🦎39」─2─一帯一路による「債務のわな」で関係国悲鳴。~No.126No.127No.128 @ 

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 2017年12月28日 産経ニュース「中国ゴリ押しに不信感、「一帯一路」難航 パキスタン、ネパールなど建設案件キャンセル8・6兆円
 習近平総書記(新華社=共同)
 【上海=河崎真澄】中国の習近平指導部が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」が難航している。パキスタンやネパール、ミャンマーで中国が関与するインフラ建設案件が、相次いで中止や延期に追い込まれた。明らかになっているだけでトラブルは4案件で、建設費用は総額761億ドル(約8兆6千億円)に上る。パキスタンなどにとり、支援の見返り条件が厳しすぎる上、軍事転用の疑念もぬぐえず、中国の“ゴリ押し”に不信感を抱いた点が背景にある。
 香港の鳳凰衛視(フェニックステレビ)などによると、中国が総額で140億ドルの資金援助と建設作業を申し出たインダス川上流のダムと水力発電所の建設案件で、対象国のパキスタン側が受け入れを断った。
 完成後のダムの所有権や運営権を中国側に譲渡することが支援の条件だったため、パキスタン側は「国益に反する」と判断した。また、中国企業が参加して工事が始まっているパキスタンでの鉄道やパイプラインなど総額560億ドルの大型案件も、複数の建設地点で中断が確認されている。
 ネパールは総額25億ドルの水力発電所の建設で「重大な疑念がある」との理由で中国の支援受け入れを断念した。年明けにも正式契約の予定だったが、中国企業による不正な資金の流れが発覚したもようで、発注先変更のため延期された。
 ミャンマーでも、中国の支援で始まっていたダムと水力発電所の総額36億ドルの建設が中断した。環境問題など住民の反発が強く、ミャンマー当局は工事は再開しないと表明している。
 このほかバングラデシュでの港湾、インドネシアでの高速鉄道なども計画通りに建設が進まず、「一帯一路」に連なる多くの案件が暗礁に乗り上げている。
 こうした事態に対し専門家は、「国際ルール無視で中国方式のみで対外支援を強行し軋轢を生んだ」と指摘。中国企業の多くは、入札時は低価格で落札しながら着工後に理由を付けて追加費用を要求したり、政治先行で契約交渉を進めて法的な裏付けを後回しにしたりするなど独善的な姿勢が目立ち、反発を招いた
 日中関係筋は、「中国企業が今年7月、スリランカ南部のハンバントタ港で11億ドルで99年間の長期貸与という事実上の租借契約を結び、この港湾を軍事拠点化する疑念が強まったことをみた周辺国が、中国からの支援受け入れに拒否反応を示した」と考えている。
 中国の「一帯一路」構想は軍事転用だけが目的ではないにせよ、中国が支援先から信頼を得られていないことは事実。このところの中国の対日接近も、日本政府や民間が長年積み重ねたODA(政府開発援助)などの対外支援ノウハウの吸収や、日本の信用力を利用する狙いがありそうだ。」
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 12月29日 産経ニュース「【中国・連鎖地獄 大失敗の一帯一路】
「反中国」を鮮明にするベトナム、対米関係を劇的に改善
 11月9日、共同記者発表で握手するドナルド・トランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席=北京の人民大会堂(ロイター)
 「反中国」を鮮明にするベトナムへの投資が多いのは、韓国、ついで日本である。
 昨日の敵は、今日の友−。米国とベトナムの関係も劇的に改善された。ドナルド・トランプ米大統領は11月10日、ベトナム中部の都市、ダナンを、翌日には首都ハノイを訪問した。(夕刊フジ
 中国がかすめ取った南シナ海パラセル諸島(中国名・西砂諸島)は、ベトナムの領海にある。中国の軍事力を恐れないベトナムだが、自国の旧式兵器を嘆いている。
 ダナンは100万都市であり、古都フエとは4時間のドライブで結ばれる。途中の山脈をくぐる長いトンネルは日本の無償援助で造られ、出入り口には日本国旗が大きく刻印されている。
 劇的なのは、米国との関係である。
 あれほど過酷な戦争をやった相手なのに、ベトナム国民の過半数は「トランプ大統領が好き」と答える。驚くほかないが、それが歳月の流れ、新世代の誕生ということであろうか。
 そのうえ、街角では若者が時折、「中国は法律に従え」「中国は侵略者」というプラカードを掲げて抗議行動を行う。当局はそのたびに活動家を拘束した。
 前出のダナンで11月、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会談が開かれた。日本から安倍晋三首相、米国からトランプ氏、ロシアからプーチン大統領、中国から習近平国家主席もやってきた。
 ベトナムががっかりしたのは、トランプ氏がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を脱退すると決めたことだった。
 トランプ氏はダナンで講演した。「いかなる国も自国が大事であり、われわれのスタンスは『アメリカ・ファースト』である」と、挑発的な発言でTPPに真っ向から対決姿勢を示した。
 米国は、このベトナムを「反中国」の梃子(てこ)に活用しようとしている。
 他方、フィリピンは冷戦終結後、クラーク空軍基地スービック海軍基地を閉鎖し、長らく米軍のプレゼンスがなかった。
