🦎29」─3─地政学的条件。中国共産党とロシアは北極海航路を独占しようとしている。~No.94No.95 

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 中国共産党は、北極海航路を確保する為に、尖閣諸島・沖縄、沖ノ鳥島、北海道を日本から強奪する機会を狙っている。
 日本人の協力者が、琉球独立派・アイヌ独立派、反米派・反安保派、反自衛隊派、媚中派、その他である。
 歴史的事実として、琉球アイヌ蝦夷も日本の一部である。
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 2023年8月13日 YAHOO!JAPANニュース JBpress「地球温暖化で氷が溶ける北極海、ロシアと中国の進出で変わる地政学的条件
 北極海の現状。温暖化によって地政学的な価値が高まっている(写真:ロイター/アフロ)
 2023年8月現在、ロシア・ウクライナ戦争の報道を目にしない日はない。また、中国が虎視眈々と台湾侵攻を目論んでいるというニュースも頻繁に見聞きする。
 【地図】ロシアの軍管区。北方艦隊の軍管区への格上げにより、5つ目の軍管区が誕生した
 そのロシアと中国が、北極海に対するプレゼンスを高めようと躍起になっている。もちろん、欧米諸国も同様だ。このような北極海にかかわる動きは、日本ではあまり話題にはならない。
 しかし、ロシアと中国の北極海でのプレゼンス強化は、今後日本にも影響を及ぼす。そう指摘するのは、石原敬浩氏(海上自衛隊幹部学校教官・二等海佐/慶應義塾大学非常勤講師)である。
 ロシアと中国は北極で何をしようとしているのか、欧米諸国はそれらの動きにどのような対応をしているのか、地球温暖化北極海をどう変化させるのか──。『北極海 世界争奪戦が始まった』(PHP新書)を上梓した石原氏に話を聞いた。
 (聞き手:関瑶子、ライター・ビデオクリエイター)
 ──なぜ今、北極海に注目が集まっているのか、改めてご説明をお願い致します。
 石原敬浩氏(以下、石原):北極海が着目される理由としては、昨今のロシアの戦略的な挑戦と地球温暖化の2点が挙げられます。
 2022年8月、北大西洋条約機構NATO)のストルテンベルグ事務総長は「ロシアと中国が連携して北極におけるプレゼンスを高めようとしている。これは、NATOに対する戦略的な挑戦である」と発言し、強い警戒感をあらわにしました。
 また、地球温暖化により北極海の氷は減少の一途をたどっています。それにより、これまで氷で閉ざされていた北極海を船が航行できるようになる。新しい航路が開発されるのです。
 ドイツのハンブルクから横浜への航路を例にすると、現在のインド洋を経由する航路では、およそ2万1000キロ。北極海航路が開発されると、それが1万3000キロになる。約6割に短縮されるのです。
 ──そのほかに、地球温暖化により我々が北極海から享受できるメリットはあるのでしょうか。
 石原:世界中の未発見の天然ガスの30%、石油の13%が北極圏に眠っていると言われています。
 現在の北極海は氷で覆われているために、掘削作業を行うことが困難です。でも、氷が融けると普通の海になります。そうなると、既にある掘削技術を利用して、海底から資源を掘り出すことが可能になる。
 ──2008年、北極海の沿岸5カ国(ロシア、ノルウェーグリーンランド自治領として保有するデンマーク、カナダ、米国)により、イルリサット宣言が発表されました。この宣言の目的はどのようなものなのでしょうか。
■ グリーンランドアイスランド地政学的な意味
 石原:南極には南極条約が適用され、平和利用、資源開発の禁止、領有権凍結などが定められています。
 南極は大陸ですが、北極の場合は海です。海ならば、国連の国連海洋法条約にのっとって管理するのが適切である。これが、イルリサット宣言の言わんとすることです。
 国連海洋法条約では、海岸を有する国は、海岸から200海里(約370キロ)の海底及び海底下をその国の排他的経済水域及び大陸棚とし、天然資源の探査・開発の権利などを認めています。北極海にこのルールを適用させることで、北極海沿岸5カ国は、北極海のさまざまな権益を支配することができるのです。
