🐒7」ー3・Dー「習近平の共産党」を守るためなら手段を選ばない。諸外国内の秘密警察署とスパイ。~No.21 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 10月29日 MicrosoftStartニュース 東京新聞「中国外務省「日本が同じ方向に向かうこと望む」 衆院選の結果に国営メディア「政権交代もなくはない」
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 2024年10月29日 YAHOO!JAPANニュース プレジデントオンライン「「習近平共産党」を守るためなら手段を選ばない…"西側諸国"で次々と明らかになった"中国スパイ"の実態
 世界各国で中国スパイによる事件が多発している。国際ジャーナリストの矢部武さんは「中国は20年前からスパイ活動を展開していたが、西洋諸国は中国市場での立場を悪化させないために対応が遅れていた。この数年でスパイの脅威を認識し対応を強化したため、情報管理が手薄な日本が狙われやすくなっている」という――。
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■スパイ行為の見返りとして約4億円を受け取る
 2024年9月3日、米国3大ネットワークの1つABCはニューヨーク州知事の元側近が逮捕されたニュースを報じた。同州のクオモ前知事と現職のホークル知事の側近だった中国系女性、リンダ・サン被告(41)が中国政府の「代理人」として活動していたスパイ容疑で逮捕されたというのだ。
 ホークル知事の副主席補佐官を務めていたサン被告は中国政府関係者を積極的に州当局者に会わせたりする一方で、台湾の要人が州知事接触するのを阻止したり、中国政府にとって重要な案件については州知事のメッセージを書き換えたりしていたとされている。
 これらの行為は中国の諜報活動の一部であり、中国が領有権を主張する台湾の地位や少数民族ウイグル族の弾圧など論争の多い問題で中国の立場に有利になるように政治的言説に影響を与えることに重点を置いている。
 サン被告は中国共産党の関係者と接触し、スパイ行為の見返りとして数百万ドル(約3億円から4億円)相当の利益を得て、他にもコンサートやショーのチケット、中国政府高官のシェフが調理したアヒル料理を受け取っていたという。
 ホークル知事は会見で、「激しい怒りを感じ、衝撃を受けています。本当に厚かましい行為で、州民の信頼を裏切りました。不正が発覚した後、すぐに解雇しました」と語った。
■この事件は氷山に一角にすぎない
 サン被告は30代前半だった2017年に海外在住の中国人青年を称賛するイベントに参加するため、北京を訪れた。その際に出身地の江蘇省南京に立ち寄り、中国の諜報機関の一部である江蘇省統一戦線工作部(UFWD)の幹部と会談した。
 その幹部は彼女に「米中友好の大使となり、ニューヨークの中国人移民の間で積極的に連帯を促進するべきだ」と伝えたという(ニューヨーク・タイムズ紙、2024年9月16日)。この会談がサン被告に中国政府の代理人となるきっかけを与えたようだ。
 中国政府は海外の中国人コミュニティや中国系の政治家・役人などを利用して情報を入手し、政策を形作ろうとする諜報活動を行っているが、彼女のケースは氷山の一角にすぎない。
■軍事技術を盗むために研究者に接近
 ドイツの公共放送ZDFは2024年4月22日、「中国がドイツ国内で積極的に情報を探り出そうとしていることがわかる注目すべきニュースです」と述べ、中国の諜報機関の指示を受けて軍事転用が可能な技術を入手したとして3人のドイツ人が逮捕されたと報じた。
 中国の諜報機関である国家安全省(MSS=Ministry of State Security)のスパイとして活動していたトーマス・アール被告はその技術を入手するため、一組の夫婦を仲間に引き入れた。夫婦は経営する会社を通して、研究者や大学などとコンタクトを取り、軍艦用エンジンなど機械部品の最新情報を収集していたが、当局から自宅と職場の捜索を受け、アール被告とともに逮捕された。
 また、同じ日にイギリスのロンドン警視庁が英国議会の調査員だった男2人を中国のためにスパイ行為をしたとして、敵国に利用されるかもしれない文書・情報の入手を禁止した国家機密法の違反容疑で逮捕した。
