💠2」─1─資本主義の終焉。アメリカの移民問題。白人の人種差別と黒人の暴動。不法移民。貧富の格差の拡大。2016年。~No.2No.3No.4・ @ 

移民からみるアメリカ外交史

移民からみるアメリカ外交史

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。  
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2016年1月号 SAPI「新世界大戦の時代 落合信彦
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 オバマが招いた『不法移民増加』
 それは、新しい移民が社会のあらゆるところに定着しているということだ。
 運転手、飲食店の従業員だけではなく、各都市でも超一流とされるホテルでもエチオピアやジャマイカ、メキシコといった国々からの移民ばかりがサービスマンとして働いていた。かって訪米した時には白人がやっていた仕事が、どこもかしこも移民に置き換わっていたのである。
 アメリカは成り立ちからして『移民の国』ではあるが、今の人口3億人あまりのうち5,000万人が新しい移民であり、イリーガル(不法移民)が1,200万人もいる。
 オバマは、2014年11月に移民制度改革を発表し、一定の条件を満たした不法移民の滞在や労働を認める方針を打ち出した。彼らは人件費が安いから、ホテルや飲食店などはどんどん彼らを雇用している。
 さらに、オバマ貧困層に対する救済策を拡充した。それによってアメリカは〝不法移民にもカネをバラ撒いてくれる国〟とのイメージが広がり、メキシコなどからの不法入国者が激増している。
 オバマの政策は、アメリカを酷く不健全にした。2008年の大統領選で、オバマは『アメリカの格差をなくさなければならない』『再配分して所得をできるだけ平等にしなければならない』という公約を掲げた。それを実行した結果、どうなったか。
 働けるのに働かない者にまで生活保護を与え、バラ撒きを強化し、その原資を中産階級から税金として取り上げたことにより、中産階級が没落して貧困層が増えた。一方で富める者はますます富を蓄え、上位1%の人々の富が下位90%のそれを超えるほどの格差が拡大したのである。
 そして移民だ。イリーガルまで次々に受け入れたことによって社会は不安定になった。移民からは『もっと福祉を拡充を』という声がある一方で、『仕事が奪われる』『税金が重くなる』として移民を敵視する人々が生まれた。差別的な発言も許容される空気が出てきている。オバマの8年間で、明らかにアメリカは劣化した。なにしろ人々の表情が暗く、エネルギーを感じない。こんなアメリカは初めてだ。何人かの友人と話しても、口から出てくるのはオバマに関する愚痴ばかり。レーガン時代とはまったく違うアメリカになってしまった。その劣化が、世界を混沌に堕れているのではないかと感じる。
 悲劇は繰り返される
 私は以前から、安易な移民受け入れは危険だと警鐘を鳴らしてきた。それはアメリカに限った話しではない。本連載前前々回(2015年11月号)では、シリアや中東からヨーロッパ各国に流れ込んでいる大量の難民中に、テロリストが紛れ込んでいる危険性を指摘した。
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 アメリカは『小さなカバ』に成り下がった
 では果たして、次なるアメリカの指導者はこのジャングル化した世界に秩序を取り戻すことができるのか。レーガンやロバート・ケネディのような芯のある政治家が現れるだろうか。
 残念ながら、その希望はほとんど見えてこない。 
 米FOXNWSの世論調査によると、アメリカ大統領選の候補者支持率は、民主党ではヒラリー・クリントンが56%、上院議員バーニー・サンダースが31%。2人ともさらなる所得再配分を主張しており、特にサンダースは『民主社会主義』を標榜する急進左派だ。再配分だけなら権力を握ればバカでもできるが、彼らからまともな外交政策が語られることはない。
 一方の共和党は、『メキシコ系移民は麻薬や犯罪を持ち込むし、レイプ犯でもある』といった暴言がなぜか人気につながっている実業家のドナルド・トランプが支持率26%で首位。2位は小児神経外科医のベン・カーソンの23%で、この人物も『イスラム教徒にアメリカを委ねることはできない』といった過激な発言で知られている。こちらの2人は外交政策どころか、政治家としても素人と言うしかない。
