🐉35」─2─中国で急増するキリスト教徒 共産党監視下なのになぜ?~No.140No.141No.142 

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 中国の歴史の事実として、歴代王朝末期には宗教関係の秘密結社が貧民救済を標榜して叛乱を起こし、王朝が叛乱に鎮圧に失敗すると滅亡した。
 王朝を支える儒教は、仏教などの宗教を謀反人の集まりとして弾圧した。
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 2020年12月19日 MicrosoftNews Forbes JAPAN「中国で急増するキリスト教共産党監視下なのになぜ?
 廣田壽子
 中国海軍、瀬取り監視を牽制 増強裏付け、包囲網に警戒
 © Forbes JAPAN 提供もうすぐクリスマスがやってくる。意外にも中国で、クリスチャンが急増しているのをご存知だろうか。
 中国の総人口14億人のうち、キリスト教徒が約5%を占めている。中国でキリスト教会が公然と活動するには、中国共産党政府が認めた団体に所属し、政府当局に登録しなければならない。政府は教会に対して、教会は、外国の影響力を排除し、中国人によってが教会運営することを要求している。非公認の教会を含めると、総人口のうち約10%に近い1億3000万人に上るという見方もある。
 なぜ、いま中国でキリスト教徒が増えているのだろうか。キリスト教プロテスタントの信者である筆者は、中国滞在中の9年間、上海の教会に出席していた。その体験をふまえて、中国の教会の実情についてレポートする。
 上海の教会、ある日曜日。1日の礼拝者数は2000人
 上海市の中心部・長寧区にある上海沪西教堂。レンガ色の外壁、正門には金色で教会名が見える。101年の歴史をもち政府に公認されたプロテスタント教会だ。
 日曜日の午前8時半。教会の前には9時半から始まる第二回目の礼拝に出席するために信者が並ぶ。やがて、前の時間の礼拝が終わり、門が開けられると、人々がなだれのように出てくる。高齢者が目立つが、中高年や若い人もいる。完全に退出し終わると、第2回目の礼拝に出席する人が堂内に入る。
 礼拝室は1階のメイン礼拝室と2階の礼拝室、そして4つの小礼拝室がある。メイン礼拝室の奥には講壇があり、背後には十字架が掲げられている。カメラとマイク、大きなスクリーンが設置され、どこの礼拝室にいても講壇の様子が映し出され、礼拝できるようになっている。
 教会の収容人数はメイン礼拝室が約400人、2階席は100~200人、小礼拝室は合わせておよそ150人だ。礼拝開始15分前になると、どの礼拝室もほぼ満室になる。礼拝プログラムは開会の祈り、礼拝者全員による讃美歌斉唱、聖歌隊による特別讃美、聖書購読、牧師の説教、新来会者歓迎など日本のプロテスタント教会とほぼ同じだ。礼拝は中国の共通語である普通語で行われる。
 11時半頃礼拝が終了。感慨深く満足そうに席を立つ人々。出口のところで献金箱にお金を投げ入れて教会を後にする。
 礼拝時間は毎週日曜日の朝7時半、9時半、夜7時から。3回の礼拝者の合計は1800人~2000人になる。日本の教会は礼拝出席者が40~50人のところが多いので、それと比べると想像しがたい数だ。
 欧米の中国侵略と同時進行した「キリスト教布教」
 中国では文化大革命(1966~1976)中、国内の宗教施設や文化財が破壊焼却された。キリスト教会も閉鎖され、没収された礼拝堂は別の目的で使われ、聖書や讃美歌はことごとく焼却された。文革終結後、文革の誤りを訂正する過程で、1982年に制定された中国の新憲法の中で「宗教の自由」が保障されている(36条)。だが、条文には宗教を利用して社会秩序を乱すことを禁じ、国外の勢力による支配を受けないことが明記されている。
 中国では信者が比較的多い宗教にキリスト教以外に仏教、道教イスラム教などがあるが、共産党政府はキリスト教に対しては政府の監督下においてのみ存続を認めている。
 なぜ、中国共産党政府はキリスト教をかくも警戒しているのだろうか。理由は過去の歴史にある。
 今から180年ほど前の清朝末期、欧米列強によるアジア進出が活発化した。英国はインドで栽培したアヘンを中国に輸出しようとしたが、清はアヘンの輸入を禁止し、吸引者や販売者の死刑を執行しようとした。英国商人の保有するアヘンを焼却したのをきっかけに英国が軍隊を派遣しアヘン戦争が起こった。その結果、清が敗北し、2年後の南京条約では香港島の割譲、多額の賠償金支払い、上海、広州など5港の開港、治外法権などの一方的な不平等条約を締結することになる。
 さらに、20世紀初頭、日清戦争で清が日本に敗北すると、西欧列強は清の弱体化を再確認した。ドイツ、フランス、ロシア、日本、米国などが中国における領土割譲、鉄道施設権、鉱山採掘権など利権を要求した。
