NHKスペシャル これがソ連の対日外交だ―秘録・北方領土交渉
- 作者:NHK日ソプロジェクト
- メディア: 単行本
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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
イェリング「隣国から1平方メートルの領土を奪われながらも何も手を打たない国民はドンドン領土を奪われていき、いずれ国である事を止めてしまうであろう。そんな国民はこのような運命にし値しないのだか」(『権利のための闘争』)
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北方領土返還交渉失敗の元凶を作ったのは日本の政治家と外務官僚。
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1951年9月7日 サンフランシスコ講和会議
吉田茂首相は、演説の中で、ソ連軍による北方領土の不法占領を告発し北方領土は日本の固有の領土である事を力説したが、ソ連は講和条約に署名していなかった為に返還を求める事ができなかった。
条約締約国は、「四島の北方領土は日本の固有領土である」という日本側の発言を否定せず、ソ連の不法占拠である事を認めた。
「日本開国の当時、千島南部の二島、択捉、国後両島が日本領である事については、帝政ロシアも何ら異議をはさまなかつたのであります。ただウルツブ(島)以北の北千島諸島と樺太南部は、当時日露両国人の混在の地でありました。1875年5月7日日露両国政府は、平和的な外交交渉を通じて樺太南部は露領とし、その代償として北千島諸島は日本領とする事に話合をつけたのであります」
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2016年12月29日・17年1月5日号 週刊新潮「新聞が書かない『おそロシア首脳会談』7つの不審
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最大の好機『ソ連崩壊』を逃した外交敗北の戦犯政治家
これまで見てきたように、プーチン大統領が北方4島を返還する素振りは全く感じられなかった。つまり、身も蓋もない言い方をすれば、今回の会談はそもそもが無駄だったことになる。ならば、ここは敢えて後悔しよう。『今』ではなく『あの時』だったらと。
十年一昔なのであれば、北方領土交渉は『六昔』もの歴史を刻んできたことになる。その間、ロシア西部を流れる欧州最長のボルガ川にも似た『大河ドラマ』が展開されたわけだが、そこには幾つかのエポックケーキングな出来事があった。
1956年の日ソ共同宣言、93年の東京宣言、98年の川奈合意、2001年のイルクーツク声明。こうした動きの中でも、前出の木村氏は、
『北方領土問題が解決するチャンスは一度だけあったと言えます』
とした上で、『あの時』を回顧する。
『それはゴルバチョフ政権の末期、91年12月のソ連崩壊の直前でした。当時、ソ連の経済状態は最悪で、ゴルバチョフ大統領は北朝鮮の猛反発を押し切り、韓国との国交正常化に踏み切った。どうしても、韓国マネーが欲しかったからです。したがって、日本もジャパンマネーの力を上手く利用して、北方領土を取り戻せる可能性があったのです』
国際政治学者で京大名誉教授の中西輝政氏も、
『実際、91年4月にゴルバチョフが来日し、もしかしたら4島が日本に返してくれるのではないかとの機運が高まったのは間違いありません』
だが、前出の吹浦氏は、
『確かにソ連崩壊の時期は、ひとつの分岐点でした。しかし、ゴルバチョフサイドからソ連崩壊の予兆を伝えられていたにも拘(かかわ)らず、私もそうでしたが、外務省も眉唾ものとして信じることをせず、交渉の準備を怠ってしまったのです』
そんななかでも、ゴルバチョフが北方領土で譲る気配をみせたことに、敏感に反応した日本の政治家がいた。当時の自民党幹事長、小沢一郎氏(74)である。機を見るに敏なところまでは良かった。ところが、
『91年の1月と3月、小沢氏は通産省(当時)ルートでソ連と交渉した際に、280億ドルとも言われる金額を提示。露骨に金で島を買いたいという態度を示し、札束でゴルバチョフの頬を叩くようなことをした。ソ連崩壊の危機に直面し、弱体化していたとはいえ、向こうにも面子があります。さすがに、あまりに直截(ちょくせつ)的な日本の交渉姿勢にゴルバチョフもムカッときたのでしょう。話は流れてしまいました』(木村氏)
国内政局だけでなく、外交の場においても、壊し屋が『本領』を発揮していたのである」
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現代日本は、戦前の日本に比べれば、外国語会話力は段違いに高まっているが、人間関係を密にした外交交渉術は稚拙になっている。
時代が下れば下る程、外交戦略のなさが際だつ。
聞き心地の良い反論できない理想を並べ立てる政治家には、現実には空理空論で中身がない。
口先が上手いが能力のない政治家が、国民に選ばれた事で舞い上がり、自分は偉く賢いと自惚れて闊歩している。
そうした政治家しか選出できない程に戦後日本と現代日本人は、歴史上初めて救いがたい程に能力と見識が劣化している。
今後も、粗製濫造的に、利権欲しさ金欲しさで政治家を目指す無能無策に近い強欲な政治家希望者を国民が選び続ければ、日本の未来はない。
現代日本人は時代劇は好きだが歴史劇は嫌いという傾向が強く、江戸時代のサムライが血をながして北方4島を守ったという歴史的事実には感心も興味もなく、ロシアとの友好の為に北方4島ではなく2島返還で構わないと考える人数が増えている。
北方領土を命を犠牲にして守ったサムライの「念い」は、無駄となる。
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- 作者:純郎, 枝村
- 発売日: 2016/10/31
- メディア: 単行本