🦎15」─1─東南アジアで後退する一帯一路構想。マレーシア。ミャンマー。ラオス。~No.53No.53No.54 ⑤

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本の利益・金儲け集団は、世界が拒否し始めた中国共産党の陰謀である一帯一路構想に商機有りとして積極的に参加する事を望んでいる。
 日本は金儲けの為に、喜んで、中国資本に国土から建物や企業まで売って恥じなかった。
   ・   ・   ・   
 2018年2月1日 産経ニュース「【藤本欣也の中国探訪】中国・ラオス国境 東南アジアの要衝が「一帯一路」に飲み込まれようとしていた…
 ラオス・ボーテン中心部で見かけた中国語の看板。一帯一路の文字が躍る
 中国の国家戦略、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の波が南へ押し寄せている。中国と東南アジアを結ぶ南方のシルクロードの最前線ではどんな変化が起きているのか。メコン川流域の中国・ラオス国境を訪れてみると、“中国による中国のための町”の建設が急ピッチで進んでいた。
   ◇   
 中国南部、雲南省(人口約4700万人)は少数民族の宝庫として知られ、26の民族が暮らす。ベトナムラオスミャンマーと国境を接している。
 1月下旬、気温マイナス11度の北京から飛行機で約3時間半。省都昆明は20度近くまで気温が上がり、早春のような陽気だった。市内の鄭和公園では梅が咲き始めていた。
 明の武将、鄭和昆明出身だ。永楽帝の命を受け、1405〜33年に7回にわたり艦隊を率いて西方に遠征。東南アジア、南アジア、西アジア、東アフリカなどの約30カ国・地域を歴訪した。その目的については「諸国に朝貢を促すため」など諸説ある。
 中国からアジアを経て欧州、アフリカへ至る巨大な経済圏「一帯一路」の建設を推進する習近平政権は、先駆者としての鄭和の業績をことさら強調している。
 大航海を成し遂げた鄭和その人は沿海部ではなく、内陸部の生まれだった。また、漢族ではなくイスラム教徒の少数民族回族出身である。
 昆明から飛行機を乗り換え、さらに南下すること1時間。メコン川上流域の景洪に降り立つと、周囲の風景は一変した。金色の装飾が輝く寺院や建物が増え、通りの看板も中国語のほかに、丸みを帯びた東南アジア系の文字が併記されている。タイ系の少数民族タイ族の言葉だ。
 一帯はシーサンパンナ・タイ族自治州である。ラオス国境はさらに車で2時間南下しなければならない。
  □ □  
 「今後の目標をしっかりと立て、メディアを通じて自分たちの声をもっと発信していこう」
 ラオス国境の人口約3万人の町、シーサンパンナ・タイ族自治州の磨●=敢の下に心=(モーハン)。国際市場の一角の会議室で、中国工商業連合会・磨●商会の任天涯会長(54)が新春の会に集まった会員らに呼びかけた。
 同商会は2カ月前に組織されたばかりで、会員は115人。磨●などでレストランや商店を経営する任会長が発起人だ。当局に対する交渉力アップを主な目的に掲げている。
 任会長は浙江省港湾都市、寧波出身。発展が遅れているものの、それだけに今後の成長が期待できるラオス国境に目を付けた。ミャンマー国境は治安が不安定、ベトナム国境はすでに多数の業者が進出していた。移住してビジネスを始めたのが3年前。鄭和とは逆のパターンである。
 「磨●は中国と東南アジアを結ぶ主要ルートだ。将来、ラオス、タイ、マレーシアを通ってシンガポールまでつながる」(任会長)
 習政権は一帯一路の一環として、中国と東南アジアを結ぶ鉄道網の整備を目指しており、磨●は交通の要衝となった。
 現在、雲南省南部で中国の新幹線に当たる高速鉄道の建設工事が進む。ラオス側でも中国企業が鉄道を建設しており、2022年に両国は連結予定だ。
□ □
