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2021年6月1日 MicrosoftNews zakzak「【展望 米中覇権争い】中国は宇宙戦で「制宙権」を目指す! 人民解放軍が主導権握り軍事優先、日本の衛星も標的に
「宇宙を制する者が世界を制する」という格言がある。宇宙空間は今や、軍民両分野において最も重要な空間であり、米中が「制宙権(=宇宙の支配権)」を巡る争いを展開している。その中で、中国の宇宙開発の特徴は、人民解放軍(PLA)が主導権を握る軍事優先である。
中国の宇宙開発は最近、驚くべき成果を出している。だが、以下記述する中国の「月探査」「火星探査」「宇宙ステーションの建設」はすべて、軍民両分野における制宙権を握るためのプロジェクトであることを最初に指摘したい。
2019年1月、月探査機「嫦娥4号」は月の裏側への難しい着陸に成功した。20年6月、宇宙シルクロード構想の骨幹である中国版GPS「北斗衛星導航系統」を完成させ、正確なナビゲーションと時報サービスを世界各国に提供している。
中国は20年7月23日、ロケット「長征5号」により火星探査機「天問1号」の打ち上げに成功し、「天問1号」搭載の火星探査車「祝融」は21年5月14日、火星に着陸し探査を開始した。
21年4月29日、中国独自の宇宙ステーション「天宮」の中核となる「天和」が「長征5号B」ロケットにより打ち上げられた。「天宮」は22年末までに完成予定だ。
しかし、この長征5号Bの巨大な残骸が宇宙空間から地球に落下する際、中国はこれを安全な所に落下させる努力を完全に放棄した。この無責任な姿勢は、07年に対衛星ミサイルで自国の衛星を宇宙で破壊する実験を行い、大量のデブリを発生させ、世界中から非難を浴びた事案と同根である。中国の宇宙開発の根本に、こうした問題があることを指摘しておく。
米国家情報長官の報告書「グローバル・リスク評価」は、「中国は最大の脅威だ。中国は、米国の軍事および経済における宇宙への依存を脆弱(ぜいじゃく)性と見なしている。すでに低軌道衛星を破壊可能な、地上配備の対衛星ミサイルと対衛星レーザーを保有している。人民解放軍の戦略支援部隊は、19年に低軌道衛星を標的とした対衛星ミサイルの訓練を開始した。人民解放軍は、紛争の初期に米国の宇宙システムに対する攻撃を行う可能性がある」と警告している。
軍主導の宇宙開発の主人公は人民解放軍の戦略支援部隊であり、米軍も注目するこの部隊こそ宇宙戦のみならず、「情報戦」「サイバー戦」「電磁波戦」を担当する中国の全領域戦の中核部隊だ。
戦略支援部隊のターゲットは米軍だけではない。日本の衛星も戦略支援部隊の攻撃目標であることを認識し、それへの対抗手段を保持すべきだ。
■渡部悦和(わたなべ よしかず) 元陸上自衛隊東部方面総監、元富士通システム統合研究所安全保障研究所長、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。1955年、愛媛県生まれ。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書に『自衛隊は中国人民解放軍に敗北する!?』(扶桑社新書)、『中国人民解放軍の全貌』(扶桑社新書)など。」
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