🗽6」─1─アメリカの躁うつ社会はモチベーションが高い為に奇抜なイノベーションを際限なく生み出す。~No.14No.15No.16 ② 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 日本にはアメリカほどのイノベーション力はない。
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 2022年5月19日号 週刊新潮「人間、この不都合な生きもの  橘玲
 アメリカが妄想にとりつかれる理由
 ドナルド・トランプヒラリー・クリントンが争った2016年の米大統領選挙の最中、ワシントンDCのピザ店に民主党関係者が児童の人身売買や売春を行っているとの陰謀論がSNSで拡散された。これが『ピザゲート』として有名になったのは、この荒唐無稽な話を信じた男がライフルを持ってピザ店に押し込り、発砲騒ぎを起こしたからだ。男は、虐待されている子どもたちを救おうとしたのだと述べた。
 児童虐待の噂は、幼い子どもや孫をもつ人たちを大きな不安に陥れるので、しばしばアメリカ社会に混乱を引き起こしてきた。
 1980年代には、託児所で性的虐待が行われているとの告発が大論争を引き起こした。……。
 …… 
 なぜこんな異常なことが起きたかというと、子どもへの犯罪は処罰感情がきわめて強く、警察は『悪』を摘発して市民の期待に応えようとし、裁判所は世論の反発を恐れて、冤罪の可能性を検討できなくなるからだろう。
 アメリカ国民の有病率は・・・
 アメリカではこの当時、退行睡眠で子どもの頃の抑圧された記憶にアクセスし、親からの性的虐待などのトラウマ体験を蘇らせる精神療法が大流行していた。これによって多くの親が、身に覚えのない虐待や『悪魔崇拝』で投獄される事態を招いた。
 不思議なのは、こうした異常な事態は日本はもちろん、フロイトの本場のドイツ・オーストリアや、精神分析が普及したフランスでも起きていないことだ。アメリカだけがなぜ、繰り返し妄想にとりつかれるのだろうか。
 これについて有力な説明は、『アメリカは妄想的な人間が集まってつくった国だから』というものだ。
 宗教弾圧を逃げて命がけで大西洋を渡ったビルグリム・ファーザーズは、17世紀当時のイギリス人の平均ではない。その後も多くの者たちが新大陸を目指したが、彼らを駆り立てたのは『夢と冒険』だ。保守的で堅実なひとたちは、なにもかも捨てて新天地に移住しようなどとは思わないだろう。
 双極性障害躁うつ病)の有病率は世界全体でおよそ2.4%だが、アメリア国民の有病率は4.4%で世界でもっとも高い。
 双極性障害スペクトラム(連続体)とする説では、重度から軽度にかけて大きく4つのタイプに分類する。
 ①双極Ⅰ型:うつ状態躁状態がはっきりとした精神疾患で、典型的な躁うつ病
 ②双極Ⅱ型:うつ状態は重度だが、躁は軽躁状態と呼ばれる比較的軽いものになり、場合によっては単極性のうつ病と区別が難しい。
 ③気分循環症(サイクロサイミア):軽躁状態と軽いうつのサイクルで、社会生活には問題ないものの、周囲からは『気分が変わりやすい』と思われる。
 ④発揚気質(ハイパーサイミック):うつ状態のない軽躁状態が続くことで、『活動過多(ハイパー)な性格』とされる。
 ハイパーサイミックは、『陽気で気力に溢れ、ひょうきんで過度に楽観的で、過剰な自信を持ち、自慢しがちで、エネルギーとアイデアに満ちている』『多方面に広く関心を向け、なんにでも手を出し、おせっかいで、開けっぴろげでリスクを冒すのを厭わず、たいていはあまり眠らない。ダイエット、恋愛、ビジネスチャンス、さらには宗教といった人生の新たな要素に過剰に熱中するが、すぐに興味を失う。しばしば偉業を成し遂げるが、一緒に暮らすと苦労する相手でもある』とされる。これはアメリカ人の自画像そのものだ。
 日本は『抑うつ社会』
 アメリカ人の躁うつ病(双極Ⅰ型)の罹患率が25人に1人だとすれば、ハイパーサイミックは10人に1人、あるいはもっと多くても不思議はない。彼ら/彼女たちはモチベーションが高く、創造性にあふれ、リスクを冒して大胆な行動をとるので、社会的・経済的に成功しやすい。
 だが、よいこともあれば悪いこともある。ひとつは、ハイパーサイミックは躁うつ病へと至る連続体で、強いストレスが加わると(より重度の)サイクロサイミアから双極Ⅱ型に移行するかもしれない。このことは近年、経済格差の拡大するアメリカでうつ病が急増し、大きな社会問題になっていることと符合する。
 もうひとつは、妄想(パラノイア)につながる負の側面があること。アメリカは建国以来、至るところで『ファンタジー(魔術思考)』が噴出し、しばしば『狂乱』に陥ってきた。世界は『ディープステイト(闇の政府)』に支配されているというQアノンの陰謀論や、『選挙は盗まれた』としてトランプ支持者が米連邦議会議事堂を占拠した事件は、その最新のヴァージョンなのかもしれない。
 これに関して興味深いのは、日本人の双極性障害の有病率は0.7%ほどで、世界でもきわめて低いことだ。そうなると裾野を形成する双極Ⅱ型やサイクロサイミア、ハイパーサイミックの割合も低くなるはずだ。
 だがその一方で、日本人の自殺死亡率はあいかわらず先進国のなかでは(韓国に次いで)もっとも高く、アメリカと同様、うつが大きな社会問題になっている。
 あくまでも私見だが、これはアメリカが『軽躁社会』で、日本がメランコリー型うつ病(単極性うつ病)に罹患しやすい『抑うつ社会』だと考えれば、うまく説明できる。
 日本人は内向的で神経症傾向が強く、改良は得意だがイノベーションが苦手で、日本社会は時刻表通りに電車が運行しないと許されず、感染症は『同調圧力』で対処する。
 個人でも社会でも、目に見えるちがいの背景には遺伝的・生物学的基盤がある。これをわたしたちは個性や国民性と呼ぶのではないだろうか」
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 人種・民族は、先天的な遺伝子・DNA・染色体と後天的な環境としての自然・地形・社会・文明・文化・伝統・言語・軍事そして宗教などで分断され差別されている。
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