🔯28」─1─塩野七生さん「ギリシア人の物語」「ローマ人の物語」「十字軍物語」。~No.88No.89No.90 @ 

逆襲される文明 日本人へIV (文春新書)

逆襲される文明 日本人へIV (文春新書)

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。  
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 日本の政治家・官僚・学者などの高学歴出身知的エリートが学ぶべき事。
 だが、夜郎自大的なリベラル派、革新派、エセ保守派は、狭い範囲のマルクス主義共産主義を学んでも、広い範囲を学ぼうとはしない。
 視野狭窄の保守派や思慮分別なき単細胞的な右翼・右派・ネット右翼はさらに最悪である。
 現代日本の政治家の劣化・退化が止まらない。
 彼らの最大の関心は、自分の当選だけである。
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 2017年12月18日 産経ニュース「塩野七生さん「ギリシア人の物語」完結 衆愚政に堕しないために…「日本の繁栄は強いリーダーを持てるかにかかっている」
「私のように分厚い本を書く人間はいまや絶滅確実種です」と笑う塩野七生さん=11月29日、東京都新宿区の新潮社(酒巻俊介撮影)
 作家生活50年を迎えた塩野七生さんが「最後の歴史長編」と決めて取り組んでいた『ギリシア人の物語』第3巻「新しき力」がついに完成した。第1巻「民主政のはじまり」、第2巻「民主政の成熟と崩壊」と紡がれてきた物語の掉尾(ちょうび)を飾るのはマケドニアアレクサンドロス大王だ。同時に地中海世界の2500年(都市国家アテネの台頭からベネチア共和国の滅亡まで)を描き切ったことになる。ローマから一時帰国した塩野さんに聞いた。(桑原聡)
 塩野マジックと言うしかない。これまで点として存在していた人物や事柄が線で有機的につながり、古代ギリシアの歴史が浮き彫りにされてゆく。
 全巻を読み通して痛切に感じたのは、民主主義の扱いにとまどう日本人に対する力強いメッセージである。そう感想を伝えると、「私は日本人に向けてメッセージを発しようとは思っていません」と塩野さんは言下に否定し、こう言葉をついだ。
 「そう思って書くと、史実の中から自分にとって都合のよい部分だけを拾ってしまうでしょう。私はこの物語で民主政がどのように生まれ、どのように機能し、どうしてだめになっていったかを書いたにすぎません。あなたがそのような感想をお持ちになったのは、民主政があっという間に衆愚政になってしまったアテネと現在の世界とが重なって見えるからではないでしょうか」
 結論から言えば民主政こそ有能で力強いリーダー(エリート)が必要だということだ。国民の多様な意見に耳を傾ければより良い施策ができるかといえば、答えはノーだ。多様な意見を統合して国民を喚起する能力を持つ独裁的なリーダーがいないかぎり、民主政は衆愚政に堕する。
 「アテネが軍事経済文化の面で大国となったのはペリクレスの時代です。彼は民主政の中で30年もリーダーとして君臨しました。日本では5年続く安倍政権に対してメディアが『安倍一強』と揶揄(やゆ)していますが何が問題なのでしょう」
 塩野さんは第2巻にこう書いている。《こうも貴族的でこうも非民主主義的な男によって、アテネの民主政は、それ以前にもそれ以後にも実現しなかったほどに機能できたのであった》
 問題は民主政をどう機能させるのか、なのだ。そのペリクレスがいなくなったアテネは坂を転がるように衆愚政に堕し、ペロポネソス戦役で敗北、アテネのみならずギリシア全体が衰退してゆく。ソクラテス裁判は、衆愚政の中で起きた象徴的な出来事だった。
 「アテネは50年かけて築いた繁栄を25年で台無しにしてしまいました。日本の繁栄は東京五輪からとすると50年。さて、この先どうなるか。それは強いリーダーを持てるかどうかにかかっています」
 第3巻の主役であるアレクサンドロス大王についてはどうか。
 「彼が目指したのは広大な共栄圏でしたが、32歳で亡くなったため、その夢はローマが実現することになりました。今の世界は、共栄圏という発想を失っています。アメリカは縮小方向のアメリカ・ファースト、チャイナは拡大方向のチャイナ・ファースト。特に中華思想に毒されたチャイナに共栄圏の発想があるはずがありません。この本もチャイナで翻訳が出ると思いますが、かの国でどう読まれるか興味津々です」
 こんな時代を航海するためにも、先の総選挙で大勝した自民党は、強いリーダーの下で、野党議員の才能を活用すべきだという。
 「自民党は謙虚になる必要はありません。オープンになるべきなのです。与野党にとらわれず、ボーダーレスに才能を活用する。国会討論を見ても、野党にも人材はいますよ。そうすれば、自民党の議員もうかうかしていられなくなる。どうでしょう」
 古代ギリシアと現代を往還する話はつきることがない。最後に塩野さんは先の総選挙、特に「小池劇場」に触れてこんな感想を述べた。「日本人はエモーショナルに傾斜している。それが心配です」」


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