🔯47」─2─大航海時代のポルトガルやスペインは世界の支配者ではなく歴史の先駆者であった。~No.167 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2023年10月20日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「大航海時代」のポルトガルやスペインは本当に「世界の支配者」だったのか?
 グローバル化の起源はいつの時代にあるのだろうか。
 16世紀の大航海時代にそれを見出す説がある。ヨーロッパ勢力による大陸間交易により地球を一周する貿易ネットワークの原型が姿を現した、というのである。
 【写真】日本初紹介!ルーベンスの弟子が描いた戦国大名・大友義鎮の「驚きの姿」
 この考え方は本当に正しいのだろうか。 
 *本記事は、鹿毛敏夫『世界史の中の戦国大名』(10月19日発売)から抜粋・編集したものです。
 「大航海時代」史の限定性
 大友義鎮(宗麟)
 確かに、16世紀後半に始まったガレオン船貿易では、スペイン領アメリカで産出された銀と中国で生産された絹が、太平洋をはさんで相互に運ばれた。また、需要と供給という点では、スペイン領アメリカと日本が銀の主要な供給源となり、中国市場が主な需要先であった。
 しかしながら、16世紀のグローバル化を、「大航海時代」のヨーロッパ勢力が、非ヨーロッパ世界へ商業的・軍事的に拡張することのみで説明しようとする考え方は、歴史の一側面をとらえたものに過ぎず、そうした発想の再生産からは、ヨーロッパ中心史観からの脱却は望めない。
 ヨーロッパ勢力が16世紀に到来する以前から、例えば、東アジア海域世界や東南アジア島嶼部、インド洋などでは、アジア・イスラーム・アフリカの地域権力や商人たちによる独自の遠隔地交易ネットワーク(日中間を例とするならば、商人が主導した日宋貿易室町幕府による日明勘合貿易など)が確立され、硫黄・銀・香辛料・絹・陶磁器などの物資が頻繁に取り引きされていた。
 15~16世紀の大内氏細川氏、大友氏、島津氏、宗氏など西日本の守護大名戦国大名に見られるアジアン大名的性質(鹿毛敏夫『アジアのなかの戦国大名―西国の群雄と経営戦略』)は、そうした地域間交易ネットワークのなかで醸成された日本の地域権力の姿として位置づけられる。
 「大航海時代」に世界を支配した最強国として語られがちなスペインとポルトガルだが、実のところその実態は、「世界征服」などと言える性質やレベルのものではなかった。
 例えば、東廻りで海洋進出を図ったポルトガル喜望峰から先のインド洋海域の航海は、その数世紀前からムスリム商人たちが活用していた航路やネットワークを踏襲したものであった。
 また、13~14世紀にヨーロッパを除くユーラシア大陸諸地域を支配したモンゴル帝国のもとでは、すでに中国商人やムスリム商人らが中心となって諸地域を結ぶ遠隔地交易が発達して大陸を循環する交易圏が形成されており、その陸路・海路を利用してキリスト教修道会の修道士たちが移動している(杉山正明『世界史を変貌させたモンゴル―時代史のデッサン』、向正樹「モンゴル帝国とユーラシア広域ネットワーク」)。
 16世紀にヨーロッパ人を迎え入れた諸地域の歴史を比較考察した岡美穂子氏によると、大航海時代の世界各地におけるスペイン人やポルトガル人の活動は、スペイン・ポルトガル「国家」との連動性の観点において、後のヨーロッパ重商主義国家に比して圧倒的に稀薄であり、むしろ各現象の決定的要因は移住者と現地社会の「関係性」にあるという(「十六世紀『大航海』の時代とアジア」)。
 ポルトガル人のアジア進出は、各地域の政情によって大きく左右されており、実際に主権を確立できていたのは、諸王国の港町のなかのごく限られた領域に過ぎず、「世界の支配者」などという形容にはまったくおよんでいない。
 スペインについても、彼らの支配者としての姿は、南北アメリカのようにもともと土地に対する人口がまばらで、しかも原住民が新たに持ち込まれた病原菌等によって壊滅に近い状態に陥った地域に限られる現象であり、アメリカ大陸にスペイン「国家」がヘゲモニーを確立しえたと言えるか、大いに疑念が残るという。
 スペイン・ポルトガルの「世界征服事業」や「イベリアン・インパクト」という言葉は、刺激的で歴史への興味をそそられるが、イメージのみが先行・定着するヨーロッパの「大航海時代」史の言説に踊らされることなく、地球上の諸地域間の連関構造に即した諸史料の冷静な分析が求められよう。
 スペインとポルトガルがアジアの海に向かっていた頃、同じく日本の戦国大名たちも、東アジアの宗主国中国が古代以来、描いてきた「中華」世界の殻を打ち破り、「南蛮」(東南アジア)の窓口を抜けて「西」へと向かい、その歩を踏み出していたのである。
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 一国の「王」として、東南アジア、南アジア、そしてヨーロッパへと「グローバル」に活動範囲を拡大していた戦国大名たち。その姿は世界の人々にどうとらえられていたのか? 世界史のコンテクストに立つと初めて見えてくる戦国大名の新たな貌(かお)! 
 鹿毛 敏夫(名古屋学院大学国際文化学部教授)
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 中世キリスト教会・イエズス会などの修道士会とキリスト教白人商人は、日本人の奴隷交易で莫大な利益を得ていた。
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