🔯70」─1・A─なぜ政権や王朝が滅亡するのか「たったひとつの答え」。~No.259 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 人類史・世界史とは、滅亡した王朝・王家、国家・政権の歴史である。
 日本の歴史とは日本民族の歴史であり、日本国の歴史とは民族神話を正統とする男系父系一系の天皇家・皇族の物語である。
   ・   ・   ・   
 2024年4月16日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「じつは深い、なぜ政権や王朝が滅亡するのか「たったひとつの答え」
 なぜ組織の上層部ほど無能だらけになるのか? 張り紙が増えると事故も増える理由とは? 飲み残しを放置する夫は経営が下手? 
 10万部突破のベストセラー『世界は経営でできている』では、東京大学史上初の経営学博士が「人生がうまくいかない理由」を、日常・人生にころがる「経営の失敗」に見ていく。
 【写真】人生で「成功する人」と「失敗する人」の大きな違い
 ※本記事は岩尾俊兵『世界は経営でできている』から抜粋・編集したものです。
 どんなに栄えた王国や文明もいつかは衰退する。
 日本には本当はあまり咲いていない沙羅双樹の花を探して眺めてみなくとも、歴史の教科書を開けば盛者必衰の理は嫌というほど表れている。
 既存の政権や王朝を滅ぼす原因として、異民族の侵略、大災害と飢饉、内乱と革命などが挙げられることが多い。歴史番組や歴史映画はこうした悲劇を取り上げがちだ。睡眠薬の代わりになるような、書きぶりからして眠たげな分厚い歴史書も、こうした場面に入ったとたんに生き生きとした筆致でこちらの目を覚まさせてくる。
 しかしこうした言説は原因と結果を取り違えている。異民族が侵略を試みていない時期などないし、災害と飢饉への備えはいつでも必要だし、内乱と革命を虎視眈々と狙う者はいつの時代にも存在するからだ。
 亡国志:本来の目的を忘れた国は亡びる
 たとえば一般には海の民と呼ばれる集団によって滅ぼされたとされる古代エジプト王朝は、実際には滅亡までに何度も海の民を撃退していた。中国の漢王朝黄巾の乱によって勢力を大きく削られるまで、何度も似たような人民蜂起を鎮めてきた。
 政権や王朝は常に危機に対峙しているのである。
 危機そのものが政権・王朝を滅ぼすと考えるより、むしろそれらが日常的に直面している危機に対処できないほど落ちぶれたときに、「危機という最後の一押しで滅びる」と考える方が自然だろう。
 本当の意味で政権や王朝を弱体化させる原因は国家経営の失敗である。すなわち経営の巧拙こそが歴史を動かす。
 たとえば、アレクサンドロス大王治世の古代マケドニア王国、チンギス・カンが統治した中世モンゴル帝国、近代の列強にいたるまで、大帝国はしばしば世界征服を目的に掲げる。この目的を達成するために大帝国は支配地域に重税を課し圧政を敷く。そうしないと戦争を続けられるだけの資源が得られないからだ。
 こうした政治においては「国家を目的とし、国民を手段とする」という逆転現象が起こっているため、政権に徐々に綻びが生まれる。
 歴史を紐解いてみれば、これらの国家においてしばしば「○○大王の威信を世界に示すため」といった大義名分で人民は暴政に耐えることを強いられた。しかし、人民からすれば、○○大王の威信なんて食えもしないし見たことさえない。
 特に侵略を受けて属州となったばかりの地域の住人からすれば、○○大王なぞ「強盗の親玉」くらいにしか思っていない。そのため、「盗っ人の見栄のために耐え忍ぶなんて無理な相談だ」ということになる。
 国家は国民が共同で作り上げた虚構であり、国家自体は究極の目的にはなりえない。
 究極の目的になりうるのは「国民一人ひとりの幸せ」のはずである。国家も、政治体制も、政治理念も、人間が作ったもの=人工物である。本来ならば、人間を幸せにしない人工物は捨てられるだけである。
 しかし、このことはいつでも忘れられる。そのたびに大混乱が起こり歴史に新たな一頁が足されていく。
 あるいは歴史の中で何度もどこでも見られる現象として財政の問題がある。むしろ財政を国家経営そのものだと思っている人も多い。
 たとえば、古今東西どんな国家でも官吏は増税を大使命だと勘違いしているかのように振る舞う。もちろん彼らは本当に愚かなわけではない。「自分たちの使命は増税ではなく、財政健全化だ」と堂々と主張する。だが、財政健全化もまた国家の目的にはなりえない。財政健全化は国民の幸せを実現するための手段のひとつに過ぎない。
 仮に国民を重税で苦しめた挙句に財政健全化に成功するとして、そんな国を望む国民はいないだろう。そんな国を作り上げても、内乱と革命によって、財政健全化した国そのものがなくなる。結局そんな国では当の官吏ふくめ誰も幸せにならない。
 それに、政権が重税を課せば課すほど、一般市民はなんとかしてその税を逃れるための方法を編み出す。たとえば、後漢においては戸籍を改竄して税を逃れるという方法が後を絶たなかった。日本においても、平安時代に租税回避のために租税を免れていた寺社や有力者への寄進地が増加した。租税と脱税の知恵比べ合戦は歴史の常である。
 こうして、増税しても税収は増えない。それどころか一般市民は苦しみ、さらに脱税によって新たに権力を得る層が生まれてしまう。
 世界中どこでも、歴史の中で、租税回避の特権を得るものが必ず台頭してくる。
 典型的には王の親族だ。男系王朝において権力者は娘の嫁入りを通じて次期国王の親戚(外戚)になることができる。そのため皇帝の外戚がこうした特権を通じてますます権力を増し、ついには「外戚の影響力を増すために幼齢の帝を立てる」という本末転倒な結果にいたる。
 これこそ王や帝に対する究極の侮辱である。
 そのうちに、本来は「人民を幸せにする」という約束を果たすために権限を委任されていたにすぎない政治権力は、まるで「特権階級だけが人民だ」と定義しているかのような行動に出る。特権階級の権利・権限は拡大し市民の権利・権限は極限まで縮小される。
 細かい差はあれ、後漢でも、藤原摂関政治でも、李氏朝鮮でも、ほぼ同様の説明が通用する。世界の歴史は登場人物の名前以外は似たような出来事の繰り返しだ。
