アウシュビッツを一人で生き抜いた少年 A Lucky Child (朝日文庫)
- 作者:トーマス・バーゲンソール
- 発売日: 2012/01/04
- メディア: 文庫
関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
フランクリン・ルーズベルト「政治の世界で、たまたま起きることは何もない。何かが起きた場合には必ず、そうなる様に仕組まれているのだ」
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*1943年
「戦争に勝てばユダヤ人の問題は解決する」
ドイツ軍は、連合軍の上陸に備えてフランス国内から北海沿岸に130万人の大軍を展開していた。
ヒトラーは、フランス国内の駐屯部隊を縮小し、多くの最新鋭部隊をソ戦戦線に投入した。
そして、ユダヤ人の東方輸送は本格化した。
ナチス・ドイツは、ユダヤ人強制収容所をユダヤ人の保護施設と発表した。
アメリカ軍諜報機関は、同盟国ソ連を監視する為にヴェノナ作戦を実施して、国内のソ連スパイとモスクワとの暗号傍受を行った。その数は、戦時中で2,900件以上に上った。
ディズニーは、戦意昂揚の国策に従って「総統の顔」という短編アニメ製作して、アカデミー賞を取った。
ディズニー映画「空軍力による勝利」。
連合軍も、枢軸国陣営も、総力戦に勝利する為に、国民の戦意を上げるべく映画や音楽を利用していた。
ディズニーは、親ナチだったといわれている。
1月14日 カサブランカ会談。西アフリカのカサブランカで、ルーズベルトとチャーチルは会談した。ホプキンス補佐官とハリマンとフランスのド・ゴール将軍らは、会議の行方を見守った。会談の結果、枢軸国側に対して終戦条件として「無条件降伏」を求める事で意見が一致した。席上、ユダヤ人問題が協議されてかどうかは不明である。いずれにしても、これで戦争の早期終結はなくなった。
ルーズベルト「我々は、休戦ないし条約によって戦争を終結させるつもりは全くない。ドイツは、無条件に降伏せねばならない」
連合軍は、戦争を早期に解決するヨーロッパ進攻作戦より、戦争を長期化させる北アフリカ・地中海作戦を優先した。ヨーロッパの制空権を掌握したアメリカ軍は、各地のドイツ軍基地や各都市を爆撃したが、特別な軍需産業や絶滅収容所とそこに通じる鉄道網の破壊を禁止した。事実、空襲はされなかった。
ルーズベルトは、チャーチルとモロッコ国王サルタンとの夕食会で、「戦争後に植民地諸国は独立し、全世界の人民は解放され自由を得るべきである」との反植民地主義の立場を表明した。
チャーチルは、大英帝国を維持する為に、各地にあるイギリス領植民地を解放する事に反対し、帝国主義の立場を放棄する気はなかった。
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2月 ルーズベルトは、サウジアラビアの未採掘石油はアメリカの防衛に不可欠であるとして、アブドゥルアジーズ国王と戦時特別武器貸与協定を結び数百万ドルの資金を提供した。石油採掘権を確保する為に、スタンダード石油グループとアラムコ(アラブ・アメリカ)石油は、石油資源の排他的利用権を獲得する為に、国際石油調査官であるイッキス内務長官にホワイトハウスへの仲介を依頼していた。
イギリスは、アメリカが中東の石油利権を強奪する為に大金をばらまいているとして、ルーズベルトの裏切り行動に激怒した。
ソ連は、極秘でニューヨーク市の会社にウラニウムを発注した。
ホプキンズは、トン当たりのウラニウムをソ連に輸出した。
ソ連のスパイは、原爆開発の極秘情報をソ連に知らせていた。
2月2日 ドイツ軍のスターリングラード攻略軍は、占領を断念して降伏した。その他の戦線でもソ連軍は大攻勢に転じ、ドイツ軍の敗色は濃くなり敗走が始まった。日本軍部が黙過した、アメリカからの膨大な戦略物資は、シベリア鉄道で休む事なくヨーロッパ戦線に送られていた。
