👠11:─1─中立国に広がる「ジェンダー平等」徴兵改革は男女平等と防衛体制の強化が狙い。~No.19No.20 

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 日本は、世界的にジェンダー平等度が低い。
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 国際常識として、国民の義務と責任は愛国と忠誠である。
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 日本のエセ保守とリベラル左派は、世界常識としての中立国を理解できないし、その意識はブラジルの原住民以下である。
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 2025年7月1日 MicrosoftStartニュース kangnamtimes「【徴兵改革】デンマーク、「7月から女性も対象に!」…服務11か月へ延長し人口600万人の防衛力を底上げ
 望月博樹 によ
 引用:デンマーク国防省
 デンマークは7月から女性も徴兵対象に含める。
 デンマーク議会によると、昨年6月初めに女性を徴兵対象とする法案が可決され、7月1日から施行される。これまでは18歳以上の男性のみが徴集対象で、女性は志願した場合に限り軍務に就いていた。
 施行後は男女ともに徴兵対象となり、服務期間も従来の4か月から11か月へ延長される。今回の措置はロシアの侵略リスクと北大西洋条約機構NATO)加盟国の軍事投資拡大を背景にしている。ロシアによるウクライナ侵攻以前、デンマークは比較的安全な国と見なされていたが、戦況の長期化は同国にも脅威を及ぼしている。
 当初デンマークは2027年の徴兵で性平等改革を実現する計画だったが、2024年の主要防衛協定の一環として実施時期を前倒しし、今夏から適用することにした。
 政府は昨年2月に70億ドル(約1兆50億9,000万円)規模の基金を創設し、軍強化計画を発表した。今年の国防費は国内総生産GDP)の3%以上に引き上げる方針も示している。
 男女とも徴兵対象になっても全員が入隊するわけではなく、志願者が多いため抽選で徴兵の可否が決まる。昨年志願入隊した女性は全軍の約4分の1を占めた。徴集されると5か月間の基礎軍事訓練を受け、その後6か月は軍務に就きながら追加訓練を行う。
 人口600万人のデンマーク軍は約9,000人だが、徴兵対象拡大により年間徴集兵は昨年の4,700人から2033年には6,500人程度へ増加する見通しだ。今回の措置でデンマークノルウェースウェーデンに続き、ヨーロッパで3番目に女性徴兵制を導入する国となる。スウェーデンは2017年に、ノルウェーは2013年に男女双方を対象とする徴兵制を採用している。
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 6月16日 YAHOO!JAPANニュース ロイター「デンマーク、女性も徴兵制度適用 男女平等と防衛体制の強化が狙い
 デンマークは、2025年7月1日以降に18歳となる女性に対し、徴兵の可能性を判断するための「適性審査日」への登録を義務付けることとした。これは、すでに男性に適用されている措置と足並みをそろえると同時に、欧州における安全保障上の懸念が高まる中、防衛力を強化する狙いがある。
 デンマーク政府は今年3月、北大西洋条約機構NATO)の目標達成に向け、今後5年間で59億ドル(約8500億円)規模の国防費増額を掲げた。
 コペンハーゲン近郊で訓練中の22歳の女性兵士は、今回の変更について次のように述べた。「若い男女が社会において同等に参加できるのは良いことだと思う。徴兵が男性にしか適用されないのは不公平だし、実際これまではそうだった」
 デンマークでは毎年兵士の募集をしているが、志願者が足りない場合に備え、男性は全員、徴兵に適しているかどうかの適性審査を受ける義務がある。
 また2026年2月からは、兵役期間が現在の4カ月から11カ月へと延長される。デンマーク軍によれば、来年は約4000人が兵役を終えると見込まれており、この数は2033年までに年間6500人へと増加する見通し。
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 2025年5月28日 毎日新聞 東京夕刊「平等先進国の不平等 フィンランド軍、女性5% 徴兵男性のみ、支持高く
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 フィンランドの首都ヘルシンキで行われた軍事パレード=2022年6月4日、SOPA Images・ロイター
