🔯12」─1─人類最初の文明の誕生地は印欧祖語の原郷と同じ地域とされている。ナチス・ドイツのアーリアン学説。~No.40 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 2018年8月30日号 週刊文春「文春図書館 今週の必読 
 片々たる証拠から人類の歴史を組み上げる
 『馬・車輪・言語 文明はどこで誕生したのか』上下 筑摩書房
  デイヴェッド・W・アンソニー 東郷えりか[訳]
 評者 池内了
 最初私は、世界の文明の不均衡な発展がなぜ生じたのかを論じた、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』と同類の本かと思って気軽に書評を引き受けたのだが、後悔することになった。さっと読んで理解できるほどヤワな本ではなく、筆者が積年研究を続けてきた歴史言語学・考古学・人類学・神話学など文明基礎論の分野の知見を縦横に駆使しつつ、ユーラシア全域の諸言語や地理などの研究成果を下敷きにして、『文明はどこで誕生したのか』に解答を出した労作であるからだ。2007年に上梓(じょうし)されたが、既に古典の地位を獲得しているそうで、実に読み応えがあった。
 筆者の研究の焦点は、今は既に失われてしまったインド・ヨーロッパ語の母言語である、『印欧祖語』の原郷を探り、文明の誕生した地点を確定することにある。人類史に残された難問で、彼はそのヒントを印欧祖語において使われていた『馬』『車輪』という『言語』に求める。そこから最初の文明の形態がいかなるものか、やがて文明が周辺に広がり、その過程で言語がどのように変容して印欧祖語へと分岐していったかの歴史を詳しく追いかけていく、考古学的資料がほとんどない中、インドの古典『リグ・ヴェーダ』の一節に注目するというような歴史言語学の手法を有効に活用している。
 印欧祖語は紀元前4500年に使われていたが、その後さまざまな娘言語へと分化して前2500年頃には死語になっていた。さすれば、印欧祖語が使われていた原郷こそが文明が誕生した土地と見なすことができるだろう。その地での人間の生き様を詳しく調べれば、文明誕生の社会的条件が何であったかがわかるのではないかと考えたのだ。
 著者は、印欧祖語の原郷は黒海カスピ海の北のポントス・カスピ海ステップとして知られている草原地帯であると推測する。その理由は、ステップとはどこまでも続く草の海であり、草原を開放した鍵は『馬』に騎乗して生活空間を拡大したことにあり、家畜化に成功した草食動物である牛や羊によって草を消化させ、人間に役立つ製品に変えるようになったこともある。さらに馬に乗って牛と羊を牧畜した人々がやがて『車輪』を手に入れ、テントや備品を四輪荷車(ワゴン)を使って運ぶようになり、世界をいっそう拡大させた。馬の家畜化と幌付きワゴンの発明は、ユーラシアのステップを生産的な場に変え、大陸に広がっていく条件を整えたのであった。
 片々たる証拠から人類の歴史を組み上げていく緻密な推理力に脱帽した。」
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 原始文明は移動しながら変化して数多くの子孫文明を生み、興亡を繰り返しながら、西に向かって欧州に入り、東に向かって日本に流れ着いた。
 欧州に入った西洋文明は、南北アメリカ大陸に浸透した。
 日本で成立した日本文明は、広がる事なく、閉じ籠もる事で閉鎖的文明として完結した。
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 日本には、揚子江文明が中国南部から直接と黄河文明が中国北部から朝鮮半島を経ての二つのルートで上陸した。
 揚子江文明は、現代の中国南部山岳地帯に住む少数民族の祖先が生んだ文明である。
 黄河文明は、現代では消滅した原始漢族が生んだ文明である。
 朝鮮半島には、文明関連で取り立てて見るところはない。
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 中(なか)つ国に住む日本民族日本人が、憧れる外(と)つ国とは隣国の唐=中国や目の前の朝鮮ではなく西の彼方にある仏の天竺=インドや天女が舞う中央アジアであり、憧れの貴人とは中国人や朝鮮人よりもインド人や中央アジアの人々であった。
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 インド・ヨーロッパ祖語(英: Proto-Indo-European、PIE)とは、インド・ヨーロッパ語族印欧語族)の諸言語に共通の祖先(祖語)として理論的に構築された仮説上の言語である。印欧祖語(いんおうそご、いんのうそご)ともいう。
 この言語の成立から崩壊までの期間は先史時代に当たり、文字が存在せず、全て口伝により子孫へと受け継がれたため、直接の記録が一切残っていない。そのため、派生した言語からの推定により再構が進められている。 クルガン仮説によれば6000年前にロシア南部で、アナトリア仮説によれば9000年前にアナトリアで話されていた。
 ラテン語ギリシア語・サンスクリットなどの各古典言語をはじめ、英語・フランス語・ドイツ語・ロシア語などヨーロッパで話されている言語の大部分や、トルコ東部からイラン、インド亜大陸スリランカにわたるクルド語・ペルシア語・ウルドゥー語ヒンディー語シンハラ語などの言語は、いずれもこの印欧祖語から派生して成立したとされる。
 崩壊期の印欧祖語は豊富な接尾辞をもつ屈折語であったとされる。これは、印欧語族の諸言語同士の比較再構による推定による。印欧語族の言語は、屈折的語形変化の大部分を失ったものも多いが、英語も含めて依然全て屈折語である。しかし近年の内的再構とその形態素解析により、より古い段階の印欧祖語ではセム祖語のように語幹内の母音交替を伴う屈折が起こっていた可能性が極めて高いことが判明した。

