🎄55」─2─ホロコーストに加担したノルウェー。映画『ホロコーストの罪人』1942年。~No.186 

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 映画
 『ホロコーストの罪人』
 『エスケープ -ナチスからの逃亡-』
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 2021年5月25日21:33 MicrosoftNews ORICON NEWS「ホロコーストに加担したノルウェー最大の罪とは? 衝撃の実話劇場公開決定
 © 2020 FANTEFILM FIKSJON AS. ALL RIGHTS RESERVED. 映画『ホロコーストの罪人』8月27日より全国で順次公開
 実話をもとに、ホロコーストに加担したノルウェー最大の罪を描く、ノルウェー映画『Betrayed』(英題)が、『ホロコーストの罪人』(配給:STAR CHANNEL MOVIES)の邦題で8月27日より新宿武蔵野館(東京)ほか全国で順次公開されることが決定した。
 第二次大戦中、ユダヤ人一家のブラウデ家族はボクサーの息子チャールズが結婚し、幸せな日々を送っていたが、ナチス・ドイツノルウェーに侵攻すると状況は一変する。チャールズらユダヤ人男性はベルグ収容所へと連れて行かれ、厳しい監視のもと強制労働を強いられていた。一方、母とチャールズの妻は彼らの帰りを待ちながら、スウェーデンへの逃亡も準備していた。しかし、1942年11月、ノルウェー秘密国家警察とタクシー運転手によって、ユダヤ人全員がオスロ埠頭へと強制移送された。そこで待ち構えていたのはアウシュヴィッツへと向かう船だった――。
 出演は『獣は月夜に夢を見る』のヤーコブ・オフテブロ、『ソフィーの世界』のシルエ・ストルスティン、『ミレニアム』シリーズのミカリス・コウトソグイアナキスほか。監督は、『HARAJUKU』で国内外で高い評価を得たエイリーク・スヴェンソン。
 今回 、公開・邦題決定と合わせて 解禁となった日本版ポスターは、「家族を引き裂かれたノルウェー最大の罪」というコピーとともに、主人公であるチャールズがこちらを見つめ、悲しく不安な表情を浮かべる両親と妻の姿が中央に配置されている。また、タイトルである 『ホロコーストの罪人』から連想される収容所での暴力シーンと、ユダヤ人をアウシュヴィッツへと移送する大きな船が描かれ、この作品が家族の悲劇とともにホロコーストノルウェー 人が加担した罪を描いた知られざる衝撃の実話であることを表している。
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 昭和天皇は、国家元首としてユダヤ人難民の保護を切望した。
 東條英機松岡洋右松井石根らは、ナチス・ドイツの外圧を拒絶してユダヤ人難民を助けた。
 日本軍部・陸軍は、ユダヤ人難民を上海ゲットーでホロコーストから守った。
 人命を重視した昔の日本民族は、人権を無視する現代の日本人と違って、同盟国ナチス・ドイツの不興を気にせずヒトラーから逃げてきた目の前のユダヤ人難民を温かく迎入れ無償でもてなした。
 憲兵隊・警察は、ユダヤ人難民を親ドイツ派、反ユダヤ派、人種差別主義者、右翼・右派そして犯罪者などから守った。
 戦前の日本民族には、強者に媚びる現代の日本人とは違い、義侠心と判官贔屓が強いだけに弱い者いじめをする強い者を嫌い、弱気を助け強気を挫くとしてユダヤ人難民を率先して助けた。
 現代の日本人は、日中貿易が破綻して生活苦になる事を嫌って中国共産党のジェノサイドに反対しないし、中国共産党に配慮・忖度し外圧を恐れ中国人から迫害されるウイグル人・モンゴル人・チベット人香港人・台湾人など少数民族を助けない。
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 5月26日8:00 YAHOO!JAPANニュース「ホロコーストに加担したノルウェーでの実話を元にした映画『ホロコーストの罪人』日本でも8月に公開
佐藤仁 | 学術研究員・著述家
 ホロコーストに加担したノルウェー最大の罪を描く実話をもとにしたノルウェー映画「Betrayed」(英語タイトル)が8月27日から新宿武蔵野館(東京)ほか全国で順次公開されることになった。日本語でのタイトルは「ホロコーストの罪人」(配給:STAR CHANNEL MOVIES)。
