🗽20」─1─アメリカは南北戦争のイノベーションで劇的な社会発展を遂げ大国に成長した。~No.76No.77No.78 ⑨ 

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 2022年10月12日 YAHOO!JAPANニュース 幻冬舎ゴールドオンライン「アメリカが「イノベーション大国」であり続ける納得の理由
 (※写真はイメージです/PIXTA
 いくら天才的な頭脳の持ち主がいて先進的な技術の種があっても、社会の仕組みが彼らのモチベーションを喚起し、トライアンドエラーへと立ち上がらせるようなものになっていない限りイノベーションは生まれません。19世紀イギリスで「産業革命」というイノベ―ションが成立したのは、単に「蒸気機関が登場したから」ではなく、これらが当時のイギリスにあったからでした。イノベーションを起こすには何が必要か。本稿では、イノベーション大国・アメリカを例に見ていきましょう。
 南北戦争の決着後に起こった「劇的な社会発展」
 イギリスの産業革命を引き継いでアメリカで進んだイノベーションも、制度の重要性を端的に示すものでした。
 アメリカでも1865年の南北戦争の決着後、一気に生産性の向上と社会変革が進みます。それがその後の情報通信革命を凌ぐ一回きりの大きな社会変革をもたらすものだったと分析するのは、『アメリカ経済 成長の終焉/上・下』(高遠裕子・山岡由美訳 日経BP社)の著者、アメリカの経済学者ロバート・J・ゴードンです。
 アメリカ初の大陸横断鉄道は1869年に開通します。それに続いて自動車の普及と道路の整備が進みます。他方、アレクサンダー・グラハム・ベルが1876年に電話機を発明すると、わずか2年後の1878年には全米で約150社の電話会社が設立され、営業活動を始めます。
 1879年にはトーマス・エジソン白熱電球を完成させ、3年後には「パール・ストリート・ステーション」という大規模な中央発電所をニューヨークに開設して本格的な「電気の時代」を開きます。そして1892年には競合メーカーであったトムソン・ヒューストン・カンパニーと合併してゼネラル・エレクトリック・カンパニー(GE)を設立し、白熱電球の普及に大きく前進しました。その後もさまざまな電化製品の開発が急速に進み、ミシン、扇風機、掃除機、録音機、冷蔵庫、ラジオ、テレビなどが1930年までの50年間ほどの間に続々と登場、爆発的に普及していきます。いずれも人々の労働や日々の生活を劇的に、そして不可逆的に変えるイノベーションでした。
 イノベ―ションを促すアメリカの資本主義
 なぜこれほどまでの劇的な社会発展がアメリカで可能であったのか、先のアセモグルとロビンソンはこう説明します。
 「合衆国における特許取得を巡る注目すべき事実は、特許を与えられるのが金持ちやエリートだけではなく、あらゆる境遇、あらゆる階層の人々だったということだ。(中略)19世紀の合衆国ほど、政治に関して民主的な国が当時の世界にほとんどなかったのと同じように、イノベーションに関してもこれほど民主的な国はまずなかった。(中略)いいアイデアはあるのに資金がなかったとしても、特許を取ることに問題はなかった」(前掲書)
 さらに特許取得だけでなく、起業するための資金獲得もこの時のアメリカでは容易でした。アセモグルとロビンソンが示した数値によれば、1818年にアメリカ国内で営業していた銀行は338、総資産は1億6000万ドルだったのに対し、1914年には2万7864の銀行が営業し、総資産は273億ドルに達していたのです。資金調達をささえる金融業が急速に拡大し、貸し手の間の競争は借り手が負担する金利を低く抑えることにつながりました。
 当時のアメリカは、投資をすればリターンが得られる資本主義の新世界だったのです。だからこそ電話機の発明はすぐに電話会社の設立につながり、白熱電球の完成は、直ちに発電所の建設と送電網の整備へとつながっていったのです。人が編み出したあらゆる技術、科学、道具は生活を豊かにする最新技術として一気に社会実装されていきました。
 アメリカという国自体が、全員参加型の自由な経済の世界だったという点こそ大きなポイントです。そのためイギリスの産業革命で開発された設備機械や工場生産のノウハウ、経営システムが入ったとたん全員参加型で一気にイノベーションが起こり、そして世界の最上位の国家の一つになっていったのです。さらにこの全員参加型のエコノミーは、挑戦する人の母数も増やしました。母数が増えれば自動的に技術アイデアが増え、トライアンドエラーの数も増えていきます。
 このように、アメリカには伝統的に自由な精神とチャレンジスピリット、それを支える力強い資本主義のシステムと投資家の存在がありました。それやがてシリコンバレーを生み、グーグルやアップル、アマゾン、マイクロソフト、メタなど、巨大IT関連企業を生み出す地となり、デジタルプラットフォームを形成する新たなビジネスモデルで、企業の時価総額ランキングで世界上位を占めていくことになるのです。誰でも成功者になれるアメリカンドリームとは、包括的な社会が存在しているということの裏返しの仕組みなのです。
 資本主義は、イノベーション創出に必須の仕組みだった
 アメリカの資本主義を成功者が得る巨額の富やそれによって生まれる格差が大きいという問題から否定したり、揶揄する風潮が日本にはあります。確かに格差是正という課題は残ります。しかし積極的に評価すべきは、誰もが社会を変える大きなインパクトのあるアイデアを容易に試すことができ、たとえ失敗してもチャレンジが続けられることです。そしてそのなかから優れたアイデアが産業として育ち、新製品やサービスとして社会に定着していく力を社会が全体としてもっているということです。失敗はむしろ評価され、次の挑戦を後押しするという土壌があるのです。
 オックスフォード大学経営大学院のマンゴー・ウィルソン教授はこう言っています。「人類が生み出した資本主義が前提とする自由取引が重要である本当の理由は、おそらく配分効率ではなく、それが創造的破壊からのイノベーションを生み出す仕組みであったためだ」と。イギリスで誕生しアメリカが輸入した資本主義は、イノベーションという人類社会進化の新たなプロセスにとって必須の仕組みでした。
 太田 裕朗
 早稲田大学ベンチャーズ 共同代表
 山本 哲也
 早稲田大学ベンチャーズ 共同代表
 太田 裕朗,山本 哲也」
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