🐉35」─4─中国で多様化する「非公認教会」 政府の弾圧下も勢いを増す宗教事情。~No.144No.145 

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 2021年3月10日 MicrosoftNews 東洋経済オンライン「弾圧下にある「中国のキリシタン」の仰天実態 純粋さゆえに悪い教えに対して脆弱な部分も
 安田 峰俊
 © 東洋経済オンライン 封鎖された北京のシオン教会(写真:AP/アフロ)
 特定の宗教の信仰が厳格に規制されている中国。それでも現地では信仰を貫く人たちもいます。ルポライター安田峰俊氏が上梓した『現代中国の秘密結社』より一部抜粋・再構成し、お届けします。
 社会主義国家である中国では、あらゆる宗教が中国共産党の管理下に置かれ、それに属さない宗教組織は取り締まりの対象となる。
 プロテスタントについても、三自運動と呼ばれる反帝国主義的な中国人クリスチャンの愛国運動が、中華人民共和国の建国後に共産党体制に協力する形へと再編された。
 結果、中国国内の各教会は、「帝国主義的な」西側諸国の教会との連絡を絶たれたうえで、三自委員会という親政府系の組織によってたばねられることになった。
 だが、信仰が政治に支配されることに違和感を覚えて三自委員会から距離を置き、民間でひそかに信仰を伝えるプロテスタント各派も数多く存在した。
 こうして地下に潜った各派の教会が、「家庭教会」(家の教会)や「地下教会」の名で総称されることになる(比較的黙認されている民間教会を「家庭教会」、厳しく弾圧されているものを「地下教会」と呼び分けるとする主張もある)。
 厳しい弾圧でも数千万規模の信者数
 ちなみに、中国のプロテスタントは20世紀前半までのアメリカの神学理解の影響を強く受けており、理性や科学を重視する現代派(自由主義神学派)と、個人の霊的救済や聖書の内容に忠実な信仰を重視する基要派(福音派)に大きくわかれている。
 これらのうち、世俗的な現代派は三自委員会と比較的親和的だったのに対して、信仰に対してよりストイックな基要派は地下化を選ぶ例が少なくなかった。
 また、1966年に勃発した文化大革命では、親政府的であるはずの三自委員会系のプロテスタントすらも無差別に糾弾対象にされた。結果、本来は三自委員会系だった中国人クリスチャンが地下に潜り、その後に改革開放政策が開始された後も当局への不信感から表に戻ろうとしなかったことで、文革によって家庭教会の規模が大幅に拡大するという皮肉な事態も起きた。
 現在、中国における家庭教会の信者数は、当局の厳しい弾圧にもかかわらず数千万人以上の規模に及ぶとみられている。
 なお余談ながら、1990年代以降の中国では、家庭教会のみならず三自委員会系も含めたプロテスタントの信者数の伸びが目立っている。これは天安門事件と中国民主化運動の敗北にショックを受けたエリート層が宗教や精神世界への傾倒を深めたことや、その後のインターネット時代のなかでネット布教によって信者の掘り起こしが進んだことも関係している。アメリカのピュー・リサーチセンターの推算によれば、2020年時点での中国のクリスチャンは約7241万人で、総人口の5.2%を占めるという。
 社会において白眼視される教えを密かに守り続けている点で、中国の家庭教会の信者たちは、江戸時代の日本の隠れキリシタン(こちらはカトリックだが)を連想させる部分もある。ゼロ年代中国東北部吉林省で密かに布教活動に従事していた、プロテスタント福音派系の日本人牧師・倉山(仮名)は、家庭教会についてこう話す。
 老若男女を集めている大きな施設も
 「家の教会(家庭教会)といっても、家族単位でほそぼそと信仰を維持しているケースだけとは限らない。表立って十字架を出していないだけで、老若男女を集めている大きな施設も結構あるんです。若い信者が多く、日本の教会よりも活気があるイメージすらある。北朝鮮のクリスチャンはまさに『隠れキリシタン』を連想させるものがありますが、中国の場合は『戦時中の日本のクリスチャン』くらいの位置付けだと感じます」
 過去、中国の宗教政策が相対的に穏やかだった胡錦濤(こきんとう)政権時代(2003~2013年)には、多くの家庭教会の存在が黙認され、雑居ビルなどを借りてなかば公然と礼拝がおこなわれている時期さえあった。
 ただ、家庭教会は中国の体制下において本質的に脱法的な存在であるため、天安門事件法輪功中南海包囲事件、習近平体制の成立――と、政治的な風向きがすこし変わるたびに厳しい摘発の対象となる。
 地域の公安にとっての家庭教会は、他の「違法」施設である賭博場や性風俗店などと同じく、「上」に向けて点数稼ぎをおこないたいときにいつでも摘発パフォーマンスをおこなえる便利な存在でもある。
 牧師の倉山に言わせれば、そんな中国の家庭教会の信者たちは「原始キリスト教時代の初代教会の苦難を、最も経験している人たち」だ。
 「ゆえに中国人クリスチャンたちは信仰心が非常に篤く、日本人クリスチャンから見て学ぶべき点がたくさんあります。……ただ、彼らはその純粋さや熱心さゆえに『悪い教え』に対して脆弱な部分もあるのです」
 これについて、福音派系の別の日本人牧師で豊富な海外宣教歴を持つ村田(仮名)は、さらにこう話す。
 「過酷な信仰環境に置かれていることから、中国のクリスチャンは『奇跡』信仰が強い傾向があります。もちろんそれ自体は否定されるべきものではないのですが、『強い信仰を持てば誰でも奇跡を体験できる』といった考えが広がるなどした場合、異端的な信仰が生まれやすいのは確かです」
 過酷な状況だからこそ信仰心が強い
 そもそも1980年代以降、中国の農村部のプロテスタントは奇跡や異言のような聖霊の働きを重視するタイプの信仰(ペンテコステ派)が強く、不十分な医療体制のなかで健康不安に悩む貧しい庶民に趕鬼(霊的癒やし)を施すことでネットワークを拡大させた経緯がある。
 ときには、奇跡や霊的なケアを強調する教えが地下で密かに広がっていくうちに、キリスト教信仰が土着の民間信仰と習合して変質していくケースもすくなからず見られた。
 信教の自由が事実上制限されていることで、中国人クリスチャンは聖職者であっても神学的な知識に難があるケースがあり、そのことも「異端」を生みやすい要因になっている。
 少なくとも、「ヨハネの黙示録」に登場する大きな赤い龍を中国共産党になぞらえてしまうような聖書解釈は、中国農村部の地下化したキリスト教信仰の環境からであれば、生まれえる余地があったとみていい。」
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