 2人は保守派の議員らでつくる中国研究グループと関わりのある議会調査員で与党保守党(当時)の議員数人と接触していたとみられている。
 この疑惑に対して在英中国大使館の広報担当官は、「中国が“イギリスの機密情報を盗んだ疑いがある”という主張は完全にでっち上げで、悪意ある中傷以外の何ものでもない」と一蹴した。
アメリカでは“悪質スパイ企業”に制裁を発動
 さらに中国の諜報機関はサイバースパイ活動も積極的に展開している。
 米国司法省は2024年3月25日、中国国籍の7名を外国での諜報活動と経済スパイ活動を推進するために約14年間にわたり、企業や批評家、政治家などを標的にハッキングしたとして、コンピューター不正侵入と通信詐欺の共謀罪の違反容疑で起訴したと発表した(司法省のホームページより)。
 これに伴い、リサ・モナコ司法副長官は「1万件以上の悪意あるメールが複数の大陸で数千人の被害者に影響を与えました。本日の起訴状で申し立てられているように中国政府が支援する大規模な世界的ハッキング作戦は、ジャーナリスト、政治家、企業を標的とし、中国政府の批判者を抑圧し、政府機関を危険にさらし、企業秘密を盗みました」と述べた。
 標的となった米国政府関係者にはホワイトハウス、司法省、商務省、財務省国務省の職員、民主・共和両党の上院および下院議員が含まれていたという。
 この中国政府系ハッカー集団は「APT31〔=Advanced Persistent Threat(高度で継続的な脅威)〕」と呼ばれ、諜報機関MSSの一部門とされている。司法省は7人の起訴に加え、MSSのフロント企業と目されている湖北省武漢市にある「武漢小瑞科技有限公司」に制裁を発動したことも発表した。
 メリック・ガーランド司法長官は、「私たちは、国民に奉仕する米国人を脅迫し、米国の法律で保護されている反体制派を黙らせ、米国企業から盗みを働こうとする中国政府の取り組みを容認しません」と警告した。
■元中国スパイが活動内容を暴露
 中国は政治的工作から経済スパイまで様々な諜報活動を展開しているが、その中でも特に闇の部分として恐れられているのは、海外で中国政府を批判している人たちを拉致し、本国に送還する任務を負っているスパイである。
 彼らは中国の連邦警察および治安機関である公安省(MPS=Ministry of Public Safety)の部隊に属し、その実態はよく知られていないが、それがついに明らかにされた。
 MPSで2009年から2023年まで潜入捜査官として働いたという元スパイ(39歳の男性)が2024年5月13日、オーストラリアの公共放送ABCの調査報道番組「フォー・コーナーズ」に出演し、活動の実態について語ったのである。
 番組ではエリックという仮名を使い、安全のためにフルネームやMPSの担当者の身元などは公表しなかった。
 MPSの部隊は中国共産党(CCP)の主要な弾圧手段の1つとされ、CCPと習近平主席の批判者を監視し、拉致し、沈黙させるために世界中で活動しているが、彼も15年間、中国、インド、タイ、カンボジア、カナダ、オーストラリアで活動したという。
■どんな手を使っても敵対者を追いつめる
 エリックは、中国が国家の敵とみなした人々の情報をどのように収集し、彼らを本国に帰国させて訴追するためにどのような手口を使っているのかを明らかにした。
 時には手の込んだストーリー(架空の話)を作り、ある時は不動産会社の幹部として、あるいは「自分も中国共産党が嫌いで自由のために戦っている」などと反CCPの闘士を装ったりして批判者に近づき、彼らの信頼を得てから強制的に本国へ送還する。
 その際、スパイにはアメとムチを含めあらゆる手を使うことが認められているという。エリックはそれ以上の詳細は語らなかったが、「彼らからは、何をしてもいい、と言われていた」ということははっきりと述べた。
 MPSの目的は中国共産党の地位を守り、内外での党の支配を維持することだが、2012年に習近平氏が指導者に就任して以来、中国の諜報機関は再編成され、MPSの活動も強化された。
 しかし、オーストラリアの法律では外国の諜報機関が国内の外国人を脅迫したり、帰国を強制したりすることは犯罪となるため、MPSの活動は豪中間の外交問題にも発展している