 発見と再構
 印欧祖語は18世紀に、ラテン語・古典ギリシア語・サンスクリットといった、当時知られていたインドおよびヨーロッパの諸言語の共通の起源をなすものとして提案された。当初、他の言語から隔たっていたアナトリア語派とトカラ語派は印欧語に含められず、喉音理論も考慮されていなかった。しかし両語派の存在が明らかになり、またヒッタイト語に喉音の存在が確認されると、崩壊期の1000年程前にまずアナトリア語派が、続いてトカラ語派が分化したという形で理論的に組み込まれることになった。現在では印欧祖語の性質、歴史、原郷を再建する際、これら2語派の存在も考慮されている。
 印欧祖語は文字を持たなかったため直接の証拠は存在せず、音韻および語形は全て娘言語をもとにした比較再構と内的再構によるものである。なお、印欧祖語の単語には、それが再建された形であることを示すために(アステリスク)が付される。印欧語族に属する言語の単語の多くは、祖語のひとつの祖形をもとに一定の音韻変化の法則によって派生したものと考えられている。
 単語の例: *wodr?(水)、*k?w?n(犬)、*treyes(3、男性形)

 他の語族との関連
 印欧祖語と他の語族との関係については諸説あるものの、印欧祖語よりもさらに時代を遡るためにいずれも推測による部分が大きく、従ってこれらの仮説の妥当性が問題となる。
 最も広範に支持される説は、印欧語族ウラル語族を包括するインド・ウラル語族説である。両語族の原郷が近い点、両祖語が類型論的に近似している点、一部の形態素が明らかに同一である点などが一般に証拠とされる。しかしインド・ウラル語族説を主張するコルトラントも、ウラル語族印欧語族の差異を認めており、またウラル語族の権威であるキャンベルは、両語族間の関係は存在しないとしている。
 さらに過去に遡って他の語族との関連を見出す説も存在する。

 ・コーカサス諸語を基層に持つインド・ウラル語族の一語派とする説
 ・日本語、チュクチ・カムチャッカ語族、エスキモー・アレウト語族といったアジアの諸言語とともに、ウラル語族との関係を主張する説(ノストラティック大語族説、グリーンバーグのユーラシア大語族説が代表的)
 ・アフロ・アジア語族やドラヴィダ語族などとの関係、終局的には世界祖語との関係を論ずる説(ルーレンが主に主張)
 ・これらの他にも、ウラル・シベリア語族、ウラル・アルタイ語族黒海祖語といった、推定上のユーラシア語族やコーカサス諸語に関係付ける様々な仮説が存在する。

