🔔45」─1─ドイツが難民・移民の入国を拒絶し始めた理由。。〜No.124 

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 日本は、人口激減回復対策として1,000万人移民受け入れを実行している。
 日本に移住してくる外国人移民の多くは中国人移民である。
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 2023年12月30日 YAHOO!JAPANニュース プレジデントオンライン「「ドイツの手篤い社会保障」が目当ての難民が続々と…「難民ようこそ」と言っていたドイツ人が拒絶を始めた理由
■政権支持率は危険水域の14%だが…
 ドイツ社会民主党=SPD(以下、社民党)の年次党大会が、12月10日から12日までの3日間、ベルリンで開かれた。
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 言うまでもなく社民党は、現在のドイツの政権党だ。ところが、12月15日の世論調査(ZDF Politbarometer)の示す支持率は14%。11月、不正な資金を来年の予算に組み込んでいたことを憲法裁判所(最高裁に相当)に咎められ、ドイツ連邦共和国建国以来初めて、翌年の予算が決まらないまま年を越すことになるというスキャンダル付きだ。
 それでも、ショルツ首相はいつも通りの涼しい顔で、「皆さん、心配は要りません」
 社民党は、元々は労働者の党で、ドイツの政党の中では最古の歴史を誇る。ところが今では、「労働者」自体が時代遅れで、誰も自分が労働者であるとは思っていない。現在の社民党のカラーが鮮明でないのは、それが第一の原因だろう。
 本来、その社民党のカウンターパートだったのが、資本家の利益を代表していたCDU(キリスト教民主同盟)で、ドイツは戦後長らく、この2党がバランス良く二大政党として並び立ち、切磋琢磨しながら、戦争で荒廃したドイツを快調に復興させていった。
社民党の立ち位置を変えたメルケル首相
 ところが、ドイツが豊かになるにつれ、資本家vs労働者という輪郭が崩れ、それに伴い社民党もCDUも、どんどん厚くなっていく「労働者でも資本家でもない中間層」をどのように取り込むかという課題にぶつかった。
 その流れの中、次第に両党の政策の差が縮まり、2005年にはついに、メルケル首相のCDUが社民党と大連立を組んだ。大連立は2009~13年の4年間を除いて、なんと2021年まで続き、特に13年以降、CDUは完全に左に転じた。
 そこで、自分たちのお株を奪われた社民党は、さらに左に移動。それ以外に、立ち位置を確保する方法がなくなってしまったからだが、その結果、社民党内部では、過度な左翼のイデオロギーが強調されていった。
■彼らの政策はドイツを急速に弱体化させかねない
 その社民党が念願かなって政権をとったのが21年12月。それから2年たったが、今回の全国党大会では、難民問題への対応で、奇しくも彼らの無茶な左傾化がはっきりと露呈する結果となった。
 EUでは現在、いかにして難民のEUへの流入を阻止するかということが最重要課題となっている。何十年も先進的な移民・難民政策を敷いてきたスウェーデンデンマークといった国々でさえも、その弊害が深刻になり、今やほぼ完全に門戸を閉じている。
 イタリアやギリシャなどは、地中海から流れ着く難民を効果的に防ぐことは難しく、現在、EUが総出で思案中。まずは、どうすれば難民を海に出させずに済むかを、送り出し国のチュニジアやモロッコなどの政府も巻き込んで検討している。
 一方、ドイツでは、15年、16年当時は中東難民がハンガリーオーストリア経由で入ったが、すでに両政府がそれを厳重に遮断してくれており、違法難民のルートはポーランドチェコ経由に変わった。どちらもEUなので、大小さまざまな道がつながっており、つまり現在は、長い国境のどこかから、犯罪組織の助けを得て絶えず入ってくる違法難民が、ドイツでの深刻な問題となっているわけだ。
■なだれ込む難民の庇護で行政はパンク状態
 違法でも合法でも、また、チャンスがあってもなくても、入ってきた人が皆、難民申請をするので、今年の1月から11月までの申請数は32万5800人。前年(1月~12月)比33%だ。しかも、ドイツの場合、たとえ正式な難民資格が取れなくても、ほとんどの人が何らかの理由で滞在を容認されるというのが現状である。
 難民を割り当てられた自治体は、彼らを庇護し、審査する義務を負っているが、数があまりにも多いので、あらゆるところで宿舎や資金や職員が不足し、行政が機能不全に陥っている。しかも、多くが若い男性であるため、治安も悪化し、住民の苦悩も大きい。増え続ける難民を人道だけで処理するなどまさにおとぎ話である。
 そこで、ショルツ首相もE Uに歩調を合わせ、難民の流入を防ごうとしていた矢先だったが、それが今回の党大会で見事にひっくり返ってしまった。社民党の党内左派は「ドイツは移民受け入れ国」と主張して譲らず、多くの自治体の困窮を完全に無視するという暴挙に出た。それどころか、現在進行中の問題点を指摘した党員は、右翼、特に現在急進中のAfD(ドイツのための選択肢)に屈したとして非難された。
■次の問題は「難民の家族」をどこまで呼び寄せるべきか
 現在、もう一つの大きな問題となっているのが、難民の「家族の呼び寄せ」である。2015年と16年にやってきた120万人以上の中東難民のうち、正式に難民と認定された人たちの家族の呼び寄せが、19年から始まっている。しかも、最初、年間1000人と言われていたそれが、なぜかどんどん増え、家族ビザの発行数が、今年はおそらく12万件に到達するとみられる。
