人、カンボジア人、ラオス人、中国人らも犯罪組織に売り渡され、違法行為を強いられているという。
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 11月25日13:33 産経新聞「アジアの今
 物価高騰のミャンマー、4割が貧困層
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 物価高騰に悩むミャンマー国軍は中国との国境貿易再開に望みを託す。ゲートの向こうが中国側=2019年12月、ミャンマー東北部シャン州ムセ
 国軍とアウンサンスーチー派による事実上の内戦が続くミャンマーで、国民生活に関わるさまざまな物資の価格が高騰し、総人口の4割が貧困層に陥るという危機的状況が続いている。コメの生産も大幅に減少し、外貨獲得も難しい情勢だ。唯一の頼みは中国とロシアだが、ともに協力は限定的だ。
 毎日の食生活に欠かせない食用油(パーム油)の小売価格について、昨年2月の軍事クーデター以降、政権を支配する国家治安評議会は10月31日からの販売基準価格を1ビス(約1600グラム)当たり4225チャット(現在の為替レートで約280円)と制定。しかし、最大都市ヤンゴン市内の商店主らによると、実勢価格は9500~10000チャットと2倍を超えているという。食用油は多くを輸入に頼っており、世界的な物価の上昇で再び値上げが進行している。」
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🐼19」─2─中国共産党の「異民族結婚策」によるウイグル民族の血筋・文化・宗教・言語抹殺計画。〜No.49No.50 ⑰ 

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 漢民族系中国人男性とウイグル人女性との強制結婚は、人口減少を食い止める人口増加政策でもあった。 
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 2022年12月1日 YAHOO!JAPANニュース クーリエ・ジャポン中国共産党は「結婚」を使って、ウイグル文化を抹殺しようとしている
 ウイグル人漢民族の民族間結婚の増加
 中国のメディアに映し出される、ウイグル人女性と漢民族男性の結婚式の様子 Photo: Darren Byler / Youtube
 中国政府は、少数民族ウイグルを迫害し、強制収容や強制労働などをおこなっていると伝えられてきた。さらに、文化同化のためにウイグル人と多数派の漢民族との結婚が政策的に進められていることが明らかになった。
 【動画で見る】中国のプロパガンダでは、民族間の結婚はこう勧められている
 英紙「デイリー・テレグラフ」によると、2022年11月半ば、米ワシントンにあるウイグル族の人権団体「ウイグル人権プロジェクト」は、ウイグル人漢民族の間の婚姻に関する報告書を発表した。
 同報告書によると、さまざまな手段で民族間の結婚は促進され、特に2018年以降、その件数は増加しているという。公営のプロパガンダメディアで伝えられるのは、主にウイグル人女性と漢民族男性との結婚だが、ウイグル人男性と漢民族女性の結婚もある。
 新疆ウイグル自治区当局は、漢族とウイグル人の結婚に際し、現金報酬、住宅、子どもの教育補助、仕事、医療保障などの提供を約束する。一方、結婚を断ればウイグル人一家が危険にさらされる可能性があるため、結婚は半ば強制的に進められることが多いようだ。
 2018年以降、中国の公営メディアでは、異民族間の結婚に対しては金銭的なインセンティブが与えられると強調されてきた。たとえば、アクス県カラサ村では、ウイグル人漢民族カップル2組に4万元(約80万円)が提供されたという。
 強制結婚させられるウイグル人
 この報告書は、公式の政策文書、ソーシャルメディアの投稿、海外に亡命したウイグル人へのインタビューなどから作成された。