 フィンランドは女性の社会進出が進み、世界経済フォーラムが発表する「ジェンダーギャップ指数」(2024年)では146カ国中、アイスランドに次いで第2位だった。118位の日本とは対照的だ。ところがフィンランドでも、女性の進出が特に遅れている分野がある。それは「軍隊」だ。国民はどう考えているのか。
 北大西洋条約機構NATO)がまとめた22年の報告書などによると、フィンランドの軍人に占める女性比率は5%ほどで、日本の自衛官の女性比率(8・9%)と比べても少ない。文官を合わせても19%ほどという。
 「男女平等を求めるなら、兵役だけ『やりたくない』というのは矛盾していると思った」
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 5月27日 FNNプライムオンライン「トイレは男女共通が当たり前!女性徴兵義務化取材で見えてきたデンマークでの「ジェンダー平等」と「権利と義務の平等」
 デンマーク政府が2026年から女性にも徴兵を義務化する方針を打ち出したことを受け、戦後80年という節目を迎えるヨーロッパの現状という視線で我々は現地を取材した。
 【関連動画】【現地取材】デンマークウクライナ侵攻を受け18歳以上の女性も2026年から徴兵対象に…兵役期間も4カ月から11カ月に 背景にナチス占領の記憶
 デンマークの街並み
 今回は、放送では時間の制約から触れきれなかった社会的背景や人々の声を中心にデンマーク社会の本質的な価値観——とりわけ「ジェンダーの平等」について検証してみた。
 女性も2026年から徴兵の対象に
 政府の決定により、デンマークでは2026年から18歳以上の女性も男性と同様に徴兵の対象となる。女性についてはこれまでは志願制だったが、今後は抽選制度に組み込まれ、選ばれれば軍務が義務となる。
 取材したデンマーク軍の兵士達
 もっとも実際には志願者が必要数を上回っており、兵役に就くのは抽選で選ばれた一部に限られる。デンマークでは毎年約4,700人が兵役に就き、うち約1,100人(約23.6%)が女性。
 現在の兵役期間は4カ月だが、2026年からは11カ月に延長される。制度の実態としては、「徴兵」よりも「選抜制の志願兵」に近い。
 「徴兵に賛成かどうか」より「平等であるべきかどうか」
 現地の街頭インタビューで目立ったのは、「徴兵に賛成かどうか」ではなく、「制度があるなら男女平等であるべきだ」という声だった。
 たとえば、コペンハーゲンの若者ヤコブ(24)さんとイエッペ(27)さんは徴兵には選ばれなかったが、女性への拡大について「義務は男女で同じであるべきだ」と話していた。
 一方で、制度そのものには「今の時代に必要か」という懐疑的な意見で、軍事費の増加に対する疑念を口にしていた。
 ヤコブ(24)さんとイェッペ(27)さん
 「制度としては平等。でも本音は複雑」──若者と高齢者、それぞれの視点
 若者の中には「制度としては理解できるが、自分が行くのは抵抗がある」という本音を語る人もいた。20代の女性たちは「ジェンダー平等の一歩だ」と語りつつ、「行けと言われたら戸惑う」とも漏らしていた。
 コペンハーゲンで出会った若者
 一方、高齢世代からは「義務が平等なのは当然」としながらも、「戦争にはなってほしくない」「希望者には別の社会奉仕の選択肢を」といった冷静で現実的な声が多かった。
 地方都市ヘアニングで話を聞いた女性
世代で温度差はあるが、どちらにも共通していたのは、「平等」という理念への賛同だ。
 ジェンダー平等が“街に見える”国
 デンマークは世界でも有数のLGBTQに寛容な国として知られており、1989年には世界で初めて同性パートナーシップを法的に認める制度を導入した。
 以降も、同性婚や養子縁組、差別禁止法の整備など、性的マイノリティーの権利保障において国際的な先駆けとなってきた。
 インスタより @copenhagenpride
 こうした法整備や社会的合意の積み重ねにより、「性別にとらわれない生き方」が社会の前提として根付いてきた印象を受けた。
 取材していて最も驚かされたのは、公共トイレの多くがジェンダーニュートラル、つまり男女共用の個室型だったことだ。駅や美術館、カフェ、ショッピングモールなど、性別で分けられたトイレを探す方が難しい場所もある。
 それぞれプライバシーは保たれているが洗面台は共有で少し戸惑ったことも。そもそも「男性用」「女性用」といった区別を設けない設計が主流になっているのだ。
 コペンハーゲンジェンダーレストイレ © Deanpictures