 ABCの番組によれば、2015年に中国の秘密警察2人がメルボルンの中国人バス運転手を拉致し、本国へ送還したが、この事件が公表されると、オーストラリア政府が抗議し、中国側は「二度と起こさない」と約束した。しかし、その後も2019年に中国将校がオーストラリア在住の59歳の中国人男性を強制帰国させるなど、事件は繰り返されているという。
■中国政府の“最も闇の部分”
 エリックは番組で、「真実を暴露するために声を上げている」と語り、こう続けた。
 「国民には“秘密の世界”について知る権利があると信じています。私は中国の政治治安機関で15年間働きましたが、それは今日の中国政府の最も闇の部分です」
 彼は2023年に中国から逃亡してオーストラリアに渡り、同国の諜報機関「オーストラリア安全諜報機構(ASIO=Australia Security Intelligence Organization)に自身の経歴を明かし、保護を求めた。ABCによれば、中国の秘密警察・諜報機関の関係者が公の場で発言したのは初めてだという。
■対中関係を重視し、スパイ活動を容認していた
 中国の諜報活動の拡大は西側諸国にとって重大な脅威となっているが、西側の対応はなぜ遅れてしまったのか。この問題については、英国公共放送BBCが対外諜報機関(MI6)の幹部の発言を引用して興味深い報道をしている。
 報道によると、「中国の諜報機関は2000年代にはすでに経済スパイ活動を展開していたが、当時の西側の企業は往々にして沈黙していた。なぜなら、中国市場における立場が危うくなるのを恐れて明らかにしなかったのだ」という(BBC NEWS JAPAN 2024年6月11日)。
 重要なビジネスパートナーである中国との関係を悪化させたくないばかりに沈黙していたのは企業だけでなく、政府や政治家も同様である。たとえば、ドイツの国会では中国の経済スパイの脅威が高まってきても、中国との関係を重視する意見がずっと根強く存在しているという。
 ドイツの国会議員で元陸軍将校でもあるローデリヒ・キーゼヴェッター氏は、「ドイツの諜報機関は数年にわたって中国の経済スパイの脅威について警告したが、その警告は故意に聞き入れられなかった」と述べている(ガーディアン紙、2024年5月8日)。 
■脅威を再認識し、対策を強化
 また、英国は2010年代にデビッド・キャメロン首相が英中の経済関係の強化を背景に両国関係を「黄金時代」と表現した。
 しかし、英国の中国専門家のマーティン・ソーリー氏は近々刊行される著書『All That Glistens(輝くものすべて)』の中で、「英国がキャメロン首相時代の英中友好の“黄金時代”を吹聴したことで、結果的に中国は(英国の)政治家や実業家を操りやすくなった」と指摘している。
 最近はこの「黄金時代」を皮肉って、「黄金の失敗」ではなかったかと揶揄されているというが、2022年に誕生したスナク政権で外務大臣を務めたキャメロン氏も中国を公然と批判するようになった。同氏はその理由を「多くの事実が変わった。中国は時代を決定づけるチャレンジ(難問)になった」と述べている。
 欧州は最近になって、中国のスパイ活動への対応に力を注いでいる。英国のMI6は2024年1月、中国の諜報活動に対応するために専門の外国人コンサルタントを雇ったという。
 また、ドイツは2024年4月、フェーザー内相が「中国のスパイ活動がビジネス、産業、科学に多大な危険をもたらしていることを認識している。我々はこうしたリスクと脅威を非常に注意深く見守っており、明確な警告を発し、あらゆる場所に防諜措置が強化されるよう意欲を高めている」と述べ、中国にメッセージを送った。
■西側スパイと中国スパイの“決定的な違い”
 西側の対応が遅れたもう1つの理由としては、中国の諜報活動の目的や方法が西側と異なることによる独特の難しさがある。米国連邦捜査局(FBI)で対諜報活動を担当するロマン・ロジャフスキー氏はその違いをこう説明する。
 「中国のスパイにとっては中国共産党の地位を守ることが一番の目的です。そのために中国は経済成長を実現する必要があり、スパイは西側の技術獲得こそ国家安全保障上の最重要課題と考えている。そして中国のスパイは入手した情報を国営企業に共有するが、西側の諜報機関は自国企業にそのようなことはしない」(前出・BBC NEWS JAPAN)。
 つまり、西側では民間企業が経済スパイを行うことが多いが、中国では政府の諜報機関がそれを主導し、国営企業を積極的に支援している。政府と企業が一体となって経済スパイを行っている中国に対し、西側各国が対抗するのは容易なことではない。ちなみに中国が諜報活動に投入している人員リソースは約60万人と推定され、他のどの国よりも多いという。
