🔔29」─1─米国などでキリスト教離れが止まらない。衰退するキリスト教。〜No.86No.87No.88 

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 日本の無宗教は、アメリカや西欧で広がっている無神論、不可知論やマルキシズムの反宗教無神論とは全然違う。
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 2023年1月27日 YAHOO!JAPANニュース JBpress「米国でキリスト教離れが止まらない、教会の閉鎖も急増中
 米国で教会離れが進んでいる(写真はニューヨークのセント・パトリク大聖堂)
 米国ではいま、多くの教会が急速に閉鎖に追い込まれている。
 米国人がキリスト教から離れ始めているからである。米社会でいったい何が起きているのか。
 全米にはいま約38万の教会があるといわれているが、米東部コネチカット州にあるハートフォード宗教研究所は、「今後20年で30%の教会が存続できなくなる可能性がある」という報告結果を発表した。
 米国では過去何世紀もの間、教会は宗教活動の場であるだけでなく、地域社会の中心であり、新しい人と出会う場所でもあった。
 将来の伴侶と出会うことも多かったし、そこで結婚式を挙げ、子供に宗教の重要性を教えもした。
 ただ、今そうした伝統的な価値観が揺らぎ始めている。
 教会の衰退はすでに数字に表れている。
 首都ワシントンにあるピュー研究所の調査によると、2020年、自身をキリスト教徒と認める米国人は64%でしかなくなっていた。
 それに対し、米国人の30%がいま「無宗教」であると回答している。
 1972年にはキリスト教と答えた人は92%に及んでいたが、信徒数は減少の一途を辿っているのだ。
 ちなみに、ユダヤ教イスラム教、ヒンズー教、仏教と回答した人は合計で全体の6%である。
 キリスト教徒が減り続ける理由を探ると、興味深いことが浮かび上がってきた。
 まず若者がキリスト教から遠のき始めていた。
 南部テネシー州にあるライフウェイというリサーチ会社の調査によると、高校時代に定期的に教会に通っていた高校生が18歳から22歳になると、10人中7人が教会に行かなくなっていた。
 家族から離れて大学・専門学校に通うようになると、物理的に教会に行けなくなることもあるが、「自分はもう教会に受け入れられていない」と感じるようになるのだという。
 さらに、自身の宗教アイデンティティーを真剣に考え始めるようになると、神の存在に疑問を抱く人が増えてくる。
 そして無神論者、不可知論者、あるいは「宗教は特になし」というカテゴリーに自分を置くようになる。
 そして高校卒業まで親と通っていた教会には足を向けなくなる。オハイオ州にあるプロテスタント教会の牧師はこう嘆く。
 「私たちが生きている間に、これまで誰も見たことがなかったような宗教的変化が起こる可能性がある」
 「いま6割以上の米国人がクリスチャンであるこの国で、礼拝に定期的に参加している人はもはや3人に1人に過ぎないのです」
 教会に行かなくなった理由の一つには、新型コロナウイルスによる影響もある。
 コロナ発生前、1年に最低1回は教会に行って礼拝をする人は米国人の75%だったが、いまは67%まで下がっている。
 感染を憂慮して教会を忌避することは十分に理解できるが、教会が抱える本当の問題はもっと深刻である。
 取材をしていくと、「米国の教会はいま心を失っている」という言葉を聞いた。
 教会から足が遠のき始めている人が感じているのは、最近の教会からは「燃えるような使命感」を感じないというのだ。
 すでにタオルを投げてしまったような教会が増えているという。
教会は本来、福音を伝える場であり、教会員以外のためにも尽力しなくてはいけない組織だが、最近は「自分たちだけを大切にしている」教会が増えてきている。
 たとえば10人の子供が野に散らばり、自由に遊んでいたとする。
 集合時に9人だけが元の場所に戻ってきたが、1人は行方不明になってしまった。
 今の米教会は、9人が戻ったから1人は忘れても構わないという姿勢に似ているとの指摘があるのだ。
 本来であれば、迷子になった1人を命をかけてでも探し出すのが本来のキリスト教の姿であるはずだ。
 そのため、いまの教会は「魂が失われている」と表現されてしまう。
 また、牧師に対して行われた調査でも、牧師の「燃え尽き率」が上がっており、42%の牧師が「自分の職業を完全に放棄すべきかどうか真剣に考えたことがある」と回答していることが分かった。
 牧師という職業に疲れ、人生をかけるだけの価値があるかどうか、迷いが生じているのだ。
 両親の世代は定期的に教会に通っていたかもしれないが、ミレニアム世代以降になると教会とのかかわりが希薄になってきている。
 セント・メリーズ大学で神学を教えるスティーブン・ブリバント教授はキリスト教の世代でいま世代交代が起きていると述べる。
 「1960年代のベビーブーム世代をきっかけに、伝統的なキリスト教の道徳観が切り離されるようになった」
 別の問題は、教会の活動資金の主体となっている寄付金の減少である。
 米国では今でも慈善活動が盛んだが、2021年の大手教会への寄付金は前年比で6.6%減少していた。特に新規の寄付や大口の寄付が少なくなっている。
 バージニア州にある福音主義財務責任協議会(ECFA)が発表した報告書によると、慈善事業全体への寄付金は2016年から21年にかけて1.8%上昇したが、予算が2000万ドル(約26億円)以上の大手教会では寄付が8%減少していた。
 教会という組織は営利団体ではないので、信徒からの寄付金が減れば必然的に組織の力は弱体化する。
 そしてECFAの調査によると、教会の活動に必要なボランティアを見つけるのにも苦労しているという。
 53%の教会が十分なボランティアを見つけられず、63%が年間1万ドル(約130万円)以上を出資してくれる大口の寄付者を探しだせずにいる。
 そのため米国では、今後さらに多くの教会が閉鎖されるとみられているのだ。
 ただ、いかにも米国らしいビジネスがこうした状況下の教会周辺で生まれている。
 放棄された教会の売買を専門にする不動産会社があるのだ。
 売却される不動産は教会の主要な部分の場合もあれば、長期的に利用されない付属的な部分のこともある。
 宗教法人による不動産取引には複雑な法律があるばかりか、州によって法律も異なるため、売却を希望する教会は不動産会社からからカウンセリングを受けると同時に、州の司法長官および裁判所から承認を受けるために請願書を提出する必要がある。
 このように、いまの米教会は信徒数の減少に伴い、寄付金が集まらなくなり、挙句には不動産の売却にまで追い込まれているところが出ている。
 これはまさしく「米教会の危機」と呼んで差し支えないだろう。
 ただ、物理的に教会に足を運ぶ人が少なくっていても、オンラインで宗教活動をする教会やグループが増えていることも事実だ。
 宗教を通した精神活動が米国から消えることはないと信じたい。
 堀田 佳男
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