☭61』─1─北方領土返還交渉失敗の元凶は日本が「真の独立国家」ではないからである。最大の障害は日米安全保障条約である。~No.128No.129No.130 @   

外交交渉回想: 沖縄返還・福田ドクトリン・北方領土

外交交渉回想: 沖縄返還・福田ドクトリン・北方領土

旧題名、「ホロコーストに関して、天皇A級戦犯に幇助罪が成立するのか?」第3代目
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 プロフィールに、6つのブログを立ち上げる。 ↗ 
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 北方領土4島一括返還問題解決で、ロシアに安全と安心を与え、アメリカを納得さられる唯一の妙案は存在する。
 そのヒントは、真実の歴史の中にある。
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 2017年3月号 SAPIO「『人間力』の時代 大前研一
 ようやく日本が『真の独立国家』となる時が来た
 トランプ時代の到来は日本にとって大チャンスだ!
 ……
 いよいよトランプ新政権が始動した。『アメリカ第一主義』で『不寛容』なトランプ大統領の登場は、日本が『真の独立国家』になるための好機である。
 というのは、日本人は未だにある種の根深い『偏見』から抜け出せていないからだ。それは、たとえば敗戦を終戦と言い換えたり、戦前の方が良かったと考えたりすることで、そのほとんどは『官制』、すなわちお役所が作ったものである。
 その最たるものが昨年末の安倍首相のハワイ・真珠湾での演説だろう。あの演説原稿は、一昨年の安倍首相のアメリ連邦議会上下両院合同会議での演説原稿と同じスピーチライターが書いたものだと思う。なぜなら、どちらの演説でも戦後日本にアメリカが送ったミルクやセーターへの感謝を述べたり、『希望の同盟』という言葉を使ったりしながら、アメリカに対して歯の浮くようなおべんちゃらを連発しているからだ。
 そして真珠湾での演説で、安倍首相はアメリカ人の『寛容の心』を称賛し、新たに『和解の力(the power of reconciliation)』という言葉を多用した。
 だが、『the power of reconciliation』というのは、アメリカ人でも普段はまず使わない表現である。おそらくスピーチライターが、謝罪はしないが謝罪しているように感じさせるための文脈の中で、無理矢理ひねり出した言葉だと思う(アメリ連邦議会では『和解の努力』という言葉を使っていた)。
 しかし、もし『和解の力』が安倍首相の外交における基本信条であるならば、韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されたことへの対抗措置として日本政府が駐韓大使と釜山総領事を一時帰国させるなどしたのは、矛盾しているのではないか。
 第二次世界大戦で日本はアメリカと太平洋地域で熾烈な戦いを繰り広げたが、アメリカ本土には迷惑をかけていない。一方、韓国は植民地にして本土に迷惑をかけたことは間違いない。安倍首相が『和解の力』を本当に信じているのであれば、大統領がスキャンダルで職務停止になって死ぬほど恥ずかしい思いをしている韓国に対し、10億円払ったのだから日韓合意の約束を守れ、と迫って傷口に塩を塗るのは言葉と行動が違うことになる。
 アメリカには僕(しもべ)のように隷従し、韓国には居丈高な態度を取る。アメリカは尊敬・信頼できるが、韓国は尊敬も信頼もできないという、ある種の『偏見』が見え隠れする。
 しかし、アメリカは『和解の力』など信じていない。その証拠に、今もアメリカは首都圏に米海軍横須賀基地と米空軍横田基地を保持している。なぜ戦後70年以上経っても首都圏に米軍基地があるのか?
