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2019年3月1日 産経新聞「露、北方領土開発へ 1兆4千億円規模で特区拡大計画
【モスクワ=小野田雄一】ロシアの親政権紙「イズベスチヤ」は2月28日、露極東・北極圏発展省(極東発展省から改称)が、北方領土と千島列島を対象にした経済特区の拡大や大規模投資など新たな発展計画を準備していると報じた。規模は2028年までで8270億ルーブル(約1兆4千億円)に上る。日本はロシアによる北方領土開発に反対しており、平和条約交渉への影響は避けられない見通しだ。
同紙によると、新たな計画では、固定資産税や住民税を減免する経済特区(現在は17年に設置された北方領土の色丹(しこたん)島のみ)を拡大し、企業進出や移住を加速させる。さらに観光や海産物加工、船舶修理、建設などの事業に投資し、地域の発展を促す。
関連法令は既に準備され、内閣による署名待ちの状態だという。
同紙に対し、コズロフ発展相は「私たちの仕事は極東地域に最適なビジネス環境をつくることだ。経済特区はその一環だ」とコメント。キスタノフ露科学アカデミー極東研究所・日本研究センター長は「(新たな発展計画は)島の領有権に関してロシアは立場を譲らないという日本へのシグナルだ」との分析を示した。
ロシアは17年、北方領土の色丹島に経済特区の設置を決定。北方領土の領有権を主張する日本が抗議したが、ロシアは現在も特区開発を続けている。2月26日には、日本の抗議を無視してロシアが進めていたサハリン(樺太)と北方領土を結ぶ光ファイバー敷設事業の完成式典が色丹島で開かれ、政府高官らが出席。北方領土への軍備増強も進めるなど、ロシアは北方領土の実効支配を強める施策を相次いで実施している。
新たな計画に基づく北方領土での具体的な事業内容は現時点で不明だが、計画に含まれる観光事業や海産物加工事業は、日露両政府が具体化に向けた作業を進めている北方領土での共同経済活動の事業分野と重なり、仮に北方領土でロシアがそれらの事業を実施した場合、日本の地位が相対的に低下する恐れがある。」
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