 だからこそ、歴史の試験は、人物名の綴りや漢字といった些末な部分でしか点数差を付けられない。だからこそ私は歴史の試験で点数を取れなかったと言い訳させてもらおう。
 つづく「老後の人生を「成功する人」と「失敗する人」の意外な違い」では、なぜ定年後の人生で「大きな差」が出てしまうのか、なぜ老後の人生を幸せに過ごすには「経営思考」が必要なのか、深く掘り下げる。
 岩尾 俊兵(慶應義塾大学商学部准教授)
   ・   ・   ・   

🐖68」─1─中国共産党は大学運営の権限を一本化して学内の学長事務室を閉鎖した。~No.311No.312No.313 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 中国の大学には、日本や欧米の大学のような自由な学問や研究は存在しない。
   ・   ・   ・   
 2024年4月14日 YAHOO!JAPANニュース NEWSポストセブン「中国の大学で大学運営の権限を共産党委員会に一本化 国家重点大学112校を中心に学内の学長事務室を閉鎖
 学長事務所廃止の背景に党委への権限一本化
 © NEWSポストセブン 提供
 中国の習近平指導部が学生の民主化運動を警戒する中、北京大学など「国家重点大学」と呼ばれる112校を中心に、学内の学長事務室を廃止して、大学運営について各大学の中国共産党委員会に一本化することが明らかになった。上海で国家重点大学の党委責任者と学長らによる会議が開催され、了承された。オーストラリアを拠点とする中国民主陣線(民陣)ホームページが伝えた。
 この学長事務所の廃止については、習近平指導部が提案したもので、昨年から準備が進められ、新学期が始まる9月までには実施される予定だという。
 これまでの党委の役割は党員の育成や党中央の決定事項の実行、共産党思想の深化、党員会議の招集など。一方の学長事務所は、教員の養成・管理や、教育内容の決定と学生の成績管理、就職の斡旋などを行っていた。統合後の名称は「党委員会」に一本化される。
 胡錦濤元主席や習近平主席ら歴代の党最高指導者を輩出した清華大学江沢民国家主席が卒業した上海交通大学など、数十の大学ではすでに学長事務室が廃止されている。
 学長事務室廃止は党委に権力を集中させ、学生による民主化運動などの反政府活動を取り締まる狙いがあるとみられる。
 中国では1989年6月の天安門事件後、各大学の党委の権限が強化され、学生の動向に目を光らせていた。しかし、一昨年11月から12月にかけての「白紙運動」では、中国各地の主要大学の学生らがSNSなどで連絡を取り合い、一斉に「ゼロコロナ政策反対」の運動を開始。運動が民衆の強い支持を受けたことで、取り締りを徹底することができず、その影響もあり、最終的に習近平指導部はゼロコロナ政策を撤回せざるを得なかった。
 こうした一連の動きに神経を尖らせた習指導部はすぐに党中央委員会を通じて各大学の党委に連絡し、学長室廃止による党委への権限一本化を指示したという。
 中国では、「学問の自由」を保障するはずの「大学の自治」の形骸化はもはや否めないようだ。
 関連するビデオ: 中国No.3が金総書記と面会 中朝友好をさらに発展 (テレ朝news)
   ・   ・   ・   

🦎48」─2─中国共産党はイギリスに偽造切手を使って経済戦争を仕掛けている。~No.172No.173 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2024年4月12日 産経新聞「英国で中国からの偽造切手が大量に流通 国内から「中国共産党が仕掛ける経済戦争」と反発の声
 【ロンドン=黒瀬悦成】英国全土で中国企業が偽造したとみられる偽の郵便切手が大量に流通し、郵便事業に深刻な悪影響を及ぼしている。偽造切手が貼られた郵便物を受け取った側が罰金として5ポンド(約960円)を郵便局に請求される事例も続出し、郵便会社に対策を求める声が急速に広がっている。
 偽造された郵便切手は通常の切手に比べて発色や艶が異なるとされるが、専門家でも本物と見分けがつきにくいとされる。このため一般市民が偽物と知らずに購入して使い、郵便の受け取り手が罰金の対象になることも少なくない。
 正規の切手の金額は1枚85ペンス~2ポンド10ペンスだが、英紙テレグラフ(電子版)によれば、中国国内にある偽切手の製造業者が印刷注文を受け付け、それを何者かが英国に密輸出しているとされる。ある製造業者は30万枚以上の注文であれば1枚あたり4ペンスで注文を受け付けているほか、別の業者は1週間で100万枚を印刷可能だという。
 中国政府が直接関与しているかは現時点で明らかでないが、治安問題や経済安全保障の専門家は同紙に対し、一連の行為は中国共産党体制の「暗黙の了解」の下に展開されている「経済戦争だ」と警告。英国会議員の間からは中国に厳格な対抗措置をとるべきだとする声も相次いでいる。
 中国からの偽造切手は米国でも昨年に大量に出回り、赤字体質の米郵政公社の経営に深刻な打撃を与えている。 
   ・   ・   ・   

🔔45」─2・B─ドイツの右傾化が止まらない。〜No.125 

   ・   ・   ・
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・{東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 世界は、貧富と人種・民族で分断が進んでいる。
   ・   ・   ・   
 2024年4月10日 YAHOO!JAPANニュース デイリー新潮「ドイツの右傾化が止まらない…移民受け入れ・グローバル経済を推し進めてきた「リベラル政治家」が真に向き合うべき相手とは
 不動産危機は「あと2年続く」との予想
 ドイツ首相のオラフ・ショルツ氏
 欧州最大のドイツ経済の雲行きがあやしくなっている。
 【写真20枚】ウクライナ戦争の今…ロシア支配下マリウポリに「寿司店」が続々
 ウクライナ戦争に起因するインフレを抑止するため、欧州中央銀行(ECB)が大幅な利上げを余儀なくされ、そのせいでドイツの不動産市場が大打撃を被っている。
