🐊10」─1─カナダ、外国人移民受け入れ拡大による経済繁栄は「蜃気楼」か。〜No.71No.72 

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 2023年7月29日 MicrosoftStartニュース Reuters「アングル:移民受け入れ拡大のカナダ、経済繁栄は「蜃気楼」か
 [オタワ 26日 ロイター] - カナダのトルドー首相は、移民受け入れの拡大によって経済成長を促進し、労働者不足を埋めてきた。しかし、足元では新たな移民が公共サービスを圧迫し、経済の過熱を助長しているとエコノミストは指摘する。
 2015年の政権発足以来、トルドー氏は推定250万人の新規永住者を受け入れ、人口を4000万人以上に押し上げた。
 カナダ統計局によると、人口は昨年、1957年以来最も速いペースで増加。経済成長率は世界のトップ20に入った。移民の増加が高齢化による労働人口減少の一部を相殺している格好だ。
 TDエコノミクスのエコノミスト、マーク・アーコラオ氏によると、カナダは過去10年間の国内総生産(GDP)成長率が年平均2%強と、主要7カ国(G7)平均の1.4%を大きく上回り、米国と肩を並べた。これは移民のおかげによるところが大きいという。
だが、急速な移民増加による問題も顕在化し始めている。第一に、カナダ銀行中央銀行)は現在、経済成長を抑制する金融政策を実施中だが、その中で新規移民による影響を突き止めるのに苦心している。
 同行のマックレム総裁は、移民は需要と供給の両面を押し上げるが、総じて見れば利上げの必要性を高めたと述べている。移民は労働力不足を緩和する一方で、個人消費と住宅需要を増加させた。
 総裁は今月初めの利上げ後、移民増加について「スタート地点が需要過多なら、需要と供給の両方が追加されたとしても、需要過多であることに変わりはない」と語った。中銀はこの時、政策金利を22年ぶりの高水準である5.0%に引き上げた。
 より具体的な問題は、交通機関、住宅、医療面での負担増大だ。自治体や州のトップは、こうした問題に対処するための予算増額を求め、連邦政府を悩ませ始めている。
 マギル大学モントリオール)のマックス・ベル公共政策大学院のディレクター、クリス・ラガン氏は「移民を増やしたいのなら、それで構わないが、交通、住宅、医療、学校などのインフラ投資を増やす一連の政策を導入するべきだ」と述べている。
 一方、財務省の報道官は「わが国のコミュニティーと経済は、カナダへの移住を選んだ人々のおかげで日々強くなっている」とし、大半が「カナダの経済繁栄に貢献し、労働力不足に対処する上で助けになる」と述べた。
 <蜃気楼>
 トルドー政権は今月初め、トロントの新市長からの要請にこたえ、路上で寝泊まりしていた難民の収容を支援するため、同市に約1億カナダドル(約7600万ドル)を拠出すると約束した。
 アンガス・リード研究所の調査会社は昨年、公的医療制度に加入しているカナダ人の5分の1が、かかりつけ医を持っていないと発表。
 また、データ分析会社インリックスによると、トロントでは2022年、自動車の運転手が交通渋滞によってロスした時間が平均118時間と、前年比60%も増え、北米で3番目に長かった。
 移民は年間GDPを押し上げるが、1人当たりのGDPは2016年第1・四半期以降、米国の11.7%増に対し2.4%増にとどまっている。
 ローゼンバーグ・リサーチのチーフエコノミスト兼ストラテジスト、デービッド・ローゼンバーグ氏は「カナダ経済は1人当たりで見ると横ばい状態だ」とし、人口増加によって「経済の繁栄という蜃気楼を作り出すことはできるが、結局は蜃気楼(しんきろう)にすぎない」と語った。
(Steve Scherer記者、Fergal Smith記者)
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