 磨●では日中、トラックやダンプカーが行き交う。国境の税関を経てラオス、タイへ至る道路は「東南アジア諸国連合ASEAN)大通り」と命名されていた。
 昆明から延びる高速道路は昨年、磨●まで開通。ラオス側も国道の整備が進み、首都ビエンチャンから昆明までの約1400キロが20時間余りで結ばれた。
 磨●の税関が取り扱った2016年の貨物量は12年の2倍、06年の11倍以上を記録している。主にラオス側の産品は農産物、中国側は機械、乗用車などだ。
 課題となるのがラオス人一般の購買力の低さ。任会長は、人口700万人足らずのラオス人が顧客ではないと言い切る。「ラオスは中国より50年遅れている。われわれ中国人がラオスの商品を買って、中国人に売る。狙うのはラオス人ではない。中国人の財布だ」
 磨●商会の事務室で、29歳の中国人実業家と話をした。紅木などの高級木材を輸入し中国で売りさばいているという。
 「日本でも密輸は盛んなのですか?」。単刀直入に聞いてきたので驚いた。
 一帯では密輸が横行しているということなのだろうか。それとも−。
 ラオス、タイ、ミャンマーの国境地帯にあって、世界最大の麻薬密造地として知られた「黄金の三角地帯」まで約280キロしか離れていない。
  □ □  
 「向こう側に行っても何もないですよ」。任会長からはそう言われたが、チャイナマネーを当て込んでラオス商人たちが店を構えているのでは−と思って国境を越え、ラオス側の町、ボーテンに入った。
 確かに、何もなかった。町そのものがなかった。建設中だったのだ。
 山を切り開いての大型造成工事、道路の拡幅工事、国際商業金融センター、免税店、馬場、森林公園の建設工事…。まさに工事一色である。トラックやダンプカーが白い土煙を上げて走り回っていた。
 約460室を備えた大型ホテルは2月下旬に正式オープンする。国際商業金融センターの工事は7月に完了する計画だ。
 看板が至るところに掲げられていた。「“一帯一路”戦略拠点」「中国・ASEANビジネスの入り口」「21世紀の海上シルクロードを共同建設しよう」
 不動産の販売宣伝もあった。「分譲マンション11万元(約190万円)から」「1平方メートル当たり3000元(約5万1000円)」
 ボーテンは2009年、ラオス政府によって経済特区に指定された。11年に雲南省の不動産開発業者が進出し、翌年、同社会長がボーテン経済特区管理委員会のトップに選ばれ、中国主導で開発が進められることになったのである。
  □ □  
 ボーテンからビエンチャンなどへ向かう片側一車線の狭い国道沿いに、中華料理店があった。「中国−ラオス−タイ」と行き先を車体に掲げた大型トラックが爆音とともに店の前を走り過ぎていく。
 「一帯一路のおかげで町は大きく変わる。ここは経済特区なんだから、あの深●(=土へんに川)と同じように発展するわ」
 店長の妻、朱春●(=くさかんむりにさんずいに併の旧字体のつくり)さん(55)は“わが世の春”のように喜んでいた。重慶から移住し、当時あったカジノの客を目当てに開業したのが12年前だという。
 国際商業金融センターの建設地に面した小さな通りは、「黄金大通り」という名前が付いていた。
 小型トラックがやって来た。荷台には、ラオス人労働者たちがぎゅうぎゅう詰めになって立っている。それを見て、はたと気が付いた。ここはラオス領だ−。
 中国側から入国したので違和感を覚えなかったが、通りには中国語の漢字があふれ、中国語が飛び交い、マンションの価格も人民元で表示されていた。開発業者は中国企業、ホテルも中国企業の経営、労働者も中国人が圧倒的に多かった。
 ラオスの町なのに、中国人によって中国人のための開発が行われている、そう感じた。
 黄金大通りでラオス人の男性に話しかけた。アサン・セイチャオさん(22)。「黄金の三角地帯」に近いフエサイ出身という。地元の学校で中国語を学び、語学を生かしてボーテンの税関で働いている。
