🔯39」─1─第一回十字軍の大虐殺。イエズス会のゴア異端審問はユダヤ人を生きたまま焼き殺した。1096年 ~No.133No.134No.135 @ 

([み]5-1)少年十字軍 (ポプラ文庫)

([み]5-1)少年十字軍 (ポプラ文庫)

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。  
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 ヨーロッパの名の由来は、ギリシャ神話にある。
 西洋の発祥は、古代ギリシャである。
 西洋文明は、古代のギリシャ文明・エジプト文明メソポタミア文明そしてローマ文明によって生まれた。
 だが、それだけのとこである。
 西洋文明が、源流である古代の諸文明に敬意を払ったとしても、涙を流すほどに歓喜し、幾度も幾度も感謝の言葉を捧げる事はしない。
 何故なら、それは時の流れ、歴史的出来事に過ぎないからである。
 現代にとって、中世はおろか古代は学問の対象に過ぎない。
 それは、中国、韓国、日本の間でも同じ事である。
   ・   ・   ・   
キリスト教会の外には救済はない!」
 一神教絶対神は、不寛容で嫉妬深い「ねたむ神」である。絶対善の唯一の神を信仰する汝の敵を愛せよと教えるが、唯一の絶対神を敵とする異教徒は根絶やしにしろと厳命した。男系優先主義から、男は子供でも容赦せず皆殺しにし、男と寝たことのある女も全て殺して、異教徒を根絶やしにした。女系否定思想から、男を知らない乙女だけを生かして、絶対神を信仰する子供のみ産ませた。
 「産めよ、増やせよ、地に満ちよ」とは、男系至上主義による民族浄化であった。
旧約聖書
 「私は主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である。あなたには、私をおいてほかに神があってはならない。あなたは如何なる像も造ってはならない。」(『出エジプト記』第20章)
 「あなた[イスラエル]に仕えない国も王国も滅び 国々は全く廃墟となるであろう(『イザヤ書』60章12節)……他国の人々が立って貴方たちの為に羊を飼い……貴方たちは国々の冨を享受し(『イザヤ書』61章5〜6節)」
 『旧約聖書』は、排他的普遍宗教であるユダヤ教キリスト教イスラム教の核心を成す重要な聖典である。それは、世界一血に塗られた武勇の聖典であり、異教の神の根絶と異教徒の死滅を正当行為とする不寛容の聖典である。生き死にに関係なく、人を神として祀る事は絶対に許さない。
 旧約聖書にとって、八百万の神々を崇め神社は異民族の異教であり、祖先神信仰の現人神・天皇は異教徒である。彼等は、絶対神への信仰から異教国日本と異教徒天皇を絶対に許さず、地上から消滅する事を「神聖な使命」としていた。
 旧約聖書にもとずき、絶対神の戒律に従い、信仰によって唯一神と契約したユダヤ人のみが、正しき心を持った選ばれた人である。
 新約聖書にもとずき、絶対神の愛に目覚め、信仰によって唯一神と契約したキリスト教徒のみが、神の僕として死んだ後に魂が神の御国に行ける。
 コーランにもとずき、絶対神の掟に従い、信仰によって唯一神を称えたイスラム教徒のみが、殉教者としてその魂は72人の聖なる乙女が待つ天国に行ける。
 一神教は、排他的絶対二元論により善悪の判断を唯一絶対神の判断に委ね、絶対神の愛を信じない者は人ではなく邪悪な獣と決めつけていた。正しい心を持った人間は、万物の霊長として全ての動植物を支配し、絶対神に愛された人に害をなす自然の脅威を破壊し、神の愛を拒否し従わない邪な心を持った異教徒・悪魔を聖なる火で生きたまま焼き殺した。勝者の普遍宗教として、敗者への生殺与奪の権を握り絶対神に愛されない多神教の異教徒を抹殺しようとしたのである。
