🔔19」─1─アメリカの『闇の歴史』。1973年以来中絶で殺された胎児は約6,300万人。〜No.56No.57No.58 

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 2022年6月27日 MicrosoftNews FNNプライムオンライン「「中絶の権利」否定に抗議 一方で支持も 深まる分断
 © FNNプライムオンライン
 アメリカの連邦最高裁判所が「中絶は女性の権利」だと認める判決をくつがえしたことに、全米各地で抗議活動がやまない。
 自分の体のことは自分で決めると、最高裁の決定に失望した多くの女性たちから怒りの声が上がっていた。
 その一方で、こんな出来事も。
 抗議する人たちの行進を邪魔しようと現れた、ピックアップトラック
 止めようとする人々を引きずるようにしながら、強引に走り去っていった。
 賛成派と反対派の分断は、より深まっている。
 中絶反対派「彼らは赤ちゃんを殺してきた。これからはもうさせない!」
 中絶を行うクリニックの前で叫ぶ人々。
 最高裁の決定を受けて、閉鎖するクリニックが出てきているほか、妊娠相談センターに火がつけられるケースも...。
 アメリカでは国民の半数以上が中絶の権利に賛成している一方で、今回の決定を受け、50の州のうち、およそ半分で中絶が規制されるとみられている。
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 令和4年7月号 正論「日本が無視できない米の妊娠中絶訴訟
 ジェイソン・モーガン
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 中絶は『文化戦』
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 憲法に明記ない単語
 私のような中絶反対派は自分たちのことを、無辜(むこ)胎児とその母親を守るために戦っていると認識している。胎児が殺されているのならば一刻も早く〝大虐殺〟を止めさせたい──。私だけでなく多くのアメリカ国民が同じような強い思いを持っている。
 そもそも中絶問題はなぜアメリカでこれほど大きな問題なのか。実はこの問題はアメリカに深く絡み合っている。
 アメリカではかつて奴隷制度の法律的大前提は黒人が『人』ではないことだ。合衆国憲法の最大の欠点だった。憲法では、奴隷を『奴隷』と明示していないが、下院議員の選出と直接税の課税基準で、『課税されないインディアン』を除外した自由人の総数に『自由人以外のすべての人数の5分の3を加えたものとする』と書かれていた。黒人は白人の『5分の3』としてしか数えられなかったのだ。
 1857年の『ドレッド・スコット対サンフォード事件』で、最高裁はドレッド・スコットという北部に住んでいた奴隷の『解放されたい』との訴えを退けた。この判決は、4年後に始まる南北戦争の大きな原因だった。
 ……
 闇の歴史
 アメリカではかつて、中絶などを使って非白人の人口を抑制し、できる限り減らそうとしていた。ただ、これはアメリカ国内だけの問題にとどまらない。海外、特に日本とも深く絡んでいる問題なのだ。
 最高裁が取り上げている中絶問題はアメリカの闇の歴史をのぞかせるものだ。
 ……
 ただ、司法的な次元だけでアメリカでの中絶問題は理解できない。アメリカでの中絶、避妊問題は、私が呼ぶ『民主党精神』、つまりアメリカにおける初期グローバリズムの考え方から来る。『民主党精神』は人種差別主義や非白人の大幅人口削減など、アメリカエリートの『闇の歴史』に深く根差している。
 アメリカでは人種差別主義があったから奴隷制度ができたのではなく、奴隷制度が先にあった。合衆国として独立するだいぶ前から、アメリカに住む白人(つまり、ヨーロッパから船でアメリカ大陸に来て、インディアンが大昔から住んでいた土地を奪ったよそ者)が、ヨーロッパに比べて広い農場で作物を栽培していた。土地があったといっても、足りないのは労働だった。
 たまたまアフリカから拉致されてブラジル、サン・ドマング(現在のハイチ)から連れて来られた黒人が人身売買される制度があったので、バージニアなどに住むヨーロッパ系の人々は彼らを買い取って農場で働かせた。
 奴隷制度はアメリカを大きく変えた。特に土が肥沃(ひよく)だった南部では、農場を所有する白人が自分の『所有している』奴隷を見張っていて、自然と白人が黒人に比べて優れていると考えるようになった。人種差別思想が芽生えたのだ。黒人が脱走しないよう厳しく取り締まる必要からも人種差別制度が起こり、その基本的思想や制度の上に民主党が生まれた。
 民主党は最初から白人の党だった。白人至上主義の党とも言える。南北戦争が終わって奴隷制度が廃止されても、民主党の基本的思想は変わらなかった。
 だかあといって、白人至上主義者の全てが民主党の一員だとは言えない。ただ、北部に住み奴隷制度が野蛮的だとして賛成できない白人の多くも、黒人が白人と平等だとは思わなかった。南部でのリンチ、人種差別に耐えられないと北部に逃げる黒人は多くいたが、初めて黒人に接した北部の人々は、南部の人々よりも人種差別主義者になった。
 それはちょうどアメリカ合衆国が初めて帝国主義国家になろうとしていた時期に重なる。キューバ、フィリピン、グアムなどに非白人に出会う機会が増えれば増えるほど、白人の優秀性を確認して非白人の『未開』を唱えるアメリカ人は多かった。
