🐖22」─1─日本と中国の差が開いた理由。中国企業に残る狼性文化。中国式経営の極意。~No.139No.140No.141 

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 2023年4月14日 MicrosoftStartニュース ZUU Online「ジム・ロジャーズが語る、日本と中国の差がここまで開いた理由
 本記事は、ジム・ロジャーズ氏の著書『捨てられる日本』(SBクリエイティブ)の中から一部を抜粋・編集しています。
 © 米国の旗とスカイラインの背景、金融および取引の概念
 覇権国アメリカの時代が終焉する
 アメリカの次は中国だ
 近代以降の歴史だけを見ても、16~17世紀の覇権国はオランダ、その後イギリスが18世紀後半~19世紀までその座にあった。そして、20世紀の覇権国は、間違いなくアメリカだった。
 そして今まさに起こっている覇権争いで、アメリカを追い落とそうとしているのは中国である。
 中国は非常に特異な国である。なぜなら、数千年の歴史のなかで4回も世界の覇権を握っているからだ。世界一にのぼりつめ、衰退したのちに改めて覇権を握った国は、中国以外には存在しない。
 中国が初めて覇権国になったのは、2,200年以上前、秦の始皇帝が中国を支配した時代だ。
 2回目は1000年代。当時、宗そうの銅の生産量は、19世紀後半から20世紀初頭に世界一だったイギリスの生産量を凌駕していた。
 3回目はフビライ・ハンが率いた元の時代である。彼は遊牧諸民族を統一し、中国人になった。
 そして4回目は1400年代の明みんの時代だ。当時、海洋国家だった中国は、なんとアメリカ大陸も発見していた。しかし当時の皇帝は、「外国人は不要だ」と、国内から外国人を追い出し、船や地図などを燃やしてしまった。非常にもったいない話だ。
 このように歴史上4回も覇権国となった中国でさえ、1800年代には深刻な経済危機に陥った。その後、欧州列強や日本による植民地支配を経て、第二次世界大戦以降、徐々に復活の道を歩んで現在に至る。その際、武器になったのが「起業家精神の長い歴史」である。
 一般的に、中国人は共産主義者だと思われているが、私はそうは思わない。歴史的に見て、中国人こそが最も優秀な資本主義者であり、そこに鄧小平が訴えかけたことで、中国は世界の産業や技術の最先端を走る国になっていった。
 覇権への道にはいくつもの苦難がある
 覇権国の座につくまでの道のりでは、何度も困難な状況に見舞われるものだ。
 アメリカもその途中で、深刻な不況、内戦、暴動など幾度の危機に見舞われた。ご多分に洩れず、中国も同じ状況下にある。
 たとえば最近、中国の不動産会社は負債の管理が全くできず、破綻寸前まで追い込まれている。これは、不動産会社大手、恒こう大だい集団の経営危機をきっかけとして、金融機関がリスク回避をすべく不動産会社への融資を引き締めたことで、不動産業界全体への資金繰りが急速に悪化したためである。
 1996年に創業された同社の抱える負債は、約2兆元(35兆円)とあまりに巨額だ。これは中国のGDPの約2%に相当する規模になる。大半は取引先への買掛金や住宅購入者の前払い金のため、破綻すればその影響は計り知れない。中国政府は、金融システムへの波及はどうにか阻止するだろう。しかし、かつてバブル景気に沸いた中国の不動産業界も、しばらくは「冬の時代」を迎えざるを得ない。
 時を同じくして、アリババなど中国を代表するテクノロジー企業が中国政府に調査され、株価が暴落するという現象も起きている。習近平政権にとってアリババは、時に脅威に映るようだ。
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 このように、今は苦難の道の途上にある中国だが、おそらく次の覇権国になるだろう。なにせ過去4回も覇権の座についた国だ。5回目もありうる。
 中国の技術者たちが技術革新を牽引する
 私が「これから中国の時代がやってくる」と確信し、初めて投資をしたのは約30年前。バイクで中国を横断した時代のことだ。旅の途中で中国の可能性を肌で感じ、上海証券取引所で中国株を買うことにした。
 当時の取引所は傾きかけたビルのなかにあり、その窓口で取引されていた銘柄もほんの一握りだった。この時点では「記念購入」の感が大きかったものの、投資チャンスの到来を身をもって感じていた。
 当時の私は、次のように語ったと記憶している。
 「いつの日か、私は中国に大きな投資をするだろう。革命前の中国にはアジア最大の株式市場があった。私の予測が正しければ再びそのようになる」
 1999年、再び上海を訪れた時に私の確信は強まった。10年前に訪れた時は傾きかけていた取引所が、立派な高層ビルに変わっていたのだ。私はさらにたくさんの中国株を買った。
 私がこれほど強い確信を持つことができた理由は大きく2つある。
 1つ目は、膨大な人口と資本。人口規模は国力に直結する。いまや中国はアメリカの10倍近い人数のエンジニアを毎年輩出するようになっている。中国の現人口は約14億人で、いうまでもなく世界一だ。IoTやAI活用が必須の時代、この国の勢いをとめられる国は存在しないと感じる。人口数で中国に次ぐインドもあまたのエンジニアを輩出しているが、国内では官僚主義が続き、民族や言語の分断がとても大きいので、覇権国になるとは考えづらい。