 海外に逃れた複数のウイグル人女性は、ウイグル人の家族は、結婚に関心を示す漢人男性を拒否できる立場にはないと証言している。拒否すれば本人や家族が罰を受け、収容所に入れられたりすると想定されるためだ。
 ある女性は、「収容所に送られるかもしれないという恐怖から、18歳の娘と漢民族との結婚に同意せざるを得なかった」隣人がいると語っている。
 ウイグル文化の解体
 報告書の共著者であるヌジグム・セティワルディは、米メディア「ラジオ・フリー・アジア」に、この民族間の結婚の推進は、ウイグル人漢民族社会に強制的に同化させようとする試みだと述べる。
 報告書でも引用される、2019年に出版された漢族の男性党員向けの非公式な結婚ガイド『どうやってウイグル女性のハートをつかむか』には、その姿勢が読み取れる。ウイグル人女性と結婚したい漢族男性に向け、愛する女性は「祖国を愛し、党を愛し、社会主義の新疆に比類ない情熱を持っていなければならない」と記されているのだ。漢民族男性に、妻となったウイグル女性をそう教育させようとしているのだろう。
 米ワシントンを拠点とする共産主義犠牲者記念財団の中国研究シニアフェローのエイドリアン・ゼンズは、この結婚はウイグル文化を解体しようとする共産党の政策の一環だと話す。ゼンズは、2017年にウイグル人集団収容所のネットワークを記録した最初の外部専門家だ。
 習近平国家主席は「少数民族の人口を最適化し、新疆ウイグル自治区南部におけるウイグル人優位な状況を崩そうとする」人口政策を採っており、民族間の結婚はそれに沿ったものだと、彼は言う。
 習近平は2014年の新疆仕事フォーラムで「新時代」を宣言し、民族間の「接触、交流、交わり」を強化する政策を訴えた。それ以降、民族間の結婚はメディアでさかんに伝えられるようになり、件数も増えている。
 COURRiER Japon
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🛳18」─1・E─二・二八事件。大陸系中国人による台湾人虐殺事件。~No.112No.113No.114 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 中国の歴史は、日本の歴史とは違い大虐殺と強奪の暗黒史であった。
 現代の日本人は民族的な歴史力・伝統力・文化力・歴史力がないだけに、本当の中国の歴史や朝鮮の歴史が理解できない。
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 中国人といっても、台湾人と大陸系中国人は違う。 
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 蒋介石ファシスト中国(日本国民党)と毛沢東中国共産党は同根で、国民党員と共産党員は同じような残虐行為を繰り返していた。
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 2022年11月10日 YAHOO!JAPANニュース プレジデントオンライン「だから台湾は中国に統一されたくない…第2次大戦直後に中華民国軍が台湾人に行った"非道の限り"
 二・二八事件:1947年2月28日、行政長官公署を取り囲み、抗議する市民たち(写真=Media lacking author information/PD-Taiwan/Wikimedia Commons)
 中国と違い、台湾が成熟した民主主義を確立できたのはなぜなのか。ジャーナリストの福島香織さんは「第2次世界大戦で日本人が台湾を撤退後、代わって上陸した中国人は台湾人に非道の限りを尽くした。台湾人は日本統治時代のほうがましだと思っていた」という――。
 【写真】福島香織氏の著書『台湾に何が起きているのか』(PHP新書)
 ※本稿は、福島香織『台湾に何が起きているのか』(PHP新書)の一部を再編集したものです。
■敗戦で日本人が台湾を去り、中国人がやってきた
 1945年8月15日、日本は無条件降伏し、第2次世界大戦が終結した。10月25日には台北公会堂(現・中山堂)で中国戦区台湾地区降伏式が行われた。中国全土を統治する中華民国は台湾をその版図に組み入れた。ここから、中華民国と台湾の歴史が重なる。