2月7日 ワルシャワユダヤ人同盟からロンドンのポーランド亡命政府への電報「全ポーランドにおいて、ユダヤ人の絶滅作戦は引き続き進行している。この2月にはワルシャワのゲットーは破壊される予定だ。緊急警報は全世界に向けられている。どうか公の仲裁の為、ローマ法王に訴えて欲しい。また連合国が、ドイツ人捕虜を盾に交渉をするよう訴えて欲しい。我々はいいようのないほどの苦境におちいっている。ここに生き残ったわれわれ20万人は、死の直前に立たされている。君達だけが救いの切り札だ。歴史の責任ある事態に直面し、君達に訴える」
2月13日 ルーズベルトは、ホワイトハウスの記者会見で、日本を完膚無きまでに破壊し、昭和天皇を戦犯として裁く為にも、無条件降伏を求める事を表明した。「我々が交渉に応じる唯一の条件は、……カサブランカで宣言したとおり『無条件降伏』である。この政策で妥協するつもりはないが、枢軸国の一般の人々に危害を加える意図はない。だが、罪多き野蛮な指導者には掛け値なしの罪と報いを断固として受けてもらうつもりだ」
連合国は、昭和天皇とヒトラーらを、戦争犯罪者として死刑を含む厳罰で望むと宣言した。
2月18日 日本は、ヒトラーの強烈な圧力に屈し、ナチス・ドイツの人種政策を受け入れた。日本軍部は、中国と日本にいた全てのユダヤ人を上海に強制的に集め、監理・監視する為に「ゲットー」を設置して収容した。
上海ゲットー内の反ファシスト派ユダヤ人は、抗日中国人や反日朝鮮人の協力をえて、日本軍の情報を連合国に伝えていた。ユダヤ人は、反日であり、反天皇である。そして、戦後の日本と天皇を戦犯として裁く為に、日本軍の悪逆なる非人道的犯罪行為を集めた。その一つが、「南京大虐殺」である。
ユダヤ人は、天皇をヒトラーと同様の極悪人として告発し、戦争犯罪者として死刑を含む極刑に処する事を望んだ。ユダヤ人は、死を厭わない「お人好し」の日本人ではなく、超現実派の中国人や朝鮮人に似ている。ユダヤ人は、「天皇の死」を望んだ。
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3月 ナチ党員オスカー・シンドラーは、約1200人のユダヤ人を自分の軍需工場に採用して、ホロコーストから助けた。世に言う、「シンドラーのリスト」である。
ポーランド地区のドイツ軍兵士専用売春施設は、売春婦が不足していると報告した。
売春婦1日一人当たり、少い日で約22人、多い日で46人。
ポーランド人女性は、消耗品のように扱き使い、用済みになったら絶滅収容所に送って殺処分した。
ドイツ軍経営売春施設は、日本の従軍慰安所以上に苛酷で、生きては帰れない地獄であった。
3月1日 ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで、アメリカ・ユダヤ人会議やニューヨークのアメリカ労働総同盟などが集会を主催し、7万5,000人のユダヤ人やキリスト教徒を集めて政府や議会に圧力をかけた。集会は、ホロコーストでヨーロッパの全同胞が虐殺される前に、移民法を改正してユダヤ人難民の受け入れ枠の拡大と、イギリスに対してユダヤ人の祖国であるパレスチナへの扉を開く様に要求する事を求めた。
3月5日 ナチス・ドイツは、ドイツ国内のユダヤ人シオニスト組織の活動を停止させ、国内の全ユダヤ人を各地の絶滅収容所への輸送を開始した。
3月18日 ロンドンの世界ユダヤ人会議(JWC)とスイスのユダヤ人同盟は、ローマ教皇庁に対して、全ヨーロッパからユダヤ人が東方に強制移送されている事実を説明して救済を嘆願した。スロバキアのブラティスラビアに駐在するバチカン大使は、ポーランドへの移送は間違いなく死を意味すると報告した。
3月22日 ドイツ軍による、ベラルーシのハティニ村虐殺事件。村人149人(子供75人)が虐殺された。
ベラルーシ全体で、5,295の村が破壊され、223万人が虐殺された。
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4月 レーヒー大将「ハーリーはスターリンと会見した。そして大元帥は、ドイツの敗戦後、対日戦争でアメリカを支援すると彼に伝えた。軍の懸念は、日本攻略を進めていく上でロシアの支援が得られるかどうかだった。だが私の見るところ、ロシアの支援が得られなくても日本を破る事が出来る」
4月13日 ゲッペルスは、ラジオ放送で、ソ連軍当局による虐殺と思わしき数千人のポーラン人の遺体がカティンの森で発見されたと発表した。