 占領していた当時、アメリカは『日本は、また我々に歯向かうかもしれない』と考えられていたからだ。米ソ冷戦時代、ソ連に対峙するなら基地は北海道や東北、北陸み移したほうがよかったはずなのに、横須賀と横田は手放そうとしなかった。日本も返還要求をしていない。
 また、沖縄についてもアメリカは『民政』を返しただけで『軍政』は返してはいないという〝事実〟を認識すべきである。だから昨年12月に輸送機オスプレイが空中給油訓練中の事故で墜落した時も、わずか6日後に空中給油訓練を除く運用を再開し、1ヶ月足らずで空中給油訓練も再開した。日本政府は事故直後、在日米軍オスプレイの飛行停止を要請したが、それはあくまでも建前であり、アメリカは全く意に介していないのだ。
 要するに、日本とアメリカの関係は『和解の力』どころか、まだ戦後の植民地支配が実質的には終わっていないのです。これは両国政府の間で〝合意事項〟になっているのだが、そのことを日本政府は国民に説明していない。
 この問題を含め、日本の指導者は日本が『真の独立国家』になるために、ビジネスライフなトランプ政権誕生を奇貨として、対アメリカをはじめとする外交関係を〝棚卸し〟すべきだと思うのである。
 北方領土交渉で失敗した真の理由
 プーチン大統領との北方領土交渉失敗の理由も、同根の問題だ。昨年11月、プーチン大統領の訪日に備えて谷内正太郎国家安全保障局長がモスクワでロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と会談した際、パトルシェフ書記が歯舞・色丹の二島を返還することを想定して『米軍基地が置かれることはあり得るのか』と質問したところ、谷内局長が『可能性はある』と答えてロシア側を仰天させたと報じられた。
 その直後のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に合わせて行われた日ロ首脳会談でも、安倍首相は返還後の北方領土に米軍基地が建設される可能性を否定することができなかった。要するに安倍首相は、北方領土が返還されたら日米安保の対象になる、という前提を覆す交渉をアメリカとやる気がないのである。
 ロシアは『日本はアメリアが基地を置きたいという意向を示した場合にそれを否定できるのか』、つまり『日本は真の独立国家』と問うたが、それに対して日本は『そうだ』と答えられなかった。だから、プーチン大統領の訪日では8項目の経済協力推進に合意しただけで、北方領土問題については何も進展しなかったわけだが、これはラブロフ外相がいみじくも言っていたように『独立した一流国』になれない日本の側の問題だったのである。
 ちなみに、日本人の7割以上がロシアに対して悪いイメージを持っているという調査結果もあるが、これも日本政府(とりわけ外務省)が生み出した偏見にひかならない。
 こうした事実を重ね合わせると、北方領土交渉が進まなかったことをはじめ、日本を取り巻く国々が日本の思い通りにならない最大の理由は日本側にある、ということがわかるだろう。
 日本は、中国に対しても難しい舵取りが求められる。
 たとえば中国に敵対的なトランプ大統領の威を借りて高圧的になり、日本と直接関係のない南シナ海問題ベトナムやフィリピン、インドネシア、オーストラリアなどと連携して介入していくのは得策ではないと思う。
 安倍首相の新年の海外歴訪はまさにその線に沿った不要なバラ撒き外交だった。しかし、いま日本が中国を南シナ海問題で刺激したら、中国の矛先が東シナ海に移ってくる可能性が極めて高い。
 その時、アメリカが全面的に日本の味方をするかどうかは不透明だ。アメリカには強大な台湾ロビーが存在するので、台湾は守るだろう(トランプ新政権では、沖縄駐留米軍を台湾に移動させるべきだという意見も出てきている)。一方、日本ロビーは霞のようなものであり、尖閣諸島はトランプ政権にとっては二次的な問題にすぎない。
 それよりも日本政府が中国に対してやるべきは、中国のテレビ局が毎晩のように放送している抗日戦争ドラマや反日教育番組をやめさせることである。それが中国人の『日本に対する偏見』を生んでいて、軋轢(あつれき)につながっているからだ。
