🐊14」─1─中国共産党の海洋進出と中国漁船の違法漁業。~No.78No.79 

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 中国における指導者の条件とは、経済として金儲けで豊かにしてくれる事と生活として食べ物を与えてくれる事である。
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 2024年9月5日 YAHOO!JAPANニュース Forbes JAPAN「水産資源と他国の主権を脅かす「中国の違法漁業」
 親イラン武装組織フーシ派による紅海での船舶攻撃は、世界貿易を混乱させ、大きく報じられている。だがこの問題は、世界の海上安全保障にとって最大級の脅威というわけではない。米国沿岸警備隊によると、世界の海上安全保障にとって最大級の脅威は、違法・無報告・無規制(IUU)漁業だ。この問題はかなり以前から、世界の食料安全保障および国際安全保障に対する脅威となっている。
 世界人口のほぼ半分にあたる推定33億人が、タンパク質の20%を魚介類から摂取している。そして、世界の漁業資源の93%が、限界またはそれを超えて漁獲されているか、激減状態にある。それだけではない。IUU漁業は多くの国際的な犯罪と結びついており、また中国による油断のならない軍事戦略とも関連している。
 各国政府は通常、IUU漁業の問題を環境問題としてとらえ、その対策に取り組んでいるが、それでは不十分だ。米国と国際社会は、この問題の法律・社会・地政学に関わる重要な側面に対処しなければならない。
 IUU漁業は大きなビジネスであり、ゆえに大きな問題だ。IUU漁業は、国際的な犯罪組織、人身売買、違法労働、強制労働、テロリズム汚職資金洗浄、脱税、詐欺、贈収賄など、数限りない悪事と結びついている。
 これらの犯罪組織と、彼らが国家や合法的な漁業者にもたらす年間数百億ドル規模の損害は、経済の安定を脅かし、国際犯罪に対する法執行活動に悪影響を及ぼす。最悪の場合、犯罪組織は、合法的な政府や国家主権を弱体化させかねない。
 中国は、IUU漁業を自国の軍事的・地政学的戦略に利用することで、これらの脅威をさらに増大させている。中国は、世界最大規模の遠洋漁業船団を有しており、その大部分が、同国の海上民兵組織としても活動している。これらの海上民兵は、主に民間漁船の乗員で構成されているが、彼らは、普段は漁業を営みながら必要に応じて中国軍の一部を担う「パートタイムの軍人」として位置付けられている。
 推定される海上民兵組織の規模は、数百隻から70万隻まで幅広い。これらの船舶は、情報収集、警戒監視、および偵察といった軍事能力を備えている。これらの船舶は、国際法で義務づけられている自動船舶識別装置(AIS)の信号を、戦略的なタイミングで常習的に切断することで知られている。
 海上民兵組織の船舶は、中国人民解放軍海軍および中国海警局とともに訓練し、それらの支援を担う。こうした活動は、セカンド・トーマス礁(フィリピン名:アユンギン礁)をめぐるフィリピンとの最近の対立や、尖閣諸島をめぐる日本との対立において、重要な役割を果たしている。これらの船舶は、領有権が争われている南シナ海の油田やガス田に侵入し、ベトナムやマレーシアを威圧する目的に使用されている。さらに2020年には、数千キロメートル離れたガラパゴス諸島周辺で、300隻の漁船団がAIS信号を切断して漁業活動を行っていたことが発覚した。中国は、こうした船舶を漁業に用いることもある一方で、常に力の誇示にも使用することで、排他的経済水域EEZ)における他国の権利を脅かし、国際的な安定を損なっている。加えて、中国による民間船舶の軍事利用は、戦争法の原則を損なうものだ。
 中国はまた、金を払って他国の国旗を掲揚できるようにすることで、IUU漁業を拡大している。これは「フラッギング・イン(flagging in)」と呼ばれるプロセスだ。 
 すべての船舶は、いずれかの国に船籍を登録しなければならず、船籍が置かれた旗国は、当該船舶が、国際法国際海事機関(IMO)の定める基準を順守することに責任を負う。他国の国旗を掲揚することは、多くの場合、合法的なプロセスであり、通常は、国営企業のCNFC(中国水産総公司)などが、海外と事業提携を結ぶことによって可能となる。それを認識している中国はこの方法を、ひそかに他国の海域に入り込み、いわば戦わずして勝つための明確な戦略に用いている。
 約250隻にのぼる中国所有の船舶が、他国の国旗を掲げていたことが判明
 米国の非営利報道団体「アウトロー・オーシャン・プロジェクト(OOP:Outlaw Ocean Project)」による最近のリポートでは、約250隻にのぼる中国所有の船舶が、他国の国旗を掲げていたことが判明した(筆者のもとには、他国の高官たちから、他の事例を示唆する情報ももたらされている)。OOPのリポートによれば、これらの船舶は、アルゼンチン、ガーナ、ケニア、モロッコ、ロシア、イランなど、世界中の国旗を掲げている。うち少なくとも50隻が、違法漁業や違法な輸送など、国際的な犯罪に関与しているという。
 IUU漁業とその関連活動がもたらす脅威に対抗するため、各国は、国際犯罪組織やその他の違法漁業に関わる組織のビジネスモデルを攻撃しなければならない。陸上に存在する問題の根源を攻撃する上では、法の戦略的活用、すなわち「法律戦」が不可欠となる。
 IUU漁業に関わる組織は、米国や他国の裁判所で起訴可能な、さまざまな国際犯罪に関与している。また、IUU漁業を支援し、そこから利益を得ている組織を標的にすることは、軍隊が船舶に乗り込んで捜査し、さらには裁判の証拠保全のため船舶を押収する方法に比べて、はるかにコストがかからず、危険も少ない。
 さらに各国は、IUU漁業の根底にある食料不足問題に対処するため、代替タンパク源を導入したり、菜食への転換を促したりしなければならない。
 中国の軍事的戦略に対しては、透明性を要求し、中国の有害かつ違法な取り組みを明らかにするべきだ。また、他国が自らの海洋権益を理解して行使し、ルールに基づく国際秩序を維持できるよう、支援を結集するべきだ。外交、法律、および法執行による解決がかなわなければ、主権者の権利を守り、漁業資源を保護するために、米国とパートナー国、同盟国の軍事力による関与が必要になるかもしれない。
 米国としては、「国連国際組織犯罪防止条約」や「国連海洋法条約」などの執行強化を推進しなければならない。そして一般市民は、自分たちの権利を学び、法律違反を認識して報告する訓練を受けることで、社会全体でこの問題と戦うアプローチに貢献することができる。
 IUU漁業は、自然保護の観点からだけでは解決できない。この問題を総合的に見れば、社会全体でのアプローチが必要であることがわかる。法律や法執行を用いた手段、そして、社会的手段のすべてをこの問題に投入しない限り、うまみのある後ろ暗いビジネスが横行し続けることは確実だ。漁業資源と主権の両方を守るためには、個々人が国家と協力して問題に取り組まなければならない。
 Jill Goldenziel
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