 この日、日本内地から移り住んでいた日本人50万人は内地に引き揚げることになり、そして戦勝国として中華民国軍が新たな統治者として上陸してきた。残留の台湾住民600万人は、1952年4月28日の対日講和条約の発効をもって、国籍が日本から中華民国に一方的に変更され、中華民国台湾省の人間となった。
 以降、大陸からやってきた中華民国人がいわゆる「外省人」とカテゴライズされ、それまで台湾で生きてきた漢人、原住民からなる「本省人」との対立「省籍矛盾」が先鋭化する時代が続く。
 この引き揚げる日本人と、残る台湾人、新たにやってきた支配者への感情の悲喜こもごも、その後に起きる「二・二八事件」の悲劇については、侯孝賢監督の映画『悲情城市』(1989年)をぜひ、見てほしい。この映画は、それまで台湾でタブーとされていた二・二八事件を正面から取り上げ、台湾人と日本人、そして外省人との関係を繊細に描いたことで、世界的ヒット作となった。この映画のロケ地となった九份(きゅうふん)は、映画の影響で台湾屈指の観光地となった。
■祖国の統治者を大歓迎するはずが…
 1945年10月17日、戦勝国として1万2000人の中華民国軍と官僚200人が米軍戦艦から台湾を接収するために上陸した。台湾人の多くが漢人であり、中華民国は「祖国」である。日本軍を打ち破ったという祖国の統治者を、台湾人は爆竹を鳴らし、銅鑼(どら)・鉦(かね)を打って盛大に迎えた……はずだった。
 だが上陸してきた国民党軍兵士たちは、薄汚れた軍服、破れた綿入れを着込み、軍靴ではなく、草履や裸足でだらしなく、鶏のかごをつけた天秤を担いでいたり、なべ窯を背負うものもいて、だらだらと私語をしながら歩き、物乞いの集団のような様相だった。日本の皇軍のような規律正しい威風堂々たる軍隊を想像していた台湾人は、祖国歓迎のムードから、一気に覚めて失望が広がった。
■「犬が去り、豚が来た」
 しかも、台湾にやってきた中華民国人は自ら戦勝国人という驕りから、台湾人に対し横暴を極め、略奪、強姦などほしいままにした。
 その無秩序ぶりは、米国駐台陸軍戦略情報チームが1945年10月に出したリポートに詳しい。当時の台湾行政長官の陳儀は接収の重責を担っているにもかかわらず、民情に暗く、施政は極めて偏向し、台湾人を軽蔑した。また官吏の風紀は腐敗し、経済は悪化し、物価は暴騰し、失業は深刻となった。
 1946年4月に米軍情報当局が、当時の町の声を収集した際、ある車夫が「日本政府は一匹の犬みたいなものであり、吠えるし噛むが、秩序を保つことはできた。中国政府は一匹の豚のようなもので、寝て食うだけで何の役にも立たない」と発言したことが記録されている。
 このころから「犬が去り、豚が来た」という表現で台湾人は、日本統治時代のほうが中華民国統治よりましだという認識をもっていたことが、当時の幾多の記録からわかる。
■中国軍への憎悪が爆発した「二・二八事件
 その中華民国、国民党軍への憎悪は1947年2月28日、二・二八事件という形で爆発するのだった。この事件はその後、「外省人」による「本省人」への弾圧の象徴的事件として記憶され、本省人=台湾人のアイデンティティ形成につながる。
 二・二八事件の直接のきっかけは1947年2月27日、台北市の路上でヤミ煙草を販売していた寡婦、林江邁を中華民国の官憲が摘発した際、土下座をして許しを懇願した女性を銃剣の柄で殴打し、商品、売り上げを没収した事件だった。
 この事件を目撃した台湾人群衆が官憲を取り囲んだため、怯えた官憲側は民衆に威嚇発砲し、その弾に当たった台湾人通行人1人が死亡した。この事件に、日ごろから中華民国への不満を溜め込んでいた民衆の怒りが爆発し、28日に大規模な抗議デモが台湾省行政長官兼警備総司令の陳儀がいる行政長官公署を取り囲んだ。
君が代を合唱して中国人を排除
 警備の衛兵は屋上から機関銃でデモ隊を掃射し、多くの市民が死傷した。これに台湾人民衆はさらに怒り、政府の施設を襲撃し、外省人の商店を焼き討ちした。