 韓国の学校教育も同様で、世論はそういうものの積み重ねによって形成されるので、それを放置していたら、いつまで断っても中国人や韓国人の反日感情嫌日感情はんくならない。中国や韓国との間でも外交関係や歴史を『棚卸し』して、極端な反日宣伝、反日教育をストップさせるべきなのだ。
 トップの『人間力』が問われる
 日本政府は戦後70年以上、外交関係について整理することをおろそかにし、国民をごまかしごまかし続けてきた。それを根底から見直して世界の国々との付き合い方をゼロベースで組み立てるべきであり、そのことこそが国益につながるのだ。トランプ大統領の登場は、その絶妙のタイミングである。なぜなら、トランプ大統領は外交も過去の歴史やしがらみにとらわれず、ビジネスと同じ『ディール』と考えているからだ。
 では、日本が『真の独立国家』になるためには、何が必要なのか?私はリーダーの『人間力』だと思う。
 『国防軍』を作って独自の軍事力を持てば、『真の独立国家』になれるという意見もあるが、それは間違っている。日本が保有している兵器の大半はアメリカの技術によるもので、その継続的な運用については結局、アメリカに頼らねばならないからだ。
 日本は、かつて中曽根康弘首相がレーガン大統領との『ロン・ヤス』関係によって『日米イコール・パートナーシップ』を確立した。その時のように、安倍首相がトランプ大統領と本当の信頼関係を築いて対米関係を定義し直し、沖縄をはじめ横須賀、横田などの在日米軍基地の問題などのように日本国民が納得のいくかたちで解決・再編していくのかということを、真剣に話し合わねばならない。
 事実上、自衛隊の指揮権を米軍に委ねている『日米ガイドライン(日米防衛協力のための指針)』についても、全面的に見直すべきである。
 そのためにはリーダーの『人間力』が不可欠だ。しかしそれは、選挙で勝つことだけを考えてきた政治家や、アメリカン・スクールやチャイナ・スクールで育ってきた外務省の官僚(およびそのOB)には備わっていない。
 日本が『真の独立国家』となるために、トランプ大統領プーチン大統領らと対等に渡り合えるリーダー(もしくは外交を補佐する専任アドバイザー)の登場を期待したい」
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 ソ連を除く連合国は、サンフランシスコ講和会議で日本占領を終結さる条約を締結したが、完全な自主権回復を認めず、国防権と外交権はアメリカの管理・監視下においた。
 日本は、表向きは独立国になったが、実態は以前としてアメリカの保護国・従属国であった。
 あぜなら、対日占領政策である自衛権を否定し再軍備を禁止する第九条の日本国憲法、日本監視の東京・横田や神奈川・横須賀や沖縄などの国連軍兼アメリカ軍軍事基地を維持する日米安全保障条約及び治外法権的要素の強い日米地位協定、国連の敵国条約がその証拠である。
 日本は、今もアメリカの保護国・従属国であり、アメリカの軍事力のお陰で何とか反日派の中国共産党ソ連・ロシアなどの周辺国の軍事圧力を凌いでいる。
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 中国共産党は、今の安全保障と昔の覇権及び国土(領海・領土)を取り戻す事を理由にして、東シナ海を内海とし、尖閣諸島・沖縄およびその周辺諸島そして沖ノ鳥島を日本から強奪しようとしている。
 ロシアは、北方領土四島を含む千島列島は、日本に不当に奪われた領土であるとして返還を拒否している。
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 反日派の近隣諸国から日本を守る為には、アメリカを頼るしかないのが現実である。
 反日派の中国共産党政府や韓国との関係を密にする東アジア共同体構想とは、日本を破滅するだけの愚策で有る。
 反日派周辺諸の軍事的包囲網の中で日本が生き残るには、アメリカの保護国・従属国を証明する日本国憲法日米安全保障条約敵国条項を享受するしかない。
 日本国内の、日米安全保障解消・米軍基地完全廃止と第九条の平和憲法護憲の左翼・革新も日本国憲法改憲と日米安全保障堅持の右翼・保守も、所詮は同根である。
 国連主義者も同様である。