 ──第二次世界大戦から冷戦終結に至るまで、グリーンランドアイスランドには米軍基地が設置されていました。グリーンランドアイスランドの基地は、軍事的にどのような意味を持つのでしょうか。
 石原:まず、第二次世界大戦における大西洋の戦いについて説明しましょう。
 北米から、イギリスに物資を輸送する際には北大西洋を航行しなければなりません。当時、ドイツはデンマーク海峡(グリーンランドアイスランドの間)経由で世界最強の不沈戦艦と呼ばれたビスマルクを出撃させたり、北大西洋海域全体にU-ボート(潜水艦)を哨戒させ、ヨーロッパと北米の海上交通の遮断作戦を行います。
 グリーンランドは現在に至るまでデンマーク領ですが、第二次世界大戦中はアイスランドデンマークの一部でした。
 1940年4月、ナチス・ドイツデンマーク本土を占領します。これを受け、デンマーク駐米大使の独断により、グリーンランドは米国の保護下に置かれることになりました。これにより、米国はグリーンランドに基地を設営することができました。
 グリーンランドに加え、アイスランドに基地を構えることができれば、ドイツに対して優位に立つことができます。もちろん、ドイツも同じように、北米やイギリスに対して優勢に立つため、アイスランドを攻略しようと目論みます。
 結果的には、ドイツより早くイギリスがアイスランドを占領。その後、イギリス軍の守備部隊に代わり米海兵隊が駐在することが決定します。
 こうして1945年までの間、ドイツによる海上交破壊作戦と、海洋交通保護のための連合国軍の作戦が続けられることになりました。
 冷戦期に入ると、ワルシャワ条約機構に加盟しているソ連および東欧諸国と西欧諸国のにらみ合いが始まります。このときは、東西ドイツの境界、フルダギャップからワルシャワ条約機構軍が西ドイツに攻め込み、西欧諸国へ進軍、ヨーロッパで地上戦が起こることが危惧されていました。
 ヨーロッパで戦争が勃発した場合、北米から支援物資や弾薬、兵員を輸送する必要が生じる。海上交通破壊のため、ソ連北大西洋に潜水艦を展開させるのではないか。第二次世界大戦中の大西洋の戦いが再現されるのではないか、とまことしやかに囁かれていたのです。
 そのため、冷戦期には、グリーンランドアイスランド、イギリスを結ぶライン(G-I-UKギャップ)で、ソ連海上交通破壊を阻止しよう、という考え方が生まれました。
 冷戦後、米軍はいったんアイスランドから撤退しますが、2018年基地の再活性化を図ります。グリーンランドの米軍基地はミサイル防衛の最前線として能力を向上させ活動を継続しています。
■ 北極圏で軍事増強を進めるロシアの思惑
 ──昨今のロシアの北極圏での軍備増強状況や政策などについて教えてください。
 石原:この10年間で、ロシアは北極圏で既存の軍事基地および飛行場の拡大や近代化を進めてきました。さらに、北極圏で少なくとも3つの基地を新設しています。
 また、2021年1月1日から、ロシアの北方艦隊が軍管区に格上げされました。
 北方艦隊は、ロシア連邦海軍の艦隊の1つで、北極海の防衛を主業務とします。軍管区とは、軍隊の管轄区域です。
 それまでロシアには、西部、南部、中央、東部の4つの軍管区しかありませんでした。北方艦隊の軍管区への格上げにより、5つ目の軍管区が誕生した。北極圏でのプレゼンスを強化するために、北極海専用ともみられる海軍中心の北方軍管区をわざわざ新設したのです。
 2022年8月には、ロシアの海洋戦略に関する文書「ロシア連邦海洋ドクトリン」が改定されました。これは55ページからなる文書なのですが、そのうちの22ページで北極について言及されていました。2022年8月と言えば、「すぐに終わる」とされていたウクライナ侵攻が終わらず、先行きが見えない状況になっていた時期です。
 そのタイミングにもかかわらず、ロシアは北極を重視するような海軍戦略を掲げ、北極に対して意欲的な姿勢を世界に見せつけたのです。