 ドイツの商業用不動産市場は米国以上に深刻のようだ。ドイツファンドブリーフ銀行協会によれば、商業用不動産価格は昨年第4四半期、前年同期に比べて13%下落し、過去最大の下げを記録した。
 商業用不動産市場の危機は金融機関にも悪影響をもたらし始めている。欧州銀行監督機構(EBA)によれば、ドイツの銀行が保有する商業用不動産ローンの不良債権額は昨年第4四半期に39億ユーロ(約6300億円)も増加した。
 ECBのマイナス金利が続くなか、ドイツの銀行は収益を上げるために商業用不動産融資に力を注いできた。しかし、今となってはそのことが仇になった形だ。
 住宅用不動産市場も低迷している。ドイツ連邦統計庁の発表によれば、昨年の住宅用不動産価格は前年に比べて8.4%下落した。2000年の統計開始以来最大の落ち込みであり、住宅用不動産市場も最悪の危機に見舞われている。
 ドイツの不動産危機について、業界関係者から「あと2年は続く」との予測が出ている(3月14日付ロイター)。しかし、バブル崩壊後の日本の例にかんがみれば、危機は10年以上続くのではないかとの不安も頭をよぎる。
 経済成長率は2年連続でマイナス成長か
 企業の業績も大きく悪化している。ドイツ政府によれば、昨年の企業倒産は前年比22.1%増の1万7814件だった。「産業の空洞化」も顕在化しており、昨年の海外企業によるドイツへの投資は過去10年で最低水準だった。一方、国内の事業コストの増加を嫌気して、海外投資を検討する企業も増加している(3月12日・14日付ロイター)。
 ドイツ経済を牽引してきた自動車産業も苦境に陥っている。成長が期待される電気自動車(EV)市場で中国メーカーとの競争に敗れつつあり、「ドイツの自動車産業は生存の危機にある」との嘆き節が聞こえてくる。
 昨年は0.3%減だった経済成長率が、今年もマイナス成長となることが現実味を帯びてきているのだ。
 経済が不調になれば政治に悪影響が及ぶのが世の常だ。「反移民」などを訴える政党・AfD(ドイツのための選択肢)の支持率が第2位となる状況が続いており、ドイツ政府関係者の頭痛の種となっている。
 極右支持が若者のトレンドに
 ドイツ連邦銀行中央銀行)のナーゲル総裁は3月23日、「右翼過激派が同国の繁栄を脅かしている」と警告を発した。ナーゲル氏の懸念とは、反移民の風潮が海外の熟練労働者をドイツから遠ざけてしまうことだ。
 ドイツ政府の推計によれば、2035年までにドイツ全体で700万人の熟練労働者が不足する。だが、反移民ムードの高まりから、ドイツ経済にとって不可欠な存在となった外国人熟練労働者の離職が増加し始めている(3月27日付ロイター)。
 これに対し、AfDは「国内経済の悪化から目をそらすために我が党をスケープゴートにしているだけだ」と、政財界からの批判に耳を傾けようとしていない。
 ドイツに限らず欧州では「極右」と呼ばれる政党が支持を伸ばしており、特に若者の間で浸透している感が強い。3月10日に総選挙が実施されたポルトガルでは、極右政党のシェーガが議席数をこれまでの約4倍に伸ばした。この成功の秘訣は、カリスマ的な若いインフルエンサーを利用したことだと言われている。
 ドイツでもAfDは若者をターゲットにした戦略を積極に進めている。既存政党は若者の言葉を話していないが、急進的な極右政党は若者に響く言葉を話しており、「極右を支持することが若者の間でクールなことだ」との風潮が生まれているという(3月19日付クーリエ・ジャポン)。
 危機に瀕しているのはリベラリズム
 「西側諸国の民主主義の危機」が叫ばれているが、筆者は「危機に瀕しているのは民主主義ではなく、これまで政治を主導してきたリベラリズムなのではないか」と考えている。
 リベラリズムを信奉する政治家(リベラル政治家)は、移民などの積極的な受け入れや経済のグローバル化などを重視するが、生活費の高騰で不満が高まる中間層のことにはあまり関心を示さない印象が強い。
 これに対し、「極右」の政治家たちは中間層の怒りを代弁し、リベラル政治家への不満を糧に支持を伸ばしてきた。
 70年以上前に欧州統合の先鞭を付けた6ヵ国のうち5ヵ国(フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー)で極右化が進んでいる(4月2日付ニューズウィーク日本版)。
 これまでのところ、大きな混乱は発生していないが、極右の政治手腕には不確実さがつきまとう。社会的な対立が先鋭化している状況下で、いつ想定外の事態が起きても不思議ではないだろう。
 リベラル政治家が中間層の怒りに正面から向き合わない限り、ドイツをはじめ欧州で政治の危機が発生する可能性は排除できないのではないだろうか。
 藤和彦
 経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。
 デイリー新潮編集部
   ・   ・   ・   

☭72」─1─ロシア軍機による能登半島地震被災地に対する模擬攻撃。放置した政府と国会。~No.260No.261 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 ロシアと中国共産党は、油断も隙もなく、日本人とは全然違い、エセ保守とリベラル左派は無かった事にしている。
   ・   ・   ・   
 現代日本のエセ保守とリベラル左派が妄信している「大陸の良心」や「大国の矜恃」など歴史上存在しない。
   ・   ・   ・   
 2024年4月10日7:03 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「まさかの「能登半島を模擬攻撃」したロシアの「異常性」と、それを放置する「日本政府」
 統合幕僚監部報道発表資料より(24/4/3)
 本年元日に能登半島を襲った大地震津波の震災から3か月の節目を迎えた翌4月2日、ロシア空軍の戦略爆撃機(Tu-95)×2機とこの爆撃機エスコート(援護機)と見られる(機種不明)戦闘機×2機の計4機が、ウラジオストック南方の日本海上空に出現し、真っすぐに能登半島に向かって南進し、能登半島沖合約150kmで西(右)に進路を変えて約150km直進した後、帰投した。
 【写真】大胆な水着姿に全米騒然…トランプ前大統領の「娘の美貌」がヤバすぎる!