 アメリカは、政治家も選挙民も劣化してしまったのだ。『バラ撒き』を訴える政治家と、『メキシコ系移民はレイプ犯だ』と暴言を吐く男。思想は両極端だが、根本には『激増した移民と拡大した格差』という同じ問題が横たわる。その解決策を真剣に考えることなく、安易な『バラ撒き』か『排斥』を訴える候補者を支持するということは、国民全体の劣化に他ならない。
 よほどの人物が出てこない限り、共和党に勝ち目はないだろう。すでに白人の割合は大きく減っている。黒人の95%は、民主党に投票する。2012年の大統領選では、65%のラティーノ(ラテン・アメリカ系移民で市民権を得たスペイン語を日常的に話すアメリカ市民。ヒスパニック)がオバマに入れた。その結果が今の世界のジャングル化だ。
 これまでは世界というサバンナでプレゼンスを誇る『巨大なアフリカ象』のような存在だったアメリカは、いまや『傷ついた小さなカバ』になって水に潜ってしまった。テロリストはパリだけではなくトルコのアンカラなど各地で無差別殺戮を繰り返し、ロシアはシリアに軍事介入するなど好き勝手やっているが、アメリカはそれすら制御できない。
 パリの同時多発テロのような惨劇が今後は世界各地で起き、脅威は増すばかりになる。安保法制を強引に成立させた日本も、ISにとってはターゲットだ。
 その時、日本はどうするべきなのか。『アフリカ象』が横にいてくれたから日本はここまで来ることができたが、それがいなくなれば、裸でサバンナを一人歩いているようなものだ。
 アメリカ一国に頼るのは、今後は絶対にやめるべきである。日本は自らの力で自らの国を守る仕組みを作らねばならない。日本の政治家の劣化も目を覆いたくなるほどだが、それを放置していては国の存立に関わるということを自覚すべきだろう」
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 1月31日 産経ニュース「「夢の国」でも安価な外国人労働力にシフト 自国で職を奪われる米国人
 来場者を魅了してやまないディズニーパーク内で開催されるパレード。まさに「夢の国」だが、その裏では米国が抱える現実の問題が…=米フロリダ州(ゲッティ=共同)
 「違法解雇」とディズニーを提訴
 米大型テーマパーク「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」(フロリダ州オーランド)のIT(情報技術)部門に勤務していた米国人の元社員2人が「われわれが解雇されたのは、人件費の安い外国人労働者を採用するためであり、違法である」として、ディズニーと人材派遣などを行うコンサルティング会社2社をフロリダ州タンパの連邦裁判所に提訴した。米国ではここ数年、外国人労働者が米国人労働者の雇用を奪い、賃金を低下させているとの非難が高まっている。今回の訴訟はそうした非難を具現化したものだけに、米国内で論議が過熱している。(SANKEI EXPRESS
 25日付米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)や米CNNマネー(いずれも電子版)などによると、訴えたのは男性のレオ・ペレーロさんと女性のディーナ・ムーアさん(53)。2人は約1年前に他の約250人のIT系社員とともに解雇された。
 自国民の首絞める「技能者ビザ」
 ディズニーに約10年勤務したムーアさんは、NYTに「ディズニーがやったことは単に賃金を節約しただけであり、米国人を貧しくしている」と憤慨した。2人がディズニーとともに訴えた人材派遣などを行うコンサル会社はHCLとコグニザントの大手2社で、いずれも米国を拠点に世界的なビジネスを展開。高度な専門技術を持つ外国人技能労働者向けの就労ビザである「H−1B」ビザの申請を大量に請け負っている。
 ただ、米国の法律では、雇用主が、賃金が安いことなどを理由にH−1Bビザを持つ外国人技能労働者と米国人労働者とを置き換えることを禁じている。2人は今回の訴訟で「ディズニーはコンサル2社と共謀し、H−1Bビザを悪用して意図的に彼らと米国人労働者を置き換えようとした」と主張している。ディズニーと2社は法律に違反していないと反論しているが、実際、多くがインド人と置き換えられたとみられる。
 2年で申請数2倍に
 ペレーロさんはNYTに「わが国は、米国で長期的な基盤を築こうとしているイタリア人、英国人、スウェーデン人のパート労働者のような素晴らしい能力を持つ(外国の)人々を必要としていると心の底から信じているが、私はH−1Bに虐待された」と怒った。