 ──次に、中国の北極政策についてお話を伺えればと思います。中国は、北極海には接していません。にもかかわらず、北極海に積極的に関与しようとしている。中国は、どのような手段で北極にプレゼンスを確立していこうとしているのでしょうか。
■ 中国が北極海進出のために得ている軍事情報
 石原:中国は2000年代後半から、着実に大国としての道を歩み始めました。積極的に海外に出ていき、プレゼンスを示していこう、という機運が高まったのもその頃です。
 当時から、中国は既に北極海も視野に入れていたと思われます。
 例えば、2012年に中国は北極海の第五次観測を実施しました。このとき、中国の砕氷船「雪龍」は、復路でまっすぐに北極を横断する最短ルートでの航海に挑戦。無事、本国に帰還しました。これは、北極海沿岸5カ国以外では初めての快挙でした。中国は、世界各国に対し、この成果を大々的に宣伝したのです。
 2014年にロシアはクリミア半島を併合。米国および西側諸国は、ロシアに対し経済制裁措置をとります。すると、ロシアと中国が急接近します。ロシアの依頼で中国企業海洋調査船を派遣し、地震探査や自律型水中ロボットによる観測を実施したのです。
 中国としては「ロシアからの依頼で北極海の科学調査をサポートしています」という言い分でしょう。しかし、ロシアの石油会社の依頼で中国企業が2016年に実施した地震データの収集においては、軍事利用もできるデータが収集された可能性も指摘されています。
 詳細は省きますが、地震データの収集により、水中や海底の地形の情報を得ることができます。このような情報は、有事には敵国および自国の潜水艦の存在場所を特定するために用いられます。つまり、軍事機密情報なのです。
 このようにして、中国は北極海進出のための軍事情報を得ていると推測できます。
 また、中国は、2018年1月に「北極政策文書」を発表しました。これは、中国の一帯一路構想に北極の氷上シルクロードも正式に含む、とするものです。
 これまで中国は、一帯一路構想の一環として、インド洋諸国や東南アジア諸国に様々なかたちで資金援助を行ってきました。北極政策文書により、グリーンランドアイスランドへの投資、インフラ整備についても、東南アジア諸国への援助と同様、公的に実施可能になる。他国はそんな疑念を抱きました。
 それまでも、中国の北極圏進出と、そこでの権益確保について、欧米諸国は警戒を強めていました。北極政策文書は、欧米諸国の警戒感をあおるのには十分すぎるほどのインパクトを持っていました。
■ ロシアと中国のプレゼンス拡大で日本が受ける影響
 ──最後に、今後、ロシアおよび中国が北極圏におけるプレゼンスを拡大していった場合、世界はどのような影響を受けるのか、また、日本はどのような影響を受け、どのような対処をすべきなのか、この点についてはいかがでしょうか。
 石原:ロシアの海域でロシアが資源開発をすることは何ら問題ありません。そこから採掘される資源を日本が輸入する可能性もあります。
 しかし、中国海軍艦艇が北極海に出入りするようになると、日本にも影響が及びます。中国から北極海にワープすることはできません。中国の艦艇は、日本周辺海域を通過し、日本列島、北方領土沿いに北上していかなければなりません。海上自衛隊が中国艦艇の動きをしっかりと監視する必要が生じます。
 北極海の経済的な権利は、イルリサット宣言により沿岸5カ国が有しています。その一方で、地球温暖化などに関する科学調査は世界各国が協力してできる仕組みが既に構築されています。
 北極圏の科学調査には、日本も積極的にかかわっています。国立研究開発法人 海洋研究機構(JAMSTEC)では、2021年から北極域研究船の建造がスタートしました。2026年に就航予定、現在名称募集中です(応募締め切り、2023年10月20日)。
 2023年5月には、G7の科学技術相会合で、北極海の観測を強化する共同声明が発表されました。
 日本には、権益確保や資源獲得ではなくサイエンスという観点で、どんどん北極海に進出していってほしいと思っています。それこそ、海洋国家日本のあるべき姿なのではないでしょうか。
 関 瑶子
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