 第二次大戦中、ユダヤ人一家のブラウデ家はボクサーの息子チャールズが結婚し、幸せな日々を送っていたが、ナチス・ドイツノルウェーに侵攻すると状況は一変する。チャールズらユダヤ人男性はベルグ収容所へと連れて行かれ、厳しい監視のもと強制労働を強いられていた。一方、母とチャールズの妻は彼らの帰りを待ちながら、スウェーデンへの逃亡も準備していた。しかし、1942年11月、ノルウェー秘密国家警察とタクシー運転手によって、ユダヤ人全員がオスロ埠頭へと強制移送された。そこで待ち構えていたのはアウシュヴィッツへと向かう船だったという話だ。
 当時のノルウェーユダヤ人は全人口の0.1%未満
 ノルウェーは1940年4月にドイツ軍によって占領された。ユダヤ人は差別と迫害の対象として、職業の差別などがされた。だが当時のノルウェーユダヤ人は人口の0.1%にも満たない1600人程度しか住んでいなかった。1940年5月にはノルウェー警察はユダヤ人に外国の放送を聞かせないようにするためにユダヤ人世帯が所有するラジオを押収したが、この措置がノルウェー人に与えていた法的権利をユダヤ人から奪う最初の政策だった。このような差別的措置がとられていき、1942年6月にはユダヤ人の強制登録が行われ、1942年10月にはユダヤ人の資産が全て没収された。そしてユダヤ人狩りが行われ、まずは16歳以上の男子209人が捕まって、船でシュティティンへ輸送され、そこからアウシュビッツに移送された。ノルウェーではナチスと主義を同じくするクヴィスリング党(国民連合)がナチ占領軍を積極的に支援してユダヤ人の強制輸送が行われた。
 クヴィスリングはノルウェーナチス化するにあたって最適な人物だった。クヴィスリングは反ユダヤ主義を広め、ユダヤ人の迫害を支援した。ナチスの突撃隊にならって「ヒルド」という古代ノルウェーの伝説的な戦士たちにちなんで名づけられた私設の準軍事的組織も創設した。ドイツ軍の侵攻後、クヴィスリングは占領下政権を樹立し、のちに首相に任命された。
 毎年制作されるホロコースト映画と記憶のデジタル化
 ホロコーストを題材にした映画やドラマはほぼ毎年制作されている。今でも欧米では多くの人に観られているテーマで、多くの賞にノミネートもしている。日本では馴染みのないテーマなので収益にならないことや、残虐なシーンも多いことから配信されない映画やドラマも多い。
 ホロコースト映画は史実を元にしたドキュメンタリーやノンフィクションなども多い。実在の人物でユダヤ人を工場で雇って結果としてユダヤ人を救ったシンドラー氏の話を元に1994年に公開された『シンドラーのリスト』やユダヤポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマン氏の体験を元に2002年に公開された『戦場のピアニスト』などが有名だ。実話を元にしている『ホロコーストの罪人』もこちらだ。史実を元にした映画は欧米やイスラエルではホロコースト教育の授業で視聴することも多い。
 一方で、フィクションで明らかに「作り話」といったホロコーストを題材にしたドラマや映画も多い。1997年に公開された『ライフ・イズ・ビューティフル』や2008年に公開された『縞模様のパジャマの少年』などはホロコースト時代の収容所が舞台になっているが、明らかにフィクションであることがわかり、実話ではない。
 戦後75年が経ち、ホロコースト生存者らの高齢化が進み、記憶も体力も衰退しており、当時の様子や真実を伝えられる人は近い将来にゼロになる。当時の記憶や経験を後世に伝えようとしてホロコースト生存者らの証言を動画や3Dなどで記録して保存している、いわゆる記憶のデジタル化は積極的に進められている。デジタル化された証言や動画は欧米やイスラエルではホロコースト教育の教材としても活用されている。
 そして世界中の多くの人にとってホロコーストは本や映画、ドラマの世界であり、当時の様子を再現してイメージ形成をしているのは映画やドラマである。その映画やドラマがノンフィクションかフィクションかに関係なく、人々は映像とストーリーの中からホロコーストの記憶を印象付けることになる。
 佐藤仁
 学術研究員・著述家
 グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)情報社会学ホロコーストの歴史と記憶のデジタル化)。修士国際政治学修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)、「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。」
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 5月26日12:08 YAHOO!JAPANニュース「ノルウェー最大の罪を描いた実話ベースの物語 『ホロコーストの罪人』8月公開決定
 『ホロコーストの罪人』(c)2020 FANTEFILM FIKSJON AS. ALL RIGHTS RESERVED.