 白人至上主義者は、排他的な名門主義者であり、閉鎖的な血縁重視主義者として、キリスト教徒白人以外の有色人種を動物同様に扱った。宗教にもとずく人種的優越感により、人としての心の弱さや痛さや脆さを持たず、強者としての卓越した強靭的精神を誇示していた。ゆえに、彼らは地球上の覇者として世界を支配した。
 ユダヤ教の排他的選民主義は、キリスト教イスラム教に厳格に受け継がれた。
 特に、キリスト教は、信仰的フロンティアスピリットから異教を容赦なく攻撃して、異教徒を一人残らず根絶し、存在した痕跡さえも「唯一絶対神」が造った地球上から抹消しようとした。文化も、言語も、文字さえも、無かったモノとして完全消去した。そして、絶対神の「愛」という普遍的価値観のみを唯一の判断基準として布教したのである。
 永遠のベストセラー『聖書』は、異端・異教に対して武器を持って攻め滅ぼし、絶対神に叛く者を聖なる火で生きたまま焼き殺し、信仰に目覚めた善良なる人のみに絶対神の「愛」を広げる事を「神聖な使命」としている。
 ベルナール・ルコント「教皇の主権に対する唯一の保障、唯一の政治的正当性は、教皇が領土を保有している事にあり、結局のところ領土の面積はそれほど重要ではないのである。1000年にわたって多くの土地が寄進された」(『バチカン・シークレット』P。32)
   ・   ・   ・   
 2016年4月号 新潮45「人間関係愚痴話 曽野綾子
 ……
 修道院が城壁に似た防備の形を持つと言うと、すぐ批難する人がいます。神の存在を信じ愛を説く人たちが、人を信じないのですかと言われるのだが、まさに人を信じていたら、日本以外の土地では、すぐに盗賊が入って修道院や聖堂の美術品などを奪おうとするから、まず悪漢の侵入を防ぐ城のような建物を建てる他にない。こうして私は、まだ幼いうちから、誰もがいい人だとは、すべての人を信じましょう、などという甘さからは離れて生きることを理解する下地を教えられたのである。
 私自身、信仰を持つ人は人種の如何にかかわず、正直ないい人たちで、殺生はせず、菜食主義者だろう、などという感覚は根本から取り除かれて育ったらしい。信仰というものはすべて殺生とはかけ離れたもので、信仰者は誰もが精進料理を食べるものだ、などという発想は、植物が生えるに充分な水がある土地にだけ許された優しい感覚だ。
 一神教ユダヤ教キリスト教イスラム教)はことごとく、草一本伸び伸びと生えない乾いた荒れ野に生まれたもので、したがって彼らの食べ物は、買い入れた他国産の穀類か、自分の飼育している家畜しかなかった。こんな簡単なことも、日本人のすべての若者たちは実感としては把握して育たない。しかし私は、その理解の手口を早くから与えられていたのである」
   ・   ・   ・   
 人は、アダムの子孫・人間として生まれながらに神命に背いたという原罪・宿罪を背負って生まれて来た罪人である。
 唯一絶対神は、人が生まれる時、誰を救い、誰を見捨てるかという宿命を定めて地上に送りだしている。
 人は、自分が救われるのか見捨てられるのか分からない為に、救われる定めと信じて楽しみが少なく苦しみが多いこの世を生きて行く。
 唯一絶対神の御心に適うべく、与えられた試練を運命として受け入れて生きて行く。
 安息は、生きているこの世ではなく死んだあの世にあると信じて生きて行く。
 胎児は、悪に満ちたおぞましい世界に出る事を嫌がり、抵抗空しく無理やり母親のお腹から引きずる出された為に、絶望して号泣ながら生まれて来る。
 出産直後に赤児が泣くのは、命を授かってこの世に生まれ出た喜びではなく、生まれる事で原罪・宿罪を背負わされたという宿命と悪徳な世界を生きなければならないという運命を呪いである。
 乳幼児はその恨みを親に晴らすべく泣いて暴れてぐずり親を困らせ手こずらせる為に、小悪魔と憎まれた。
 親は、小悪魔のような子供は絶対神に押し付けられた定めとして受け入れ、一人前の「隣人愛の信仰」を持った大人にするべく厳しく躾けて育てた。