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 2017年2月号 正論「歴史問題はなぜ置き去りにされているのか 西尾幹夫・中西輝政対談
 ……
 中西 日本の知識人としては『安保右派かつ歴史左派』でないとアメリカは認めないんです。安保右派とは、日米同盟の緊密化を唱える論者。歴史左派とは、戦前の日本は侵略国家だったと断罪する東京裁判史観を信奉する人たち。この両方が合致しないと、日本の政治家や学者はワシントンの官僚たちのお眼鏡にはかなわない」
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 日本は、外圧に弱い。
 日本に対する外圧とは、アメリカからの圧力である。
 なぜ、アメリカからの外圧に弱いかと言えば、日本は「自主権を持った独立国」ではなくアメリカの保護国・属国であるからである。
 真の独立国家とは、自国の安全と存続と発展は戦争をし、累々たる死体の山を築いても守るという「自死の覚悟」を持っているかどうかにかかっている。
 戦前の日本は、忠君愛国の志を持ったサムライの子孫として、自分の命より国や天皇が大事として「自死の覚悟」を持っていた。
 戦後の日本は、サムライの子孫ではないので、国や天皇よりも自分一人の命が大事として「自死の覚悟」を持っていない。
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 6月16日 産経ニュース「【日露首脳会談】プーチン氏露大統領が国民対話 北方領土日米安保が障害」
 テレビ出演したプーチン大統領=15日、モスクワ(AP)
 【モスクワ=遠藤良介】ロシアのプーチン大統領は15日、長時間にわたって国民の質問に答える恒例のテレビ生番組「プーチンとの直接回線」に出演した。プーチン氏はこの中で、米国上院が対露制裁を強化する法改正を準備していることに反発しつつ、対米関係の改善に期待感も示した。番組終了後、記者団の取材に対しては北方領土問題に触れ、日米安保条約が解決の障害になるとの見解を繰り返した。
 来年3月の大統領選に向け、番組では住宅や賃金、医療といった問題での大衆迎合的な発言が目立った。米上院が大統領選への干渉疑惑などを受けて準備している法改正については「ロシアの抑止」が狙いだと反発。ただ、米国の対露姿勢硬化は「国内の政治闘争によるものだ」とも述べ、シリア問題などで米露が協力すべきだと呼びかけた。
 ロシアの大都市部では腐敗や経済低迷への不満が広がっており、12日には各地で大規模な反政権デモが行われた。プーチン氏は「問題を自らの宣伝に利用すべきでない」と述べ、反体制派指導者を暗に批判した。
 日露が合意した北方領土での共同経済活動については、領土問題解決への「環境づくり」に資すると指摘。その一方、同活動に向けては「地域の安全保障」や「日本の同盟国に対する責務」が問題になるとし、綿密な検討が必要だと述べた。プーチン氏は領土問題に関連し、北方四島に米軍が展開することへの懸念をこれまでも示してきた。」
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 9月2日 産経ニュース「【日露首脳会談】ロシア、北方領土などで対日戦勝式典…択捉では軍人ら500人パレード
 2日、北方領土択捉島の中心集落、紗那(ロシア名クリーリスク)で行われた軍人らのパレード(島民提供・共同)
 ロシアが第2次大戦の事実上の対日戦勝記念日とする2日、サハリン州などロシア極東で記念行事があった。北方領土択捉島国後島でも、軍人らによるパレードや島民の集会が行われた。
 択捉島の中心集落、紗那(ロシア名クリーリスク)では島民ら約500人が集まり行進。年金生活者のイーゴリ・チジョフさん(61)は「戦死者を忘れないために、今日の記念日は重要だ」と話した。国後島でも、記念碑への献花や軍人パレードがあった。
 ロシアは2010年に、2日を「第2次大戦終結の日」と法制化した。北方領土などへのソ連軍侵攻を「軍国主義日本からの解放」と位置づけている。(共同)
