🔔37」─1─国防総省(ペンタゴン)は中国検閲ハリウッド映画への協力を拒絶する。〜No.106 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 LOVE SPORTS
 HOME
 ハリウッド映画と中国マネーの関係ってどうなっているの?【図解 地政学の話】
 目次
 中国の富豪に買収されたハリウッドスタジオ
 トランプ政権で緊張状態が続く
 『図解 地政学の話』はこんな人におすすめ!
 シリーズ累計250万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ
 中国の富豪に買収されたハリウッドスタジオ
 2015年ごろから、ハリウッドで制作される映画の中で、中国の存在が大きくなっています。マット・デイモン主演の『オデッセイ』でも、NASAの窮地を救うのが中国国家航天局という設定。ほかにもハリウッド映画で中国人俳優の起用が多くなったり、設定そのものが中国寄りという現象が起こっています。これは習近平・中国国家主席が無類のハリウッドの戦争映画が好きだったことが大きくかかわっています。アメリカにとっては娯楽のひとつである映画も、中国にとっては大きな輸出産業のひとつ。習近平・中国国家主席アメリカに対抗する社会主義文化強国を建設するため、映画産業の育成を重視します。さらに中国トップの大富豪である王健林氏は2016年『ジュラシックワールド』などを制作したレジェンダリー・エンターテインメントを買収し、一気にハリウッドへの殴り込みをかけました。
 トランプ政権で緊張状態が続く
 しかし、2018年に入ってからはその勢いが低下していきます。理由の1つは米中間で起きた貿易戦争です。トランプ政権は2018年7月、知的財産権侵害を理由に、818品目、日本円にして約3兆7700億円もの中国製品に対し25%の追徴課税を課しました。それに対し中国は報復関税を実施しています。このことにより両国の緊張は続いており、中国とアメリカの間でのハリウッド作品の上映に関する取り決めは保留になっている状態です。
   ・   ・   ・   
 ハリウッドの共産主義者は、昔はソ連、現代は中国共産党
 1950年代中期頃、アメリカ国内ではマッカーシズムによる赤狩り旋風が吹き荒れ、レッドパージはハリウッド映画にも及んだ。
 現代のハリウッド映画に浸透している共産主義勢力とは、中国共産党である。
   ・   ・   ・   
 ハリウッドの知性・良識は、保守右派による赤狩りレッドパージから「表現の自由」を守った。
   ・   ・   ・   
 日本のエンタメ業界やメディア業界は、人種・民族・外国人への差別反対に従い自己規制で中国批判をしない。
 噂では、中国資本が日本のエンタメ業界やメディア業界など多くの業界にチャイナ・マネーが侵蝕されていると言われる、その証拠がチベット内モンゴル・ウィグル・少数民族法輪功、臓器・人身・覚醒剤その他における非人道的犯罪を重大事件として取り上げない事である。
 日本は、媚中派エセ保守によって毒されている。
 つまり、エセ保守もリベラル左派も中国には逆らわない。
 日本の中国に関係する映画・テレビドラマなどでは、善人は中国人で、悪人は日本人である。
 日本人は被害者であり、中国人や半島人は加害者である、それが歴史的事実である。
   ・   ・   ・   
 2021年8月2日 YAHOO!JAPANニュース デイリー新潮「中国に媚びざるを得ないハリウッド ジャッキー・チェンは「共産党に入りたい」、リチャード・ギア
 ジャッキー・チェン
 いつ党員になるの?(他の写真を見る)
 「自由の国」で「自由」が奪われる。これほどの皮肉はなかろう。ジャッキー・チェンが「入党宣言」で中国にすり寄る一方、アメリカでは反中発言をしたリチャード・ギアらハリウッド俳優が干されているのだ。
 ***
 【写真】ハリウッドから“干された”「リチャード・ギア
