🐒10」ー1ー中国共産党が「世界を牛耳る」という悪夢。~No.28No.29No.30 

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 軍国日本は、1920年代から、中国共産党ソ連コミンテルン、人民義勇軍などの国際的共産主義勢力の侵略から日本天皇・日本国・日本民族を守る為に一人孤独に戦い、犠牲者の山を築いていた。
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 中国共産党は、昭和天皇と皇族を惨殺するべく付け狙っていた日本人共産主義テロリストを支援していた。
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 現代日本に、親中派媚中派、反米派・反安保派・反在日米軍基地派、護憲派・反自衛隊派、反撃能力反対派、反天皇反民族反日的日本人達が存在している。
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 2022年12月29日 YAHOO!JAPANニュース 東洋経済オンライン「世界を「中国が牛耳る」という悪夢ーーポスト・ウクライナのグローバル世界の行方を予測する
 アメリカの存在感が薄まっていく中、中国が覇権をとる日が現実的になっています。その時、世界はどうなるのでしょうか(写真:barks/PIXTA
 今後プーチンが退場し、アメリカが衰亡した世界において、中国が覇権国となる日も現実味を帯びてきた。中国共産党が世界の「配分」を決める“悪夢”は現実のものとなるのか。
アメリカ衰亡の中で目立ってきた中国とロシアという2つの専制主義陣営のパワーにどう対抗すべきか。橋爪大三郎氏、大澤真幸氏、2人の社会学者による『おどろきのウクライナ』(集英社新書)では、文明論、宗教学、歴史、社会学と、あらゆる視座から検証し、白熱した討論が展開される。本稿では、ポスト・ウクライナのグローバル世界の行方を両氏が議論する(前回『巨大中国が「台湾侵攻」に踏み出す決定的理由』)。
 【写真】中国が考える本当の領土?「国恥地図」実物
自由主義陣営の味方はそう多くない
 大澤:憲法に規定されていない中国共産党という組織が、世界を取り仕切るようなことになっていいのかという、橋爪さんの提起された問い、僕としては絶対「否」を突きつけたいわけです。しかし、長いスパンで考えたときに、必ずしもその答えがマジョリティではないかもしれないということに、僕は一抹の不安を覚えるんです。
 橋爪:押しかけのODAやら資金提供やらで恩を売って、取り込んでいる国がたくさんあるからね、中国には。
 大澤:そうなんです。仮に中国が世界で最大の強国になったとしても、アメリカが覇権を持っていたときとは大分違ったものになりそうな気がします。いい悪いは別として、アメリカは、民主化という自分のやり方を伝道するわけですよ。日本の占領統治のときを別にすれば、それはうまくいかないことも多いけれど、あくまで伝道という形をとる。
 ところが中国の場合は、そういうタイプの衝動をもたない。はっきり言うと、中国共産党、チャイナセブン、あるいは総書記というのは、一種の皇帝みたいなものです。ですから、アメリカが民主主義を輸出するというのとは全然違って、昔から言うある種の朝貢国のような従属国をどんどん増やすことで自分の影響力を強くしていく。そういう構造になっている。
 橋爪:昔からそのやり方は変わっていませんよ。
 大澤:うん、そういう背景を考えると、もし中国と西側、あるいは中国とアメリカがかなり厳しい葛藤になったときに、中国から借款している国など、かなりの数が中国側になびく状況になると思います。ロシアとウクライナ、ヨーロッパが対立しているときでさえも、あんまり西側を応援したくないなと思う国々がかなりある。まして、中国がアメリカと対決した場合には、自由主義陣営の味方がどれほどいるだろうかと考えてしまいます。
 ということを踏まえると、僕らがやらなきゃいけないことは、中国の台湾侵攻を含めて、万が一があったときに、中国につくよりも西側についたほうがいいぞ、中国共産党の支配に入るなんてとんでもないことだぞという理念や思想を世界に提示することです。
 でも、その理念を差し出すのはすごく難しいことでもある。どう考えてもリベラルデモクラシーのほうがいいに決まっているはずなのに、なぜ味方が集まらないのか。それは、リベラルデモクラシーの原則がまったくグローバル化していなくて、逆にリベラルデモクラシーに搾取されていると思っている国がたくさんあるからなんですよ。
 だから僕らは、中国に直接対決するという以前に、いざというとき中国につきそうな国がたくさん残っている状態をまず克服しなきゃいけないと思うんです。権威主義の側につく外野の存在、それが一番脅威なような気がしますが、その辺はどうでしょうか。
■なぜ自由主義社会は魅力を失ったのか
 橋爪:なぜリベラルデモクラシーが魅力的に見えないのか。これはとても大事で大きい問題だと思うので、本格的な議論は、また改めて大澤さんとやってみたいと思いますが、ここでは簡単に私見を述べますね。
 大澤:お願いします。