 全ては、死んだ後に永遠の命を授かり、神の御国・天国で永遠に生き続ける為であった。
 戦争や暴動は絶対神が与えた異教徒・異端者との試練として勇敢に戦い、より多くの異教徒・異端者を殺す事が絶対神の御心に適う事であるとして殺した。
 自然災害は絶対神による天罰と恐れ、自然災害で死んだ者は絶対神の御心に背いた重罪人として弔う事なく見捨てた。
 絶対神を信仰する敬虔な信者は、自然災害で死んだ者には同情しない所が、大罪を犯した悪党として罵声を浴びせた。
 全ては、唯一絶対神の御心であり、原罪・宿罪を背負った人には理解できない御業である。
 信じて頼るのは、隣りにいる原罪・宿罪を背負った悪人ではなく、唯一絶対神のみである。
 聖書は「隣人を愛せよ」と言うが、人は生まれながらの罪人である以上、信じられるのは自分と唯一絶対神の御心だけであった。
 契約は、人と人が交わす事ではなく、人と唯一絶対神と交わす事である。
   ・   ・   ・   
 ユダヤ教も、キリスト教も、イスラム教も、同じ一神教絶対神を信仰している。
 彼等は、同じ絶対神を信仰するがゆえに、本質は異教徒ではなく異端者である。
 この三宗教で、地球上に生活する人間の半数以上を占めている。
 そして、対立と、迫害と、テロと、戦争が絶えない。
   ・   ・   ・   
 「神の敵を殲滅する事こそ、神の御心にかなう」
 聖アグスティヌス「世に不正な迫害というものがあって、これは神なき輩がキリストの教会に対して行うものである。他方、正しい迫害があり、これはキリストの教会が神なき輩に対して用いるものである。……教会は愛の心から迫害し、神なき輩は残忍さから迫害をおこなうのである」   
 1096〜99年 第一回十字軍約10万人は、聖觥エルサレムを奪還するや、市内にいたイスラム教徒、ユダヤ教徒ギリシャ正教徒を大虐殺した。
 女子供に関係なく、身体はバラバラに解体されて山積みにされ、血は大河となって流れた。
 従軍した聖職者は、異教徒への「魂の救済」として虐殺を奨励した。
 キリスト教徒は、おぞましいほどに血に飢え、各地の異教徒の地に絶対神の王国を建設する為に多くの異教徒を「神の御名」によって虐殺した。
 キリスト教軍は、平和ではなく戦争をもたらし、ここに地球規模の宗教戦争が始まった。
 「そこには、感嘆すべき光景が見られた。……これほど長い間、冒瀆を欲しいままにしてきた人々の穢したこの場所が、彼等の血に染まる事を欲し給うた神の裁きは正しくもまた讃うべきである」
 1208〜29年 アルビジョワ十字軍。教皇インノケンティウス3世は、南フランスに信者を獲得している異端・カタリ派キリスト教徒の撲滅を命じた。
 十字軍は、異端者はもちろんそうでもない者も、そこに居合わせたというだけで全員を虐殺した。
 聖職者は、異端者は地獄に送り、そうでない善人は天国に招くかの選別は、絶対神が行うとして、全員の殺害を祝福した。
 「全員を殺せ!神が見分けてくれるだろう」
 キリスト教会は、全ての行為は、最初から絶対神の大いなる計画によるものであると肯定し、それを実行するかどうかは、信仰心の強さにかかっていると説いている。
 つまり、異教徒や異端者への虐殺を行う事は信仰の証しであると。それを妨げるのは、悪魔の誘惑であるとした。
   ・   ・   ・   
 モンゴル帝国(1206〜71年)は、軍団を西方に派遣して領土を拡張するとともに、キャラバン隊の為に東西世界をつなぐ交易ルートを整備した。
 ベニスやジェノヴァなどのイタリア沿岸諸都市は、地中海交易圏で活発に中継貿易を行って富を蓄積していたが、東方の富に関する情報が入る様になるやさらなる利益を上げる為に憧れを抱き、何時かは訪れ大金を手にしたいという「欲」に取り憑かれた。
 ジンギス・カンが死亡するや、血の結束は緩み一族内での後継者問題で内部抗争が激化して幾つかのハーン国に分裂し、領土内の異民族反乱が頻発し、疫病と飢饉で衰退していった。
