🗽7」─4─アメリカ建国者は先住民の『イロコイ』から連邦制を学んだ。~No.25 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 自然破壊や貧富の格差などの諸悪の根源は、第一次産業革命であった。
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 子供や孫の事を考える大人は少数派で、考えない大人が多数派である。
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 2019年10月号 中央公論「『未来』の社会を創造する
 将来世代を取り込む制度設計
 フューチャー・デザインとは何か?
 西條辰義
 いま日本は、そして世界は、気候変動の激化や、生物多様性の崩壊、政府債務の膨張など、解決に非常に長い時間がかかる問題に直面している。例えば、気候変動においては昨年10月、国連『気候変動に関する政府間パネル(IPOO)』より、人間と自然生態系が持続可能であるためには、産業革命前の水準から1.5度以内の気候上昇に抑えなければならず、そのためには2050年頃までに二酸化炭素の排出量をゼロにする必要がある、とのレポートが提出された。もはや猶予はなく、最後通牒といえる内容である。
 環境問題も深刻だが、転じて日本の財政赤字も深刻である。国債と地方債の総額残高は約1,100兆円で、日本の国内総生産の2年分を超えている。当然ながら財政赤字は将来世代へとつけ回されるもので、その解決もまた大変な課題だ。
 私たちが、現世代のみならず将来世代にまで影響を及ぼす、長期にわたる問題を解決しがたいのは、『民主制』や『市場』という仕組みを採用しているからである。これは、将来世代の利害を取り込むことのできる仕組みではない。それでは、持続可能な社会と自然を将来世代に残すには、どのような社会の仕組みをデザインしたらよいのだろうか。民主制や市場を縛り、将来世代を取り込む仕組みのデザインとその実践を目指して誕生したのが『フューチャー・デザイン』である。
 長期課題に取り組めない4つの特性
 フューチャー・デザインは、2012年以来、いくつかの大学で研究が進み、いくつかの地方自治体では取り組みが始まっている。その具体例を紹介する前に、まず、なぜヒトは長期的な課題を解決しがたいのか検討したい。
 神経科学者のロバート・サポルスキーによると、ヒトには特性があるという。1つ目は〈相対性〉で、我々の五感は絶対量ではなく、その変化に反応する。例えば急に暗くなったり、大きな音がしたりすると、ヒトは強く反応する。これは自己の生存可能性を高めるための特性で、そこには変化のないところ(評価関数の最大点)を求める、最適性の原理がある。2つ目が〈近視性〉だ。ヒトは、目の前の美味しいものを我慢して食べずにいることは難しい。つまり衝動性があり、これを拡大解釈したものが近視性だ。一方で、ヒトは複数の人々が連携を取り、他の動物をも制覇する〈社会性〉も併せ持つ。これが3つ目の特性だ。
 私はこれに、同じ神経科学者のターリ・シャーロットが挙げる〈楽観性〉を加えたい。シャーロットによると、どうも我々は、過去の嫌なことを忘れ、今の快楽を追い求め、将来を楽観的に考えるように進化した可能性があるのだ。
 これらヒトの4つの特性を色濃く反映した社会の制度が、先に挙げた民主制と市場である。民主制は〈現在生きている人々の利益を実現する仕組み〉であり、〈将来世代を取り込む仕組み〉ではない。想像していただきたいのだが、市長選挙に、自然環境のために化石燃料を使った移動を禁止するという公約を掲げ出馬したなら、当選はおぼつかないだろう。一方の市場も〈人々の目の前の欲望を実現する優秀な仕組み〉ではあるものの、〈将来世代を考慮に入れて資産配分をする仕組み〉ではない。残念ながら、将来世代は現在の市場でその意思を表明することができないのである。
 経済史学者のロバート・C・アレンによると、ヨーロッパでは14世紀半ばの黒死病で人口が激減したために、イギリスでは賃金が高騰した。同時に都市化が進展し、木材価格が上昇した。そこでエネルギー源として求められたのが、たまたま手近で豊富にあった石炭だったのである。そして、炭鉱でたまる水を汲み上げるために、高価な労働者に代わって揚水ポンプを動かしたのが蒸気機関である。まさに有機エネルギーから化石エネルギーへの転換が起こり、『産業革命』を経て様々なイノベーションを経験してきたのである。
 これらのイノベーションは、ヒトの相対性、近視性、楽観性を強化し、フィードバックを引き起こす。これがさらに少しでも利便なもの、楽になるものへという、イノベーションの欲求につながる。加えて民主制や市場は、さらなる効率化や、グローバル化を促す。このフィードバックの連鎖が、ますますヒトの相対性、近視性、楽観性を強化し、際限のない成長を目指す社会を形作っていくのだ。一方で、この連鎖によって、先述のような様々な失敗を引き起こしてきたといってよい。
 ……
 意思決定は7世代後を考える。
 フィーチャー・デザイン研究の出発は『イロコイ』である。北米先住民は、5ないし6部族による連邦を組み、この連邦国家の総称をイロコイといった。そして彼らは、重要な意思決定をする際に、自己を7世代後に置き換えて考えたという。想像するに、平和を維持するために遠い将来に視点を移し、そこから今を考えるのであろう。アメリカ建国者たちは、イロコイから連邦制を学び、それを13の植民地の結束に用いた。建国200周年の際には、上院と下院でイロコイの貢献に感謝するという共同議文を発してもいる。ただし、アメリカの憲法に連邦制は残ったものの、『7世代後』の考え方は残らなかったようである。
 イロコイの憲法に相当する『偉大な結束法』の28条には、『すべての人々、つまり、現世代ばかりでなくまだ生まれていない将来世代を含む世代を念頭におき、彼らの幸福を熟慮せよ』と記されている。つまり、イロコイ連邦における社会の仕組みの根幹である憲法で、将来世代の幸福を熟慮するという制度(社会装置)をデザインしていたのである。一方で現在、多くの国々の憲法には、『将来』『世代』『未来』という語句そのものがない。すなわち、今の世代は、イロコイの憲法28条に相当する社会装置をデザインしていないのだ。そこで、フューチャー・デザインは、民主制や市場のもとで眠っていた将来可能性を目覚めさせる社会装置をデザインし、実践することを目指しているのである」
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 人類文明とは、強奪文明である。
 生活を向上し豊かさをもたらし富を築く為には、何かを犠牲にし、何かを捨て、何かを破壊する事によって得られた。
 人間の尽きる事のない満たされない欲望が、人類の進化・進歩、社会の革新、経済の発展を促す。
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 現代日本の大人達は、自分の事を考え子や孫の事など考えてはいない。
 今の自分一人の豊かな生活資金と安心できる老後資金を確保する為に、多額の負債を子供や孫に押し付けても罪悪感を持っていないどころか、自分の権利だと確信している。
 環境破壊も同様である。
 30年後40年後には死んでいるであろう現代の大人にとって、財政赤字も自然破壊による地球温暖化と気候変動は関心が薄い。
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 昔の日本・日本民族日本人は、全てにおいて次世代の事を考えて行動していた。
 その代表が、植林事業であった。
 共存共生の生き方の起源は、縄文時代に遡る。
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