国際赤十字は、直ちに調査団を派遣して査察し、約4,000人の遺体を掘り起こした。
ソ連は、「ドイツ軍の犯行」と反論した。
ドイツ法医学委員会、国際委員会、ポーランド赤十字は、調査団を派遣して更に詳しく調べ、犯行はソ連軍によるものとた断定した。
虐殺された総人数は、約2万2,000人にものぼった。
4月19日 バミューダ会談。米英首脳は、ドイツ軍占領下のユダヤ人の現状をどうするかで話し合ったが、救済する為の具体的な救済策を導き出せずに終了した。両国代表は、ユダヤ人難民の救援計画を立てず、国内への移住制限を緩和しない事に同意した。
ヒトラーは、ユダヤ人救済を口に出しながら実行しない連合国にあきれ果てた。
ワルシャワ・ゲットー蜂起。ソ連軍は、進攻を停止してワルシャワを見捨て、数万人のユダヤ人が処刑されるのを傍観した。
ピウス12世は、全ての情報を得て、全ての事を知り、連合国の冷淡さに絶望した。ナチスの残虐行為を否定していたが、教会を守るという教皇の責務からヒトラーの報復を恐れ、慎重な言動と行動を取る事にした。それ以上に、神への信仰を冒?し、命の尊厳を踏みにじり、魂の救済を否定する、マルクス主義を有害であると否定していた。人を人と思わず惨殺する、冷血にして冷酷な、反宗教無神論の左翼や左派などの共産主義勢力の蔓延を最も恐れた。ピウス12世は、ベルリン司教フォン・プライジングに心の内を秘かに伝えた。「神が一人の教皇の肩にこれほどの重荷を負わせる事はほとんどありません。……来る日も来る日も、非人道的な行為の数々が伝えられます。戦争だからといってその様な行為が許されるはずもなく、私は茫然とし、恐怖を覚えるばかりです。……司教の発言に関してですが、現地の司教達には、報復や圧力の危険がある時、最悪の事態を防ぐ為に─介入すべき理由があっても─慎重を期すべきかどうか、注意深く見極めるよう指示しています。それが、我々自身の発言に制限を設けている理由の一つです」
4月19(〜30)日 アメリカとイギリスは、ベルムダで亡命者会議を開催した。
マイロン・テイラーは、アメリカ代表に対し「ただ終戦を待つだけでは効果はない」との声明を送った。
4月30日 在外ポーランド政府の政府代表は、ワルシャワのユダヤ人との連帯と支援を要請した。連合国は、ユダヤ人の悲劇を知りながら、積極的な支援行動をとらずただ傍観した。
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5月 アメリカ軍情報部(G2)は、ラトビア、リトアニア、ハンガリーなどでユダヤ人が大量に虐殺されている情報を掴んだが、命の危険に晒されているユダヤ人を如何にして救援すべきかの方法がわからないと報告した。陸軍上層部は、十分な輸送手段がないと返答した。
5月5日 バチカンに、ガス室の実態を知らせる情報が伝えられていた。
「特にトレブリンカの死の収容所では、一度に数百人のユダヤ人が大きな部屋に閉じ込められ、毒ガスの効力で生命を絶たれていると報じられている」
5月19日 イギリス下院議員エレノア・F・ラスポーンは、亡命希望者を救出する為に直ちに実行すべき12ヶ条の提案を行った。
ピーケ内相とイーデン外相は、提案に対して「ほとんどの救援策はドイツの妨害に遭って失敗し、唯一の方法は軍事的勝利しかない」と回答した。
イギリス政府は、国民の反ユダヤ的感情を考慮して、戦争にユダヤ人救済を持ち込む事に慎重であった。
イギリス人の多くは、アメリカ人同様に、ユダヤ人を助ける為に戦う事には賛成していなかった。
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6月のデトロイトや8月のニューヨークなど47都市で、人種差別に抗議した黒人暴動が起きた。ルーズベルトは、戦時下での混乱を収拾する為に、各州知事に州兵を出動させて武力鎮圧する様に命じた。
当局は、日本以上の厳しい報道規制を行って、逮捕者や負傷者の正確な人数を隠蔽した。
FBIや軍諜報部は、人種差別のナチス・ドイツではなく日本側の攪乱工作を疑った。
如何なる国ににおいても、戦時下では、「大本営発表」の如く不利な情報は国民の目から隠した。情報統制は常識であり、何処にも報道の自由は存在しない。
