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中国共産党は、軍国日本の大東亜共栄圏を真似て中華文化共栄圏を一帯一路構想で築こうとしている。
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2023年4月15日 YAHOO!JAPANニュース 毎日新聞「今、中国が太平洋戦争を学ぶ意味
トシ・ヨシハラ上級研究員が1月に発表した「太平洋戦争の中国への教訓」(左)と「竜対太陽-中国から見た日本の海軍力」=米首都ワシントンで2023年3月16日午後、西田進一郎撮影
ある出来事を深く掘り下げて検証する調査報道番組は、米国で「ニュースマガジン」と呼ばれ、根強い人気がある。その代表格が、放送開始から50年を超えるCBSテレビの「60ミニッツ」だ。
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そんな国民的な番組が3月19日の放送で取り上げたテーマが刺激的だった。「Is the Navy ready?」。米海軍は準備できているのか――。
◇20年で艦船の数は10倍
映し出されたのは、西太平洋を航行する米軍の原子力空母ニミッツの艦上。200隻の艦船と15万人の人員を抱える米太平洋艦隊のトップ、サミュエル・パパロ司令官がインタビューに答えていた。西太平洋の現状について「2000年代初頭、中国海軍は37隻程度の艦船を保有していたが、現在は350隻だ」などと語り、中国海軍の規模が急拡大し、活動を活発化させていることへの警戒感を示した。
キャスターは「中国が台湾に侵攻した場合、米海軍はどうするのか」と切り込んだ。「決定するのは大統領と議会だ」と前置きしたパパロ氏は、「侵攻に対して台湾を支援するという命令が下されれば、米海軍の大部分は西太平洋に迅速に展開し、台湾を支援する」と答えた。そこでキャスターはたたみかけた。「Is the Navy ready?」
米国内では中国による台湾侵攻を巡る議論が熱を帯びている。米中央情報局(CIA)のバーンズ長官が2月に「習近平国家主席が27年までに台湾侵攻を成功させる準備を整えるよう軍に指示を出したことを、情報として把握している」と発言したことが拍車をかけた。27年は3期目に入った習指導部が任期満了を迎え、中国の人民解放軍創立100年の節目にもあたる。
これまでにも、インド太平洋軍のデービッドソン前司令官が在任中に「27年までの侵攻の可能性が高まっている」と警告したり、「27年よりも早期の可能性」(海軍作戦部長)、「私の直感では25年」(空軍司令官)などの見解が示されたりしてきた。
ただし、これらには米軍内の引き締めや予算確保を念頭においた議会へのアピールの意図が透けていた。バーンズ氏の発言は情報に基づく評価であり、軍高官の発言とは異なる。
◇軍事的野心の表れ
偶然だが、放送の3日前、同様の問題意識で、首都ワシントンの民間調査研究機関「戦略予算評価センター(CSBA)」を訪ねた。中国軍の動向に関する米国有数の専門家であるトシ・ヨシハラ上級研究員に話を聞くためだ。
米海軍大の教授を長年務め、現在はジョージタウン大外交大学院で教壇にも立っている。台湾で育った日系米国人で、中国語が堪能。中国国内の大量の文献を読み込んだ上での分析で定評がある。その著書は、米海軍制服組トップの海軍作戦部長の指定図書に認定されている。
艦船の数でいえば、中国は既に世界最大の海軍を持っている。パパロ氏は番組で、米軍は空母の数やその能力、潜水艦技術などの「質」で優位に立っており、「数」の問題ではないとの認識を示した。
だが、ヨシハラ氏は、米軍の質が中国軍の量に常に勝るという考え方はもはや通用しないと強調した。「中国海軍の質は急速に米軍に追いつきつつあり、米国を圧倒する量がある」と警鐘を鳴らす。
ヨシハラ氏が今年1月発表した報告書が興味深い。中国の軍当局や国防大などの専門家が10~22年にまとめた数多くの調査文書や論文などを解析したものだ。中国軍が近年、太平洋戦争を熱心に研究しているというのだ。
かつては湾岸戦争などを研究していたが、中国軍が大規模化するにつれ、同格の大国軍隊、しかも海軍同士が戦った太平洋戦争が「有益なケーススタディー」(ヨシハラ氏)になったのだという。米中が相対する領域と太平洋戦争の戦場の多くも重なる。
詳細は報告書に譲るが、ミッドウェー海戦、ガダルカナル島の戦い、沖縄戦の三つから、陸上から海上に影響を与える航空基地と対艦ミサイル▽長期にわたる戦争で遠く離れた場所での作戦を維持する兵たん能力▽工業力を含む総合的な国力――の重要性を教訓とし、その強化を続けているという。「中国は太平洋戦争での米軍をモデルにしている。太平洋戦争の研究は中国の大きな軍事的野心を示唆している」という見立てだ。
台湾周辺の軍事バランスは急速に中国有利に変化している。ヨシハラ氏の言葉を借りれば、中国海軍は「台湾に対して圧倒的な力」を持ち、「火力を含む軍事力の主要な指標で海上自衛隊を引き離している」という。
米軍が西太平洋で運用できるのは一部の戦力だが、中国軍は全戦力を投入できるという強みがある。
◇抑止力と外交の両輪で
この状況にどう対処すべきなのか。ヨシハラ氏は「中国のミサイル攻撃に耐えられるように基地などを強化することや、中国軍の探知や攻撃をより困難にするため、より広い戦域に分散して活動できるようにする必要がある」と語る。
米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」が豪州への原子力潜水艦導入を発表したが、米国などが潜水艦分野などでの優位性を維持することも重要だという。
同時に外交を進める必要がある。中国が攻撃的な行動をとれば国際的に孤立することを、中国に理解させなければならない。米国の日本や韓国との2国間同盟に加え、オーカスなどの枠組み、さらにフィリピンやベトナムなどを巻き込んだネットワークを強化することも不可欠だ。
危機感をあおるつもりはない。しかし、隣国の中国が何をしようとしているのかを探り、同盟国の米国がどう対処しようとしているのかは知っておく必要がある。
冒頭の番組に戻る。キャスターの質問にパパロ氏はこう答えた。「我々は準備できている。ただ、準備に『十分』ということは決してない」。【北米総局長・西田進一郎】
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