 東西交易ルートが閉ざさ自由な行き来が不可能になるや、東方の富に対する「欲」が膨らみ、どうしても手に入れたいという「強欲」が大航海時代の下地となった。
 人を行動へと突き動かすのは、世界に高度な文明を伝え地上に幸福な楽園を築きたいという崇高な使命や神聖なる使命ではなく、他人の富を奪って独占したいという尽きる事のない「欲」である。
 誤魔化しの言い訳は、後から取って付けた様に数多く叫ばれる。
 マルコ・ポーロ(1254〜1324年)は、元からヴェニスに帰国し口述して『東方見聞録』残した。
 1274年 モンゴル軍は、戦場で、火薬を炸裂させて相手を驚かする鉄砲を使用していた。
 1326年2月11日 戦史上、初めて大砲が実戦で使われたのはフィレンツェ防衛においてと言われている。
 1336年 軍船に搭載された大砲が実戦に使用されたのは、フランス軍船がアントワープを砲撃したときとされている。
 1487年 イギリス国王ヘンリー7世は、大砲搭載の正式な軍船の建造を命じた。
 1550年 イタリア駐留スペイン軍は、世界に先駆けてマスケット銃を導入した。
 16世紀 ヨーロッパは、都市産業の発展により、都市人口が爆発的に増加して食糧と薪が不足していた。
 西欧の森林は、商品製造の為に燃やしてエネルギーにかえるべく乱伐して激減していた。
 鬱蒼とした森林に覆われ北欧と東欧は、不足した食糧と材木の確保の対象とされた。
 スウェーデンは、材木と鉱物資源が豊富な為に大砲製造を行い、武器を輸出する事で資本を蓄え、西欧の侵略を食い止めた。
 ポーランドは、農業国として産業が発展しなかった為に、絶えず周辺諸国の侵略に悩まされていた。カトリック教会の支援を受けるべく国内でも布教活動を奨励したが、貧弱な軍事力しか持てなかった為に滅亡して行った。
 多くの宣教師が、ポーランドには行って「隣人愛信仰」の布教活動を行った。
 カトリック教会は、布教に必要であれば政治に介入するが、必要でなければ政治には干渉しない方針をとっていた。よって、ポーランドカトリック教会の支配下に置く事を希望したが、ポーランド王国の存続には興味がなかった。
 キリスト教徒は、絶対神から与えられた神聖な使命である布教と信仰の保持を、不当な迫害や妨害から守る為には聖戦を厭わなかった。
   ・   ・   ・   
 カトリック教会は、腐敗堕落していた。
 ローマ教皇は、陰謀と賄賂で取引されていた。
   ・   ・   ・   
 イグナチオ・デ・ロヨライエズス会創設者)「行く先々を信仰の炎で包め」
 フランシスコ・ザビエル(改宗ユダヤ人)「ロヨラの言葉をインドにおいて具現化すべく、ゴアの地で実践しただけであった」
 1534年8月15日 パリのサン・ドニ教会で、ロヨラ、ザビエルら6名は教会のもとで世界を救済する事を誓った。そして、ローマ教皇の命じられたままに、殉教覚悟で世界のどこへでも布教に赴く事を誓願した。
 「片手に剣、もう片手に十字架」を掲げて布教活動を行うという、戦闘的なイエズス会の誕生である。
 ポルトガル国王ジョアン3世は、インドをキリスト教化する為に、イエスの軍団・イエズス会に布教を依頼した。
 ロヨラは、全世界をキリスト教会の支配下に組み伏せる為に、会員を海外に派遣した。
 1535年 後発国のオランダ・イギリス・フランスは、巨大国スペイン・ポルトガルに対抗する為に、オスマン帝国とカピチュレーシュン条約を締結した。
 1539年 ローマ教皇パウルス3世は、イエズス会の発足を認可し、翌40年に教皇勅書を出して公認された。
 1545〜63年 カトリック教会は、ドミニコ会フランシスコ会イエズス会などの修道士会を集めて、トレント公会議を行った。
 プロテスタント諸派は、イエズス会などの修道士会を敵と認識して攻撃した。
