☭43」─5─日本のEEZでロシアが軍事演習でも文句を付けたら負けなワケ。~No.177 

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 2021年7月11日 MicrosoftNews 乗りものニュース「日本のEEZでロシアが軍事演習 でも文句を付けたら負けなワケ 「お隣」の事例から解説
 © 乗りものニュース 提供 2021年7月4日、沖縄本島の南東約150kmで確認されたロシア海軍スラバ級ミサイル巡洋艦「ヴァリャーク」(画像:統合幕僚監部)。
 © 乗りものニュース 提供 日本周辺のEEZなど各水域の概念図(画像:海上保安庁)。
 © 乗りものニュース 提供 「領海」「EEZ」などの模式図(画像:海上保安庁)。
 © 乗りものニュース 提供 アメリカ海軍のEP-3E電子偵察機(画像:アメリカ海軍)。
 稲葉義泰(軍事ライター)
 日本海でロシアが軍事演習
 ロシア政府は日本政府に対し、2021年7月7日(水)から9日(金)にかけて日本海でロシア軍が軍事演習を実施する旨を通告し、これを受けて海上保安庁は航行警報を発表しました。また防衛省によると、7月4日(日)に駆逐艦フリゲートを含むロシア海軍の艦艇7隻が、太平洋から宮古海峡を抜けて日本海に向け北上したとのことで、今回の軍事演習と関係している可能性もあります。
 今回の軍事演習について、一部のメディアや国会議員からこれを問題視する意見が出ています。というのも今回、演習を行うと通告された海域の一部に日本の「EEZ排他的経済水域)」が含まれているのです。果たして、他国のEEZ内で軍事演習を行うことは国際法上、問題ないのでしょうか。
 国際法上は問題ナシ
 結論からいえば、他国のEEZ内で軍事演習を行っても通常であれば国際法上は全く問題ありません。
 そもそも「EEZ」とは、領海などの幅を測る際の基準線である基線から200海里(約370km)の範囲で設定できる海域のことです。海洋に関するさまざまなルールについて定める「国連海洋法条約(UNCLOS)」によると、沿岸国の主権が及ぶ「領海」とは異なり、EEZにおいて沿岸国(この場合は日本)に認められるのは、魚介類や鉱物などを含む天然資源の探査、開発、保存および管理などに関する主権的権利と、人工島、施設および構築物の設置や利用、海洋環境の保護および保全、海洋の科学的調査などに関する管轄権に限られており、たとえば沿岸国の安全保障に関する権限などは設けられていません。
 さらにEEZより内側で、領海のすぐ外側に広がる「接続水域(基線から24海里まで設定できる海域)」においてさえ、安全保障に関する沿岸国の権限はUNCLOSにおいては規定されていません。従って、他国のEEZ内で軍事演習などをすること自体は特段、問題とはならないのです。
 ただし、だからといっていつでもどこでも自由に軍事演習を実施してしまえば、もしかするとそこで操業中の漁船に被害が生じてしまう可能性もあります。そこで、EEZ内で軍事演習などを実施する際には「沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払う」ことが求められています(UNCLOS 58条3項)。今回、ロシア側が事前に演習を実施する海域を通告したのも、この「妥当な配慮」に基づくものと考えられます。
 ところが日本の近隣国は…「彼ら」の主張するところによると
 実は、自国のEEZ内における他国の軍事活動について規制を設けている国が、日本の近隣に存在します。それが北朝鮮と中国です。
 まず北朝鮮は、領海の外側に「軍事水域(military zone)」という独自の海域を設定し、他国の軍艦や軍用機がこの内側に入ることを禁じています。さらにEEZに関しても、他国の船舶や航空機がEEZ内で写真撮影や海洋に関するデータの収集を行なうことを禁止しています。
 一方の中国は、EEZ内での他国の調査船による軍事的な調査活動や情報収集活動について、さまざまな理由をつけてこれを規制しています。たとえば「こうした調査活動は海洋の科学的調査(こちらはUNCLOS 245条に基づき沿岸国による同意が必要とされています)と区別されるものではなく、従って同様にそうした調査活動の実施には中国政府の許可が必要である」とか、「こうした活動はUNCLOSが定める『平和目的の公海の利用』(同88条)や『海洋の平和的利用』の規定(同301条)に反する」とか、さらには「こうした軍艦や調査船が使用するソナーが魚や海洋性の哺乳類に対して深刻な悪影響をもたらす」といったものです。
 中国のEEZにおける対応の実例 国際的な法解釈では…?
 そして実際に、中国はアメリカが行った軍事的な調査活動や情報収集活動に対してさまざまな妨害行為を行っています。たとえば2009(平成21)年には、南シナ海で活動していた音響測定艦インペッカブル」号に対して漁船や公船が周辺を取り囲み、進路妨害などを行ったほか、2016(平成28)年には中国のEEZ内を飛行していたアメリカ海軍のEP-3E電子偵察機に対して戦闘機をスクランブルさせた上に、機体を急接近させるなどの危険飛行を行いました。
 北朝鮮や中国のように、自国のEEZ内における他国の軍事活動について明確な規制を設ける国は、2021年現在、世界で18か国存在しますが、国際的にはこのような国際法解釈が容認されているとはとてもいえません。
 たとえば、アメリカはこうした軍事的な活動が沿岸国に対する敵対的な行動をともなわない限り平和的なものであり、国際法に合致するものと考えています。そして、この見解はUNCLOSをはじめとする国際法の規定とも合致するものといえます。
 今回の日本海におけるロシア軍の演習に関して、もしこれを法的に問題視したりすることがあれば、それは中国や北朝鮮と同様、日本も国際社会における常識を逸脱する国と見なされかねません。日本の国益を考えるのであれば、感情的な反応は避けるべきでしょう。」
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