 また、CIA(米中央情報局)やMI6など西側の諜報機関が中国国内で活動する際の独特の難しさもある。中国内では顔認証やデジタル追跡技術の発達によって監視体制が徹底しているため、現地で工作員や協力者に直接会って情報収集するという伝統的な人的諜報活動がほとんど不可能だという。
■いままで以上に日本が狙われやすくなったワケ
 BBCニュースによれば、中国は約10年前、CIAが現地で張り巡らせていた大規模な工作員のネットワークを一掃したそうだ。
 さらに付け加えれば、世界的な通信傍受とデジタルインテリジェンスを担当する米国のNSA(国家安全保障局)や英国の通信傍受機関GCHQにとっても中国は技術的に難しいターゲットになっている。理由は中国が西側と異なる独自の技術を使っているからだという。
 他の西側諸国と同様に日本でも中国のスパイによる被害が増えている。
 2020年10月、大手化学メーカー、積水化学工業の元社員がスマホの液晶画面に使われる技術を中国の通信機器会社に不正に漏らしたとして不正競争防止法違反容疑で書類送検された。
 元社員が電子メールで技術情報を送った相手の中国企業関係者は、世界最大級のビジネス関連情報のSNSリンクトイン」を使って接触してきたという。大阪地裁は2021年8月、元社員に懲役2年と罰金100万円、執行猶予4年を言い渡した。
 また、2021年4月には宇宙航空開発機構(JAXA)など国内約200の企業や研究機関へのサイバー攻撃に関与したとして、警視庁公安部が中国共産党員でシステムエンジニアの30代の男を私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで書類送検した。警察当局は中国が軍の組織的な指示で高度なサイバー攻撃を仕掛けていたとみて、攻撃を受けた組織に注意喚起した(日本経済新聞、2021年4月20日)。
警察庁の担当者が出向き、スパイ対策を共有
 日本の先端技術が中国のスパイに狙われる背景には、ハイテク利権をめぐる米国と中国の覇権争いが激化したことで、各国における先端技術の管理などの対応が強化されたことがある。その結果、欧米諸国と比べて情報管理が徹底されていない日本の技術も中国に狙われやすくなったということだ。
 このような状況を受けて、日本の警察当局も対策に乗り出した。警察庁は2022年4月に「経済安全保障室」を設置し、技術情報流出の未然防止のための取り組みを都道府県警察と連携して推進している。
 対策の柱はアウトリーチ活動で、担当者が企業や研究機関に出向いて実際の事件をもとに海外の経済スパイやサイバー攻撃の手口を解説したりして対策の徹底を呼びかけているという。
 世界的に中国の諜報活動が活発となり、先端技術の争奪戦が激化する中で、日本の技術が流出する可能性は高まっており、日本はこれまで以上に警戒感を高め、対策を強化する必要がある。

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 矢部 武(やべ・たけし)
 国際ジャーナリスト
 1954年生まれ。埼玉県出身。70年代半ばに渡米し、アームストロング大学で修士号取得。帰国後、ロサンゼルス・タイムズ東京支局記者を経てフリーに。人種差別、銃社会、麻薬など米国深部に潜むテーマを抉り出す一方、政治・社会問題などを比較文化的に分析し、解決策を探る。著書に『アメリカ白人が少数派になる日』(かもがわ出版)、『大統領を裁く国 アメリカ』(集英社新書)、『アメリカ病』(新潮新書)、『人種差別の帝国』(光文社)、『大麻解禁の真実』(宝島社)、『医療マリファナの奇跡』(亜紀書房)、『日本より幸せなアメリカの下流老人』(朝日新書)、『世界大麻経済戦争』(集英社新書)などがある。

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 10月29日18:32 YAHOO!JAPANニュース TBS NEWS DIG Powered by JNN「北京でも児童切りつけ 中国で事件相次ぐ背景は
 中国・北京の小学校前できのう、児童らが切りつけられました。巻き込まれた日本人はいませんでしたが、中国では同様の事件が相次いでいます。背景にいったい何があるのでしょうか?