 2つ目は、優秀な人材を輩出するための技術に力点を置いた教育制度。国家主席を務めた江沢民をはじめとして、中国の省・直轄市などの指導者の多くが元技術者だ。
 私が「中国の時代がやってくる」と確信してから約30年もの年月が経ったが、予想は的中し、驚異的な発展を遂げた。かつてこの国は規制が厳しかったので、「ビジネスには向かない」といわれていたが、現在、IT関連を中心とした民間企業が世界経済を牽引しているのは紛れもない事実だ。
 これからのイノベーション震源
 私が見るかぎり現在、世界で最もイノベーションが盛んな国は中国だ。
 戦後の日本は、イギリス製品より低価格・高品質のテレビを販売し始めた。自動車やバイクでも同じ現象が起き、日本は大量生産によって世界のマーケットシェアを勝ち取った。現在の日本には、世界で圧倒的なプレゼンスを持つ企業は存在するだろうか?戦後の日本企業は本当にすごかった。何を作っても圧倒的なクオリティでとても安かった。
 当時、日本企業がどれほど低価格・高品質のものづくりに長けていたかを説明する際、私はよくこのエピソードを話すのだが、世界最大のアルミニウム製品およびアルミナ(アルミニウムの原料)メーカーのアルコア(当時の社名はアメリカ・アルミナム)というアメリカ企業がある。
 これは1950年代のエピソードだが、同社のCEOが日本から持ち帰ったアルミロールを見て、従業員たちは驚いた。驚くほど高品質だったからだ。「きっと、特別な目的のためにつくられたものに違いない」と彼らは思った。しかし、それは何の変哲もない「普通」の日本産アルミロールにすぎなかった。当時の「日本人の普通」は「アメリカの最高品質」だったのだ。
 しかし、今の日本企業には当時のような勢いは感じられない。昨今、世界から注目を集めているブロックチェーンやAIの分野にも、残念ながら日本企業をほとんど見ることができない。
 日本と中国はなぜここまで差が開いてしまったのか。「現場労働者の能力、先端産業技術など、あらゆる点で中国が日本を上回っている」という意見もあるが、私はその原因ははっきりしていると思う。日本は過去に成功を収めた国だからだ。
 自国が世界のトップに立つと、自然と国民は傲慢になってしまうものだ。加えて、トップに立つということは2位以下のすべての存在から追われるようになることも意味する。日本がトップに立った瞬間、中国、ベトナム、タイ、インドなどの国が日本より安く製造し始めた。そうしているうちに、品質も日本と同等になってきたのかもしれない。結果として、他国との産業格差が次第に縮まり、ついには追い抜かれることになった。これが私の見立てだ。
 さらに、教育の問題もある。日本では文系と理系を早期に分ける教育が行われている。早期に分かれていたら、後から違うことが学びたくなっても思うようにできず、この時点で大きな後れをとってしまう。
 また、飛行機を発明したライト兄弟ももともとは自転車整備士だったし、Microsoftを創業したビル・ゲイツも大学を中退したにもかかわらず世界を制覇するほどのコンピューターソフトを開発したように、イノベーションを起こす人材は思いもよらぬ分野から発想するものだが、こうした「斜め上の発想力」を育てる教育を、日本の学校では行っているだろうか?
 このようなシステムがあるのに、かつての日本は経済的に成功を収めたという事実があることに驚く。従来のやり方で大きな成功を収めた経験があると、そのやり方を大きく変えるのに勇気がいる。ここに日本の難しさがある。
 ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)
 1942年、米国アラバマ州生まれ。イェール大学で歴史学、オックスフォード大学で哲学を修めた後、ウォール街で働く。ジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを設立し、10年間で4200パーセントという驚異的なリターンを上げる。37歳で引退した後、コロンビア大学で金融論を指導する傍ら、テレビやラジオのコメンテーターとして活躍。2007年よりシンガポール在住。ウォーレン・バフェットジョージ・ソロスと並び世界三大投資家と称される。 主な著書に『冒険投資家ジム・ロジャーズ 世界大発見』(日経ビジネス人文庫)、『危機の時代』(日経BP)、『ジム・ロジャーズ 大予測』(東洋経済新報社)『大転換の時代』(プレジデント社)がある。
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 5月28日 YAHOO!JAPANニュース クーリエ・ジャポン「フランス人経営者が解説する「中国式経営の極意」─我々が“中国の管理職”から学べること
 中国企業に残る「狼性文化」とは何か? Photo: Grant Faint / Getty Images
 ファーウェイやアリババ、テンセントなどの中国企業が競争力を発揮して成功を収める一方で、中国進出でつまずく欧米企業は少なくない。アマゾンやカルフールの失敗事例は有名だ。なぜそのようなことが起きるのか?