 このときデモ隊は、日本統治時代に台湾人が全員歌えるように教えられた「君が代」を合唱し、本省人外省人を区別する手段とした。「君が代」を歌えない者を外省人として排除しつつデモ隊は行進し、ラジオ局を占拠して軍艦マーチを流し、日本語で「台湾人よ、立ち上がれ」と檄を飛ばした。
■対話に応じるふりをして民間人へ無差別攻撃
 3月に入り、この台湾人蜂起は全台湾各主要都市に広がった。この時、外省人(中国人)をリンチし、死者も多数出ている。台南では台南飛行場が占拠され、旧日本軍の飛行機で東京に飛んでいき、GHQ(連合国最高司令官総司令部)の直接占領を求める動きもあったが、飛行機が飛ばずに果たせなかったという。
 高雄では3日夜、数千人が警察局を包囲し、外省人に対する略奪、リンチも広がった。これに対し高雄要塞司令の彭孟緝(ほうもうしゅう)は、いち早くデモ隊の武力鎮圧を開始した。だがこれはデモの鎮圧というよりも、民間人への無差別攻撃であった。
 国民党政府は当初、あたかも本省人側との対話に応じる姿勢を見せていた。3月2日に「二・二八事件処理委員会」を設立し、事態の解決に努めるそぶりを見せた。高雄市でも3日に「二・二八事件処理委員会」を発足させ、市政府講堂で会議を開き、要塞のある寿山上の彭孟緝の下に代表者を派遣し、軍の市民への射撃や委員会への脅迫を停止し、委員会が改革案を提出するまでの間、軍を営内から出さないよう求めた。市長の黄仲図、市参議会議長の彭清靠や、林界、涂光明、曽鳳鳴高雄市の行政官や官僚らが代表の任に当たった。
■弾圧のターゲットは日本統治時代のエリート層
 だが、彭孟緝はやってきた彭清靠、林界、涂光明、曽鳳鳴の4人を縛り上げ、彭清靠一人を人質にとり、他の3人を射殺、黄仲図だけを連絡者として下山させた。その後、彭孟緝は軍によって市政府講堂で会議中の委員会を包囲し、寸鉄帯びない参会者や市民を機関銃で掃射した。
 このとき議員を含む数十人が死亡し数百人が負傷。さらに市街戦が展開され、阿鼻叫喚の虐殺が繰り広げられた。犠牲者は1000人近くに上ったという。彭孟緝が後に白色テロの実行者として「高雄屠夫」(高雄の虐殺者)の異名をとるようになる、その最初の殺戮事件「高雄大虐殺」である。
 陳儀は話し合いに応じるふうを見せながら、その実、南京の蔣介石に援軍の派遣を求めて、時間稼ぎをしていた。8日午後、大陸から援軍が到着し、国民党政府による大弾圧が始まった。高雄大虐殺は序章にすぎなかったのである。1947年3月9日に戒厳令が発布された。軍のターゲットは日本統治時代に高等教育を受けたエリート層、知識人たちだった。
■1987年まで敷かれた戒厳令
 裁判官、医師、役人らが次々と投獄され、拷問を受け、多くが殺害された。基隆では街頭に検問所を設け、北京語がうまく話せない市民を全員逮捕し、針金で掌を貫いてつなぎ、粽のように束にして、そのまま基隆港に投げ込んだという。旧日本兵や学生たちが抵抗運動を起こすも、あえなく制圧された。この事件によって多くの台湾人エリート、市民が殺害、処刑され、その財産や研究成果を接収された。その犠牲者の数は今もって不明だが、一般に2万8000人と推計されている。
 この時の戒厳令は1947年5月にいったん解除されるが、2年後、国共内戦に敗れた蔣介石政府が1949年5月19日にあらためて戒厳令を発布し、それは1987年に解除されるまでの長きの間、台湾を中華民国政権の恐怖支配のもとに置いた。この38年間は白色テロ時代と呼ばれている。
■血腥い歴史の上に成り立つ台湾の民主主義
 二・二八事件の真実は、1987年の戒厳令が解除されるまでタブー視された。戒厳令解除後はその真相解明と犠牲者の名誉回復の動きが始まり、1989年に記念碑が建てられ、1995年には李登輝総統が公式謝罪を行い、遺族への補償問題に取り組んだ。
 1996年、当時の台北市長の陳水扁(のちに総統)が、台北新公園の名称を二・二八平和記念公園に改め、その中に当時、台湾人デモ隊が占拠したラジオ局・台湾放送局の建物を改築した台北二・二八記念館が1997年2月28日の事件50周年目に開館された。さらに陳水扁政権時代の2006年には旧台湾教育会館(のちの米国文化センター)を二・二八国家記念館に改築することを決定。2011年2月28日に正式に開館された。