 一方、これと平行してキリスト教布教が進んだ。欧米各国から宣教師が中国に派遣され、多くの中国人信者を獲得したのだ。
 中国の礼拝© Forbes JAPAN 提供 中国の礼拝
 中国共産党非公認の教会も増えている(Getty Images)
 教会の生き残りをかけ、共産党と交渉した過去
 第二次世界大戦後は1949年に共産党政府が建国された。共産党政府は欧米列強の中国侵略の歴史から外国勢力を徹底的に排除しようとした。中でもキリスト教は外国勢力と関係があるとみて、外国人宣教師を追放し、宣教団体が所有する学校や社会施設などを没収した。
 このような中で、中国の教会は社会的に孤立し、経済的基盤を失い、存続の危機にさらされる。そこで、教会の指導者たちは教会の生き残りをかけて、新政府に新たな方向性を提案することになる。
 プロテスタント教会は、「愛国三自運動」を立ち上げた。中国人自身で教会を支える(自養)、中国自身で教会を運営する(自治)、中国人自身で伝道する(自伝)の三つの自を提案した。
 当時の政府側の責任者は周恩来首相で、これに賛同し、教会は存続できることになった。教会関係者は合意後、「如何なる帝国主義との関係を断絶する、教会の自立、新中国建設に努力すること」などを盛り込んだ宣言を発表した。
 カトリックの教会も「愛国反帝国主義運動」を立ち上げ、中国共産党社会主義政府に忠誠を誓った。中国は建国以来カトリックの総本山のバチカン市国と国交を断絶しているので、中国のカトリック教会は運営にあたって、プロテスタント教会よりも複雑で厳しいものがある。
 現在、中国では教会が存続するためには、この時に政府が許可した指導団体(中国基督教三自愛国運動委員会など)の傘下に入り、政府に提案した方針(三自)に基づいて教会運営を行わなければならない。
 急増する信者 一体、なぜ?
 中国政府の研究機関「中国社会科学院」が発表した宗教白書によると、2010年の中国のキリスト教会の数は55000カ所、キリスト教信者の数は約3000万人である。その内訳はプロテスタントの信者が2300万人強、カトリックが600万人、その他100万人はロシア東方正教会の信者などと発表している。
 信者の推移をみると、プロテスタント共産党政府建国時(1949)が約70万人だったので、61年間で30倍以上に増加したことになる。
 一方、海外の研究機関は中国政府の発表した数字は少なすぎる、と指摘する。米国の福音派メディア「クリスチャニティ・トゥデイ」(Christianity Today)は中国の総人口の10%に近い1億3000万人がキリスト教信者だと発表している。また、米国の無党派シンクタンク「ピュー研究所」(Pew Research Center)は6700万人(全人口の5%)だと発表している。
 中国政府の発表と海外の発表が異なるのは非公認教会を数に入れているか、入れていないかの違いにある。中国には政府が認めた団体に所属しない、無届けで運営を行っている教会があり、カトリック系教会は「地下教会」、プロテスタント系は「家庭教会」と呼ばれている。最近、これら非公認教会の数が増加している。政府は政府の許可を得ないで活動する宗教を「邪教」とみなしており、引き締めを強めている。
 急速な経済成長で変わる「道徳観」
 中国のキリスト教徒© Forbes JAPAN 提供 中国のキリスト教
 中国人の信者にとって、キリスト教はどのような存在なのだろうか(Getty Images)
 中国でキリスト教徒が増えている理由はどのようなことからだろうか。
 中国共産党機関紙「人民日報」のインターネット版「人民網」(2011年4月25日号)は、その理由について、「中国の改革発展の重要な時期にさしかかっており、価値観や道徳観が大きく変わってきた。(外部の)人間関係からは得られない寛容、慈悲、公正を(教会は)与えてくれる。こうした安心感や帰属感が求められているからだ」と分析している。
 また、近年、中国人の留学生が急増していることも理由の一つだ。現在、世界の留学生約500万人強のうち3分の1に相当する170万人が中国人留学生だ。留学先の1位、2位は米国と英国だが、これらの国はいずれもキリスト教国であり、留学先で信仰をもつ学生が増えていると考えられる。
 中国の経済成長の繁栄の影で経済格差が生まれ、孤立感をもつ人が増えている。変化した価値観に違和感を抱く人も少なくない。物質の豊かさでは満たされない心の隙間を埋めるものを教会に求めているということだろうか。
 連載:中国のライフスタイルと働き方の新常識
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