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ロシアは、日本人虐殺(主に女性や子供)と共に強奪した北方領土4島を日本に返す気は一切ない。
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2022年10月20日 YAHOO!JAPANニュース ニューズウィーク日本版「「一度手に入れたものは返さない」ロシア──日本に求められる「ごく普通」の外交とは?
<弱ると動くが、力を回復すればすぐに合意をひっくり返すロシア。「ロシアが疲弊すれば北方領土は返ってくる」といたずらに期待すべきではない理由とは?>【河東哲夫(外交アナリスト)】
1992年頃、モスクワでのことだ。ソ連崩壊後、混乱と疲弊の中にあったロシアは北方領土問題で譲るような姿勢を示し、日ロ間で真剣なやりとりが行われていた。日本大使館で広報を担当していた僕は、レセプションでロシアの友人に言われた。「河東さん、ロシアはいま弱っている。領土の話はロシアが回復するまで待ってくれ。いま譲っても国内で反発が出て話は絶対壊れる」と。
【動画】ウクライナ侵攻後の北方領土の様子
話し合いは続いたがロシアは譲らず、2000年代に原油価格の高騰ですっかり体力を回復すると、「北方四島のロシア領有は戦後の現実。これを変えることはできない」と言うようになった。「弱くても駄目、強くなると一層駄目。要するに一度手に入れたものは返さない」のがロシアの立場なのだ。
冷戦時代に膠着していた北方領土問題は、ソ連が弱体化したミハイル・ゴルバチョフ大統領末期に話が動き始めた。当時の小沢一郎自民党幹事長は多額の支援との引き換えに島の返還を図る案を進めた。しかし、91年4月に来日したゴルバチョフ大統領は領土では一寸も譲らず、ビザなし交流の開始を提案した程度にとどまった。
ソ連崩壊後のロシア大混乱のなか、ボリス・エリツィン大統領は北方領土問題を積極的に手掛ける姿勢で日本の気を引き、日本もロシアの民主化・経済改革を積極的に支援し始める。
93年10月に来日したエリツィンは「東京宣言」に署名し、北方四島の帰属について歴史的経緯を勘案し、法と正義の原則に基づいて解決していくと声明した。そしてエリツィンは97年11月、当時の橋本龍太郎総理と00年までには平和条約を結ぶことで合意するのだが、病気と経済混乱で99年末に辞任してしまう。
■「四島返還」の旗は降ろすな
続くウラジーミル・プーチン時代、日本は随分直接投資も行い、ロシア経済に真剣に対応した。それもありプーチン大統領は、エリツィンがあえて言わなかった56年の日ソ共同宣言(歯舞・色丹は平和条約締結後引き渡すと明示)の有効性を認める。
だがその後、日ロ関係はつるべ落としに後退し、米ロ関係も悪化を超えて敵対関係に入っていく。オホーツク海に長距離核ミサイル搭載の原潜を潜ませ、アメリカにいつも照準を定めているロシアにとっては、北方四島をおいそれと日米同盟の支配下に置きたくない。
それでも北方領土問題を動かそうとした安倍晋三元首相は結局失敗。22年2月に岸田文雄政権が制裁に加わったことで、翌月ロシアは日本を非友好国リストに入れ、9月には北方領土とのビザなし交流を破棄した。
ごく普通の外交を日本人はできるか?
日ロ関係もいつかは回復に向かうだろう。その時、北方領土問題をどうするか。経験が示すことは、ロシアが困窮すれば問題は動きはするが解決はしない、ということだ。領土問題が本当に動くのはロシアが分裂、あるいは日ロが戦略的な提携関係に入った時くらいなものだ。
だがロシアが分裂すれば北方領土は返ってくる、といういたずらな期待を持つべきではない。分裂した相手に領土を譲らせても、統一を回復すれば合意をひっくり返してくる。
だから日本にとっての王道は、「四島返還要求の旗は降ろさない。一方、日ロ双方の利益になる協力は進める」ということになる。過去の記憶が薄れるにつれ、「こんな島などロシアに譲ってしまえ」という声が国内で強くなってくるだろう。
それを説得し(譲って何のプラスになるのか)、粘り強く問題解決を要求し続け、かつ日本に役立つ協力関係は進める──こうした巧妙な、しかし世界ではごく普通の外交を日本人はできるだろうか?
河東哲夫(外交アナリスト)」
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10月23日 産経新聞「書評 北方領土はどうする『ウクライナの教訓 反戦平和主義が日本を滅ぼす』潮匡人著
『ウクライナの教訓 反戦平和主義が日本を滅ぼす』
「日本が北方領土を取り返す絶好のチャンスとも言えよう」。ロシアのウクライナ侵攻で始まった戦争をめぐり、日本はどう立ち回るべきか、さまざまな論評があるが、これほどはっきり核心を突いたものは他にあるだろうか。
ロシアは今、ウクライナを攻めあぐねている。極東の兵力をはるか西のウクライナへ差し向けるほどてこずっているらしいが、それなら当然、北方領土も手薄にならざるを得ないのだから、日本にはチャンスではないか、というのである。ウクライナが侵略されたのを奇貨として漁夫の利を得ようという火事場泥棒ではない。極東で日本が北方領土の不法占拠を脅かせば、ロシア軍はウクライナに集中できなくなるから、むしろウクライナを助けることになる。
これぐらいは軍事の専門家でなくとも思いつくはずだが、ロシアが怖いからか、憲法9条の精神に反するからなのか、大手新聞やテレビでは誰も言わない。そこで自衛官出身の直言居士、著者・潮匡人氏が書いたのだろう。
北方領土にかぎらず日本の軍事外交について幅広く展開される本書の反戦平和主義批判の中でも、この部分はハイライトといえるが、当然、数々の反論が予想される。怒ったロシアが日本に侵攻するぞ、核兵器を使うかも、中国を利することにもなる、そもそも米国が認めない…など。
ただ、本書は「すぐ北方領土に攻め込め」などと主張するわけではない。国際政治のオプションは数多くあり、日本はウクライナ侵攻という重大事を前にして、軍事的選択肢のメリット、デメリットを議論すらしないのかと批判しているのだろう。だから皮肉交じりにこうも書く。
「『力による現状変更』であり、『戦後教育に毒された世論』はもとより、多くの読者も『こうした行動を歓迎しないだろう』」
しかし、である。ならば、どうすれば北方領土を取り返せるのか。何もなさず、何も考えない、反戦平和主義の現実を突きつけるのが本書だ。(育鵬社・1760円)
評・菅原慎太郎(産経新聞プレミアム特任編集長)」
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