 この飛行パターンは、旧ソ連時代からTu-16爆撃機などによって頻繁に行われていた、(日本海側に所在する航空自衛隊の各レーダーサイトなどに対する)模擬攻撃飛行のそれと酷似している。つまり、今回ロシアは、わが国に対して、このタイミングで能登半島への模擬攻撃という「軍事的挑発行動」を行ったということである。
 ロシアの本性
 近隣諸国の善意に期待して、外交はすべて話し合いで解決できると信じる国民の方にとっては、この光景はにわかには信じられないような出来事に映るであろう。
 しかし、ロシアとは、戦時平時にかかわらずこのような人道に背いた行為を平然と行い、場合によっては隣国の危機に乗じて領土を侵略すべく虎視眈々と機会をうかがっているような国家であるということを、あらためて肝に銘じて頂きたいと思うのである。わが国だけでなく世界の国の人々が、もっとこのようなロシアという国の本質を理解していれば、ウクライナへの侵略は予測できたであろう。
 確かに、現在のロシアはウクライナ戦で手一杯であり、とてもわが国に侵攻する余裕はないであろう。このような時期でも、かかる行為を実行するのは、マフィアが警察官の家族に銃口をチラつかせて脅す行為に等しい。
 即ち、敵対する同盟国の弱い(又は弱っている)国や地域を就くことによって、自らへの恐怖心を駆り立てようとするものだ。そして、それこそが抑止力だとの邪心を抱いている。
 繰り返される悪行
 実は、わが国に対するこのような卑劣極まりない行為は、これが初めてではない。2021年3月18日の拙稿 『今年の3.11にロシア空軍が日本を「挑発」していた…報じられない「全容」』をご覧いただきたい。
 ここで述べたように、日本中が犠牲者への鎮魂の祈りを捧げていた東日本大震災10年目に当たる2021年3月11日、ロシアは、隠岐の島(島根県)北方の日本海上からオホーツク海を経て北方四島にかけてのわが国周辺空域において、空軍の戦略爆撃機(Tu-95)などによる「軍事的挑発行動」を行った。
 この際は早期警戒管制機(A-50)を含み、爆撃機(推定)×4機及び戦闘機(推定)×4機の計9機が参加していたが、これはウクライナ戦争前で、極東ロシアの空軍機に未だ余裕があったことによる態様であったと見られる。
 また、この拙稿の中でも触れたように、東日本大震災直後にも同様な挑発行動が行われている。
 この際、繰り返して指摘させて頂く。
 日本がポツダム宣言を受諾して無条件降伏したのを受けて、一方的に日ソ中立条約を破棄してわが国領土に侵攻し、その後旧満州樺太、千島から約57万5千人のわが国の軍人等をシベリア等に強制抑留し、約5万5千人を死に至らしめた「ソ連」当時と、この国は本質的に何も変わっていないのだ。https://www.mhlw.go.jp/seisaku/2009/11/01.html卑劣な行為を内外に知らしめるためにも厳重に抗議すべき
 それにしても、どうしてかかる行為を政府は黙認しているのだろう。今回の挑発行動に関して、ロシアに対し厳重に抗議したという発表をいまだ聞かない。 
 北朝鮮のミサイル発射には敏感に反応してEEZ外側の公海上にその弾頭が落下しても即座に抗議する一方で、なぜにこのような震災の被害者の心情を逆なでにするような軍事的挑発行動に対して政府は外交的な対応をしないのだろう。
 今回のような挑発行動に対して機敏に反応し、厳重抗議などの外交的措置をとることで、人道にもとるロシア軍の行動が東アジアでも行われていることが内外に知れ渡り、ロシアに対する国際的な警戒心が一層広まるというものだ。
 また、各種報道機関においては、このところ連日自民党の「派閥パーティ収入不記載事件」を大々的に報じているが、わが国周辺には、これよりはるかに大きなスケールで邪心を抱く輩がはびこってわが国を威嚇しているという事実を内外に伝えて頂きたい。
 そして、今後わが国がなすべきことは、力でその領土を拡大するような野心を二度と起こさせないよう、ロシアの脅威に対抗するNATOと強固に連携し、現実にその侵略に苦しめられているウクライナに対しては、防空兵器なども含めた積極的な支援を行い、この侵略者にその行為を後悔させるような結果につなげることではないだろうか。
 ・・・・・
 【もっと読む】「今後はロシア軍が有利」は完全な間違い...「すでに自国内の制空権さえ失っている」と考えられるロシアの深刻事情
 鈴木 衛士(元航空自衛隊情報幹部)
   ・   ・   ・   
 江崎道朗「戦没学徒からの宿題
 左派系への違和感
 世界における国家、民族の興亡の歴史を学べば分かることだが、自由と独立を勝ち取ろうと奮闘した国家と民族は生き残り、その努力を怠った国家と民族は滅んだ。
 日本が現在の独立を保ち、自由と繁栄を享受できるのは、先人たちの無数の奮闘の歴史があったからだ。そんな自明の、しかし意外と誰も意識しない冷厳な事実を私が意識できるようになったのは家庭環境の影響が大きかった。
 ……」(令和6年4月号『月刊 正論』)
   ・   ・   ・   
 2024年2月6日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「今後はロシア軍が有利」は完全な間違い...「すでに自国内の制空権さえ失っている」と考えられるロシアの深刻事情
 鈴木 衛士元航空自衛隊情報幹部
 1月24日、ウクライナと国境を接するロシア西部のベルゴロド州でロシア軍の大型輸送機「Il-76(イリューシン76)」が墜落した事件。
 筆者はこれがロシアの謀略ではないかと強く疑われる理由を前編『「イリューシン76墜落事件」はロシアによる「苦しまぎれの謀略」ではないか...「ロシア空軍は《モスクワ撃沈なみ》の痛手を受けていた」と考えられる関連背景』で解説した。本項ではそのさらなる根拠の詳細と現在ロシアが陥っていると考えられる状況について説明する。
 ロシアの真の狙い
 前編を受けて結言すれば、以下のような推測が成り立つ。
 ウクライナ軍はこのIl-76が、当初の報道どおり、「S-300の誘導弾」などの装備品を輸送する、という情報を何らかの手段(ロシアが意図的にリークした可能性も)で事前に入手し、米国から供与された対空ミサイル・ペトリオットで同機を撃墜した。
 一方、ロシア側は、このリークした情報をウクライナ側が入手している可能性を認識した上で、同機が撃墜されることも想定し、実際のウクライナ人捕虜の輸送と並行させてIl-76を少なくとも2機飛行させ、衛星や情報収集機、並びに地上レーダや地上の信号情報収集装置などによって、ウクライナ軍の動きを監視していた。
 そして、実際にウクライナ軍はこの装備品を搭載しているIl-76をペトリオットで撃墜し、ロシアはこの行動を前述の情報収集手段によって捕捉した。その上で、撃墜された場合に備えて用意していた、「ウクライナ人捕虜の輸送機を撃墜」というシナリオを大々的に発表するとともに、国連安保理にも緊急会合を要請し、ウクライナを糾弾した、というものである。
 つまり、ロシアは今回のIl-76の墜落を、「ウクライナ人捕虜(65人)輸送時の撃墜事案」と宣伝することによって、反人道的攻撃を掲げて国際問題化し、事後のウクライナによるロシア領内への対空攻撃を躊躇させるとともに、ウクライナ国内で自国民(ウクライナ人戦争捕虜)の搭乗機を撃墜した軍や政権への非難や不信感を煽ることを企図したのではないかと考えられるのである。
 しかし、ロシアは、実際にIl-76輸送機1機とその搭乗員を犠牲にしてまで、なぜこのような危険な賭けを行ったのか。
 ロシアは自国内の制空権さえ失っている?