 台北に行けば、このどちらかの記念館に私は必ず足を運ぶ。歴史にIFはないが、もし初代台湾行政長官が陳儀のような無能で卑劣な人物でなければ、その後の台湾の運命も、ひょっとすると世界の枠組みも、大きく変わっていたかもしれない。
 だが、この血腥(ちなまぐさ)く悲惨な歴史を乗り越えてきたからこそ、台湾が自力で成熟した民主主義国家を作り上げてこられた、ともいえる。台湾が中華民国でなく、台湾であり続ける原点となった事件といえる。

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 福島 香織(ふくしま・かおり)
 フリージャーナリスト
 1967年、奈良市生まれ。大阪大学文学部卒業後、産経新聞社に入社。上海・復旦大学に業務留学後、香港支局長、中国総局(北京)駐在記者、政治部記者などを経て2009年に退社。ラジオ、テレビでのコメンテーターも務める。著書に『ウイグル・香港を殺すもの』(ワニブックスPLUS新書)、『習近平最後の戦い』(徳間書店)、『ウイグル人に何が起きているのか』(PHP新書)など多数がある。

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🔯48」─1─ヨーロッパでは「悪魔祓い」「エクソシスト」がいまでも超大忙しだった…! その意外な実態。~No.169No.170No.171 

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 日本におけるエクソシストとは、死霊憑きや生き霊憑き、狐憑きや犬神憑、その他である。
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 日本民族の宗教には、西洋のゾンビや中華(朝鮮・朝鮮)のキョンシー
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 2022年11月6日 MicrosoftNews 現代ビジネス「ヨーロッパでは「悪魔祓い」「エクソシスト」がいまでも超大忙しだった…! その意外な実態
島崎 晋
 エクソシストは実在する
 2009年の連載開始から、既刊27巻の累計発行部数は1700万部を突破。テレビアニメも第2期まで放映され、劇場版も1作。集英社の人気漫画『青の祓魔師(あおのエクソシスト)』は、新巻の発売とテレビアニメ第3期の放映が待たれている。
 © 現代ビジネス
 ここではエクソシストの日本語訳として「祓魔師」という見慣れない言葉があてられているが、一般には「悪魔祓い」とされることが多い。
 単に「エクソシスト」と表記して問題ないくらい、日本人はこの外来語に馴染んでいる。その出会いがあまりに強烈だったからだろう。
 1973年に製作、日本ではその翌年に公開されたアメリカ映画『エクソシスト』。この作品がもたらしたインパクトは実に強大だった。ホラー映画の一大ブームを巻き起こし、『ヘルハウス』『オーメン』『キャリー』『家』などアメリカのホラー映画が続々と上陸。どれも大ヒットを記録した。
 先陣を切った『エクソシスト』はリスペクトの対象となり、正統な続編が何作も作られたうえ、「エクソシスト」の名を冠した作品、エクソシストを題材にした作品はゾンビ映画同様、一つのジャンルとして確立したかのように見える。
 このような流れのなか、2017年に公開されたイタリア・フランス合作の『悪魔祓い、聖なる儀式』と、2018年にNetflixで配信された『悪魔とアモルト神父 現代のエクソシスト』の二つは異色の作品だった。どちらも実在するエクソシストを追ったドキュメンタリー映画だったのである。
 前者で取り上げられているのはシチリア島のカタルド神父、後者のそれはバチカンで「主任エクソシスト」を務めたローマ教区のガブリエーレ・アモルト司祭である。
 つまり、エクソシストは実在する、それも現在進行形で。
 エクソシストは「数百人単位」でいる!