 ホロコーストに加担したノルウェー最大の罪を描いた映画『Betrayed(英題)』が、『ホロコーストの罪人』の邦題で8月27日より全国順次公開されることが決定した。
 【写真】場面写真も公開
 本作は、ユダヤ人家族の悲劇と運命を描くとともに、ホロコーストノルウェー秘密国家警察が加担していたノルウェー最大の罪を描いた実話を基にした人間ドラマ。『獣は月夜に夢を見る』のヤーコブ・オフテブロ、『ソフィーの世界』のシルエ・ストルスティン、『ミレニアム』シリーズのミカリス・コウトソグイアナキスらが出演し、『HARAJUKU』のエイリーク・スヴェンソンが監督を務めた。
 第二次大戦中、ユダヤ人一家のブラウデ家族はボクサーの息子チャールズが結婚し、幸せな日々を送っていたが、ナチス・ドイツノルウェーに侵攻すると状況は一変する。チャールズらユダヤ人男性はベルグ収容所へと連れて行かれ、厳しい監視のもと強制労働を強いられていた。一方、母とチャールズの妻は彼らの帰りを待ちながら、スウェーデンへの逃亡も準備していた。しかし、1942年11月、ノルウェー秘密国家警察とタクシー運転手によって、ユダヤ人全員がオスロ埠頭へと強制移送された。そこで待ち構えていたのは、アウシュヴィッツへと向かう船だった。
 あわせて公開された日本版ポスターは、「家族を引き裂かれたノルウェー最大の罪」というコピーとともに、主人公であるチャールズがこちらを見つめ、悲しく不安な表情を浮かべる両親と妻の姿が中央に配置されている。また、タイトルである『ホロコーストの罪人』から連想される収容所での暴力シーンと、ユダヤ人をアウシュヴィッツへと移送する大きな船が描かれている。」
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 YAHOO!JAPANニュース
 ナチス・ドイツ占領下のノルウェーを子ども目線で描いた映画、スウェーデンの国境を目指して逃げろ
 鐙麻樹 | 北欧ジャーナリスト・写真家・ノルウェー国際報道協会 理事役員
 2020/7/17(金) 16:41
 「第二次世界大戦がテーマだと家族と一緒に鑑賞できる映画は少ない。だからこそ、本作を歓迎したい」
 出典:ノルウェー公共局NRK
 このノルウェー映画ナチス占領下のノルウェーユダヤ人がいかに差別され、ノルウェー人やスウェーデン人がどのように抵抗してきたかを、子どもの目線で描いたものだ。
 ノルウェーの作家マヤ・ルンデ氏の人気作『Over grensen』(2012)を映画化。タイトルはノルウェー語で『Flukten over grensen』、英語で『The Crossing』。
 Photo:Maipo/Nordisk Film Distribusjon
 ノルウェーデンマークは1940年4月にドイツ軍による侵攻を受けた。ノルウェーの大部分は1945年5月にドイツ軍が降伏するまで占領されたままであった。
 およそ1100人のノルウェーユダヤ人やユダヤ人は戦時中にスウェーデンへと逃亡。
 自力で逃亡する者もいたが、多くの逃亡は誰かの手助けによって行われた。
 ノルウェーにいたユダヤ人のうち35%にあたる773人はアウシュヴィッツへ移送され、生き残ったのは38人のみだった。
 参照:オスロ大学 ノルウェーの歴史(ノルウェー語)
 ユダヤ人迫害を子どもにどう説明する?
 孤独の身となったユダヤ人の兄と妹 Photo:Maipo/Nordisk Film Distribusjon
戦争がいかに悲惨であったか、ユダヤ人はなぜ迫害されたのか、ユダヤ人に何が起こったのか、どうして差別はいけないのか。
 子どもにいざ説明しようとなると、どのように伝えていいか考えることもあるかもしれない。
 そういう時にはこの映画がいい教材になるだろう。大人目線ではなく、子ども目線で見た戦時中が描かれている。
 ストーリー
 1942年12月、4人の子どもたちは必死に逃げていた。
 サラとダニエルはユダヤ人で、スウェーデンへ逃亡しなければいけない。
 手助けをしているのはノルウェー人の兄弟であるオットーとゲルダだ。
 ユダヤ人の子どもを地下室にかくまっていたオットーとゲルダの両親は逮捕されてしまった。
 このままではサラとダニエルもいずれ見つかってしまう。
 こうなればスウェーデンへの国境を目指して逃げるしかない。
 子どもたちをナチス・ドイツの兵士は追い始めた。
 ゲルダは両親の思いを受け継ぐ Photo:Maipo/Nordisk Film Distribusjon
 正義感の強いゲルダは自分の行動に迷いがない。
 でも、お兄ちゃんのオットーは不満げだ。どうして、ユダヤ人を助けないといけないの?ユダヤ人を助けようとする両親が間違っていて、両親と対立する人たちのほうが正しいのかもしれないのに?