 そこには、1月14日のアゾフ海におけるロシア空軍機A-50(メインステイ)早期警戒管制機の被撃墜と、Il-22(Il-20クートB)空中指揮機の被撃破(撃墜は免れ大破)という、衝撃的な出来事があったからだと考えられる。なぜならば、この事象は、ロシア軍にとって、同海軍が黒海艦隊の旗艦であるスラヴァ級ミサイル巡洋艦「モスクワ/CG-121:12,500トン級)」を撃沈されたのと同等のダメージをもたらしたと考えられるからである。
 そもそも、ハイバリューアセット(高価値目標)であるAWACS(早期警戒管制)機が戦時中に撃墜されるなどというのは、世界でも過去に前例のないことであった。これは、ロシアが実効支配しているウクライナの地域はもとより、ロシアの領土内にまで自国の制空権が失われていることを意味しており、ロシア軍にとってこれは極めて深刻な戦況となっている実態を表している。
 今後、ウクライナに供与されたF-16戦闘機が実動を始めたら、前線のロシア軍は手痛い打撃を食らうことになるだろう。
 地上戦では膠着状態が続いており、今後はロシアが優位な展開になるとの見方も優勢である。しかし、筆者はそうは思えない。制空権が得られない状態での安定した領土獲得などあり得ないからである。ロシアもそれを危惧していることが、今回の事案で見て取れるのである。
 ロシアは、このような懸念される情勢を見越して、今後この事案を契機に、両国の国境付近に一部飛行禁止空域の設定などを提案してくる可能性も考えられる。もちろん、その先には「停戦」ということも念頭に置いていることだろう。その落としどころを模索し始めているのではないか。このままでは、さらに長期化し、漸次兵力も装備も損耗していくことは明白であるからだ。
 今後の推移に注目したい。
   ・   ・   ・   

🛳52」─1─台湾地震と中国共産党。~No.255 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2024年4月3日 産経新聞「台湾地震、同エリアでは過去にもM7超が続発 1999年には死者2400人超も
 3日、台湾東部・花蓮で倒壊した建物(TVBSテレビ提供・AP=共同)
 沖縄本島地方などに一時津波警報が出された3日朝の地震は、台湾付近を震源マグニチュード(M)7・7を観測。気象庁によると、同様の震源付近では過去にもM7を超える地震が複数回発生。同じ日に連続して発生したケースもあり、台湾に大きな被害をもたらした。
 気象庁の資料によると、1951(昭和26)年10月22日午前6時34分に発生した地震では、 M7・5を観測。同日中に M7・0以上の地震が3回発生し、死者68人、負傷者856人を出した。同年11月25日には M7・8の地震が発生し、17人が死亡、91人が負傷した。
 1986(同61)年11月、1999(平成11)年9月にもそれぞれ、M7を超える地震が起き、99年の地震は死者2413人、負傷者8700人という甚大な被害をもたらした。近年でも2022(令和4)年9月にМ7・3の地震が発生している。今回の地震について台湾の気象当局は、「99年以来の大地震」との認識を示した。
 ただ、これらの地震について、日本国内への影響は限定的で、86年地震での国内の最大震度は3。津波宮古島で30センチを観測した。99年も震度は2にとどまった。今回の地震では、与那国島で震度4を観測、同島で最大30センチの津波が観測されている。
   ・   ・   ・   
4月6日 YAHOO!JAPANニュース 日テレNEWS NNN「中国、国連会合で台湾へのお見舞いに「感謝する」と応じ台湾が反発 “中国の台湾地区で起きた地震”と表現
 台湾東部沖を震源とする地震をめぐり、国連の会合で出席者が台湾へのお見舞いを述べたのに対し、中国の代表が「中国の台湾地区で起きた地震」という表現を使って「感謝する」と応じ、台湾が反発しています。
 中国の国連代表部によりますと、3日に行われた国連の会合で、出席者から台湾の地震について被災地を見舞う気持ちを伝える発言がありました。
 これを受けて、中国の国連次席大使は「中国の台湾地区で発生した強い地震」という表現を使った上で、「国際社会の同情と関心に感謝する」と発言したということです。
 そしてこの発言に台湾側は、猛反発しています。
 台湾の外交部は6日、「台湾の地震を国際社会での認知戦に利用する恥知らずな行為」と中国側の発言を強く非難しました。
 中国政府は地震発生後、台湾に支援の提供を申し出たということですが、台湾メディアによりますと台湾側は断ったということです。
   ・   ・   ・   

💥9」─3─ルワンダ虐殺の原因。1994年~No.25No.26 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 1994年4月6日(〜7月) ルワンダ大虐殺。多数派である農耕民・フツ族出身のジュベナール・ハビャリマナ大統領が乗った飛行機が、何者かによって撃墜された。
 フツ族は、犯行は少数派である遊牧民ツチ族の仕業と決めつけ、かって一緒に住んでいた隣人のツチ族を襲撃して虐殺を行った。
 女子供に関係なく、80万人以上が惨殺された。
 ツチ族キリスト教徒は、キリスト教会の建物に逃げ込めば助かると信じて助かると信じて礼拝堂に集まった。
 フツ族の殺戮者は、多くの女子供が逃げ込んだキリスト教会の中に、手榴弾を投げ込み、機関銃を撃つ込み、ガソリンを流し込んで焼き払った。
 相手を殺す事を決意した殺戮者にとって、たとえ相手が、隣人愛の信仰を持っていようと徳があって善行を行っていようと関係なかった。
 生き残るには、如何なる犠牲を出そうとも一致団結して武器を取って殺しに来た過激派を撃退するか、大勢で一緒になって不毛な土地に逃げて避難生活をするか、の2つしか選択肢しかない。
 非暴力無抵抗主義者は、独善的な善意を振りかざして虐殺を手助けする幇助者である。