 これは「性別の区別をやめようという努力」というより、デンマークでは「ジェンダーの平等」が街の風景として文字通り“目に見える”形ですでに浸透していると感じられた。
 「義務」と「権利」が並ぶ“平等のかたち”
 今回の女性徴兵義務化は、「軍拡」や「ロシアの脅威への対応」といった理由が主だとされる。
 だが現地の人々と話す中で見えてきたのは、これはあくまで「平等のかたち」として多くの人が納得しているということだ。
 「ジェンダーの平等とは、権利だけでなく義務も等しく担うこと」
 こうした考え方は、長年の文化や暮らしの中で、いつの間にか根づいてきた感覚に近い気がする。
 日本でも「男女平等」はよく語られるが、それはたいてい「女性の権利」や「社会進出」といった側面が中心で、「同じ義務を背負う」という視点は、まだ十分に共有されていないように思う。
 徴兵制度が「ジェンダー平等」の試金石になる——そんな見方はこれまであまりされてこなかったかもしれない。だがデンマークではそれがまさに現実として進んでおり、その価値観の違いに、取材を通じて何度も驚かされた。
 (執筆:FNNロンドン支局長・田中雄気)
 田中 雄気
 FNNロンドン支局長。侵攻後のウクライナをこれまでに5回取材。元社会部記者。夕方および夜のニュースのディレクター、デスク、プロデューサーなどを経験。
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 2025年4月24日 GLOBE+「よみがえる徴兵制
  ジェンダーギャップ指数3位のノルウェー、徴兵制も平等に
 男女同室の兵舎も問題なし
兵役に就くノルウェーの若者たち=2025年2月11日、ベルゲンの海軍基地、荒ちひろ撮影
 ジェンダー平等が当たり前となった社会では、徴兵制も例外ではない――。そんな観点から2015年に男女平等の徴兵制を実現したのが北欧ノルウェーです。兵役は国民の義務とされる一方、個人の意思も尊重されているといいます。フィヨルドに囲まれたノルウェー第2の都市、南西部ベルゲンの海軍基地へ向かいました。
 「着替えるときは声をかければいいだけ。男女同室でも何の問題もない」
 昨年4月に入隊したアマイア・フライシャーさん(20)は、フリゲート艦を案内しながら、当たり前のように言った。艦内底部、2段ベッドとロッカーですれ違うのがやっとの部屋に、フライシャーさんら男女6人の徴集兵が暮らす。同室のアイヴァン・クリステンセンさん(22)も「最初は少し変な感じがしたけど、そもそも誰もこんな狭い部屋に6人で暮らした経験なんてないから、互いのありのままを尊重するだけ。たいした問題じゃなかった」。徴集兵30人ほどで使うシャワーとトイレも男女共用だ。
 フリゲート艦内の居室を案内するアマイア・フライシャーさん。2段ベッドが並ぶ=2025年2月11日、ノルウェー・ベルゲンの海軍基地、荒ちひろ撮影
 ノルウェーは、男女平等の度合いを示すジェンダーギャップ指数で常に上位につけ、2024年は世界146カ国中3位(日本は118位)。そんな国でも100年以上、徴兵は男性のみが対象となってきた。1976年に女性の兵役志願が認められ、徐々に女性兵士の数が増える中で、転機は2000年代。徴兵制も平等にすべきだとの声が軍の組合から上がったと、軍の人事部門を担当するペルトマス・ボー上級曹長(51)は説明する。
 2010年に徴兵調査への回答義務を、2014年の法改正で徴兵義務を女性にも拡大。この時点で、徴集兵の女性比率は約15%を占め、「社会の反対もなく、特に若い世代は当たり前にとらえた。軍も、従来の倍の候補者からより良い兵士を選ぶことができると、肯定的に受け止めた」と振り返る。
 女性の徴兵は北大西洋条約機構NATO)加盟国で初めてで、さらに男女同室の兵舎の試みなどが世界的に関心を集めた。「若い男女が同室で暮らすなんてクレージーだと思われたのだろうが、一緒に過ごすことで彼らは兄弟姉妹のような関係になり、実際にとてもうまく機能している。ノルウェー軍にとって、今ではごく普通のことになっている」とボー氏は言う。
 ノルウェー軍で人事部門を担当するペルトマス・ボー上級曹長=2025年2月10日、オスロ、荒ちひろ撮影
 男性を基準につくられていた装備や設備の改善を進める一方で、採用や配置は個人の能力に応じて行い、必ずしも男女同数を意味するわけではない。それでも、徴集兵の女性比率は空軍で50%、海軍で45%に達し、陸軍でも26%まで上がっているという。
 6万人から15%の「狭き門」
 どのように徴兵が行われるのか。
 国民には17歳を迎える年に国防省から徴兵に関する電子メールが送られる。記載されたリンクから徴兵調査に回答する義務があり、学校の成績や性格、健康状態や運動習慣、趣味や兵役の志望度などについての55問ほどの質問に、複数の選択肢から選ぶ形で答える。回答は点数化され、上位3分の1ほどが次の選考に進み、体力・IQテストや健康診断、面接を受ける。合格するのは半分ほどで、高校卒業後に徴兵される。