 ジャッキーが件の発言をしたのは、彼が副主席を務める中国映画家協会が7月8日に北京市で開いた座談会でのこと。曰く「共産党は偉大だ。党が約束したことはわずか数十年で実現する。私も党員になりたい」。
 中国事情に詳しいジャーナリストが解説する。
 「1997年の香港返還以降、香港映画は中国資本頼みの状況です。ジャッキーはそうした映画業界のことを考え、昔から中国共産党を支持する発言をことあるごとに繰り返しています」
 実は、映画界の「媚中」ぶりはハリウッドでも顕著になりつつあるという。
 「アメリカではジャッキーよりも、別の俳優の発言が注目されています」
 とは在米映画評論家の猿渡由紀氏である。
 「日本でもこの夏に公開される人気シリーズ『ワイルド・スピード』の最新作に出演しているジョン・シナというハリウッド俳優が台湾メディアのインタビューに“(台湾が)『ワイスピ』最新作を見られる最初の国”と発言し、中国で批判されました。その後、ジョン・シナは発言を撤回し、謝罪しています。中国に配慮した結果ともいわれているのです」
 中国の映画市場はコロナ禍の2020年に約3300億円。世界的に映画館が閉鎖される中、アメリカを抜き、世界一となっている。ハリウッド映画における中国の影響力は強まるばかりなのだ。
 リチャード・ギア
 最近見ないと思ったら(他の写真を見る)
 チベット独立を…
 「最近では大作映画に中国企業が出資することも珍しくありません。中国で公開されれば興行的にも大きなプラスになるので、中国当局の検閲に引っかからぬように、製作サイドに専門のコンサルタントを置くなど、描写にはかなり気を遣うようになっています」(同)
 実際、俳優でも中国に嫌われた途端に映画に出演できなくなる例が相次いでいる。その一人が「プリティ・ウーマン」でおなじみのリチャード・ギアだ。
 熱心なチベット仏教徒の彼は、ダライ・ラマ14世とも親交があり、90年代からチベット独立を支持。現在は事実上のハリウッド追放状態となっており、
 「本人はメディアのインタビューで“中国からダメと言われて出演できなかった映画は何本もある”と語っています。事実、この十数年は大作には出られない状況が続いています」(先のジャーナリスト)
 また他にも、ブラッド・ピットは97年公開の「セブン・イヤーズ・イン・チベット」に主演しているが、
 「チベットの描かれ方に反発した中国政府はブラッド・ピットを含む主要キャストを入国禁止とし、その措置は16年まで続きました」(猿渡氏)
 また、シャロン・ストーンは08年のカンヌ国際映画祭四川大地震について「(チベット弾圧への)報い」だと発言。中国では彼女がイメージキャラクターを務めていたクリスチャン・ディオール不買運動に発展し、謝罪へと追い込まれている。
 こうした抑圧的な状況を放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏は、
 「リベラルな考えで、自由や抑圧からの解放を題材にした映画を多く作ってきたのがハリウッドです。それがチベットウイグルを弾圧する中国と手を結ぶとはブラックジョークでしかありません。いくら中国市場が巨大でも干されるべきは俳優ではないでしょう」
 米映画界が“赤”に染まる日も近いかも。
 週刊新潮 2021年7月29日号掲載
 ワイド特集「異次元空間」より
   ・   ・   ・   
 8月5日10:57 YAHOO!JAPANニュース デイリー新潮「「中国の検閲を受け入れる映画には協力しない」ペンタゴンが表明 中国に悩まされてきたハリウッドに異変
 もう口出しできない?
 英断と評する声が多い。6月末、アメリカ国防総省ペンタゴン)が明らかにした方針についてである。いわく、中国の検閲を受け入れる映画やテレビには今後協力しない――。スクリーンのウラで繰り広げられてきた、ハリウッドと中国の攻防とは。
 【写真を見る】中国による検閲に一石を投じた大ヒット映画とは?
