🦎17」─3・A─1─シンガポールに中国人移民急増で広がる「中国不安論」。~No.60 

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 世界で中国人移民が増えている。
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 2022年12月27日 YAHOO!JAPANニュース 夕刊フジ「移民急増…シンガポールに広がる「中国不安論」 習体制の共産主義回帰に疑義「わが国が吹き飛びか シンガポールの観光名所「マーライオン
 【ニュース裏表 峯村健司】
 4年ぶりにシンガポールを訪れた。東京23区の1・2倍ほどの国土でありながら、海上交通の要衝、マラッカ海峡に面しており発展を遂げてきた。約400万人の総人口のうち、中華系が約300万人と7割以上を占める。歴史的かつ経済的に中国との関係は強く、独自の中国情報ネットワークを持っている。筆者は、中国情勢についてシンガポール政府当局者と意見交換するために定期的に訪問している。
 【写真】シンガポール金融街
 一方、安全保障面では米国とのつながりが強く、米軍が常駐している。前回訪問時は、多くのシンガポール当局者は、大国化する中国への警戒感と併せて、米軍との連携強化の必要性を強調していた。ところが今回、その対中観に変化の兆しが見えた。
 「ここ数年、香港を含む中国からの移民が急増しており、住宅価格も急騰しています」
 対中政策にかかわるシンガポール政府当局者はこう明かす。香港でデモが起きた2019年ごろから、香港を拠点にしていた中国の富裕層がシンガポールに移住する動きが出てきたという。さらに、新型コロナの感染拡大に対して、中国当局がロックダウン(都市封鎖)などの厳しい措置をとったことで、この動きは続いた。
 そして、10月の中国共産党大会で、習近平総書記(国家主席)が「3期目」を決めると、移民の流入は加速した。シンガポール政府は移民申請者の人数を公表していないが、地元紙によると、中国人向けの資産管理会社は21年に約700社となり、前年比のほぼ倍増となった。ある管理会社への中国人顧客の問い合わせは、党大会前後で倍増したという。
 先のシンガポール政府当局者は次のように分析する。
 「マルクス主義を前面に打ち出し、共産主義に回帰する習政権への警戒感は、中国人の富裕層の間で急速に高まっています」
 習政権は、鄧小平が打ち出した改革開放路線から、貧富の格差の是正を目指す「共同富裕」を打ち出し、巨大なIT企業を中心に富豪への締め付けを強めている。
 中国のネット大手、アリババ集団を創業した馬雲(ジャック・マー)氏が最近、東京に滞在していることを英紙フィナンシャル・タイムズが報じた。20年10月にアリババ傘下の金融会社アント・グループの上場が延期になって以降、馬氏は公の場から姿を消しており、一時は当局の監視下に置かれていた。馬氏のように、習政権の経済政策を警戒する中国人富豪の海外流出が止まらない。
 前出のシンガポール当局者は続ける。
 「中国から資金や人材が流出すれば、経済の屋台骨が揺らぎかねません。かつては強大になる中国への『警戒論』が主流でしたが、最近では政権運営への『不安論』が語られ始めています。中国経済にもしものことがあれば、わが国は吹き飛びかねないからです」 (キヤノングローバル戦略研究所主任研究員、青山学院大学客員教授
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