 他語族との類似点
 ・ウラル語族 :形態素の一部が明らかに同源である。
 ・コーカサス諸語 :音声的な特徴が類似している。ナフ・ダゲスタン語族には文法性が存在。
 ・アフロ・アジア語族セム語派 :文法性の存在、形容詞の変化、子音のみの単語に母音を挿入し造語。
 印欧祖語はこれら諸語族の混合言語である可能性も考えられる。

 話し手
 インド・ヨーロッパ祖語を話していた人々は、何らかの共同体を作っていたと考えられる。これを原インド・ヨーロッパ民族(原印欧民族)ということもあるが、単一の民族あるいは人種であったという保障はない。19世紀後半以降、特にナチスの時代には、これが「アーリア民族」(本来は原インド・イラン民族のことであるが)の名で呼ばれ、ドイツ人などがその直系の子孫であるかのように喧伝された(アーリアン学説)。

 社会
 ただし彼らの社会がどのようなものだったかは語彙から(また民族学や神話学などの知見も参考にして)ある程度推定できる。彼らの生活様式はほぼ次のように考えられている。
 牧畜と農耕が主要な生業であった。一部の集団は後に遊牧生活に入り、定住的な牧畜・農耕をする集団の周囲に広がるステップ地域での生活を可能とした。家畜には馬、牛、豚があり、家畜は代表的財産でもあった。のちには車を馬や牛に曳かせて盛んに利用するようになった。海または湖を知っていたが漁業・航海はあまり盛んでなかった。金属はおそらく金・銀を知っていたが、日常的には銅器を使用した(銅器時代)。
社会制度は家父長制であり、英語の sister などの元になった単語は「自分の女」と解釈されることから、族外婚制だった可能性も高い。祭祀、戦士、平民の3階級からなっていた。
 神々は天にいると考えられ、主神は「父なる神」(ギリシャのゼウス、ローマのユピテルのように;天空神も参照)と呼ばれたと思われる。また「暁の女神」(ギリシャのエオス、ローマのアウロラなど)もこの時代に遡る。
 「原印欧民族」には、急激な地理的拡大とも相俟って好戦的イメージがつきまとい、昔はこのイメージは称賛された。第二次世界大戦後は一部の人々によってこのような価値観によるヨーロッパ優越思想への反省から、このイメージは野蛮視された。とくに、原印欧民族(ただしこれは誤解を招く表現である)とその文化である家父長制、好戦的傾向、単純な信仰体系をそなえた「クルガン文化」(最初期はケルト語派およびギリシャ語派の文化と思われる)の侵入よりも前の時代すなわち最後の氷河期が終わったあとからヨーロッパに広く住み母系制と複雑な信仰体系を採っていたと思われる「非インド・ヨーロッパ語族」のヨーロッパ原住民すなわち「本当の原印欧民族群」(ギンブタスは「古ヨーロッパ人」と呼ぶ)の諸文化を想定し、好戦的な前者が平和的な後者を次々と支配し現在に至るヨーロッパ社会を形成していったとする「クルガン仮説」を提唱したマリア・ギンブタスらが代表例である。しかし、インド・ヨーロッパ語族の話し手が好戦的文化を持つとすること、場合によってはそれが野蛮なものだとするのは一面的な見方によるものにすぎないという批判的意見も出されている。このようにインド・ヨーロッパ語族の古代の話し手を巡っては、好戦的性質を持っていると捉えた上でそれを好ましくないと見る者がおり、価値観の対立が反映される様相もある。