 2人が憤慨するのには理由がある。昨年4月13日付CNN(電子版)によると、昨春のH−1Bビザの申請数は2年前の約2倍にあたる23万3000件と過去最高に。このうち合格したのは8万5000人。うち2万人は大学院の修士課程を卒業し修士号を得た優秀な人材だ。
 今回のケースが該当するかは別として、企業からすれば、あまり働かない米国人をこうした人材と置き換えたいと考えるのは当然ともいえる。賃金が米国人労働者より安ければなおさらだ。このため、米国では2人と同じ不満を持つ米国人が急増し、社会問題化しつつある。
 議会も問題視
 米議会では昨年12月、企業がH−1Bビザを持つ人材を採用する際などに新たな手数料を課すよう法律を改正。フロリダ州のビル・ネルソン上院議員(73)=民主党=はディズニーの今回の解雇を非難したうえで、H−1Bビザの年間取得者を今より1万5000人減の7万人にする法案を提出。テキサス州テッド・クルーズ上院議員(45)=共和党=も労働力の置き換えを困難にするため、H−1Bビザ取得者の最低賃金を実に年11万ドル(約1300万円)に設定する法案の成立に尽力中だ。
 米大統領選で共和党の候補指名を目指す不動産王、ドナルド・トランプ氏(69)は、メキシコからの不法移民の強制送還に加え、H−1Bビザの発給制限や、企業に米国民の採用優先を義務付けることなどを主張し、圧倒的な支持率を得ている。今回の訴訟は、さしずめ「夢の国」で起きた「米国が抱える現実の問題」といえそうだ。」
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 3月20日 読売新聞「移民の国覆う不寛容の影
 米国でターバンを巻いた男性たちが襲われる事件が相次いでいる。彼らはヒンズー教から派生した宗教のひとつ、シーク教の信徒だ。
 シーク教はインド北部を拠点に世界中に約2,000万〜3,000万人、米国には約70万人の信徒がいるとされる。彼らが襲われるのは、風貌がイスラム教徒に似ているからだ。昨秋以降、欧州のパリ、米国内のカリフォルニア州と続いたイスラム過激派によるテロの影響で、米国内の一部がイスラム教徒への反響を強めていることが背景にある。
 ロサンゼルス郊外のバス運転手バルウインダー・シンさん(57)は昨年11月、乗務中に乗客の男から『おまえはテロリストだ。このバスをジャックしているな』とどなられ、顔を殴られて負傷した。1988年にインドから移住し、運転手歴は17年。シンさんは
 『イスラム教に間違われたのは残念だが、イスラム教だからといって襲われる理由があるとは思わない』と述べた上で、最近の米社会についてこう語った。『マイノリティー(人種的少数派)への寛容さがなくなってきている気がする』
 大統領選の候補者選びでは、不動産王ドナルド・トランプ氏(69)が、『イスラム教徒の入国を禁止する』『メキシコ国教に壁を築く』など、マイノリティーへの差別的発言を続ける。批判もあるが、白人層を中心に賛同の声は強く、トランプ氏を共和党の最有力候補に押し上げている。
 白人以外を排除したい雰囲気の根底にあるのは何か。
 カリフォルニア州で昨年12月に起きた銃乱射テロの捜査関係者は、『米社会が2001年の同時テロで感じた脅威は米国の「「外」にあった。昨秋11月のパリのテロ以降、脅威は「内」にもあるとわかった』と説明し、その結果、『イスラム教徒を含めた国内のマイノリティーが白人層の生活を脅かす存在になりうるという懸念が広がった』との見方を示した。銃乱射テロでは、容疑者夫婦の妻が正規ルートで米国に移住し、夫は公的機関に務めていた事実に、『あなたの隣人もテロリストかも』と衝撃が走ったのは確かだ。
 マイノリティーが米国内で『勢力』を拡大しているという解釈も、排外的な発想が強まっている要因のひとつだ。全米人口の17%(5,500万人)を占める最大のマイノリティーのヒスパニック(中南米)系は14年、カリフォルニア州で白人人口を上回った。イスラム教徒の人口は、難民のほか、アフリカ系アメリカ人(黒人)の改宗も盛んで近年の増加は著しい。
 マイノリティーが不可欠な労働力などとして米社会に貢献し、存在感を増す中、彼らへの偏見や排他的な姿勢は態度を悪化させる。マイノリティーの多くは、米国『自由』のに憧れて移り住み、社会に溶け込んできた。彼我の違いを受け入れる寛容さを示すことこそ、移民国家であることを誇りにしてきた米国のあるべき姿だ」
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