 ***
 「ハリウッドはチャイナマネー欲しさにスピリットまで売ってしまったのはよくなかったですね」
 そう語るのは、テレビプロデューサーのデーブ・スペクター氏。この指摘を理解するには、過去にハリウッドと中国がどれほどズブズブだったかを知る必要がある。米国事情に詳しいジャーナリストによると、
 「2010年ごろから中国の映画市場は急拡大し、チャイナマネーがハリウッドを席巻しました。中国企業の出資を受けた作品が相次ぐようになったのです」
 中国を悪く描くことがタブーに
 だが、これはさながら悪魔の取引だった。
 「中国を批判的に扱う描写や、中国人を悪役として登場させることなどがタブーとなりました。製作時には中国政府と中国市場を意識しての忖度が必須となったわけです。さらには中国での公開が、政府の検閲の末にNGとされることも多々。当然、こうした状況を憂う映画人もいました」(同)
 そこに一石を投じたのが、22年公開のトム・クルーズ主演「トップガン マーヴェリック」を巡る騒動だ。
 「トム演じる主役マーヴェリック大佐が着るフライトジャケットには、もともと日本と台湾の旗のワッペンがあしらわれる予定でした。それが19年発表の予告編で変更されていたのです。中国企業が出資していたための政治的配慮だと世論が紛糾。結局、中国企業が出資を取りやめ、ワッペンは元通りになりました」(同)
 くまのプーさん
 この映画に深く関わっていたのがペンタゴンである。
 「『トップガン』のように軍が登場するアクション映画には、ペンタゴンは依頼があれば戦闘機や軍艦を貸し出します。宣伝にもなるからですが、無論、人手を割いて台本チェックや安全管理などを行います。なのに中国への忖度でシーンがカットされたり、ストーリーが変更されたりする。これは本来、製作サイドからしても不都合きわまりない。中国の検閲を許す作品への協力を拒む判断は正しいと思います」(デーブ氏)
 以後、北京当局が介入を断念しない限り、せっかくヒットが見込めそうな軍事モノの大作でも、中国は関与できなくなったのだ。金を出す意味がないのだから。
 中国による検閲に、長く悩まされてきた米映画界。
 「18年公開の『プーと大人になった僕』が中国では上映禁止になりました。くまのプーさんは以前から習近平主席に似ていると言われ、それだけで検閲対象とされていた。しゃれの通じない人です」(同)
 作品外での中国批判にも過敏
 他にもある。映画評論家のバフィー吉川氏によれば、
 「21年公開の『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』で、中国は製作側にニューヨークの自由の女神像を消すよう迫ったとされます。作品外での中国批判にも過敏で、たとえば中国出身のクロエ・ジャオ監督がアカデミー賞を受賞しても、彼女の過去の政府批判発言を理由に中国では一切報道されませんでした」
 先のジャーナリストも、
 「チベット問題で中国を批判したリチャード・ギアはハリウッドで干されてきた。キアヌ・リーヴスシャロン・ストーンも同じく中国批判で活躍の場が限られていた。彼らの俳優としての価値とは無関係に、です」
 中国がカネと共に去り、名優たちが復活するなら、英断の効果は世界最強? 