 例えば、自分に軍が向いていると思うか? という質問に「いいえ」と答えれば、点数は低くなり、結果として徴兵される可能性は低くなる。毎年約6万人の対象から実際に徴兵されるのは15%ほどで、2024年は約1万1000人が入隊した。「選択的徴兵制」とも呼ばれる理由だ。
 ボー氏は、「幸運なことに、定員より多くの志望者がいる。もちろん、必要があればさらに多くを徴兵することは可能だ」と強調する。
 フリゲート艦内の談話室を案内するホークン・カルミルさん=2025年2月11日、ノルウェー・ベルゲンの海軍基地、荒ちひろ撮影
 家族や親族に兵役経験者が多く、兵役に就くのが当たり前だと思っていたと話すホークン・カルミルさん(21)や、徴兵調査に正直に回答しただけで、徴兵制や軍についてあまり知らなかったというフライシャーさんをはじめ、入隊の経緯はさまざまだ。昨年4月に入隊し、通信を担当するアーレ・ソグネスさん(20)は、特段希望していたわけではなかったが、「新しい経験を経て自分を成長させたいと思って臨んだ」と振り返る。
 兵役経験者の社会的評価の高さや、大学の入学選考での加点や奨学金といったメリット、入隊や除隊のタイミングに柔軟性をもたせるような軍側の工夫などを背景に、兵役を希望する若者は多い。実際、狭き門でもあり、海軍希望だったクリステンセンさんも17歳当時は面接に進めず、船の電気技師としての教育や経験を積んでから再挑戦したという。
 フリゲート艦内の談話室を案内するアイヴァン・クリステンセンさん。柱には、兵役を終えた先輩たちの名札が貼り付けられている=2025年2月11日、ノルウェー・ベルゲンの海軍基地、荒ちひろ撮影
 IT分野などの発展で、これまでの選抜方式では健康面などの理由から兵役に就けなかった若者にも門戸を開きたい、とボー氏は話す。「現代の軍隊で、すべての兵士が中距離走や腕立て伏せが得意である必要はない」
 多くの若者が兵役を希望し、経験を得て社会に戻っていくには、「軍は、社会の価値観を反映するものでなくてはならない」とボー氏は強調する。
 「重要なのは、国防が平時から『あなた』と『私』ではなく、『私たち』のものであること。ノルウェーでは社会の一部として肯定的に受け入れられてきた。徴兵制を導入してきた一番のメリットではないか」
 荒ちひろ
 朝日新聞GLOBE編集部記者
 仙台、奈良総局、東京社会部、国際報道部を経て2022年4月からGLOBE記者。難民問題への関心から、最近は日本の外国人政策や入管問題を取材。国境を越える人々を通して、「国」とは何かを考えています。
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 2021年8月10日 日本経済新聞「軍隊もジェンダー意識 欧州など、女性の徴兵広がる
 ダイバーシティ
 訓練を受けるイスラエルの女性兵士=ロイター
 「男女の性差なく、国を守る」――。様々な分野で女性の社会進出が進むなか、欧州などで国防分野でも女性の活躍に期待が高まっている。オランダでは男女を問わず17歳以上の国民が徴兵リストの志願対象になったほか、韓国でも女性の徴兵制を求める声が出ている。背景にはジェンダー平等推進の考え方や人材不足、軍隊の役割の多様化などがある。
 17歳になった直後のオランダのアマリア王女のもとに2020年12月、徴兵リストへの「登録通知書」が届いた。オランダでは徴兵義務はないが、18年の法改正で「国家にとって必要な事態」に備えて、20年10月から男女を問わず17歳以上の国民には徴兵リストへの「登録通知書」が送付されるようになった。
 オランダのバイレフェルト国防相=ロイター
 同国のバイレフェルト国防相は「女性と男性は平等の権利を有しているだけではなく、平等の責任も負っている」と国防における男女平等の観点の重要性を語る。在日オランダ大使館によると、軍隊は志願制だが、女性の人数を増やし、軍隊に興味を持つきっかけにしたいという狙いがあるという。オランダの成人年齢は18歳だが、軍隊は17歳から参加可能で、20年は21万2000人に通知書を送付、うち約10万人が女性だったという。
 欧州ではジェンダー平等推進の取り組みに力を入れる国が多い。15年にはノルウェー、18年にはスウェーデンで女性の徴兵が始まった。現在、女性は志願制のスイスでも軍に占める女性の割合を現在の1%未満から30年までに10%に増やす方針だ。