 歴史は映画や本などで何度も語られてきたが、常に大人向けだった。この作品は子どものために、小さな人間の中で育まれる信頼、友情、恐怖、抵抗しようとする心を描いている。
 どうしてユダヤ人を助けないといけないの?
 作品では一部のノルウェーの人々がどうしてナチス・ドイツを支持するようになったのか、ヒントを得られるシーンもある。
 ナチス・ドイツの思想にちょっとずつ近づくお兄ちゃんのオットーが逃亡の旅でどう変わるのか。
 差別の刃を時にむき出しにするオットーに周囲の人々がどう接していくのかも見どころだ。
 ある集会に参加するお兄ちゃん。両親に知られてはいけない Photo:Maipo/Nordisk Film Distribusjon
 ナチス・ドイツの兵士として登場するヘルマンを演じるのはドイツ人俳優であるLuke Niete氏。彼の祖父はナチス党内の青少年組織「ヒトラーユーゲント」に属していた。
 「祖父の世代はナチスプロパガンダに侵され洗脳を受けていた。子ども映画だとしても、何度でもこの歴史を語り継ぐ必要がある。戦争がまた起きないようにするためには若者は戦争の話を聞く必要がある」
 出典:ノルウェー公共局がLuke Niete氏にインタビューした記事(2018/12/11)
 強い女の子が主役で、フェミニズムを感じる映画
 Photo:Maipo/Nordisk Film Distribusjon
 この映画の主人公が、ヒーローになろうとする、冒険が大好きで、元気いっぱいな女の子ゲルダという点も評価したい。
 男の子の後を追う女の子ではなく、みんなをひっぱるリーダーだ。
 監督に聞いてみた
 Cornelia Boysen監督がメールで映画について答えてくれた。
 質問:映画制作で感じた課題は?
 「このような定番ではない子ども・若者映画づくりで大変なのは、すぐに商業的な結果を出せるテーマとは限らないので、経済的な支援を受けにくいことです。今のような映画環境のままでは重要な価値のある映画作品が生まれにくくなってしまいます。子どもだってエンターテイメント以外の映画も必要としているのに」
 質問:「子どもたちの反応は?」
 「子どもたちは夢中になって映画を見てくれます。歴史的にも関心をもっていました。なによりも子どもたちが、学校のベンチに座っている時やニュースを聞いている時に生活の中で体験する問題が映画に含まれていたので、好奇心にさらに火が付くようです」
 子ども向けなので、「現実はもっと過酷だった」と突っ込みたくなるところもあるだろう。
 それでも、子どもがナチス・ドイツユダヤ人迫害について考えるひとつのきっかけとして高く評価したい。
 大人でも学べることが多い映画だ。
 現時点では日本での公開は予定されていない。
 鐙麻樹
 北欧ジャーナリスト・写真家・ノルウェー国際報道協会 理事役員
あぶみあさき。オスロ拠点ノルウェーフィンランドデンマークスウェーデン情報発信。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程 修了(専門:ネット・テレビ・ラジオ・映画・新聞、副専攻:ジェンダー平等学)。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーションノルウェーから「国を日本に広めた優秀な大使」として表彰。朝日新聞GLOBE+、地球の歩き方オスロ特派員ブログ、パケトラ連載。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』InstagramTwitterFacebook、note「外国語の楽しい勉強方法」 @asakikiki
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 東洋経済
 英国よ、「ノルウェーの過ち」を繰り返すな
 「イスラム的思想」の排除はするべきではない
 イアン・ブルマ : 米バード大学教授、ジャーナリスト
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 2015/08/02 13:10
 キャメロン英首相は、イスラムの過激思想を推進、あるいは賛美すると政府が見なした表現を禁止し、取り締まろうとしている。(写真: Neil Hall/Reuters)
 ノルウェーの戦時中の独裁的指導者、ヴィドクン・クヴィスリングはオスロ郊外の豪華な邸宅に妻と暮らしていた。その邸宅は今ホロコーストや宗教的少数派の研究のためのセンターになっている。
 筆者は今年同センターを訪れ、1814年に公布されたノルウェー初の独立憲法に関する展示を見てきた。歴史、法律、哲学に通じた博識な学者らによって作られた、実に見識に富んだ進歩的な文書だった。
 ノルウェー憲法にある驚くべき条文