 記者
 「きのう事件が起きた小学校前です。周辺には多くの警察官が配置されています」
 事件があったのは、きのう午後3時半ごろ、ちょうど小学校の下校の時間帯でした。
 これは、事件直後の現場の映像だとして中国のSNSに投稿された動画です。
 中国メディアによりますと、下校し始めた小学生らに対し、男が刃物を振り回し、児童3人を含む5人がけがをしました。
 近隣住民
 「本当に恐ろしい。ここは子どもたちの通学路です」
 公安当局の発表によりますと、事件を起こしたのは50歳の男だということですが、動機は明らかになっていません。
 いま、中国では切りつけ事件が相次いでいます。中国東部・浙江省では1週間前(22日)に登校中の親子が男に襲われたばかりです。先月には、広東省深セン市で日本人学校の男子児童も刃物で襲われ死亡しています。
 北京市
 「毎日、自分の子どもを学校に送るとき、子どもが安全な場所に入るまで安心できません」
 「(このような事件は)増えると思います。社会の圧力が強く、生活環境が良くありません。給料が低くて、生活コストが高いので。反社会的な人が多くなりました」
 中国社会に詳しい東京大学大学院の阿古智子教授は、高い失業率など中国社会が経済的に低迷していることが事件の背景にあるのではと指摘。そのうえで、中国政府としても相次ぐ事件の発生を隠しきれなくなっているのではと分析します。
 東京大学大学院 阿古智子教授
 「これまでの中国政府のやり方だと、とにかく(事件の発生を)消していく、封じ込めていくという政策をとっていました。ネットの環境の監視を強化したり。それが機能しないことが明らかになってきています」
 相次ぐ事件は、中国社会を覆う閉塞感のあらわれなのかもしれません。
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 10月29日 YAHOO!JAPANニュース PRESIDENT Online「表向きは「サービスセンター」を名乗っている
 中国政府が独自の「警察署」を世界各地に展開し、各国政府を激怒させている。
 こうした拠点は、表向きは海外に住む中国系住民などを支援する「サービスセンター」を名乗っており、免許の更新などを中国国外で容易に受けられる施設として運営されている。
フランス・ストラスブールにある中国総領事館写真=iStock.com/AdrianHancu
※写真はイメージです
 しかし英BBCは、その実態は中国国外に住む反体制派を取り締まる捜査機関だと報じている。本国での裁判にかけるため、数十万人規模で市民を送還するなど、サービス窓口とは程遠い活動を行っている模様だ。
 米フォックス・ニュースは、中国が当該の偽装警察署を「五大陸じゅうに幾つも」展開しており、米ニューヨークやカナダのトロントなどにも存在すると報じている。記事はスペインの人権監視団体「セーフガード・ディフェンダーズ」による報告書を基に、「国際法違反」の疑いがあると報じた。
 多くの国において警察は「法執行機関」、すなわち各国が主権の下に定める法律の遵守を担保する機関と位置付けられている。中国政府の意図をくんで動く独自の警察網を展開することは、各国に対する「主権侵害」であり、「厚顔無恥」な行為だとの指摘が相次ぐ。
 NYの中華料理店の2階が「警察署」だった
 凝ったことにこのような警察署の一部は、民間の施設に偽装して運用されているようだ。ニューヨークでは、1階はラーメン店、2階は鍼灸しんきゅう院という雑居ビルの一角に身を隠すようにして、秘密の警察署が今年2月に開設された。
 このビルはニューヨークのマンハッタン島南東部のメインストリートである、イースト・ブロードウェイ沿いに位置する。一帯はチャイナタウンに近く、中国関係の店が軒を連ねる。
 米共和党のジャック・ロンバーディ2世議員はこの拠点をめぐり、米紙記事を基に、「FBI長官は、ニューヨークにある中国の秘密警察署が『主権を侵害している』と述べている」とツイートした。
 1階は何の変哲もないラーメン店、2階が鍼灸店となっている。チャイナタウン近辺によくあるタイプの雑居ビルであり、中国の出先機関が入居しているとは想像もつかない。