 非暴力無抵抗を唱える者は殺戮者の味方として助けられ、非暴力無抵抗を信じた者は全て殺される。
 其れが、大陸史であり、世界史である。
   ・   ・   ・   
 2024年4月5日 YAHOO!JAPANニュース GLOBE+「ルワンダ虐殺発生から30年 今なお多い不明点 通説「民族対立が原因」を再考する
 ルワンダの首都キガリ近郊の教会内に設けられた虐殺記念館の棚に安置された虐殺犠牲者の遺骨=2010年8月6日、ロイター
 ルワンダでジェノサイドが発生してから30年が経つ。1994年4月から7月までの約100日間に、50万~80万人が殺戮されたと言われる。この30年間、多数の亡命者がジェノサイドの実態を内部告発し、またさまざまな研究者やジャーナリストたちも独自で調査してきた。その過程で、一般的に知られているジェノサイドの通説と実態の間に乖離があることが明らかになってきた。(米川正子=神戸女学院大学国際学部教授)
 【写真】ルワンダの虐殺記念館に安置された犠牲者の遺骨や写真
 ルワンダのジェノサイドの前、最中、そしてその後に何が起き、どのような影響を及ぼしたのか。問題の通説には、次の四つが挙げられる。
 【ルワンダ大虐殺で問題をはらむ四つの「通説」】
 (1)多数派フツと少数派ツチ間の民族対立が原因で、フツの過激派がツチと穏健派フツを殺戮した「ツチに対するジェノサイド」だった(つまり加害者はフツで、犠牲者はツチである)
 (2)大量殺戮が続く中、ルワンダに駐屯中の国連平和維持活動(PKO)部隊はその行為を止めなかった
 (3)当時の反政府勢力「ルワンダ愛国戦線(RPF)」のカガメ将軍(現ルワンダ⼤統領)がジェノサイドを止めた(そのため、ルワンド国内外で「救世主」と称えられている)
 (4)戦闘の敗者であるフツ主導のルワンダ旧政府やフツ民兵はRPFによる報復を恐れて、国外に逃れた
 しかし、これらの通説はいずれも事実に反しているか、単純化しすぎている。30年経った現在もルワンダのジェノサイドには不明な点が多く、物事を単純に見ることを避けなければならない。
 この記事では、ルワンダのジェノサイドの実態を理解するために、民族対立と、加害者と犠牲者に関する誤解について説明したい。その前に、ジェノサイド発生前に起きた主な出来事について簡潔にまとめる。
 ルワンダの歴史的背景
 ルワンダにはかつて、ツチの王が支配する王国が存在していた。この王国は、19世紀末に植民地化され、ドイツ領東アフリカに組み込まれた。第1次世界大戦後には国際連盟委任統治領として、そして第2次大戦後には国際連合信託統治領としてベルギーに支配された。
 1959年、多数派フツのエリートが「少数派ツチという一つの人種」によって政治的に独占されていた封建制度に異議を唱え、ツチの王制を打破し、共和制を確立させる「社会革命」が起きた。多くのツチがルワンダ国外に避難し、その内の一人が現大統領のポール・カガメ氏だった。
 1962年にベルギーから独立し、グレゴワール・カイバンダが大統領に就任する。南部出身のカイバンダが北部を優遇しなかったことから、1973年、ジュベナール・ハビャリマナ氏はクーデターで政権を掌握し、ハビャリマナ氏の出身地である北部に政治権力を集中させた。と同時に、ハビャリマナ政権はカイバンダと同様、「ツチ至上主義(Tutsi supremacy)」の復活から国を守ると主張した。
 「社会改革」を逃れたルワンダのツチ難民を受け入れた周辺国の中で、ウガンダは最も政治的に不安定で、1970~1980年代に3度のクーデターと内戦による政権交代を経験した。当時のミルトン・オボテ政権下でツチ難民に対する迫害が起きたこともあり、難民たちの中でルワンダへの帰還の希望が芽生えた。オボテ打倒のためにも、1981年からカガメ氏や他のツチ難民がヨウェリ・ムセベニ氏(現ウガンダ大統領)のゲリラ戦に参加し、1986年にムセベニ氏が率いる反政府勢力が軍事勝利した。
 1987年、ウガンダ在住のルワンダ難民らが、RPFという政治的・軍事的組織を結成した。1990年にRPFがウガンダからルワンダに侵攻し、ルワンダ政府との間で内戦が続いた。1993年に和平合意が結ばれた後も戦闘は続いた。
 1980年代後半から1990年前半まで、ルワンダはさまざまな政治的・経済的危機に同時に直面していた。RPFの侵攻とともに、民族対立が悪化し、国内避難民数が増加した(後述)。その他、RPFの侵攻を受けて政府の軍事費が1989年、国内総生産GDP)の1.9%から1992年、7.8%に増加した。これらの危機が国を弱体化させ、ジェノサイドを実行する可能性を広げた。
 1994年4月6日夜、多数派フツ系ハビャリマナ大統領が乗っていた飛行機が⾸都キガリの国際空港に着陸する直前に地対空ミサイルで撃墜され、大統領は暗殺された。その数時間後に大量殺戮が始まった。同年7月、少数派ツチ系のカガメ将軍率いるRPFが軍事勝利して政権を奪取した。
 通説「ジェノサイドの原因は民族対立」は本当か
 ルワンダの民族対立は、ジェノサイドにどのように影響したのだろうか。
 ルワンダには、フツ、ツチ、そしてトワという三つの集団がある。トワは前者二つと異なり、政治的な活動に関わっていないため省略する。
 それぞれの集団の区分は、エスニック(民族)、職業や社会階級的なものとして解釈された。19世紀末以降、ルワンダを支配したヨーロッパ人たちは、ツチを白人に近いハム系(注釈)、フツをバントゥー系黒人と認識し、前者が後者を征服してきたと理解した。その認識がドイツ、そしてベルギーの間接統治政策に影響を与えた。またツチ指導者も、自らがフツよりも優秀だと認識するようになった。他方、フツのエリートはフツこそがルワンダ人で、ツチは外国人だと認識していた。
 (注釈)ハム系=旧約聖書「創世記」の登場人物であるハムは、ノアの3人の息子の一人であり、父の裸体を盗み見たとして呪われる。19世紀ヨーロッパの人種思想では、その子孫となるハム系諸民族がアフリカに文明を伝えたとされた。ハム系諸民族は、ノアの血を引くコーカソイド人種(すなわち白色人種)であり、アフリカ土着の人種とはみなされない。