 「週刊新潮」2023年8月3日号 掲載
   ・   ・   ・   
 シネマトゥデイ「中国の言いなりになったハリウッド…媚びても次々上映禁止に
 2021年3月20日 20時20分
 モンスターハンター プーと大人になった僕 アカデミー賞
 中国は今や世界最大の映画市場に - iStock.com / Malte Mueller
 ハリウッドが、またもや中国に頭を悩ませている。来月のアカデミー賞授賞式の中継番組を放映しないよう、中国政府がメディア各社に通達を出したのだ。(Yuki Saruwatari/猿渡由紀)
 【画像】批判殺到で…中国で上映中止となった実写版『モンスターハンター
 理由は、今月15日に発表されたノミネーション作品の中に、短編ドキュメンタリー映画『ドゥ・ノット・スプリット(原題) / Do Not Split』が入ったこと。上映時間35分の同作は、民主主義を守るために奮闘する香港の人たちを描くものだ。これに怒った中国政府は、アカデミー賞の重要性を強調しないこと、また受賞結果は無難な部門に限って報道することをメディアに要請したという。
 中国による検閲は、もちろん今に始まったことではない。バイオレンス、セックス、同性愛などが出てくる作品は、昔からまず間違いなく拒否されてきた。中国でも上映してもらいたいなら、それらのシーンをカットして“中国仕様”にするしかない。そうして中国市場を見据えたハリウッドの自主検閲も生まれ、近年、大きな問題になってきている。あるいは、最初から中国は諦めるか。たとえば、全世界で大ヒットした『ジョーカー』は、中国はないものと覚悟して製作されている。あの映画からバイオレンスをなくしたらまるで違う映画になってしまうだろうから、その判断は正しい。
 だが、中国での公開を想定して制作したのにもかかわらず、予想外の理由で禁止されることもある。最近では『モンスターハンター』がそうだ。問題となったのは、アジア系アメリカ人のラッパー、オウヤン・ジンが、「俺の膝を見ろ。どんな膝(ニーズ)だ? チャイニーズだ」というシーン。作り手に差別の意図は全くなかったのだが、映画を見た一般観客は、アジア人の子供を馬鹿にする遊び歌を連想し、人種差別だと捉えたのである。この騒ぎが出ると、劇場は次々に上映を取りやめ、初日、中国全土の四分の一ほどのスクリーンで上映されていた同作は、翌日には0.7%しか占めない状況になった。制作側はすぐに謝罪し、該当シーンを全世界でカットしたのだが、中国ではそのバージョンも許可されず、上映は打ち切りの状態のままだ。
 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
 映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』より - Columbia Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ
 クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)も、同じような経験をした。同作は中国の会社が25%の資金を提供しているにもかかわらず、公開1週間前になって上映禁止が言い渡されたのだ。中国政府は理由を発表していないが、劇中でブラッド・ピットブルース・リーをやっつけるシーンを「侮辱だ」と公に批判してきたシャノン・リー(ブルースの娘)が直接懇願したことが大きいのではないかと推測されている。
 2018年には、ディズニーの『プーと大人になった僕』が上映禁止の憂き目にあった。これまた説明はないものの、その前年、ソーシャルメディアクマのプーさんを使った習近平批判の映像が出回ったことが原因だとみられている。2016年には、やはり一見何の害もなさそうなアクションコメディー『ゴーストバスターズ』が上映を拒否された。いくら明るく描かれていても、ゴーストという要素が問題視されたのではないかというのが、ハリウッド関係者の推測だ。
 このような事態は、スタジオ側には予測しようがない。そのたびにスタジオやフィルムメーカーは振り回され、余計な仕事が増えることになる。それでも、中国を完全に切り離すのは難しい。人口が多い上、成長市場である中国は、稼ぐ時はとんでもなく稼ぐのだ。『ワイルド・スピード』シリーズの最近作の売り上げは北米より多かったし、『アベンジャーズ/エンドゲーム』は6億ドル(約660億円)以上も売り上げた。頭を悩ませられても、それでもハリウッドは中国との関係を続けていく。