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 9月4日 産経ニュース「【日露首脳会談】露が強行する北方領土「特区」 日露共同経済活動早くも黄色信号
 北方領土色丹島斜古丹の街を歩くロシア人住民=2016年12月(共同)
 日本とロシアが協議を進める北方領土での共同経済活動の実現性に黄色信号が灯りつつある。ロシアのメドベージェフ首相は8月23日、露極東ユジノサハリンスクで、北方領土経済特区を設置する文書への署名を強行した。特区は色丹島の斜古丹(ロシア名・マロクリリスコエ)に設置されるというが、今後さらに他地域に拡大する可能性も指摘される。両国の法的立場を尊重することを前提とする共同経済活動は、ロシア法に則った特区の設置と相容れず、色丹島では共同経済活動の実施が困難になるのは確実だ。
(モスクワ 黒川信雄)
 繰り返し揺さぶり
 経済特区はロシアが極東などで進める経済振興策で、税制優遇や行政手続きの簡素化などを通じ、企業進出を促進する制度。露政府高官は7月、ドイツでの日露首脳会談の直前に特区を設置する方針を表明しており、日本を揺さぶる狙いがあったとみられていた。今回のメドベージェフ氏の署名も、9月上旬に露極東で予定される日露首脳会談のわずか2週間前というタイミングの発表だった。
 共同経済活動と矛盾
 昨年12月に日本で行われた日露首脳会談での合意を受け、両国は現在、双方の法的立場を害さない「特別な制度」の下での北方領土での共同経済活動の実現に向け交渉を進めている。しかしロシアの法律に基づく経済特区は、共同経済活動の枠組みと矛盾しかねず、ロシアによる北方領土への管轄権を認めることにもつながりかねない。
 さらに極東の経済情勢に詳しい日本の関係筋は、「ロシアは日本側の対応を見定めつつ、北方領土の他の地域にも設置する可能性がある」と指摘する。ロシア政府高官らは共同経済活動をめぐり、昨年の交渉開始の合意直後から一貫して「ロシア法に沿って行われる」と主張してきた。主権問題をめぐり、ロシア側に優位な状況を引き出せなければ、他地域も特区に指定して日本側をさらに揺さぶる可能性は否めない。
 地元政府は歓迎
 今回の発表を受け、北方領土を事実上管轄するサハリン州のコジェミャコ知事は「島の経済を新たな水準に引き上げる」と述べ、強い歓迎を表明した。ガルシカ極東発展相は「日本との共同経済活動をめぐる協議の結果が出るまで(四島の)住民生活が変化しなくてよいという意味ではない」と述べ、特区設置を正当化した。露当局は今回の措置をめぐり、新たに700人の雇用が生まれるなどと表明し、地元経済への効果を強調する。
 共同経済活動への反発も
 そもそも、北方領土を対象にした共同経済活動は、「極東全体の経済と比べ非常に限られた規模」(ロシアの専門家)で、実際に計画に関与する個人や企業以外にはロシア側のメリットはほとんどないとみられていた。一方でロシアの軍や治安当局関係者は、共同経済活動を通じ北方領土で日本のプレゼンスが拡大することを懸念しており、それでもロシアが協議に応じた背景には、「日本を政治的な交渉に引き出す意図」(同)があったためと指摘されている。
 ロシアの経済特区はこれまでも多数設置されているが、一方で計画性の乏しさから、目立った成果を出せず閉鎖されるケースも少なくなかった。色丹島のようにインフラが未整備で、その改善だけで多額の予算が必要な地域での特区は、経済的に成功しない可能性もある。
 ただ、9月上旬の首脳会談では共同経済活動が主要議題となる見込みで、日本は今回のロシアの動きへの対応に苦慮するのは確実だ。領土交渉という側面からみても、色丹島は1956年の日ソ共同宣言で平和条約締結後に日本側に引き渡すとされた島で、露側の措置は日本の領土返還交渉をさらに困難にさせる可能性が否めない。
 共同経済活動をテコに、ロシアとの本格的な交渉に乗り出した日本政府だが、先行きは極めて不透明になりつつある。」
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緊迫の日露交渉! 「北方領土」返還への道 (別冊宝島 2509)

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