 第一次世界大戦後の1919年のパリ講和会議牧野伸顕ら日本代表団が提案した『人種的差別撤廃提案』を踏み潰したのは、ウッドロウ・ウィルソン米大統領だった。彼は代表的な民主党員だ。
 日本人という非白人が、白人のように強い帝国を築くことがどうしても許せないのが民主党の白人だった。フランクリン・ルーズベルトも、日本に原爆投下を指示したトルーマン大統領も代表的な民主党員だ。
 人種差別主義に満ちた民主党精神は、アメリカにおけるグローバリズムのルーツだ。ウィルソンが『クークラックスクラン(KKK=白人至上主義の結社)』の支持者だったことはよく知られている。
 『優生学』(eugenics)という偽科学(pseudo-science)を唱えるマーガレット・サンガーがいた。彼女は1916年にアメリカに初めて避妊クリニックを創立して、人口削減に本格的に取りかかった。とりわけ非白人の人口を抑えなければ、白人という『優れている』人種がアメリカ国内でも全世界でも追いつかれると心配していた。サンガーはウィルソン同様、KKK支持者だった。
 サンガーの思想は日本にも大きな影響を与えている。1922年に日本のフェミニズムの先駆けだった加藤シズエの誘いを受けて初来日したサンガーは、『避妊』をテーマにして各地で講演した。
 当時、医学や衛生学の進歩でアメリカも人口が急増していた。加藤の場合は子供の数を制限したいのが動機だったが、サンガーは違う。サンガーは、白人の『人種的純粋さ』を守って白人女性の豊饒を促し、非白人の数を減らして、白人との競争力を弱めることだった。
 彼女が貧しい黒人を『人間の雑草』と書いた記録もある。2009年、サンガーを『憧れの存在だ』と称賛したヒラリー・クリントン氏は、『マーガレット・サンガー賞』を受賞した。言うまでもないがヒラリー氏は民主党だ。
 戦後、連合軍最高司令部(GHQ)の公衆衛生福祉局長だったクロフォード・サムスも日本での中絶政策に関わった一人だ。日本を支配したアメリカ占領軍は、社会的に保守的なアメリカでできなかった政策を、降伏し抵抗することもできない日本で自由に実験して実行することができた。
 1948年の『優生保護法』が採用されて以来、日本は世界の『中絶パラダイス』と呼ばれるようになった。
 全世界の非白人に対する罪
 ここ数年、黒人評論家の口からよく聞かれるのは、『民主党は中絶を使ってブラック・ジェノサイド(黒人大虐殺)を行っている』という厳しい言葉だ。キャンディス・オーウェンズという保守系の評論家も、アメリカ政府が黒人に対して行ったことを『ブラック・ジェノサイド』と言っている。ナイジェリア女性で科学者のナビアヌジュ・エケオチャ氏も、アメリカン・グローバリストがアフリカを『標的』にして黒人人口を減らそうとしていると、容赦なく民主党の人種差別を批判している。
 私はアメリカで全米家族計画連盟を経営する中絶クリニックの前で祈ったことがある。そのクリニックは必ずと言っていいぐらい黒人、ヒスパニックなど少数派が多く住む地域に建てられている。それは偶然ではない。
 中絶に反対し、胎児とその母親を救おうとしているのがいわゆる『プロ・ライフ』だ。あらゆる人間お生命を、受精の瞬間から亡くなる瞬間まで尊重したい、その命を同じ人間の仲間として守りたいと思う人たちである。
 プロ・ライフ活動家で私の友人でもあるウィル・グッドマン氏が最近、アメリカの政治や生命などに関するニュースを報道するサイト『ヒューマン・ライフ・レビュー』のインタビューに応じた。
 その中でグッドマン氏は1973年以降のアメリカの中絶制度を『アメリカン・ホロコースト』と表現した。私がこの発言を大手保守系サイト『ザ・アメリカン・コンサーバティブ』で紹介したら、大きな反響があった。賛成している人が意外と多い。
 1973年以来、少なくとも6,300万人の胎児が子宮内で解体され、切断されてバラバラになり、掃除機のような機械によって出された。6,300万人はナチスが犯したユダヤ人大虐殺より多く、まさに『ホロコースト』の形容詞がマッチしている。
 アメリカの『闇の歴史』を直視することは極めて重要だが、国内の話だけでない。最高裁が『ロー対ウエード判決』を覆しても、日本も含めて全世界の非白人に対して犯した罪を無視すれば、『闇の歴史』に真剣に向き合って反省したとは決して言えないのだ。
 日本でもプロ・ライフの仲間は毎年7月の『海の日』(つまり『産み』の日)に東京都内で『マーチ・フォー・ライフ』の行進を行っている。活動はアメリでも紹介され、応援の声が届いている。全世界では、反グローバリスト支援者とプロ・ライフ支援者が協力をするようになっている。日本もすでにその輪に入っている。
 最後に、アメリカは『人の定義』をめぐって南北戦争という内戦をしたことがあることを忘れてはならない。今もそのような背景が濃くの残っているので、人間が人間だと認めなかった最高裁が急に、人間は人間だと認めれば、国がまた大混乱に陥って、再び内戦に発展することは十分あり得る。
 その混乱を、強制中絶の大国、中国が見逃すはずがない、中絶問題をめぐってアメリカ社会が混乱を極めることは、中国にとっては好機となる。日本もアメリカという後ろ盾を失うかもしれないことから、尖閣諸島などを守るためにも今から準備をした方がいい。
 『プロ・ライフ』は結局、『プロ・ジャパン』んあのだ。」
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