 「ボーテンの将来? あまり良くないと思います。発展はするでしょうが…。中国についてですか? ラオスにとって良いときもあるし悪いときもある」。それ以上は語らなかった。
  □ □  
 中国側の国境の町、磨●にトラック28台の長い列ができていた。これからラオスに入る通関待ちの車両だ。側面に日本の会社名が残る中古トラックが多い。
 車外に出てたばこを吸っていたラオス人運転手、バリさん(34)に話を聞いた。昆明からビエンチャンまで工事用の火薬類を輸送しているという。「いつも通関に2日ほどかかるんだ」と不平を言った。ビエンチャンでは家族が待っている。
 「通関手続きの迅速化も当局に求めている」と任会長はいう。「それよりもいま商会で問題となっているのが、タイの一部産品が中国に輸入できないことだ」
 任会長によると、昨年7月、ラオス側のボーテンで大量の麻薬の密輸事件が摘発され、以後、日用雑貨や衣料、化粧品の貿易が禁じられたのだという。商会は撤廃を求めている。
 それだけ商会側がラオスの先のタイをにらんだビジネス展開を模索しているということなのだろう。
 ボーテンにも、「中国・ラオス・タイ経済回廊」の建設を呼びかける看板があったことを思い出した。
  □ □  
 「歴史上、この地域の発展のスピードは遅い。高速鉄道で結ばれれば、発展するのは間違いないが、深●(=土へんに川)のようにはいかない」
 任会長はこう言うが、地元、特に少数民族の期待は大きいようだ。ハニ族の旅行関連業者(36)は「一帯一路の影響で磨●に高速鉄道の駅ができれば、中国人観光客は大幅に増えるに違いない」と意気込む。
 磨●商会メンバーで、ミャンマーやタイから高級木材を輸入している、先の中国人実業家(29)もタイ族出身である。
 これまで発展から取り残されるケースが多かった少数民族が一帯一路を利用して、時代の波に乗ろうとしている。もともと少数民族が多い地域とはいえ、商会メンバーの4割を少数民族が占めているという。
 今後、高速鉄道や高速道路で中国と東南アジアが連結されれば、中国人観光客が南方へ押し寄せ、それを見込んで中国商人たちも南下。主要なマネーは中国人の間で環流しながらも、地元の経済成長に寄与することで、中国の影響力が東南アジアの隅々に浸透していくに違いない。
 街の発展と引き換えに、中国に飲み込まれるラオス領ボーテン。これから紅く染まっていくであろう東南アジアの縮図がそこにあり、中国の一帯一路の現実を映し出しているような気がしてならない。
 (中国総局長、写真も)
一帯一路 中国の習近平国家主席が提唱する中国主導の経済圏構想。古代のシルクロード交易になぞらえ、中国から中央アジアなどを経由して欧州に至る陸上の「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、中国沿岸部から東南アジアやインド洋、アフリカなどを結ぶ「21世紀海上シルクロード」(一路)からなる。中国は、主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)などを通じ、沿線国を一帯一路に組み込むことを狙っている。   ・   ・   ・   

 5月28日23:54 産経ニュース「マレーシア、中国「一帯一路」の主要事業計画を廃止へ 350キロ高速鉄道
 クアラルンプール近郊の首相府前で訓示するマレーシアのマハティール首相=21日(共同)
 【シンガポール=吉村英輝】マレーシアのマハティール首相は28日、クアラルンプール近郊で記者会見し、同国とシンガポールを結ぶマレー半島高速鉄道計画の廃止を表明した。同計画は、中国が、経済圏構想「一帯一路」の主要事業として、受注攻勢をかけていた。