 英デイリー・メール紙は実際にこの拠点を訪れ、その様子をリポートしている。同紙が周辺に聞き込みを行ったところ、この警察署は表向きは「海外サービスセンター」を名乗っているという。中国本土に帰国せずとも、書類の発行や身分証の更新ができる模様だ。
 だが、窓口はほぼ常時閉鎖されており、開くことはめったにない。サービスセンターとは名ばかりで、内部が中国側の警察のオフィスとして利用されている可能性が疑われる。同紙記者が隣接する鍼灸院の受付に取材したところ、隣が秘密の警察署だと知って驚いた様子だったという。
 記事はこのような警察署は中国共産党が運営しているものであり、少なくとも世界30カ国に54カ所の存在が確認されていると報じている。多くは偽装されており、中華料理店やコンビニのスペースを一部利用して運用されているという。
 セーフガード・ディフェンダーズによると、中国共産党は2021年4月以降に海外市民の監視を強化しており、これまでに23万人の中国人を「説得」し本国へ帰還させたという。反体制運動の支持者が多く含まれるとみられる。
 米紙は「世界100拠点以上」と報じる
 中国が秘密裏に運営する警察署は、世界各地に存在する。フォックス・ニュースはその多くがヨーロッパに位置し、ロンドン、アムステルダムプラハブダペストアテネ、パリ、マドリード、フランクフルトなどに点在していると報じている。北米ではニューヨークの1拠点に加え、トロントに3拠点が設けられている。
 カナダ民放最大手のCTVは、同国に設けられた3拠点を実際に訪れている。1カ所目は平凡な事業所に紛れる形で、2カ所目は閑静な住宅街にある家の一角に、そして3カ所目は既存のコンビニの住所を借りる形で存在していることが確認された。いずれも東岸の大都市・トロント大都市圏に位置する。
 ほかの国においても、既存の商店に身を隠すようにして設営されているようだ。英スコットランドのヘラルド紙は、スコットランドグラスゴーにある有名ショッピング街に位置する人気中華料理店の住所が、秘密に設けられた警察署のものと一致したと報じている。中華料理店の一角が、中国政府とつながる捜査組織の拠点となっていた。
 少なくとも世界じゅうに54拠点という報道があるなか、米ニューヨーク・ポスト紙は世界100拠点以上とも報じており、中国警察網の規模は想像以上に広大なようだ。
 セーフガード・ディフェンダーズが公開した報告書によると、詳しい所在地は明かされていないものの、東京にも1拠点が存在する模様だ。
 ニューヨーク・ポスト紙はまた、中国政府が各国の政府や自治体関係者らとのパイプを築いていると指摘している。
 ニューヨークのラーメン店2階に構えた警察の事例を前掲したが、このビルの3階に入居し福建省長楽市と関係が深いとみられるアメリカ長楽協会は、ニューヨーク市のエリック・アダムス市長を招いた豪華な晩餐ばんさん会を開催している。同協会には中国市民を監視している疑いが掛けられており、また、米国税庁によってブラックリストに登録されている。
 狙いは香港人ウイグル人、反体制派…
 米国議会が出資する報道機関のラジオ・フリー・アジアは、セーフガード・ディフェンダーズによる報告書を取り上げ、「報告書によるとこうした警察署は、中国の2つの省の公安局が海外で運営しているものである。本国の家族に圧力をかけるなどを通じ、市民に中国への帰還を説得する目的で利用されている」と報じている。
 説得対象は中国政府が「犯罪者」とみなした人々だが、実際にこうした人々が人道に反しているとは限らない。英スコットランドのナショナル紙は、「こうした『犯罪者』とは、香港人ウイグル人、反体制派、そしてもちろん、中国共産党を批判するだけの勇気がある人物たちかもしれない」と指摘する。
 デイリー・メール紙も同様に、「多くは反体制派の政治活動家であり、(中国)共産党政権を批判するため中国国外へと逃げ出した人々ではないかと懸念される。香港からの脱出者、ウイグル難民、その他の国の正当な市民である可能性もあるだろう」との見解だ。