 ところが、同文書には驚くべき条文がある。第2条ではルター派であった同国での宗教の自由が宣言されているが、ただし書きとして「ユダヤ人による王国への立ち入りは依然禁止とする」とある。
 興味深いのは、右記の条文が含まれている事実自体ではなく、なぜ含まれているかだ。その意図は人種差別ではなかった。むしろ問題とされたのは文化と信仰だった。ユダヤの信仰や慣習が、近代的かつ進歩的な西洋の価値観とは相いれないものと見なされたのだ。憲法起草者の一人の主張は、ユダヤ教では非ユダヤ教徒を欺くよう信徒に促している、というものだった。ユダヤ人は必ず「国家の内部における国家」を形成すると信じられていたのだ。
 憲法の起草者はユダヤ人たちがほかの国々で長きにわたり迫害を受けてきたと知っていたはずだ。にもかかわらず、ユダヤ教ノルウェー憲法は相いれないものであると説明し、モーセの律法こそがユダヤ人の認める唯一の憲法であり、よって恐れるべきものであると主張した。それは今日、イスラムを批判する者たちがイスラム法シャリーア)を恐れるのに、よく似ている。
 イスラム教やその信者に関する今日の考え方との共通点は指摘するまでもない。「イスラム化」の脅威にさらされているとされる西洋的価値観の代名詞として「啓蒙時代」という言葉をしばしば使うように。
 イスラム教信者の詐欺師、国家の内部における国家、溶け込むことが不可能であること、強力な世俗主義者が善悪の区別がつかないイスラム教徒たちをその信仰から解放する必要性などについて、警鐘を鳴らす人が今日でも存在するように。
 ノルウェー憲法の間違った反ユダヤ的条文には学ぶべき教訓がある。また、同憲法はわずか数十年後に破棄されていることも同時に指摘しておきたい。
 最も重要な教訓は、他人が何を考えているかをこちらで勝手に決め付け、それに基づいて他人を評価することは愚かであり、実に危険であるということだ。
 特定の思想を禁止する危険性
 欧米には、イスラム教徒の移民やコーランを禁止したいと考える大衆主義的な扇動家がいる。テロに関する漠然とした不安が中東から漏れ伝わり、こういった扇動家の支持者はそれにあおられて拡大を見せているのかもしれない。だが、まだ社会の多数派にはなっておらず、欧米が「アラブ化」、もしくは「イスラム化」の切迫した危険にさらされているとする考えは、主流といえるまでには至っていない。
 にもかかわらず、現代の主流の政治家でさえ、時には善意から、1814年のノルウェー憲法制定会議のメンバーと同じような過ちを犯す危険がある。たとえばキャメロン英首相は、イスラムの過激思想を推進、あるいは賛美すると政府が見なした表現を禁止して、取り締まろうとしている。「われわれの価値観を拒絶する者は、その手段の暴力性のいかんを問わず」起訴される、と彼は宣言している。
 キャメロン首相が言っていることはもっともだ。「民主主義と寛容さ」といった「重要な価値観」はけっこうなことだし、それらを守っていく必要はある。だが、特定の思想を禁止したり、あるいは単にそれらを表現しただけで人を罰したりすることが最善の手段であるとは、どうしても思えないのだ。
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 BANGER!!!
 ナチスに家族を殺された少女は、男と偽り復讐に燃える!『エスケープ -ナチスからの逃亡-』
 映画 2020.01.27
 ライター:BANGER!!! 編集部
 『エスケープ -ナチスからの逃亡-』© Reliance Entertainment Productions Scandi Ltd
ナチス占領家のノルウェーで実際に起こったユダヤ人へのホロコースト
 第二次世界大戦におけるナチス支配下のドイツを舞台・題材にした映画は多いが、当時の国王ホーコン七世の旗の下、ドイツ軍に最も激しく抵抗したノルウェーを描いた作品も少なくない。東京・大阪で2019年11月から公開中の『エスケープ ナチスからの逃亡』(2019年)も、そんなノルウェーで平和に暮らしていた少女の逃亡劇と苦渋の決断、そして命がけの“演技”を描いたヒューマンドラマだ。
 最初の舞台となるのは1942年、14歳の少女エスターが家族とともに暮らすノルウェー・トロンデンハイム。女優に憧れるエスターはペットのインコを可愛がり、両親との関係も良好で、友達以上恋人未満な男子もいる、ごく普通の女の子だ。そんなファンタジーみすら感じる平和で牧歌的な日々は、ナチスによるノルウェーユダヤ人の強制収容によって、ある日突然崩れ去る。
 突然の外出禁止令や、昨日までの隣人に父親が連行される理不尽と恐怖など、じんわりと迫る占領の描写は、まるで皮膚の下を虫が這い回るような恐ろしさ。雪が吹きすさぶ中ノルウェーから密かに抜け出すもナチスに捕まり、ひとり逃げ延びたエスターが雪山の中で再会した母は、すでに殺され冷たくなっていた……。孤立無援となってしまったエスターを納屋にかくまったのは、近くで農場を営む一家の息子。しかし、彼の一家は親ナチスの差別主義者だった!