 橋爪:資本と技術と労働力がどう組み合わさって経済的な富を生み出すのか。これについては、初期の産業社会では、資本も技術も労働力も必要で、とくに労働者のやる気がとても大事として、労働組合も機能していた。
 だから資本が全部取ることはできなくて、労働者や、管理職も入れて、そういう人たちにそれなりの配当をする。彼らが消費をして、ぶ厚い中産階級が出来ていくという古典的な発展がかつてあった。1950年代、1960年代、1970年代、日本も1980年代まではこんな感じできていたわけです。
 大澤:まだ人々に働きがいがあった時代ですね。
 橋爪:うん、そう。でも、気がついたらその状況が変わってきた。製造業というのは、道路や鉄道の整備に連動するように、材料を運搬して、労働者が通勤して、製品を配ってという、きわめてローカルな産業なんですよ。だから、各国に製造業がある、各地に製造業があるということが、満遍なく近代化が進むということのモデルにもなってきたわけです。
 だけど、情報化が進んでくると、ローカルであることはいかにも効率が悪い。どこか1カ所で半導体を生産し、どこか1カ所でソフトウェアを開発し、どこか1カ所ですべてのビジネスを仕切って、それを巨大企業が牛耳る。それが一番合理的だと判断された。そうするとアマゾンみたいな巨大企業が出てきて、それが膨大な収益を上げ始めた。
 橋爪:労働者も、単純なマニュアルワーカーが増えるだけで、管理職が必要なくなって、ホワイトカラーがいなくなり、ブルーカラーはホワイトカラー並みの収入を得るということもなくなり、中産階級が総退場していった。そして、すべての富を得るスーパーリッチがほんの一握りどこかの国に出てくるだけで、あとの大半以上は裕福ではないという、そういう世界に近づいているわけです。
 もしこのとおりだとすれば、リベラルデモクラシーって、いいことあんまりないですよね。夢も希望もない、貧しい不満たらたらの若者が出てくるだけだ。そして、知力のある人たちは、大学や大学院に行って、ローヤーになったり、エンジニアになったり、サイエンティストになったりして、スーパーリッチの取り巻きになって、おこぼれをもらう。こういう世界が一番効率的とされているんですよ、今は。
 大澤:圧倒的非対称の世界というやつですね。
中国共産党が世界の「配分」を決める“悪夢”
 橋爪:そうです。何に問題があるか。配分に問題がある。すばらしい効率で誰かが1カ所での最適解で富を生み出すこと、これは人類全体に対するプラスになるから悪いことではない。その富を社会保険とか医療保険とか教育とか、それから、インフラ建設や地域社会に再配分する役割をローカルな政府が担っていた。
 しかし、そのローカルな政府の頭越しに富が生産されて、頭越し富が動き回っている。古典的な国民国家って、こういうことになすすべがないんですよ。
 大澤:うん、そのとおりですね。資本の流れは、もう国民国家とは関係ない。
 橋爪:じゃ、どうすればいいか。資本がそう動くのであれば、資本に対応して、グローバルな再配分の仕組みを今からこしらえなきゃいけない。これは国民国家を超えた権力だから、条約としてやると、力が弱いかもしれない。どんな形がいいかまだよくわからない。よくわからないけど、これをつくらないと、人々にはあまりに希望がない。
 資本が蓄積し技術が発展することが、自分たちの幸せに結びつくとは思えないし、実際に結びつかない。これが私たちのいま現在直面している問題だと思う。
 さて、中国はこの配分を中国一国でやろうとしているんですよ。中国は十分大きいから。どこに資本があるか、どこに技術があるか、誰にどういう配当するかは、市場に決めさせず、中国共産党が決めるというわけ。中国の大部分は国営企業なので、企業全部に共産党の委員会があって方針を決めています。だから、中国共産党という仕組みは、グローバル化に対応する一つのオプションともいえる。
 もしこれが唯一の解決法だとしたら、世界中に共産党をつくり、北京を本部にして、各国に中国共産党支部ができる。これは一つのやり方だけど、悪夢でしかないね。権力でこの悪夢をやるという話だから、自由の真反対だ。
 大澤:それは本当に悪夢ですよ。しかもありえない話ではない。この数年でまさに自由主義圏の台湾がそういう世界に呑み込まれようとしています。香港はもうすでに自由を失ってしまっていますし。
 橋爪:自由を守ったまま、配分を行うというのは、大きな宿題ですね。だから、中国共産党のやり方に反対し、中国のやり方を魅力のないものにしていこうとするなら、アメリカも西側世界も変わらないと駄目だと思う。バーニー・サンダースでは駄目だ。大学の学費無料化とか言って、それ以外の提案がないじゃないですか。素朴すぎる。もっと大きな理念がないと。
国民国家を超えた再配分を考える
 大澤:今の橋爪さんの意見は、ほぼ100%賛成ですね。今のお話をウクライナに置き換えてみると、問題が見えやすいかなと思うんです。この戦争のきっかけになったのは、ウクライナがロシアを取るか、ヨーロッパを取るかという選択の中でヨーロッパを取ったことが原因になっていますね。
 ヨーロッパに象徴される西側というのは、よく考えてみると、多くの問題を抱えているわけです。決して西側がうまくいっているわけじゃない。西側は今、橋爪さんがおっしゃったように、極端な格差が起きたりとか、EU内の国家間でもその格差でぎくしゃくしているところがある。