 中東のイスラエルでは、以前から男性は約3年、女性には約2年の徴兵を実施。25%の女性が士官級の役職に就いている。駐日イスラエル大使館のバラク・シャイン報道官は「イスラエルで男女平等の観点は非常に重要だ。女性も含め大半のイスラエル人は徴兵を重要な任務と考えている」と語る。
 様々な職業・職場での男女間格差の縮小・解消に加えて、少子化による人材不足の観点から、女性徴兵制に関心が高まる国もある。韓国では4月、大統領選への出馬を表明した与党・共に民主党の議員が女性の徴兵を提案した。男女問わず最長100日間の軍事訓練を義務付け、有事に備えた予備軍を編成する案だ。この提案を受けて、大統領府ウェブサイトに女性の徴兵制を求める請願が出され、約30万件の賛同署名が集まった。
 背景には、若い世代の男性が抱く根強い不満がある。女性の社会進出が進む一方で、男性は徴兵制によって学業や就業などで後れを取ってしまうからだ。景気低迷で就職難が深刻になるなか、「男性への逆差別だ」として不公平感が高まっている。
 韓国では20年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの推定数)が過去最低の0.84と、日本(1.34)よりも低かった。将来的に男性だけでは人材が補いきれない事情もある。
 テクノロジーの発展や軍隊が果たす役割の多様化も女性の参加を後押しする。今日の軍隊においては体力よりもハイテク機器を操るリテラシーの高さが問われる場面も多い。男性だけの部隊と男女混合部隊にパフォーマンスの差はなく、むしろ後者の方が効率が良いとする調査もある。
 一橋大の佐藤文香教授は「軍隊の任務自体が変わってきた。戦うことよりも国連平和維持活動(PKO)などケアや救済に重きが置かれている場合も多い。一般に女性が得意とされてきた共感能力や弱者へのケアが軍隊の任務効率をあげるとの見方もある」と語る。
 一方で、性暴力やセクハラなどの問題の対応など、男性社会ならではの慣習の見直しや組織内の意識改革などの取り組みは不可欠だ。
 16年の調査によるとノルウェーでは徴兵を終えた90%の女性が「志願制だったとしても軍隊に参加したと思う」と回答した。佐藤氏は「軍隊の外(の一般社会)でもきちんと男女平等が貫かれ、女性差別に厳しい対応を取る国では、徴兵された女性も軍隊での服務に対する満足度は高い」と指摘する。
 女性だけでなくトランスジェンダーへの対応も変化している。英国やカナダ、イスラエルなど20カ国以上がトランスジェンダーの入隊を認めるなど、多様性のある軍隊が世界の潮流になりつつある。
 (佐堀万梨映)
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 2024年1月21日 中央日報イスラエル、建国後初めて「最前線に女性兵士」…軍の性差別も崩れた
中央日報/中央日報日本語版
 米ニューヨーク・タイムズは19日、イスラエルガザ地区で本格的な地上戦に入った昨年10月末から女性兵士を最前線に投じていると報道した。
 イスラエルは女性にも兵役の務義務がある数少ない徴兵制がある国だが、女性兵士を最前線に投じたのは1948年の建国以来初めてだ。ユダヤ教の国であるイスラエルで女性兵士はこれまで核心戦力から除外されてきた。極右性向のラビ指導者と一部男性軍人の反対が大きかったためだ。
 イスラエル軍内の性差別批判が数十年間にわたり続き女性兵士の役割は次第に増えていった。最近では軍の職務の90%まで女性に開放されたが、最前線に投入される主要歩兵部隊やエリート特攻部隊は依然として女性兵士には閉ざされていた。ただ昨年10月7日のハマスの奇襲攻撃以降に状況が変わった。
 今回のガザ地区戦争に投入された混成部隊のひとつを率いる女性のアミット・ブシ大尉(23)はガザ北部の最前線基地で男女部隊員83人を指揮している。ブシ大尉は同紙に「その(性別の)境界は薄れている。軍でわれわれを必要とするのでわれわれはここにいる」と話した。
 女性兵士が最前線に投入され始めたのは、昨年10月7日のハマスの攻撃により民間人1200人以上が死亡し200人以上が拉致され、イスラエル国内で軍改革を要求する世論が高まったことが背景にある。また、奇襲当日に女性中佐が率いる混成歩兵部隊カラカルが国境を越えてきたハマスの戦闘員と12時間にわたる戦闘の末にハマスが周辺の集落を攻撃するのを阻止するなどの活躍像が知らされ女性兵士の役割拡大に期待が高まっている。
 最近のイスラエル民主主義研究所の世論調査によると、宗教を持たないイスラエル市民のうち女性の70%、男性の67%が戦闘に参加する女性兵士の数をもっと増やさなければならないと答えたという。
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