🔔49」─1─新大陸国の時代は軍事力による無法化の時代である。海洋国家の地政学的優位の崩壊。〜No.132No.133 

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 新大陸国とは、中国共産党政府、ロシア、北朝鮮である。
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 2024年2月2日 YAHOO!JAPANニュース 夕刊フジ「「大陸国」が軍事的優位の時代に 500年間続いてきた「海洋国家」の地政学的優位が崩れた背景
 【矢野義昭「日本の自立」】
 500年間続いてきた海洋国家の地政学的優位が崩れ、大陸国優位がもたらされた背景に、長射程精密誘導兵器の発達と、グローバルな情報・警戒監視・偵察(ISR)網の展開という、「軍事技術の革新」がある。
 グローバルなISR網により、地上・海上の全地球表面から宇宙空間まで、すべての数十センチより大きな物体を、天候気象・昼夜を問わず、リアルタイムで監視・追尾できるようになった。
 ISR網で得られた情報は、グローバルな指揮・統制・通信・コンピューター・情報(C4I)ネットワークを通じて伝達され、AI(人工知能)を活用し迅速に処理され、長射程精密誘導兵器システムに発射命令が下される。
 その結果、すべての目標物は数分から数十分以内に、正確なミサイル、ドローン(無人機)などの攻撃を受けることになった。
 この特性は、遮蔽物がない海上や空中ではさらに顕著になる。このため、大陸国沿岸数千キロの範囲の海上と空中の目標に対して、各種のミサイルなどで精密攻撃が可能になっている。
 海洋においても、米空母のような大型水上艦艇は、それらのミサイルや魚雷の集中攻撃にさらされるおそれが高まり、大陸国の沿岸数千キロ以内には接近すら容易ではなくなってきている。
 その結果、特定国の主権に服さず、どの国でも自由に航行して使用できるとされる、国際法上の「公海」という概念は、軍事的な意味では通用しなくなってきている。
 この変化は、国際条約上はどの国にも属さないとされている宇宙や極地にも及び、各国間の領域支配をめぐる平時からの競争が熾烈(しれつ)化している。
 他方、地表面においては、地下の利用や地表面での分散・掩護(えんご)が容易にできる。ミサイルなどの脅威に対し、主権下の領土があれば、偵察監視などから隠れるための遮蔽物のある地表面、あるいは核・生物・化学などの大量破壊兵器を搭載した誘導ミサイルなどによる破壊や放射能、生物・化学剤などの被害から守れる地下空間を安価かつ容易に確保できる。
 その点でも、領土を広く占有する大陸国の方が、海洋国よりもより安価かつ容易に、各種の脅威から安全を確保できることになる。
新領域と言われる「宇宙空間」や「サイバー・電磁波空間」の支配についても、それらの発射基地、指揮所、レーダーなどの施設を、広く分散し地下化して展開できる余積のある大陸国の方が有利になる。
 海洋国は海中、海底利用の優位性は残るが、そのほかの点では不利になり、海洋国よりも大陸国の方が、軍事的に有利な時代が到来している。
 日本は、面積世界第6位のEEZ排他的経済水域)を含めた広大な海洋の利用、及び残された地表面と地下空間の有効利用に努めなければならない。
■矢野義昭(やの・よしあき) 軍事研究家、元陸将補。1950年、大阪府生まれ。72年、京都大学工学部卒、74年、同大文学部卒。同年、陸上自衛隊幹部候補生学校入校。第1師団副師団長兼練馬駐屯地司令、陸自小平学校副校長などを歴任し、2006年に退官(陸将補)。核・ミサイル問題、対テロ、情報戦などを研究。岐阜女子大学特別客員教授。公益財団法人「アパ日本再興財団」が主催する第16回「真の近現代史観」懸賞論文で「最優秀藤誠志賞」を受賞した。著書・翻訳書に『危機対策必携マニュアル』(勉誠出版)、『核抑止の理論と歴史』(同)、『成功していた日本の原爆実験―隠蔽された核開発史―』(同)など多数。