 人口に占める割合は、フツが8割、ツチが2割程度と大きな差がある。
 ジェノサイドの起源は、ツチとフツが「数百年にわたって抱いていた本質的な『部族憎悪』」だとする説がある。
 確かにハビャリマナ氏は政権奪取した後、ベルギー植民地時代に制度化された民族証明書を破棄せず、ツチの排斥運動も組織的に行われていた。また多くのツチは民間部門、特に商業や開発プロジェクトにおいて雇用されていたが、教育や政府の雇用において差別されていた。
 ただ留意すべき点は、ツチとフツそれぞれの集団内部でも対立や冷遇があったことだ。
 1950年代後半、ツチの伝統的指導者と革新的エリートの対立が起きた。ツチ系のカガメ氏が率いるRPFは、1959年の「社会革命」の際に国外に避難せず国内に残っていた同胞ツチを「フツの協力者」としてみなし、ルワンダに侵攻した際に殺害した。またハビャリマナ政権時代、権力と土地資源をめぐる競争の中で、南部のフツは高等教育へのアクセスという点で差別されていたため、北部のフツのエリートと南部の貧しいフツの農民の間に亀裂が生じた。
 このような多層的な対立構造があったにしても、フツとツチは共存し、婚姻関係も通常だった。
 が、フツとツチ間の民族対立が急激に悪化したのは、1990年にRPFがルワンダに侵攻してからだ。その要因は主に2点ある。
 第一に、農民であるフツ住民計約100万人が国内避難民キャンプで生活していたが(当時のルワンダの人口は700万人だったため、7人に1人の割合)、若い農民にとって、土地を失い、3年間食料配給に頼らざるをえなかった経験は屈辱的だった。そのため、穀倉地帯の北部から追放された彼らの中で、ツチ主導のRPFに対する憎しみが高まり、フツ主導のルワンダ政府による国内避難民の徴兵は容易だった。
 第二に、1993年10月、隣国ブルンジで、フツのメルシオル・ンダダエ大統領がツチ軍人らによって暗殺された(カガメ氏の命令だったと言われている)。彼は同年7月に初のフツ大統領に就任したばかり。この暗殺によって、ルワンダの野党は武装なしには無力であることを確信した。またツチに不信感を持つフツ系ブルンジ人30万人が、ルワンダに難民として避難した。このため、当時のルワンダには、フツの国内避難民と難民がいたことになる。それがRPFとツチへの憎悪の高まりにつながり、ブルンジ難民もツチに対する殺戮に参加した。
 ジェノサイド前夜、フツ系大統領を暗殺したのは誰か
 では、ジェノサイドの引き金となったと言われるハビャリマナ大統領の暗殺の責任者は誰なのだろうか。
 1997年、ルワンダ国際刑事裁判所(ICTR)の弁護士で調査官のマイケル・ホーリガンは、RPFの現役と元メンバー3人から、当時のカガメ副大統領とその部下が大統領機撃墜に直接関与していたことを知らされた。
 ICTRの第2代判事ルイーズ・アルブールは、当初この情報に興味をそそられたが、後に、ICTRの任務は、撃墜後に始まった大量殺戮の出来事に限定されてしまう。ICTRの時間的管轄が1994年1月から同年12月までで、4月6日に起きた大統領機の撃墜を明確に含まれているにもかかわらずだ。
 ホーリガンの調査とRPFの離反者や西側当局者からの証言をもとに、2006年、フランスの判事が大統領機の撃墜を実行した疑いのあるルワンダ人9人に逮捕状を発行した。撃墜の際、フランス人パイロットとクルー計3人も殺害されたため、遺族が判事に事件の調査を依頼したのだ。カガメ氏は大統領として免責特権を享受していたため、逮捕状を発行できなかった。逮捕状の発行により、ルワンダは2006~2009年、フランスと国交を断絶した。
 2009年、カガメ氏の元側近だったRPF元参謀長は、フランス主導の調査に対してRPFが実行したと証言。しかし、フランスがルワンダとの外交関係を回復に向けて働きかけていた時期と重なり、その他の主要なRPF 関係者から証言を得ないまま、調査は中断された。
 それと並行して、ルワンダ政府の調査報告書が2008年、2010年、2017年に公表された。それらには、フツ過激派が撃墜の責任者と結論づけたり、フランスが旧フツ政権と民兵を訓練し、武器を提供し、大統領機撃墜を助長したりしたと主張している。
 さまざまな証言の相違はあるものの、RPFが大統領機を撃墜し、大量虐殺を引き起こしたことを示す証拠は確かにある。
 また証言の大半、特に最も詳細な証言はRPF元要員から得ている。それらの証拠と証言は以下の通りだ。RPFが物資や武器を調達する上で、内戦中にウガンダを後方基地として使用したこと。ロシア製の地対空ミサイルの発射装置はキガリのRPF支配地域で発見されたこと。カガメ氏と彼の側近が1993年末から1994年初めまで会議を3回開催し、地対空ミサイルの訓練などについて計画され、撃墜後、カガメ氏らが喜んでいたことなど。
 その他、PKOの国連ルワンダ支援団(UNAMIR)のベルギー大佐によると、大統領機の撃墜後、約3万人で構成するRPF部隊が所定位置に着き、攻撃を開始した。このような大規模な攻撃は事前に数週間の準備期間を要するため、RPFは即、戦闘できるように、武器や食糧を十分に備えていたはずだと述べている。ルワンダ軍も撃墜直後に道路にバリケードを設置したが、これは大統領が出入国する際の通常の手続きであり、RPFの準備とは大違いだ。
 ICTRは、当時のルワンダ政府が大統領撃墜を計画したり関与したりいた証拠はなく、またRPFが大統領機の撃墜を実行したと結論づけ、RPFが意図的にジェノサイドに火をつけたと指摘した。
 通説「フツが加害者、ツチが犠牲者」
 「多数派フツが加害者、少数派ツチが犠牲者」。この通説は広く浸透されている。