   ・   ・   ・   
 Forbes JAPAN「ハリウッドは中国政府に「忖度」している、米組織が強く非難
 Lisette Voytko | Forbes Staff
 著者フォロー
 ハリウッドの映画スタジオは、中国政府の機嫌を損ねないように自ら検閲を行っているとのレポートを米国のNPO団体が発表した。中国での映画の興行収入は、間もなく米国を上回ると予想されており、このトレンドは今後も続いていきそうだ。
 自由な表現を擁護する米国の非営利組織PEN Americaは8月5日、米国の映画スタジオの多くが、中国で上映権を獲得するために映画の内容に修正を加えていると指摘した。
 2019年の中国での映画興行収入が約95億ドル(約1兆円)に達した一方で、米国の映画興行収入は前年から4%マイナスの115億ドルだった。
 PEN Americaによると、米国の映画スタジオは中国での人権の抑圧や、議論を呼ぶチベットや台湾関連の問題に向き合うことを避けているという。
 その一例としてあげられたのが、マーベル・スタジオ製作の2016年公開の映画「ドクター・ストレンジ」の件だ。この作品の原作コミックには、チベット系武道の老師が登場するが、映画では白人女優が演じるキャラクターに置き換えられており、「映画資本によるチベット弾圧」という批判を浴びた。
 しかし、マーベルの親会社であるディズニーは、この問題に関して口を閉ざし、チベット問題に言及することを避けていた。
 さらに、間もなく公開が予定されている「トップガン」の続編では、トム・クルーズ演じる主人公のジャケットから日の丸と台湾の旗が消えたことが物議を醸した。1986年のオリジナルでは、革ジャンに日本と台湾の国旗が貼られていたが、新作ではそれが消されたのだ。製作元のパラマウントは中国政府に忖度して、この措置をとったと批判されている。
 映画会社はPEN Americaのコメント要請に応じていないが、匿名のハリウッドのプロデューサーは「映画業界の関係者は、中国政府の目の敵にされることを恐れている」と話している。
 「世界の映画業界をリードするハリウッドが、外国の政府の検閲に立ち向かわないのであれば、他のどの国の関係者もリスクをとらなくなる」とPEN Americaは述べている。
 米国司法長官のウィリアム・バーは今年7月、ディズニーなどの企業が日常的に中国当局による映画の検閲を受け入れ、中国共産党にこびへつらうスタンスをとっていると批判した。
 ディズニーは8月4日、新型コロナウイルスの影響で映画館の営業再開が危ぶまれる中で、映画「ムーラン」の米国での劇場公開を中止し、動画ストリーミングサイトDisney+で配信すると発表した。しかし、中国などのDisney+が利用できない国においては、「ムーラン」は映画館で公開される。
編集=上田裕
   ・   ・   ・   
 ハリウッドから「中国が悪者」の映画が消えた訳
 逆にどんどん増える「中国人が大活躍」の映画
 福原 秀己 : 映画プロデューサー、内閣府クールジャパン官民連携プラットフォームアドバイザリーボードメンバー
 2021/01/11 17:00
 中国は映画産業でも多大な影響を与え始めている(写真:urf/iStock)
 漫画やアニメなど「コンテンツ」の供給者として、世界でも存在感を見せる日本。
 ハリウッドでトム・クルーズ主演のSF大作『オール・ユー・ニード・イズ・キル』をプロデュースした福原秀己氏は、「現代はコンテンツが世界経済を動かす時代」「2030年、日本は工業製品ではなくコンテンツの輸出大国になる」と言います。
 本稿では、福原氏の新著『2030「文化GDP」世界1位の日本』から一部抜粋しお届けします。
 「中国=悪役」が消えたハリウッド
 中国は、世界の映画産業における圧倒的存在感を背景に、ついに映画の内容においても相当な影響を与え始めている。