 信じられない読者もいるだろうが、カトリックの総本山であるバチカン市国教皇庁は悪魔の存在を公式に認め、ローマ郊外にある教皇庁立レジー使徒大学ではエクソシスト専門の講座も開設され、一般人にも開放している。
 新聞社のローマ特派員としてバチカンへの取材を重ねた郷富佐子著『バチカン――ローマ法王庁は、いま』(岩波新書)によれば、講座の内容は「聖書と神学における天使と悪魔」「悪魔からの短期、長期的な解放」「エクソシストが直面する危険性」「オカルトと悪魔主義者」などからなり、講師は現役エクソシスト神学者が務める。最終試験に合格すれば修了資格がもらえるが、残念ながらそれでエクソシストになれるわけではない。なれるのはカトリックの神父だけという。
 同じく同書によれば、2007年の時点でイタリアには300~400人のエクソシストがおり、悪魔祓いを求める人は年間数十万人に及ぶ。
 相談者たちのなかで、本物の「悪魔つき」である例は極めて稀で、そこには以下の特徴が見られる。
1.突然、知っているはずがない外国語を話し出す
2.年齢などからみてありえない怪力を示す
3.物理的に不可能な動作をする
4.十字架など神聖なものを怖がる
 本物かどうかの見極めは難しそうだが、相談者の増加を受けて徒手傍観するわけにはいかず、バチカンは1999年に、エクソシスト向けのガイドラインを1614年以来初めて改訂した。それによると、いきなり悪魔祓いをするのでなく、精神科医と連絡を密にすることを義務づけ、医学的な治療を必要とする病人や「悪魔につかれた」と思い込んでいるだけのケースと区別をするよう定めたという。
 インタビューをもとにした文章であれば、聞き手と話し手が変われば細部に違いが出るのは仕方のないことで、『文春オンライン』で今年の6月10日に配信された『「この娘は俺が自殺させるんだ」「サタンよ、神の力を認めよ」なぜ人は“時代遅れ”の悪魔祓いを頼るのか フランスには現役エクソシストが100人以上…』(ジャーナリスト柳下雄大)では、本当に「悪魔につかれた」かの判断基準を以下のように記されている。
1.声が変わり、床を這い回るなどの異常な行動
2.話せないはずの言語をしゃべる
3.知っているはずのないこと(行ったことのない場所で起きた出来事の詳細など)を知っている
4.キリストやキリスト教に関する事象への激しい嫌悪
5.異常なまでに強い物理的な力
 郷富佐子著では、本物の「悪魔つき」の特徴が4つ、5つ挙げられているが、子細に読めば内容は完全に一致していると言っていい。1973年製作『エクソシスト』に出てくる描写とほぼ同じで、同映画を手本にそっくりに演ずることは不可能との判断によるのだろう。
 映画『エクソシスト』では、言動に異常をきたした少女を病院に連れていくが、精密検査では何の異常も見られず、精神科医によるカウンセラーも効果なし。暴力と怪奇現象がエスカレートし、頭の180度回転と空中浮遊を見せられるに及んで、少女の母親はエクソシストへの依頼を決意した。
 エクソシスト、大忙し
 現在のカトリック教会は明確なガイドラインを示しているから、実際に悪魔祓いが行われるのは、すべての条件に当てはまったうえ、精密検査や精神科医によるカウンセリングを経てなお原因もわからなければ、何ら改善も見られない場合となる。
 柳下雄大氏の記事では、「歴史的にカトリック教国であるフランスには、全国におよそ100ある教区に必ず1人以上のエクソシストが存在する」とした上で、首都パリを含むイル・ド・フランス地域圏の教区のエクソシスト、ジャン・パスカル・デュロワジー神父の「忙しすぎて猫の手も借りたい」という発言を取り上げ、さらに次のように記す。
 同じくデュロワジー神父の談話として、神父が忙しいのは本当らしく、悪魔祓いのために教会を訪れた人の名前で台帳はびっしりと埋まっている。神父の秘書の電話は「ほぼ鳴りっぱなし」で、毎日5人ほどは新たな依頼者が現れるという。「多いのは『誰かに呪いをかけられた』という相談だ。自分の人生の問題を解決するためにシャーマンや魔術師、霊媒師などに助けを借りて問題を悪化させた人たちがここに来るのだよ」とデュロワジー神父。
 柳下雄大氏の記事は悪魔の憑依に懐疑的な心理学者にも取材して、「悪魔の責任なら自分は悪くないからね。問題と向き合うことを避けようとする人間の弱さから来るものだと思います」というコメントを引き出しているが、心を病んでいる人びとにとっては、これこそ悪魔の言葉に聞こえるかもしれない。
 16万の悪魔を祓った!?