 マハティール氏は、同計画廃止を「最終決定」とする一方、違約金交渉が必要だとした。ナジブ前首相と2016年末に協定に署名したシンガポールは、26年の開通へ向け、国内の用地取得などに着手していた。
 高速鉄道はクアラルンプールとシンガポールの間の約350キロを約1時間半で結ぶ計画。現在は車で約5時間かかり、空路の利用者も多い。
 事業者を選定するための入札手続きを昨年12月に開始していた。日本の企業連合も、新幹線方式での受注を狙い、中国と激しく受注を競っていた。
 ただ、高速鉄道計画の駅予定地や沿線では、中国主導のインフラ案件が並ぶ。同計画も巻き込んだ公的資金流用疑惑を抱えるナジブ前首相を念頭に、マハティール氏は28日、「多大な費用がかかり、もうからない」と廃止理由を語った。
   ・   ・   ・   
 5月28日23:54 産経ニュース「マレーシア、中国の“野望”に反旗 国内最大規模の鉄道建設も見直し本格化
 首相府スタッフと祈りをささげるマハティール氏(左から3人目)=21日、クアラルンプール近郊のプトラジャヤ(AP)
 【シンガポール=吉村英輝】マレーシアのマハティール首相は、28日に表明した高速鉄道計画の廃止に並び、同国最大規模の鉄道建設計画の見直しも本格化。中国の「一帯一路」の“野望”が、逆回転を始めた。
 マハティール氏は、東海岸鉄道(ECRL)事業について、中国と契約条件の再交渉を行っていると、28日付のマレーシアの経済誌エッジに語った。
 ECRL計画は、タイ国境近くから、中国が開発を進める東海岸クアンタン港を経由し、西海岸のクラン港まで全長約690キロを結ぶ。昨年8月、着工した。
 だが、マハティール氏によると、総額550億リンギット(約1兆5千億円)の事業費は、融資する中国輸出入銀行から、受注した中国交通建設に直接支払われ、マレーシア側は一度も引き出していない。支払いは出来高でなく計画ベース。利息も含むと、中国への債務は920億リンギットに。前政権が続いていれば「国は破綻していた」と非難する。
 16年の中国からの直接投資は、「一帯一路」の名の下、前年比約7倍に急増(日本貿易振興機構調べ)。過度に中国へ依存した前政権から、軌道修正を図るとみられる。 
 豪州紙によると、米国務省の政策立案のためにハーバード大学の研究者が今年3月にまとめた論文は、中国の「債務帳簿外交」の危険にさらされている16カ国を指摘。マレーシアのほか、フィリピン、カンボジアラオス、タイなど、東南アジアの国々が、リストの一角を占めるという。
 採算性や必要性が不明確なまま、巨額のインフラ資金を融資し、不透明な資金を得た親中政権が、国民の審判を受ける。「開発独裁」につけ込んで周辺国を債務不履行に陥れ支配する。そんな中国の思惑に、限界が見え始めている。」
   ・   ・   ・   
 2018年11月9日 産経新聞「5分の1に規模縮小で合意 ミャンマーの一帯一路事業
 【シンガポール=吉村英輝】ミャンマー政府は8日、西部ラカイン州チャウピューの港湾開発計画で、開発を主導する中国側と、事業規模を当初予定の5分の1に縮小することで合意した。過剰投資で債務返済不能となる事態を懸念するミャンマー側に、中国が譲歩した。
 合意では、船の係留場建設など第1期分として、13億ドル(約1480億円)を投じる。出資比率は中国側が70%、ミャンマー側が30%。中国国有企業の中国中信集団などは当初、72億ドルの事業規模を提示していた。
 チャウピュー開発は、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として推進。深海港があり、中国内陸部とインド洋を結ぶ石油や天然ガスのパイプラインが中国に通じている。
 一帯一路では、スリランカが昨年、港の整備にかかわる債務返済が困難になり、中国企業に99年間の運営権を譲渡するなど各地で問題が表面化している。」
   ・   ・    ・   



   ・   ・   ・