・ ・ ・
関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
2023年9月24日 産経新聞「お金は知っている 習政権の甘言に乗る米ウォール街 JPモルガンCEOは大の親中派 田村秀男
中国の習近平政権は外資をつなぎ止めようと策を弄している。脅迫と甘言だ。
脅しの極め付けは、脱中国に走りそうな外国企業の駐在員に対し、「反スパイ法」違反の嫌疑をふっかけ、拘束するという手口だ。今年3月には、アステラス製薬の北京オフィス幹部がその憂き目に遭い、いまだに具体的な容疑内容は不明のまま拘禁されている。同幹部は北京駐在が長く、日本人の商工会内で中国からうまく撤退できるかの相談に応じていたという。
甘言は「外国からの投資歓迎」という錆びついた常套句だが、声かけ役は中国人民銀行の潘功勝総裁(60)である。7月25日に就任した潘氏は「欧米で教育を受けた経験豊富な実務家」(米ウォールストリート・ジャーナル紙7月21日付)と評価されている。同じ国際派だが学究肌の易鋼前総裁よりも、習氏に忠実との見方が多い。2016年に国家外為管理局局長に就任して資本逃避の抜け穴を封じたことが、習氏の歓心を買った。
そして、今、不動産バブル崩壊が進行する中、22年3月から始まっていた外資の対中証券投資の減少が続く。同時並行で人民元が売られ、人民銀行はドル準備を取り崩して元の防戦買いに追われている(グラフ参照)。
8月初旬にはノンバンク大手の中植集団と傘下の中融国際信託の金融商品の元利払いが止まり、金融不安が表面化した。金融市場の動揺を鎮めるためには、これ以上の外資の脱中国を阻止しなければならない。特に、鍵を握るのはニューヨーク・ウォール街だ。
9月18日、人民銀行は北京で外資大手の代表を集めたシンポジウムを開催し、潘総裁は「外国企業の事業環境を最適化し、外国からの投資と貿易を安定させる一段の措置を検討する」と約束した。出席した外資はJPモルガン・チェース、HSBCホールディングス、ドイツ銀行、BNPパリバ、UBSグループ、テスラなどだ。
中国の金融危機に巻き込まれかねないと、グローバル金融市場の総本山ウォール街は恐れる。7月初旬にはイエレン財務長官が訪中し、李強首相らに会った。100歳になるキッシンジャー元米国務長官は、7月20日に北京で習氏と会談し、米中協調の必要性で一致した。7月下旬には、米4大会計事務所の一角、KPMGが中植の財務監査を引き受けた。不良資産を査定し、投資家を納得させるためだ。8月14日には、米金融資本最大手のJPモルガン・チェースが巨額の損失を抱え、急落が続く碧桂園の株式を香港市場で買い増し、1億7100万株、株式の5%以上を保有した。JPモルガンのダイモンCEO(最高経営責任者)はウォール街きっての親中派で、ことあるごとに米中融和を呼びかけてきた。
だが、反スパイ法にみられる習政権の外資締めつけに変わりはない。強欲に駆られる金融資本の対中融和に西側世界が引きずられるようだと、習氏の思う壷にはまる。
(産経新聞特別記者)
田村秀男「お金は知っている」(zakzak)
・ ・ ・