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 2月3日17:00 YAHOO!JAPANニュース 夕刊フジ「残された資源・エネ・食糧の空間「地中・海中」日本は利用努力を 大陸国に優位性、とりわけ途上国に豊富に存在
 【矢野義昭「日本の自立」】
 今後、世界人口の増大と経済の成長に伴い必要となる、資源やエネルギー、食糧を産出する鉱山、油田・天然ガス田、農地、水源などは、いずれも大陸国に豊富に存在する。
 ただし、内陸部や僻遠(へきえん)地に存在することも多く、探査や採掘、さらに採掘後の輸送コストがかかるため、未開発のまま放置されている例も多い。
 このため、開発には多大の資金や技術力が必要になるが、所有権は埋蔵する大陸国に帰属する。海洋国は資源国からの輸入に頼るか、資金と技術を資源国に提供して採掘などに協力し利用権を確保せざるを得なくなる。
 経済発展の面でも、人口の大半が居住して人口増加の著しいアジア・アフリカの大陸諸国は、巨大な生産基地あるいは消費市場に成長する潜在力を持っている。
 今後の世界的な人口構成の変化、途上国での教育の普及などの趨勢(すうせい)から、先進国の経済活力は相対的に低下するであろう。また、先進国が移民受け入れに頼り過ぎると、治安の悪化、社会の分断や政治的対立を生むことになる。
 資源・エネルギー・食糧などの経済基盤と潜在成長力は、大陸国とりわけ途上国に豊富に存在すると言えよう。日本はその点、不利な立場にある。
 この不利を克服するには、日本は、地中と海中という残された空間の利用に努力を傾けなければならない。例えば、大深度地下の開発と利用、海洋資源、特にEEZ排他的経済水域)内の熱水鉱床、マンガン団塊などの海底資源の開発、養殖漁業の発展、海中に含有されたウラン・金の抽出技術の開発・利用に努めねばならない。
 防衛警備上は、大陸国のミサイル脅威などに対して、海空の航行の安全を確保するには、防衛用プラットフォームの残存能力と洋上阻止能力を向上させなければならない。
 そのために、日本列島全体を覆う、長射程の対空・対艦精密誘導兵器や水中・水上・空中用無人兵器を、十分な密度で相互支援可能な要域に配備する必要がある。
 エネルギー自給のためには、準国産エネルギーと言える原子力発電、長期的には核融合炉による、安価で豊富、かつ安定した電力源の開発を進めねばならない。
 防衛上は、大電力を利用した「大出力レーザー兵器」や「電磁パルス兵器」の配備も、今後予想される「無人機や無人艇の飽和攻撃」対処には不可欠になる。これら兵器の基地は何よりも残存性が求められるため、基地の主要部は地中に設置するか潜水艦に配備しなければならない。
 安価で豊富な電力源が得られれば、LED光などを利用した地下農場での食糧生産も可能になる。地下農場の開発は、バイオ技術の発展、養殖漁業の活用とあいまって、わが国の食料自給率を向上させるであろう。
 以上のような態勢をとれば島嶼(とうしょ)国日本の防衛態勢を堅固にしつつ、資源・エネルギー・食糧の自給率を向上させ、自立国家日本建設の基盤を確保できるであろう。
 やの・よしあき 軍事研究家、元陸将補。1950年、大阪府生まれ。72年、京都大学工学部卒、74年、同大文学部卒。同年、陸上自衛隊幹部候補生学校入校。第1師団副師団長兼練馬駐屯地司令、陸自小平学校副校長などを歴任し、2006年に退官(陸将補)。核・ミサイル問題、対テロ、情報戦などを研究。岐阜女子大学特別客員教授。公益財団法人「アパ日本再興財団」が主催する第16回「真の近現代史観」懸賞論文で「最優秀藤誠志賞」を受賞した。著書・翻訳書に『危機対策必携マニュアル』(勉誠出版)、『核抑止の理論と歴史』(同)、『成功していた日本の原爆実験―隠蔽された核開発史―』(同)など多数。
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