 ドイツの法律では、なんびとも家族と共に暮らす権利を有し、それはたとえ不法難民でも同じであるというのが社民党の論理だ。だから党大会では、暫定的に滞在を容認されている人たちにも、家族の呼び寄せを認めるべきだということが主張された。
 ただ、中東の人たちは子沢山なので、妻と子供が来れば、難民の数は容易に5倍ぐらいに膨らむ。しかも、妻が2人いる場合もあり、ドイツ政府はそれをどうするかで窮しているが、目下のところ2人とも入れているという(ドイツは本来は一夫一婦制)。
■難民だけで中都市がいくつかできてしまうほど
 なぜ、多くの人が、難民資格がないのにドイツでの仮の滞在を許可されているかというと、さまざまな理由がある。難民がパスポートを持たず母国が特定できないとか、母国がそもそも受け入れないというケースも多い。
 ただ、社民党は元々、難民資格のない人の母国送還の厳格な遂行にも一貫して反対している。人権が保障されていない国に、例えば、強盗殺人を犯した人間、あるいは同性愛の人間を送り返したら、死刑になってしまうかもしれない。死刑は非人道の最たるものであり、法治国家ドイツは、そんなところに人を送り込んではいけないというのが、彼らの論理だ。
 現実として、世界には人権が完全に守られている法治国家などあまりない。だから、社民党左派の理屈でいけば、世界中の多くの住民が、ドイツに庇護を求める理由を見つけられる。
 さらに社民党は今回の党大会で、地中海での難民救助の支援を続けることも表明した(NGOの“難民救助”は、難民から大金を巻き上げて密航を幇助している犯罪組織との協働作業であるとして、EUでは強く非難されている)。
 要するに、それら党内左派の主張に圧倒されたのが、今回の社民党大会だった。
■難民宿舎を作るにも国民の反対が巻き起こる
 ただ、現実は、社民党の理想郷とはすでにかけ離れている。ドイツ中どこに難民宿舎を作ろうと思っても、必ず住民の反対が巻き起こるほど、難民受け入れへの反発は強まっている。2015年9月、「I love refugees!」と叫んで中東難民を迎え入れた国民はもういない。そもそもその国民を、「われわれにはやれる!」と言って熱狂させた偉大な指導者メルケル氏はとっくに引退し、姿も見せない。
 また、国と州を合わせて年間500億ユーロ(7兆8000億円)を超えるといわれる移民・難民関係のコストも、国民を脅かしている。しかも、このコストには、ウクライナからの避難民の分は含まれていない。ウクライナからの避難民は、現在、111万5600人だが、彼らは入国と同時に正式な滞在許可をもらえるので、難民としてはカウントされておらず、普通の国民と同じ補助を受けられる。
 普通の国民と同じ補助というのは何かというと、23年1月より始まった「市民金」。社民党の念願であった、いわゆるベーシック・インカムだ。これは、ドイツに住民登録をしていて、収入の少ない人なら、皆、もらう権利がある。
■手厚い福祉を目当てにさらに増えるのではないか
 現在、70.4万人のウクライナ人と、難民審査に受かって正式に滞在を認められた人のうち、50.2万人のシリア人、19.9万人のトルコ人、18.3万人のアフガニスタン人、11.5万人のイラク人が「市民金」を受けているという。
 社会の連帯の象徴であるはずの市民金は、潤沢な難民支援金と並んで、世界中のさらに多くの人々をドイツに惹きつけるだろうが、こんなことが未来永劫続けられるはずはない。
 本来なら、政権党である社民党が党大会において最優先で議論すべきことは、冒頭に述べた予算の問題だったはずだが、彼らは、これを極力避け、外部に向かって党の団結を強調することだけに専念していた。彼らの頭の中には「ドイツ国民」など存在しない。
 平等の理念を謳(うた)い、それを錦の御旗として掲げれば、自分たちが正しいと信じる難民政策を進めて、いずれ世界を変えられると思っているわけでもないだろうが、社民党が実際にやっていることはいかにも場当たり的で、政治が現実から乖離している。
 12月17日、旧東独ザクセン州のピルナという町で、無所属ながら、明確にAfDを支持する市長が誕生した。これが国民の声であり、ドイツの現実である。

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 川口 マーン 惠美(かわぐち・マーン・えみ)
 作家
 日本大学芸術学部音楽学科卒業。1985年、ドイツのシュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。ライプツィヒ在住。1990年、『フセイン独裁下のイラクで暮らして』(草思社)を上梓、その鋭い批判精神が高く評価される。2013年『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』、2014年『住んでみたヨーロッパ9勝1敗で日本の勝ち』(ともに講談社+α新書)がベストセラーに。『ドイツの脱原発がよくわかる本』(草思社)が、2016年、第36回エネルギーフォーラム賞の普及啓発賞、2018年、『復興の日本人論』(グッドブックス)が同賞特別賞を受賞。その他、『そして、ドイツは理想を見失った』(角川新書)、『移民・難民』(グッドブックス)、『世界「新」経済戦争 なぜ自動車の覇権争いを知れば未来がわかるのか』(KADOKAWA)、『メルケル 仮面の裏側』(PHP新書)など著書多数。新著に『無邪気な日本人よ、白昼夢から目覚めよ』 (ワック)、『左傾化するSDGs先進国ドイツで今、何が起こっているか』(ビジネス社)がある。

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