☭85』─1─ロシアの改憲は北方四島返還を禁止している。~No.162 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・    
 2020年7月3日 産経新聞「【主張】ロシアの改憲 北方四島の返還遠のいた
 ロシアが事実上の終身独裁体制へと歩み出した。憲法改正の是非を問う国民投票で、投票者の過半数が賛成し改憲が成立した。これにより、プーチン大統領が2036年まで統治することに道が開かれた。
 プーチン氏が自由や民主、法の支配といった普遍的な価値観を顧みないことが改めて明白になったといえる。極めて憂慮すべき事態だ。
 日本にとっては、北方四島の返還がさらに遠のいたことを意味しよう。安倍晋三政権はこの現実を直視し、対露外交の戦略を抜本的に見直さなくてはならない。
 プーチン政権は改憲案の中に保守層受けしそうな内容を盛り込んだ。その典型が領土に関わる一連の条項である。
 例えば「領土の割譲とそれに向けた行動や呼びかけ」を禁じた。「隣国との国境画定作業を除く」という留保条件があるとはいえ、国民の愛国心を喚起しようとする狙いは看過できない。
 「祖国防衛の偉業をおとしめること」を禁じ、「歴史の真実を守る」と盛り込まれた。ロシアは「第二次大戦の結果」として北方領土の不法占拠を正当化してきた。この身勝手な歴史認識憲法で固定化させようとしている。
 プーチン氏は6月の演説で、北方領土を「祖国」と表現するなど日本との交渉を進める意思がないことは明らかだ。安倍首相は北方領土での共同経済活動といった不毛な提案を撤回すべきである。
 プーチン政権がまともな交渉相手となり得ないのは、その強権的な政治手法に拍車がかかっているからだ。プーチン氏は1月、唐突に改憲案を出した。当初は大統領任期が切れる24年以降に院政を敷く布石とみられたが、3月、不意打ちのように5選出馬を可能にする条文が加えられた。
 プーチン氏はこれまでも議会や司法といった民主主義の根幹を骨抜きにし、政敵排除で自らに権力を集中させてきた。大統領を退任すれば報復を受けると考え、居座りを決め込んだのではないか。
 中国でも18年に国家主席の任期制限を撤廃する改憲があった。その中国が香港の「一国二制度」を形骸化させた直後のロシアの改憲だ。日本と隣り合う中露という2大国で独裁が強まり、長期化しようとしている。民主主義の価値観を共有する日米欧は連携をさらに強めなければならない。」
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 7月3日23:46 産経新聞「露改憲の領土割譲禁止条項、北方領土も念頭か プーチン氏「デリケートな領土に関係」
 ロシアのプーチン大統領=モスクワ郊外(AP)
 【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領は3日、改正憲法に盛り込まれた領土割譲を原則として禁じる条項について、日本との北方領土問題も念頭に、「ロシアの多くのデリケートな領土に関わっている」と述べた。国営テレビが中継した改憲作業部会の会合で発言した。
 プーチン氏がこの条項と北方領土問題を結び付けた発言をするのは初。同条項には「隣国との国境画定作業を除く」とする例外規定が設けられているが、日露間の北方領土交渉がこの例外に該当するかは明白になっていない。一方、露外務省のモルグロフ外務次官は2日、北方領土の帰属問題が焦点である日本との平和条約締結交渉は継続されるとの考えを示している。
 露極東メディアは2日、ロシアが不法占拠する北方領土・国後(くなしり)島の住民が1日の国民投票改憲が承認されたことを受け、領土割譲禁止条項の条文が記載された記念碑を設置したと報じていた。
 プーチン氏は3日の会合で、この報道を念頭に「みなさんの多くは、この条項が特別な意義を持っている一部地域の住民が、条項の記載された記念碑を立てたという現地報告を見たと思う」と述べた。その上で「この条項は一つや二つの領土ではなく、ロシアの多くのデリケートな領土に関わっている」と指摘した。
 同条項は、改憲作業部会メンバーによる提案という形で改正憲法に盛り込まれた。改正憲法は4日に発効する。」
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