 例えば、2023年10月、国連人権高等弁務官事務所ニューヨーク事務所長のクレイグ・モクヒバが国連宛ての書簡で、イスラエル軍による「パレスチナ人のジェノサイド」は「お手本のような事例」だと指摘し、そのジェノサイドに対する国連の沈黙に抗議した。書簡では、ジェノサイドに際して国連が文民保護の義務を果たせず生じた犠牲の例にボスニアムスリムミャンマーロヒンギャ族などと並んで”(ルワンダの)ツチ”を挙げている。
 ではどのように「フツが加害者、ツチが犠牲者」というナラティブが生まれたのだろうか。
 ジェノサイドが起きた翌年の1995年4月から毎年、ルワンダ国内外で実施されている記念式典では、当初、ツチだけでなく、フツやトワの犠牲も認定されていた。実際に、ジェノサイドに加わった者にはフツもツチもいれば、ツチを保護したフツもいた。
 しかし、ジェノサイドの公式名称は段々と排他的になり、2003年に制定されたルワンダ憲法が2008年に修正されてから、「ツチに対するジェノサイド」という呼称が強いられた。同時に、ツチの集団犠牲とフツの集団加害が強調された。
 通説はどう補強されてきたか、五つのポイント
 このナラティブに関して、日本でほとんど知られていない、あるいは十分に議論されていない要因を五つ挙げてみたい。
 第一に、ロンドンに拠点を置いたNGO「アフリカン・ライツ(African Rights)」がジェノサイド終結から2カ月後に、組織として初めて750ページもある実質的な調査結果を公表したのだが、 この作業を短期間に実現できたのは、RPFが全面的、かつ積極的に情報を提供し、このNGO職員に給与まで支払っていたためだ。 本調査は、ジェノサイドの公式説明である「英雄的なツチの反乱軍は、フツのジェノサイド加害者に対して正義の戦争を戦った」という見方を補強した。またRPFが犯した人権侵害は単なる報復殺人であり、RPFは民間人を組織的に殺害することを意図した政策を持っていなかったことも強調している。
 第二に、RPFが偽旗作戦(false flag operation)を実行していたことだ。
 これは、あたかも敵によって実施されているように見せかける軍事作戦だ。ジェノサイドを煽るために、RPF内の軍事諜報局の要員がフツ民兵に潜入し、路上バリケードにいた民兵によるツチの殺戮を手助けした。 フツ民兵に潜入した要員は、背が低く、仏語を話すフツが選ばれた(一般的にフツはツチに比べると背が低く、1994年以前のルワンダ公用語は仏語だった。RPF要員はウガンダなど国外で生まれ育った元難民が圧倒的に多く、英語を話す人が多い)。
 また難民キャンプを拠点にルワンダを攻撃したという報道も、実は偽旗作戦だったことが元RPF要員の証言で明らかになった。
 奇妙なことに、この民兵の指揮系統はRPF本部下にあった。つまり、RPF自体がフツ民兵を創設した可能性が強いことを意味する。
 第三に、アメリカ人研究者2人が1998、1999年、ルワンダでさまざまな統計を収集したところ、フツの犠牲者数の方が多かったという結果が出た。1991年時点で60万人のツチが存在していたが、ジェノサイド後もその半数が生存していた。ジェノサイドの死亡者数は、この研究によれば80万~100万人だったため、死者の半数以上がフツだったと計算した。 その研究者がその調査結果をルワンダで発表した後、同政府から24時間以内に出国を求められ、「歴史否認主義者」のレッテルが貼られた。彼らはジェノサイドが起きたことを否定していないにもかかわらずだ。
 ただ、当時のツチの人口数と死亡者数は明確な統計はなく、現在も議論が続く。いずれにしても、フツの犠牲者数はツチのそれに匹敵するか、それ以上の可能性は高い。
 第四に、ジェノサイド指導者を訴追するために、1994年にICTR、そして2001年に草の根裁判集会である「ガチャチャ法廷(Gacaca)」が設立されたが、どちらもフツのみが訴追された。ICTRは2002年、RPFに属する容疑者を初めて起訴する準備をし、それを第3代判事のカーラ・デル=ポンテがカガメ大統領に伝えたところ、彼は「あなたは終わりだ」と激怒したという。デル=ポンテはICTRの調査が妨害されないように国連本部に訴えたが、コフィ・アナン国連事務総長は「これはすべて政治だ。あなたは全く正しいが、安保理が政治的な決定を下す」と述べた。その後、デル・ポンテのICTRの任期は、ルワンダ政府のロビー活動と英米の支持によって更新されなかった。
 さらにICTRでは、カガメ氏の批判者である難民の証言者が失踪し続け、その多くが拉致され、拷問され、殺害された。ガチャチャ裁判においても、一般人がルワンダ政府の公式説明に合わない真実を話す自由がなく、その真実を話した人は殺害されたり、国外に逃亡したりした。弁護側の証人や裁判官も同政府に脅迫された。
 第五に、国際社会の黙認だ。国連総会で2020年4月20日、ジェノサイドが始まった4月7日を「ルワンダにおけるツチに対するジェノサイドを考える国際デー」と称する決議 が採択された。 その直後、英米政府のそれぞれの国連代表部が「フツも他の人たち(注:トワ)も犠牲になったため、ツチのみが犠牲になったという表現に同意できない」と表明した。しかし、その見解は現在、黙認されているようだ。(4月7日を「ルワンダのジェノサイドを考える国際デー」と称する決議は2003年12月にすでに国連総会で採択済みだ)
 ツチとフツの両者の一部が殺戮に関わり、両集団が犠牲になったことを考えると「ダブル・ジェノサイド」と呼ぶこともできる。偽旗作戦が実行されたことを考えると、「ジェノサイド」という呼び方は正確ではなく、内戦の延長線と位置付けた方が適切だという声もある。
 以上のことから、ルワンダのジェノサイドを「民族対立」という単純な構図からとらえることはできない。カガメ氏も救世主どころか、戦争犯罪人と認識されるべきだと考える。
 また1996年、隣国コンゴで勃発し、現在も続く紛争に関しては、ルワンダのジェノサイドが飛び火したことが知られている。その詳細について、(PKO)部隊の行為に関する通説とともに、次稿で解説する。
 米川正子
   ・   ・   ・