6月2日 ピウス12世は、枢機卿会議で「民族や人種を理由に殲滅の処分を受けている」と訴えた。参加者全員は、ユダヤ人と知っていたが、ユダヤ人の言葉を口から出す事は決してなかった。
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『口語 新約聖書』日本聖書協会、1954年
「ヨハネによる福音書」
第8章
37,私(イエス)は、あなた方(ユダヤ人)がアブラハムの子孫である事を知っている。それだのに、あなた方は私を殺そうとしている。私の言葉が、あなた方の内に根を下ろしていないからである。
38,私は私の父のもとで見た事を語っているが、あなた方は自分の父から聞いた事を行っている」。
39,彼らはイエスに答えて言った、「私達の父はアブラハムである」。イエスは彼らに言われた、「もしアブラハムの子であるなら、アブラハムのわざをするがよい。
40,ところが今、神から聞いた真理をあなた方に語ってきたこの私を、殺そうとしている。そんな事をアブラハムはしなかった。
41,あなた方は、あなた方の父のわざを行っているのである」。彼らは言った、「私達は、不品行の結果うまれた者ではない。私達にはひとりの父がある。それは神である」。
42,イエスは彼らに言われた、「神があなた方の父であるならば、あなた方は私を愛するはずである。私は神から出た者、また神からきている者であるからだ。私は自分からきたのではなく、神からつかわされたのである。
43,どうしてあなた方は、私の話す事が分からないのか。あなた方が、私の言葉を悟る事ができないからである。
44,あなた方は自分の父、すなわち、悪魔から出てきた者であって、その父の欲望どおりを行おうと思っている。彼は初めから、人殺しであって、真理に立つ者ではない。彼の内には真理がないからである。彼が偽りを言うとき、いつも自分の本音をはいているのである。彼は偽り者であり、偽りの父であるからだ。
45,しかし、私が真理を語っているので、あなた方は私を信じようとしない。
46,あなた方の内、だれが私に罪があると責めうるのか。私は真理を語っているのに、なぜあなた方は、私を信じないのか。
47,神からきた者は神の言葉に聞き従うが、あなた方が聞き従わないのは、神からきた者でないからである」。
48,ユダヤ人達はイエスに答えて言った、「貴方はサマリヤ人で、悪霊に取り憑かれていると、私達が言うのは、当然ではないか」。
49,イエスは答えられた、「私は、悪霊に取り憑かれているのではなくて、私の父を重んじているのだが、あなた方は私を軽んじている。
50,私は自分の栄光を求めてはいない。それを求める方が別にある。その方は、また裁く方である。
51,よくよく言っておく。もし人が私の言葉を守るならば、その人は何時までも死を見る事がないであろう」。
52,ユダヤ人達が言った、「貴方が悪霊に取り憑かれている事が、今わかった。アブラハムは死に、預言者達も死んでいる。それだのに、貴方は、私の言葉を守る者は何時までも死を味わう事ないであろうと、言われる。
53,貴方は、私達の父アブラハムより偉いのだろうか。彼も死に、預言者達も死んだではないか。貴方は、いったい、自分を誰と思っているのか」。
54,イエスは答えられた、「私がもし自分に栄光を帰するなら、私の栄光は、むなしいものである。私に栄光を与える方は、私の父であって、あなた方が自分の神だと言っているのは、その方の事である。
55,あなた方はその神を知っていないが、私は知っている。もし私が神を知らないと言うならば、あなた方と同じような偽り者であろう。しかし、私はその方を知り、その御言を守っている。
56,あなた方の父アブラハムは、私のこの日を見ようとして楽しんでいた。そしてそれを見て喜んだ」。
57,そこでユダヤ人達はイエスに言った、「あなた方まだ五十にもならないのに、アブラハムを見たのか」。
58,イエスは彼らに言われた、「よくよくあなた方に言っておく。アブラハムの生れる前から私は、いるのである」。
59,そこで彼らは石を取って、イエスに投げつけようとした。しかし、イエスは身を隠して、宮から出て行かれた。
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