 ロヨラは、各地の異教徒の偶像崇拝を撲滅する為に、スペイン艦隊の支援を希望していた。
 1563年 イエズス会は、中国のマカオで布教活動を開始した。
 東アジアのキリスト教化は、中国の布教にかかっているとして活動を本格化させた。
 中国を支配する読書階級は、西洋への好奇心で宣教師からキリスト教の教義を聞いた。
 1593年 ローマ教皇アレクサンデル6世は、スペインとポルトガルの占領地での布教を義務付け、宣教師らの生活費・旅行費よ教会の建設費・維持費を国庫から拠出する様に命じた。
 イエズス会は、世界中で布教活動をする傍ら、戦闘的な使徒を作り上げるべく学校を設立した。宣教師は、各地で数多くのコレジヨセミナリオや大学を建設し、地元の優秀な子供に絶対神のみを崇めるようにとの洗脳教育を施した。
   ・   ・   ・
 宣教師は、キリスト教の正しい教えを異教徒の野蛮人に理解させ、「平和と愛」に満ちた「神の王国」を地上に実現する事を「使命」としていた。
 キリスト教徒も、絶対神の正しい教えを受け入れない人は不幸が絶えず、地上に正しい教えが行き渡らないから戦争も絶えないと確信していた。神の声を聞き悔い改める者は、慎み深く、才能があり、道理を理解する、心優しい人々であると信じた。対して、自然・太陽崇拝や個人・偉人崇拝などの民族宗教を信仰する原住民は、文明を持たない未開の無知な異教徒・獣と嫌悪した。正しい人が、異教徒・獣を殺すのは絶対神から与えられた権利とされていた。
 中世のキリスト教徒白人は、絶対神に愛された神聖なヨーロッパ世界以外の土地は、邪悪な神を信仰する獣が汚している暗黒の大地であると決めつけ、絶対神の「聖なの火」で焼き滅ぼすべきだと決意していた。
 ゆえに、異教徒・有色人種に奪われた絶対神が創造した土地を奪還する事が、「信仰の証」とされた。
 当然、日本の土地も、悪魔信仰の天皇とその一味から解放すべきであるとされていた。
   ・   ・   ・
 『聖典 パドマ・プラナ』「たとえ夫が、醜悪でも、道楽者でも、浮気者でも、博打に凝っても、妻は夫を神と崇め従わねばならない」
 『マヌ法典』「女は、生来の欲情と浮気心と薄情さゆえに夫に対して不貞を働く」
 インドは、世界一厳しいカースト制度が支配する社会であり、同時に世界でも類を見ないほどの女性蔑視の風習が存在する。
 子供を産む前に夫に先立たれた妻は、夫が火葬されているその火で一緒に焼き殺された。その儀式を「サティ」と呼ぶ。
 階級の高いろくでもない男は、金持ちで階級の低い女性と結婚するが、持参金を奪って妻を事故死として殺した。
 カースト制度の高い者は、自分より下位者に対する犯罪で罪に問われる事はなかった。
   ・   ・   ・   
 偽りの洗礼を受けた隠れユダヤ教徒ユダヤ人は、イエズス会などの宗教的反ユダヤ主義勢力が支配するヨーロッパから、異教徒の支配する国へと脱出(エクソダス)して行った。
 1542年 イエズス会のザビエルは、全ての異端者をキリスト教世界から撲滅し、一切の異教徒を地上から排除し、全アジアを改宗させキリスト教価値観で一元化・単一化する為にインドのゴアに到着した。
 インド副王アルブケルケは、ゴアを軍事占領してインド統治体制を築いた。
 キリスト教徒商人は、インド洋沿岸市場からアラビア人商人を完全排除するべく、ポルトガル海軍にアラビアの軍船と商船の殲滅を依頼した。インド洋には、両教国海軍による度重なる海戦で多くの血が流れていた。
 アラビアから東南アジアにかけての水域はアラビア人が支配していたが、アラビア人商人は商船の武装化には熱心ではなかった。
 対して、ヨーロッパ商船は遠洋航海用に大型化し、海賊行為が出来る様に軍艦並みの武装がなされていた。武器の破壊力強化に伴い、操船術と海戦術は飛躍的に改良されてキリスト教国海軍は世界最強となった。