 バチカンで主任エクソシストを務めたガブリエーレ・アモルト司祭は2016年9月19日に呼吸器疾患のため91歳で亡くなっているが、訃報を伝えるAFP通信社の記事はその経歴を以下のように報じている。
 アモルト氏は「国際エクソシスト協会(AIE)を設立し、2000年に引退するまで会長を務めた。AIEには今日、30か国で活動する250人のエクソシストが所属している。
 2013年にはフランスの出版社が、人に「取りついた」悪魔を追い払うのではない祈祷の儀式を含め、16万件の悪魔払いを行ったとするアモルト氏本人の言葉を紹介。同年、著書『ラスト・エクソシスト──悪魔と私の戦い』がフランスで刊行された。
 アモルト氏はまた、人気児童小説「ハリー・ポッター」シリーズについて、子どもたちに黒魔術を信じ込ませるものだとして非難していた。
 バチカンは2014年にAIEを公認したが、カトリック教会の中には悪魔払いを疑問視する見方もある。
 ガブリエーレ・アモルト司祭への取材記事は他にもある。2012年7月に行われた日本記者クラブ主催の取材団報告のなかで新聞記者調査研究本部主任研究員(当時)の秦野るり子氏が発表したものである。
 そのなかで記者は、アモルト司祭が第二次世界大戦にはパルチザンとして銃を手にファシストと戦ったこと、戦後は少年時代から天職だと考えていた聖職者への道へと進み、1986年にローマ司教代理から呼び出され、当時のイタリアで最も有名だったエクソシストの元で修業するよう命じられたことなどに触れて、神父自身の体験として、「5万人から悪魔を払った」という功績に加え、悪魔祓いは超能力を使うものでもオカルトでもなく、悪魔に立ち向かう武器は唯一、「あつい信仰心」とのコメントを引き出している。
 ガブリエーレ・アモルト司祭ほどユニークな生涯を送った人であれば、世界のエンタメ界が傍観するはずはなく、バイオハザードやアンダールドなどを手掛けたアメリカの映画製作会社「スクリーン・ジェムズ」が人生と回顧録2作の映画化権を獲得しており、ラッセル・クロウに司祭を演じさせるホラー作品『The Pope's Exorcist(原題)』の撮影が9月からアイルランドで開始されている。
 雷神ソーや古代ローマの剣闘士を演じてきた彼が悪魔とどのような戦いを展開するのか、アモルト司祭の内面をどのように表現するのか、非常に楽しみである。」
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🐖7」─1─中国共産党の出先機関が孔子学院から「魯班工房」に代わる。~No.42No.43No.44 

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 中国共産党には、誠意や誠実は存在しない。
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 2022年11月6日21:46 MicrosoftNews Record China「「孔子学院」に排斥の逆風、海外の影響力拡大のため職業訓練校で巻き返しか―中国
 © Record China
 中国は2009年から、海外の大学と提携して、中国語や中国文化について教える組織の「孔子学院」を設置してきた。しかし孔子学院には、中国側の政治宣伝を行っているとの批判も高まり、閉鎖される事例も相次いでいる。米国の政府系メディアであるボイス・オブ・アメリカは6日付で、中国は、発展途上国での設置に力を入れている職業訓練校の「魯班工房」を、「孔子学院」に取って代わる存在と考えている可能性があると紹介する記事を発表した。