 「24 TWENTY FOUR」というアメリカのテレビドラマシリーズをご覧になった方は多いだろう。架空のテロ対策ユニット(CTU)の敏腕捜査官ジャック・バウアーが、テロ組織をタイムリミット24時間の間に追い詰めるという、不死身のヒーローもの、ハードボイルドだ。2001年の9.11同時多発テロ直後の11月から放送が始まり、アメリカだけでなく全世界で大ヒットし、2010年までに8シーズンが放映された。
 8シーズンにもわたって作品の新鮮味と迫力を維持する秘訣は、ヒーロー側ではなく、テロ集団である敵役(悪役)側にある。ヒーローの設定や性格はシーズンごとに変えられないが、敵役は自在である。面白い映画やドラマは、つねに敵役がユニークで凶悪だ。そして、シーズンを追うごとに巨悪化していくものだ。『バットマン』シリーズを支えているのは、バットマンではなく、ジョーカーである。
 さて、「24」シーズン1のヒール(悪役)は、ジャックと同じバックグラウンドを持つ「コケイジャン(白人)」である。以降のヒール(悪役)は、シーズン2「アラブ人」、シーズン3「ヒスパニック」、シーズン4「中国人」、シーズン5「ロシア人」、そしてシーズン6は再び「中国人」である。
 シーズンを追うごとにヒールは巨悪化していき、チャイニーズマフィアが、シリーズ6で史上最強のヒールとして登場したのが2007年である。
 そして筆者の記憶の限りでは、この2007年をもって、中国がヒールの映画やドラマは、ハリウッドから消えた……。
 2009年のジョン・キューザック氏主演の近未来大作『2012』は、天変地異の大変動で地球が滅亡に向かうハルマゲドン映画だ。地球が滅亡する直前に、人は地球に存在する生物種(人間はじめ、動物、植物)を船に乗せて脱出させ、新たな世界で再び人類の文明を創るという現代版「ノアの方舟」がテーマだ。
 物語は、天変地異により断末魔を迎えた地球から脱出する人々の過酷な戦いを描いている。脱出を図る人々が目指すのは、中国にある船の建造基地だ。最後の希望である人類の文明の再興は、チベットから出航する中国建造の船から始まる。人類の未来は中国が担っている。
 また、2015年のマット・デイモン氏主演、大御所リドリー・スコット監督のSF映画『オデッセイ』では、火星での探査任務中、アクシデントが発生し、マット・デイモン氏演じる宇宙飛行士が、1人火星に取り残される。
 取り残された彼が、どうやって生き延び、生還するかという話だが、火星に緊急の食料輸送をするロケットの打ち上げが次々と失敗するなか、ついにこれを成功させて軌道に乗せるのが中国国家航天局である。中国ほどの成功率をもってロケットを宇宙に飛ばせる国はない、ということか?
 中国人が活躍する映画が増えたワケ
 そして、2016年のエイミー・アダムスさんが主演するSF映画『メッセージ』は、評価も高い良品である。地球に次々と楕円形の巨大な浮遊体が降りてくる。その物体が、何ものなのか、どんな目的があるのか、なかに何かいるのか、何もわからない。ただ、そこに降り立って、じっととどまっているだけだ。
 そこに、エイミー・アダムスさん演じる言語学者が、ある仮説をもってなぞ解きにかかる。しかし、いま一歩のところで十分なサポートが得られず、解明は遠のく。
 異星人との開戦を目の前にして、人類への脅威が迫るなか、その脅威を取り除いたのは、中国の軍人である。
 もはや中国が悪者である映画が、ハリウッドで創られることはない。逆に中国人が活躍する映画が、どんどん増えてきている。
 中国が名目GDPで日本を抜いたのが2010年、名目GDPが世界の10%を超えたのが2011年である。第2次世界大戦以降、世界のGDPで10%以上のシェアを取った国は、アメリカと旧ソ連、日本、そして中国だけ。そして、いまはアメリカと中国だけだ。
そして、中国が映画の興行収入で日本を抜いたのが2012年である。
 中国の影響力はハリウッドにとどまらず、スポーツを含めたエンターテインメント全域に及んでいる。中国のソフトパワーは、今日も肥大化している。
 中国がコンテンツ供給国になることはできない
 製作資金と観客と興行と撮影設備まで、世界最大のものを備えた中国は、興行面では確かに映画大国だろう。しかし、それでは中国が世界のコンテンツ市場で覇権を握ったかといえば、そんなことはない。中国が世界のエンターテインメントを牽引しているかというと、そんなこともない。
 なぜか? 中国から世界へ出ていくオリジナルがないからだ。