 地域・年代
 紀元前3500年ごろの銅器時代から青銅器時代にかけてのインド・ヨーロッパ語族の推定範囲。
 コーカサス山脈を挟んで北側(黒海北岸)のヤムナ文化と南側(黒海東岸から南岸、すなわちアルメニアからアナトリアにかけての一帯)のマイコープ文化に分かれている。
 紀元前2500年ごろの青銅器時代インド・ヨーロッパ語族の推定範囲。
 黒海南岸にあるアナトリアの文化と、黒海北岸から東西に広がるその他のインド・ヨーロッパ語族の文化群(中央帯におけるヤムナ文化の発展拡大を基とし、インド・イラン語派の発展と関連づけられる「アンドロノヴォ文化」(Andronovo culture)が東方に、ゲルマン語派・スラヴ語派・バルト語派の発展と関連づけられる「縄目文土器文化」(Corded Ware culture)が西方に出現していった)、に二分されている
 縄目文土器文化(Corded Ware)の発展拡大と後期ヤムナ文化(Yamna)との地理的関係

 アンドロノヴォ文化の発展拡大
(赤・ピンク・オレンジの地域全体)
 彼らがいつ、どこに住んでいたかは、「原郷問題」と呼ばれ、彼らの社会の様子とともに様々に議論されてきた。例えば「ブナ」「鮭」などの単語から、それらの生息範囲であるドイツ・ポーランド付近が候補とされたこともあるが、これらの単語の意味が昔から変わらなかったという保障はないので、有力な証拠ではない。
 現在でも決着がついたわけではないが、言語学の立場からはウクライナ・ロシア南東部・カザフスタン西北部周辺のステップと森林が接するあたり、すなわち黒海東北岸地方からコーカサス山脈にかけての一帯とする考えが有力である。ここでは銅器時代に牧畜と狩猟採集を主体とする文化のクヴァリンスク文化が出現、その後これが(おそらく世界でもっとも早い時期の)騎馬文化であるスレドニ・ストグ文化へと発展し、同時代に黒海西北岸で発展していた農耕を主体とする文化のククテニ・トリポリエ文化と互いに接触し合いながら、本格的なクルガン文化であるヤムナ文化へと発展していった。
 このほか、原郷はアルメニアであったとする説(アルメニア仮説)や、アナトリアであったとする説(アナトリア仮説)もある。
 
 考古学から

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インド・ヨーロッパ語族は、ヨーロッパから南アジア、北アジア、アフリカ、南アメリカ、北アメリカ、オセアニアにかけて話者地域が広がる語族である。印欧語族(いんおうごぞく、いんのうごぞく)と略称される。この語族に属する言語を公用語としている国は100を超える。

 概説
 印欧語多言語表記の例:上からガーンジー島語、英語、フランス語、オランダ語、ドイツ語
 ドイツ語圏ではインド・ゲルマン諸語(ドイツ語: Indogermanische Sprachen)と呼ばれるが、これは移民・植民を除く同語族の土着の公用地がインド語派圏からゲルマン語派圏まで広がっていたと考えられていたためである。
 大航海時代以降、特に近代以後には、南北アメリカ大陸やアフリカ、オセアニアにも話者が移住、使用地域を大きく広げた。この語族に属する主要な言語には英語(母語話者数:約5億1,000万人)、ヒンディー語(約5億人)、スペイン語(約4億2,000万人)、ポルトガル語(約2億1,500万人)、ロシア語(約1億8,000万人)、ドイツ語(約1億3,000万人)、フランス語(約1億3,000万人)、イタリア語(約6,100万人)、ウルドゥー語(約6,100万人)、ペルシア語(約4,600万人)、ウクライナ語(約4,500万人)などがある。
 これら主要な言語の中には、国際語ないし専門語として使用されている例がある。英語は国際語、フランス語は外交用語、ドイツ語は医学用語、イタリア語は音楽用語といった具合である。国際連合の6つの公用語の内、英語、フランス語、スペイン語、ロシア語の4言語がこの語族に属する言語である(残りの公用語は非印欧語の中国語とアラビア語)。
 世界の主要な宗教においても、キリスト教・仏教・ヒンドゥー教はこの語族に属する言語を使用している。
 インド・ヨーロッパ語族に属する言語は、以下の語派に分けられる。この項では現在死語となった言語も別に併記する。
なお、以下では死語を記号「+」で示す。
 


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