 こうした人々への「説得」工作は、非常に汚い手法で行われることがあるようだ。ナショナル紙は次のように報じている。「情報によるとこれら(取り締まり)により、容疑者の子供たちが中国で教育を受ける権利を失ったり、その他、家族に対する措置が行われたりすることがある」。家族の銀行口座の凍結や、財産没収などもあり得る模様だ。本土に残った家族への迫害を脅しの材料とし、帰国を「説得」している形となる。
 23万人を連れ戻した「キツネ狩り作戦」を支える
 なお、送還対象となった人物には、電話詐欺などの悪質な容疑者も含まれる。中国政府は2014年ごろから、海外へ逃亡した自国の容疑者を確保する「キツネ狩り作戦」を展開している。ニューヨーク・ポスト紙は、海外に無断で設けられた警察署がこの作戦を支援していると分析している。
 しかし、正規の外交ルートを無視した独自警察網の設置は、現地政府との摩擦を生むばかりだ。セーフガード・ディフェンダーズの調査報告によると中国政府は、容疑者の引き渡し条約を締結している国においても、非公認の警察による同様の説得工作を展開している。
 同NGOの調査責任者はフォックス・ニュースに対し、「中国共産党がいかに厚顔無恥であり、他国政府に敬意を払わなくなってきていることの表れだと考えています。国際法違反であり、主権の侵害に当たります」と語っている。
 セーフガード・ディフェンダーズの担当者はカナダのCTVに対し、監視網の強固さを強調した。「彼ら(中国政府)は国民に対し、たとえ中国を脱出して海外へ行ったとしても、私たちはお前を見ているぞ、監視下にあるのだぞ、そしてお前を追跡して帰国させることができるのだぞ、とのメッセージを送っているのです」
 米政治家もターゲットに
 実際のところ、中国共産党政権に対する反体制活動に加わった疑いで送還される人々は後を絶たない。
 フォックス・ニュースは「このような警察署はまた、中国政府のプロパガンダを浸透させ、(海外にいる)中国国民の行動と世論を監視するための施設としても機能してきた」と指摘している。中国市民は国外にあっても、悪名高い中国共産党の監視網を逃れられないということになる。
 取り締まりの対象は政界にも及ぶ。ブルックリンで活動する58歳政治家の熊焱(Yan Xiong)氏も、このような監視システムの犠牲者のひとりだ。
 フォックス・ニュースによると、地元支援者らに対し警察関係の工作員から圧力をかけられ、民主党予備選挙で大敗を喫したという。さらには売春婦を動員した工作を画策され、不倫およびセクハラ騒動を仕立て上げられる被害に遭う寸前だったようだ。このような工作にも、偽装警察署の関与が疑われている。
 現場に急行するパトカーに見える車体写真=iStock.com/z1b
 欧米各国が中国の監視網にメスを入れ始めた
 そもそも中国の一部国民や活動家らが国外へと逃げている背景には、強大な国家権力への恐怖や監視社会への嫌悪感がある。こうした社会制度を改善するのではなく、むしろ監視を強化することで国外の国民までをも追い詰める警察網には、中国共産党政権の並ならぬ執念を感じる。
 党の対面を重んじ政権批判を許さなかった中国だが、各国の主権を無視してまで独自の捜査網を広げるとあらば、海外の各政府としては黙ってはいられない。中国側が勝手に開設した警察署はここ数カ月で急速に問題となっており、拠点が設けられている各国は対応に着手した。
 米ワイアード誌は、カナダ当局が現地拠点の捜査を開始したと報じている。BBCによると、アイルランドのダブリンに設けられていた警察署に対し、現地当局から閉鎖命令が下った。MSNはドイツ捜査当局が、フランクフルトの秘密警察所の調査に乗り出したと報じている。
 これまでサービス窓口の名目で存在を正当化してきたものの、実質的な無断警察署の存在を隠すことは難しくなってきている。世界52拠点とも100拠点超ともいわれ、中華料理屋や民家に偽装して展開する捜査網に対し、各国の当局が実態の把握に乗り出した。
 自国の犯罪者を国へ帰還させるという聞こえの良い口実を作り、23万人を半ば強制的に「説得」し帰国させてきた中国政府だが、その手法に疑いのまなざしが向けられている。
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