 資金面でも興行面でも圧倒的な地位を獲得しているが、映画の最重要な要素である「創作」が、世界標準を満たしていない。
 なぜか? 表現の自由がないからだ。
 中国は人口が多いので国産映画にも十分な集客力がある。500億円規模の興行収入を上げる国産の作品も出てきており、全世界興行収入でも上位にランクインしている(海外配給も行われている)。しかし、大部分は国内収入で、海外で稼いでいるわけではない。
 表現が統制されている、管理されている、それらの持つ意味は、とてつもなく大きい。
 中国で『英国王のスピーチ』(2010年)が創られることはない。恋のために在任1年足らずで国王の座を放棄した国王や、吃音に苦労する国王が描かれているからだ。中国で指導者をこのように描くことはありえない。『くまのプーさん』さえ、習近平国家主席に似ているという理由だけでNGの国なのだ。
 当然、タイトル通りの『大統領の陰謀』(1976年)もダメだろうし、大衆を共感させるトム・クルーズ氏主演の反戦映画『7月4日に生まれて』(1989年)もダメ。政治・社会ネタだけでなく、『ビッグ・ウェンズデー』(1978年)のようなサーフィンを題材にした爽やかな映画も、そのなかで兵役拒否が描かれているからダメだろう。
 つまり、ほとんどダメなのだ──。
 批判精神をもって時代を切り取ることに、映画の1つの大きな意義がある。
 2018年、カンヌ国際映画祭最高賞パルムドールを受賞した『万引き家族』のテーマはInvisible people(社会から隔絶・孤立した人々)、2019年、アカデミー賞作品賞受賞作『グリーンブック』のテーマは、Diversity(多様性、差別)だ。そして、世界中で大きな話題となった2020年、アカデミー賞作品賞に輝いた韓国映画『パラサイト 半地下の家族』、そのテーマはDisparity(格差)である。
 中国からは、このどれも生まれることはない。
 映画は、基本的に、何らかの社会的制約や障害との葛藤と、その克服がテーマなのだ。ところが中国では、葛藤を描かれても、それを克服されても困るのである。ほとんどのことは統制のもとにNGだ。
 しかも、統制を破ることは、中国では想像もつかないほど大きなリスクとなる。日本で1980年当時、『四畳半襖の下張』事件(文書のわいせつ性の判断基準が争われた刑事事件)で、被告の野坂昭如氏は有罪となった。彼は「その後」も事あるごとにこのときの判決を批判し、笑い飛ばしていた。そして実際に、この事件は笑い話の種になった。
 これが中国だったら笑い話では済まない。野坂昭如氏に「その後」などなかったはずだ。
 このような条件下では、すでに検閲を通過して安全なもの、つまり過去に前例があるものを、手を替え品を替えて作り直していくしか安全な道はない。
 自由な発想と自由な表現は、「創作」に欠かせない絶対の要素なのである。中身が粉飾されたり、歪曲されていたら、コンテンツとしての価値は失われてしまう。
 「創出力」で圧倒できたら中国は変わるかもしれない
 中国が映画をはじめとしたコンテンツの消費国として巨大化していくことに間違いはないが、コンテンツ開発国・供給国として世界のエンターテインメント業界に君臨することは、当面ないだろう。思いのままに、多様なオリジナルを送り出す自由がないからだ。
 『2030「文化GDP」世界1位の日本』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)
 ファッションブランドでも状況は同じだ。いま、世界中の高級ブランドを買いあさっているのは中国だ。中国が世界でいちばんのブランド購入国であることは間違いない。
 しかし、だからといって中国をブランド大国とはいわないし、ブランド強国と呼ぶこともない。自らブランドを創出し、ブランドで外貨を稼いでいるわけではないからだ。「模倣ブランド大国」とは呼ばれているが。
 映画をはじめエンターテインメントの分野で、中国が世界をリードすることはない。
 しかし、中国がすごいのは、前にいる者を一気に抜き去るパワーだ。「勢い」はしばらく止まらない。
 もし、エンターテインメントの世界で、中国がコンテンツの「創出力」で他国を圧倒する時代が到来したら、そのときの中国は、世界中に愛される国になっているだろう。
 福原 秀己さんの最新公開記事をメールで受け取る(著者フォロー)
   ・   ・   ・