 豪華キャストの中でもひときわ光るサラ=ソフィー・ブースニーナの演技力!
上映開始から30分強で、すさまじい苦行の連続。しかし、エスターは悲観に暮れるばかりではない。理髪師だった父のカミソリで髪を切って少年に変装すると、農場一家と駐屯していたナチス兵たちの前に自ら飛び出し「イギリス軍に両親を殺され道に迷っていた」と偽り、仕事と食事&寝床をゲット。そんな上手いこといくかいな! とツッコむなかれ、ここでエスターが女優を志していた、という設定が活かされるのだ。
 見た目は少年だが中身は女子だけに、手先は器用だし気が利くエスターは農場一家の中で重用されるようになっていく。一家の長であるヨハンを演じるヤコブ・セーダーグレンは、超カメラ固定型サスペンス『THE GUILTY/ギルティ』(2018年)での主演も記憶に新しい、表情一つで映画1本を担える北欧の演技派。さらにナチス兵のハーマンを演じるのは、2020年2月公開の『名もなき生涯』(2019年:テレンス・マリック監督)でナチスの兵役を拒んだ実在のキリスト教徒を演じているアウグスト・ディールという豪華さだ。
 しかし、エスターを演じるサラ=ソフィー・ブースニーナ(1990年生まれ)は20代半ば~後半でこの役を演じているはずだから、それがキャスティングに関しては一番の驚き。ルーニー・マーラホアキン・フェニックス共演作で音楽をヨハン・ヨハンソンが担当した(なのに日本公開がスルーされた)『マグダラのマリア』(2018年)にも出演している、いつブレイクしてもおかしくない期待の北欧女優である。本作の彼女は次第に少年ウーラにしか見えなくなってくるので、猛烈な美女という事実に軽くパニックになる。
 家族を奪ったナチス許すまじ! まさかのリベンジ展開にびっくり
少女が少年になって……といえば、タリバン支配下で迫害される少女の決意を描いたアニメ『生きのびるために』(2017年)の主人公パヴァーナが思い出される。ユダヤ人という理由で命を狙われるエスターと、女性であるという理由で外出できないパヴァーナは、置かれた状況こそ異なるものの、どちらも“生きのびるため”に性別を偽った少女。ただし、本作はまさかのリベンジものに発展するものだから、驚きつつも思わず拳を握ってしまう。まるで『イングロリアス・バスターズ』(2009年)でメラニー・ロランが演じたショシャナのように……とはいかないが、成り行きに乗じて憎きナチスに反撃するのだ。
 冒頭で旧約聖書詩篇91篇の一節が引用されるが、エスターがラストシーンで取る行動は、そこに綴られている神の行いそのもの。戦争が作り出した敵/味方という状況に拘らず、罠や病(外的な災い)から救い出し、自身の羽(かつての実家)の下で庇護しようというエスターの行いは、いまだ人種問題に揺れる世界に変化をもたらす“赦し”を体現しているとも言えるだろう。
 『エスケープ -ナチスからの逃亡-』は劇場発信型映画祭「のむコレ3」にて2020年1月24日(金)よりシネマート新宿、2019年11月28日(木)よりシネマート心斎橋で公開中
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 『エスケープ -ナチスからの逃亡-』
 1942年、ナチス占領下のノルウェー。14歳のエスターが住む小さな町トロンデンハイムにもついにナチスの手が及び、愛する家族たちは次々と逮捕、殺害される。命からがら逃げのびたエスターは森の中にある農場に匿われる。生きるために髪を切り、男として身分を偽ることを決めたエスターだったが、その家はナチスの協力者だった。辛い労働に耐えながら、何とか脱出の機会をつかもうとするが……。
 制作年: 2019
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