 スカボロー礁(同・黄岩島)を中国に盗まれ、オランダ・ハーグの仲裁裁判所に訴えて勝訴した。だが、「あれは紙くず」という中国を前になすすべもなく、「漁業の安全操業」を取引材料として中国の進出に抗議せず、かわりに経済援助を獲得した。
 豪腕・ドゥテルテ大統領は対米戦略を後退させ、中国に近付いたのだ。
 こうして世界を俯瞰(ふかん)してみると、「世界の警察官」を降りると宣言した米国に、アジア諸国は「過度の期待は禁物」とばかりの姿勢だ。中国のやりたい放題に沈黙しつつ、軍事大国・中国との共存を模索する道を模索している。
 となると、日米は中国に対抗して各国の信頼を回復できるだろうか。
 ■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 評論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウオッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書・共著に『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』(海竜社)、『連鎖地獄−日本を買い占め世界と衝突し自爆する中国』(ビジネス社)など多数。」
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 2018年12月1日 産経新聞「巨額貸し付け、中国への警戒強まる G20首脳会議
 20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)では、途上国が中国に対して巨額の債務を抱える問題が議論された。巨大経済圏構想「一帯一路」の大型投資事業で各国に貸し付け、返済できなければインフラの所有権を得る覇権主義的な活動に警戒が強まった格好だ。もっとも、世界2位の経済大国である中国に遠慮する国は多く、G20として根本的な解決策を示すのは難しいといえそうだ。
 「一部の途上国が過剰債務にあえいでいる」。11月30日の討議では、参加国からこんな声が上がった。
中国による巨額の貸し付けは、これまでのG20財務相中央銀行総裁会議でも議題となっている。「中国も、借りている国も、全部でいくら債務があるのか正確に把握していない」(政府関係者)ため、全貌はなかなかつかめないという。
 そうした中、米シンクタンク「世界開発センター」が今年3月、一帯一路の参加国で特に中国への債務返済に危うさがあるのはジブチラオスなど8カ国であるとの分析を発表した。国内総生産(GDP)の半分もの費用がかかる事業の融資の多くを中国に頼っているケースもあったという。
 昨年には、スリランカが借金を返せず、中国の援助で建設した港を中国国有企業へ引き渡すといった事例も出ている。市場関係者の間では、「かつて欧米の列強が植民地化を進めたのと同じ手口だ」と批判する声も上がる。
 ただ、G20には新興国も多く参加しており、自分たちの“代表選手”である中国の非難でまとまるのは難しいのが実情だ。サミットは最終日の1日に首脳宣言の取りまとめを目指しているが、過剰債務問題の解決にどこまで言及できるかが注目される。(山口暢彦、ブエノスアイレス 蕎麦谷里志)」
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 2019年1月12日 gooニュース 時事通信社「中国の一帯一路に問題噴出=「債務のわな」で関係国悲鳴
 中国が推進するシルクロード経済圏構想「一帯一路」をめぐり、パキスタンやマレーシアなどの関係諸国でトラブルが噴出している。重い債務負担に苦しむ国が相次いでおり、中国からの借り入れを「債務のわな」と警戒する動きが広がる。習近平国家主席の提唱から5年が過ぎ、地球規模の壮大な構想は曲がり角に差し掛かっている。
 ◇中国の在外公館襲撃
 「中国は土地の占領と資源の収奪を目指している」。パキスタン南部カラチにある中国総領事館が2018年11月、武装集団の襲撃を受け、パキスタン人警察官や市民ら4人が死亡。分離独立を唱えるバルチスタン州の過激派「バルチスタン解放軍(BLA)」が犯行声明で、中国を厳しく非難した。
 中国の友好国であるパキスタンは「一帯一路プロジェクトの要衝」(北京の外交筋)と言われる。現在、中国西部とパキスタン南西部グワダル港を結ぶ中パ経済回廊(CPEC)の構築が進むが、襲撃が相次げば事業の遂行に影響が出かねない。
 スリランカでは中国からの借り入れで港湾を整備した結果、返済不能に陥り、中国国有企業に99年間にも及ぶ運営権を譲渡。債務のわなにはまった典型例と言われた。モルディブでは、中国の資金で住宅開発などを進め、対中債務は国内総生産(GDP)の4分の1超に膨らんだとされる。
 ◇地元にメリットなし
 東南アジアでも混迷が拡大。マレーシアでは、中国の銀行融資などで建設する東海岸鉄道線計画をめぐり、「マレーシアに何のメリットもない」(マハティール首相)と見直しの動きが出ている。ただ、一方的に中止すれば中国側に多額の違約金を払う必要があり、対応を検討中だ。
 中国は15年、日本との競争を制し、インドネシア・ジャワ島の高速鉄道建設を受注。だが、土地収用が順調に進まないことを理由に中国側が資金を出し渋り、今年5月の完成予定が少なくとも2年遅れとなっている。」 
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