 ヨーロッパの商船は、異教徒の船を発見するや容赦なく攻撃し、異教徒の船員を皆殺しにして積み荷を奪った。異国の女性がいれば、強姦した後に女奴隷か娼婦として売った。船上宣教師は、「全能の神の御名」により異教徒への海賊行為を祝福した。 
 キリスト教世界は、世界の海を「信仰の力」ではなく「強力な武器」で支配した。
 ザビエルは、ヒンドゥー教徒約2万人の大改宗に失敗するや、その責任は地元の土俗宗教やイスラム教徒らと妥協している、あやふやな信仰心しか持たない軟弱な宣教師達の裏切りであるとして激怒した。異教徒地元民と共存して平和的に布教活動している宣教師は、隠れユダヤ人であると決めつけて、絶対神の真理で不正を正し綱紀粛正を行うべく、バチカンに対して異端審問所の開設と容赦なき極刑の許可を要望した。
 イエズス会は、反宗教改革派の急先鋒として、異端者を審問裁判で粛清し、異教徒を神聖裁判で撲滅する事を使命としていた。その揺るぎない信仰心から、「神の軍隊」として威力有る権限が認められていた。 
 ゴア異端審問所は、密偵を放って監視を強化し、密告や誣告を奨励して、異端信仰の証拠を握るや隠れユダヤ教徒を生きたまま火あぶりで処刑した。信仰の証しとして、裏切りを奨励した。敬虔なキリスト教徒は、自分の信仰の布教活動は熱心だが、他民族の風俗や習慣、文化や伝統と異教徒の敬虔な祈りに関心がない以上に、異質の価値観を想像し理解する能力が欠如していた。
 ゴア異端審問は、1560〜1814年まで続き、4,046人を有罪にして121人を、公開で生きたまま火あぶり刑で処刑した。
 キリスト教普遍主義により見せしめとして、教会が管理する教区内に生活する異教の神を信仰する原住民は、女子供に関係なく全員を追放した。先祖からの土地にしがみつき、改宗を拒否する異教徒は容赦なく公開で処刑した。中には、商売で成功したマラーノ(改宗ユダヤ人)の財産を没収する為の冤罪もあったと言う。彼らの不幸の根源は、生まれがユダヤ人と言う血筋であった事で、信仰ではなかったのである。異端者・異教徒抹殺を使命とするキリスト教普遍主義とは、他者・異質な価値観を一切認めない唯一絶対主義ゆえに、「許す」ことを排除した排他的・狂信的・独善的な信仰を広めた。
 キリスト教会は、頑迷な大人の改宗を諦め、子供に洗礼を受けさせる為に宗教教育に力を入れた。将来的計画から、多くの貧民の子供や孤児を言葉巧みに保護して修道院に収容した。分別のない無知な大人達は、洗礼を受けさせつもりはなかったが、宣教師や修道士等の言葉を信用して子供達を預けた。
 ローマ教皇パウル3世は、敬虔な信仰を持つザビエルを聖使に任命し、教皇の代理としての全権を与えて東方植民地の全官吏を指導する事を許した。
   ・   ・   ・  
 当時のキリスト教ほど、血に飢えた原理主義的普遍宗教はなかった。
 同じキリスト教徒でも、教義が違うと言うだけで異教徒と決めつけて虐殺した。異教徒であれば、なおさら容赦はしなかった。
 キリスト教徒にとって、絶対神に愛される「人」とはキリスト教徒の白人みであった。
 非白人のキリスト教徒は、人であっても最下層の下僕か、さもなくば奴隷として死ぬまで扱き使った。
 非白人の異教徒は、人間ではなく、動物と同類の卑しい生き物として排除した。
 それが、絶対神の真理を普遍的価値観とする一神教である。
 ここに、日本人では考えられない、排他的な絶対不変の階級・階層が生まれた。
 中世は、キリスト教による暗黒時代であった。
 彼等は、黄金の島「ジパング」をめざし、ジパングを征服して、その黄金を略奪し、異教徒日本人を奴隷にする為に大海に乗り出した。
 山川出版社「宗教内乱や宗教戦争は政治的・社会的抗争もともなcつて16〜17世紀のヨーロッパ各地に広がった」(『詳説 世界史研究』)
 「ヨーロッパ諸国は、新航路の開拓、海外貿易の拡大、キリスト教の布教、さらに植民地の獲得を求め、世界的規模の活動を始めた」(『詳説 日本史研究』)




   ・   ・   ・