 【画像】中国の大学生向け「就活イベント」はどんな感じ?
 『龍の策略──中国人起業家が不確実な世界で力を発揮する理由』(未邦訳)の共著者サンドリーヌ・ゼルビブとアルド・スパンヤースによると、その問いの答えの一つはアジア式経営なのだという。この2人は中国ビジネスの事情通だ。ゼルビブはアディダスの子会社を中国で起ち上げた経験があり、スパンヤースはラコステの中国支社の元CEOだ。
 現在、上海でEコマース企業を経営するゼルビブに、仏誌「レクスプレス」が話を聞いた。
 発想力や思考力よりも重視されるもの
──中国式経営と欧米式経営の最大の違いは何ですか。
 一つだけ挙げるなら、中国式経営では観察力が高く評価されます。中国で天才だと言われるのは、発想が天才的な人ではありません。優れた思考力を持つ人でもありません。観察力がずば抜けて高い人が天才だと言われます。観察力があると、非常に早い段階でチャンスをつかめるとされているからです。
 たとえばモード関連の企業では、中国人顧客が何を求めているのかを理解しなければなりませんが、中国人顧客が求めるものはかなり独特です。また、生まれつつある小さな流行に気づく力も必要です。いまの消費者は昔とは異なり、「これがいまの流行です」とトップダウンで言っても買ってくれません。むしろ自分たちの好みをブランド側に押し付けるところがあり、ブランド側から命令されるのを嫌います。
 ですから、消費者が欲しいモノを、欲しいと思った瞬間に提供しなければならないのですが、何をいつ欲しいかは、どんどん変わっていきます。つまり、常に消費者の声に耳を傾けていなければならないのです。
──観察力重視の経営は、欧米式の経営と具体的にどう異なりますか。
 経営の上層部と現場チームの関係について言うなら、中国式では指揮命令系統を簡単に崩せます。緊急事態が発生すると、即座に会議が開かれ、社長と中間管理職と現場の人間が出席します。会議の目的は、すぐに実行できる解決策を見つけることです。
 新しい発想や新しい製品を求めてブレインストーミングをするような欧米式とはまったく異なります。中国は実践重視なのです。問題があったら、それを完璧に理解して、即座に行動を始めます。ブレインストーミングで1ヵ月先を計画するのではなく、日々の動きに合わせて行動します。
 企業内の熾烈な競争
──中国式経営は敏捷性が特徴だと指摘されていますが、同時に中国式経営には権力が一極集中する構造もあります。そこに矛盾はありませんか。
 これは中国だけでなくアジア全体で言えることですが、アジア地域では、いまもヒエラルキーの感覚や指導者の尊重といったものがあります。欧米ではそういったものがもう存在せず、そこが異なります。
 中国式経営は、必ずしも権力が一極集中しているわけではありません。たしかに社長が決定する事項は多いですが、社長はその分、すべての事柄に通じるために猛烈に働きます。
 中国式経営に似ているフランス企業を挙げるとするなら、高級ブランド・グループのLVMHです。あのグループのトップを務めるベルナール・アルノーは、年配で、すでに莫大な資産と巨大なビジネス帝国を築き上げたにもかかわらず、いまも店舗に頻繁に足を運びます。
 中国人のリーダーも、こういうことをよくやります。時折、小さな決定にまで口を挟みますが、そうかと思うと、逆に現場のチームに仕事を完全にまかせたりすることも多いのです。
 欧米の若者は、昔ながらのやり方に縛られるのが嫌で自分の会社を立ち上げることが多いですが、中国では、そういった理由での起業はあまり多くありません。中国では最先端の企業に就職すれば、起業家精神を発揮できるからです。
 たとえば火鍋チェーンの「海底撈」や大手スーパーの「永輝超市」では、それぞれの地域の管理職が数多くの決定を下せる仕組みになっています。場合によっては、それぞれの地域の管理職が競争し合うようなことも起こります。
──そのようなライバル関係が奨励されているのですか。
 同じ一つの企業でも、内部では猛烈な競争があり、個人がみなその競争に参加しているのです。そのあたりの中国人の気質を理解できるまでには、かなりの時間がかかりました。
 たとえば管理職という立場にあっても、夜になったら、会社の仲間とともに仲良く飲みに出かけたりします。中国社会では、社会的役割は非常に大事なものではあるのですが、個人が朝から晩までその役割に徹するわけではありません。中国に来たばかりの頃、交渉のときに厳しいことを言われるのに、その後、一緒に食べて、飲んで、カラオケで歌う文化には驚きました。
 そして、交流を深めたのだから、今後はやりとりが楽になるかと期待したのですが、そうはなりません。翌朝になると、彼らはまた仮面を装着し、自分の社会的役割に徹します。人にはいろいろな顔があることを踏まえながら、丁度いいところでバランスをとるのです。
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