 そこで仮に今回ウクライナが戦争に勝利して、西側に統合したときに、ウクライナが「ああ、よかったね、ハッピーになりましたね」となるんだろうかという疑問もある。むしろその逆で、西側諸国のEUの中の最貧国として搾取される可能性のほうが高いんじゃないかと思うんです。
 しかも、ウクライナが万が一戦争に勝つとすると、これはNATOアメリカ、ヨーロッパに支援されたおかげで勝ったということになります。そうすると、ウクライナはもう戦果を上げるほど、西側諸国の言うことを聞かざるをえない状態になっていくでしょう。だから戦争に勝った後も、素直に喜べない状況が待っていると推測してしまうんですよ。
 橋爪:しかし、ロシアに呑み込まれるよりはずっといいだろうと思うよ。問題は山積しているとしても、主権は維持できているのだから。
 大澤:それはそうなんですが、僕が何を言いたいかというと、政治理念の対立としてだけ見るなら、もっと圧倒的多数が西側やヨーロッパに参加することがすばらしいねとならなきゃいけないと思うんですよ。なぜそうならないのかと言うと、西側の理念の現実化に何か根本的問題があるからです。
 大本であるアメリカも、今、大きな危機を迎えていますね。民主主義の危機です。トランプはいまだに選挙の敗北を認めてないし、それに媚びを売って出てくる共和党員がいっぱいいて、そして、思いのほか議席数を増やしている。何というか、民主主義の最低限の前提である選挙に対する信頼そのものを壊している。
 ですから、リベラルデモクラシーを守ると言いながら、そのデモクラシーの中心にあるアメリカ自身のデモクラシーが破壊されそうな状態になっていますよね。
 トランプが成功してしまう背景にも、アメリカの中産階級の崩壊のような、いま言った格差に関係する問題があります。この問題を最終的に解決しようとすれば、やはり、橋爪さんがおっしゃったように、グローバルなレベルでの再分配しかないんですね。これに近いことは、いろんな人が言っています。
 大澤:トマ・ピケティが『21世紀の資本』(2013年)の中で最終的に出している解決法は、グローバルなレベルでの、資産も含めた累進課税です。累進課税。最近ピケティは、自分のことを社会主義者であるとはっきり言っています。世界レベルでの社会主義的な再分配ができるような政府をつくるとも。再分配の資金源として、例えば環境税を取るとか、そういう問題との関係で結構真面目に計算したりしています。まあいずれにしても、グローバルな再分配しか答えがないわけですね。
 橋爪:うん、いろいろな人が知恵を絞っても、その最適解がなかなか見つからない。これは本当に大事な問題です。
■ポスト・ウクライナのグローバル世界の行方
 大澤:そうすると、ますます元の問題に戻ってくると思うんですね。つまり、グローバルな再分配をするということは、主権国家を超えるような主権をグローバルなレベルでつくるということになります。しかもそのうえで、橋爪さんがおっしゃったように重要なのは、自由を守るということですよね。この2つを両立させることがいかにしたら可能か──。
 僕らが20世紀までに持っていた解答は、基本的には、国民国家レベルの主権を認めて、その範囲で再分配をするという作戦だったんですね。それは20世紀モデルでは、そこそこうまく回転していたんだけれど、橋爪さんがおっしゃるように、資本は国民国家よりも大きいし、国民国家とは関係なしに動くために、国民国家のレベルでの再分配がうまく機能しなくなってしまったんですね。
 橋爪:そういうことです。
 大澤:国民国家の再分配がうまくいかなかったから今日があるのに、現在の僕らの処方箋は、まだ国民国家レベルの再分配を何とかしようとうろうろしている。でも、それはうまくいかないのはわかっている。国民国家を超えたレベルでの再分配ができるシステムが必要だというのはわかる。
 しかし、そのためには、そのレベルでレジティマシーを持つような機関、あるいは地球レベルの全ポピュレーションを含んだような、非常に強い信頼というのを確保しなくちゃいけない。これは、いま起きているロシアとウクライナの戦争をどう収めるかという問題よりもはるかに大きな問題ですね。
 でも、その一つの試金石として、橋爪さんと僕はこの点では一致すると思いますが、とりあえず中国に対してどう対応していくかというプロセスの中で、中国よりも魅力的で、かつ効率的なシステムをグローバルなレベルで考える、つくっていくということですね。気がついてみれば一歩近づいたぞという構造になるというのが一番望ましいのですが。
 橋爪:そうですね。『おどろきのウクライナ』でも再三言っていますが、人類の未来を、人権も自由も平等も無視した権威主義的な資本主義に決して渡してはならない。ポスト・ウクライナのグローバル世界は、困難ではあるけれど、その気概だけは忘れず、前進していくしかないと思います。
  (構成・文=宮内千和子)
 橋爪 大三郎 :社会学者、東京工業大学名誉教授/大澤 真幸 :社会学
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