 米国には4年前に118校の孔子学院があったが、現在までに104校が閉鎖された。中国の政治宣伝を行っているとの見方が強まったためだ。そのような流れの中で、「一路一帯」沿線の発展途上国などで事業を展開している教育組織が「魯班工房」だ。
 「魯班工房」とは、紀元前5世紀の春秋時代の中国で活躍した伝説的な工匠である公輸盤にちなむ。公輸盤は公輸盤班とも書かれ、現在の山東省辺りで活躍したので魯班と呼ばれることが多い。
 魯班工房を立ち上げたのは天津市政府だ。教授する内容はメカトロニクス、応用電子技術、オートメーション、ロボットなどさまざまで、現地の人材育成のニーズに合わせて設定されている。
 例えばタイに設立された「魯班工房」では、学生が天津渤海職業技術学院の教師から、応用電子技術を学んでいる。アフリカのマリでは学生が、天津医学高騰専門学校の教師から、中国伝統医学を学んでいる。また同じくアフリカのジブチでは、天津鉄道職業学院の教師が学生に商工業について教えている。将来的にジブチの港湾とアジアとの貿易活性化に役立てるためという。
 先進国でも中国による職業訓練の動きがある。英国に開設された「魯班工房」では、中国料理の調理人が、学生に本格的な中国料理の作り方を教えている。
 © Record China
 初の魯班工房はタイで2016年に開設された。現在ではエジプト、エチオピア、インド、パキスタンポルトガル中央アジア諸国など世界19カ国で「魯班工房」25校が活動している。オーストラリア国立大学グローバル・マネジメント・カレッジのダーク・ファン・デア・クレー研究員は、「現状の規模では、魯班工房の所在国に対する貢献も、地政学的あるいはソフトパワーのツールとしての役割も限定的だ。しかし魯班工房の開設が規模を拡大し続ければ、状況は変わる可能性がある」との見方を示した。
 魯班工房と孔子学院の海外進出方式は基本的に同じだ。魯班工房の事業を立ち上げる際には、まず現地の協力パートナーを探す。合意が達成されれば現地の教育機関内に魯班工房を設立し、中国標準の関連技術を教える。学生は修了後、現地で就職する。
 魯班工房は天津市政府による事業であるにもかかわらず、習近平国家主席は国際的な場で、魯班工房に関連する発言を繰り返している。22年には、トルクメニスタンのベルディムハメドフ大統領、タジキスタンのラフモン大統領、キルギスのジャパロフ大統領と会談した際に、それぞれの国での魯班工房設立に言及した。
 魯班工房の事業は中国にとって、比較的少ない資金投入で、相手国の対中感情をよくする効果を期待できる。さらに、現地の若者に職業訓練を施すことで、中国が相手国内で展開するプロジェクトの費用対効果を改善することもできる。
 また、中国標準の技術を知る人材が増えれば、相手国がプロジェクトを展開する際に、中国をパートナーの第一候補と見なす確率も高まる。
 「魯班工房」は相手国にとって、早急に必要としている分野での技術を無償で提供していることになる。英国のノッチガム大学現代中国研究学院のジョナサン・サリバン准教授は「魯班工房」について、「受け入れる発展途上国を責めることはできない」との見方を示した。中国が唯一の支援提供者であれば、相手国側が受け入れるのは当然だからだ。事実、中国による「魯班工房」の推進は、多くの国で喜ばれているという。
 クレー研究員は、先進7カ国(G7)や日米豪印戦略対話(クアッド)は、「魯班工房」に似た仕組みで、透明性がより高く、相手国の雇用事情とより合致するプロジェクトを展開すべきとの見方を示した。その背景には、世界的にみて職業技能を持つ人材の不足が深刻である状況があるという。(翻訳・編集/如月隼人)」
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