🎄64」─2─米CIAは真珠湾攻撃の反省から生まれた。情報戦に敗北していたアメリカ。~No.218No.219 ⑰

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 2022年10月3日 YAHOO!JAPANニュース クーリエ・ジャポン真珠湾攻撃の反省から生まれた米CIA 75年経って諜報員たちが語ることとは
 ブッシュ大統領(当時)の背後にある星は、任務で殉職したスパイの数だけある。CIA本部にてPhoto: Greg Mathieson / Mai / Getty Images
 日々報じられるニュースの陰で暗躍している諜報機関──彼らの動きを知ることで、世界情勢を多角的に捉えることができるだろう。国際情勢とインテリジェンスに詳しい山田敏弘氏が旬のニュースを読み解く本連載。
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 今回取り上げるのは、世界最強とも言われる情報機関CIAについて。スパイといえばまず頭に浮かぶ人が多いであろう同機関が今年で設立75周年を迎えたことを受け、スパイとポップカルチャーの関係をテーマにした講演が行われた。
 日本は「CIA設立」に関係していた
 世界で最もパワフルな諜報機関として知られるCIA(米中央情報局)。1947年に設立された同機関は今年、75周年を迎えた。
 アメリカのジョー・バイデン大統領は75周年記念の式典に出席するため、バージニア州ラングレーのCIA本部を訪問。そしてこれまでCIAのために殉職した局員らを追悼する「追悼の壁」の前でスピーチを行った。
 その日は7月9日で、前日には日本で安倍晋三元首相が暗殺される事件が起きている。安倍はアメリカとの関係が深い。祖父の岸信介元首相も戦後、CIAと協力関係にあったこともあり、筆者は何か「因縁」のようなものすら感じた。
 そもそもCIAは、第二次大戦時にいくつかの組織が察知していた真珠湾攻撃の情報を、アメリカ政府がきちんと「インテリジェンス」として活かせなかった反省から誕生した。日本もその設立に影響を与えているのである。
 もともと第二次大戦中は前身のOSS(戦略情報局)だったCIAは、1947年にハリー・トルーマン大統領が国家安全保障法に署名して設立された。
 そんなCIAの設立75周年記念イベントが最近、米ハーバード大学で行われた。その内容が興味深いものだったので、ぜひ紹介したい。
 スパイにとって何より大事なものは…
 ハーバード大学の新聞「ハーバード・ガゼット」は、イベントについてこう報じている。
 「75周年を記念して、CIAの元長官たちや元支局長、元諜報員、さらに学者や国家安全保障を取材するジャーナリストが集まり、インテリジェンスコミュニティについてさまざまな議論を行った」
 このイベントに参加した、CIAに27年間勤務した元諜報員スー・ゴードンは次のように語っている。
 「CIAの使命は、真実を知ること。ただ小さな真実ではなく、誰かにとっての真実ではなく、自分が信じたいことではない真実だ。地平線の先にあるものを見て、何かが起きてしまう前にリーダーたちが行動できるようにするために、活動する」
 このイベントでは「CIAとハリウッド」も話題になった。
 「CIAの仕事とは、一般的なイメージで言えば、テンポが早く、非常に目立つものだ。高速のカーチェイスをしたり、飛行機やビルの屋上から飛び降りたりするし、銃撃戦や建物の爆破などが起きる」
 「だが元CIA職員のアレックス・フィンレーによれば、現実には『CIAのルールでは基本的に、銃が出てきたり、何かが爆破したりするようなことがあれば、その作戦はとんでもない失敗を意味する』という」
 エンターテイメントの世界ではそもそも、CIAは間違って描写されているということだ。フィンレーいわく、CIAの作戦がきちんと成功に終われば、その作戦を部外者が知ることは決してないという。
 元諜報員もイベントでこう発言している。
 「ハリウッドでは、スパイものをアクション映画のジャンルとして扱うことが非常に多い。そんなことから結局、暗殺やカーチェイス、悪い諜報員などが登場することになります」
 「しかしスパイの話というのは、裏切りや信頼、さらに極限の緊張の中における不完全な人間についてのドラマなのです。人間について、なのです」
 確かに、以前筆者が話を聞いた元CIA諜報員もこんなことを言っていた。
 「スパイの仕事というのは、人間関係が大事になります。情報を提供してくれる人との関係は、妻との関係か、それ以上。すべての責任を負うことになるのです。非常に人間くさい仕事だと言えるでしょう。スパイの仕事は、多くの人がイメージしているものとは違いますよ」
 日の目を見ない「本当に貢献した」スパイたち
 ポップカルチャーでは、スパイというのは悪者か異常者、ならず者のような描写がされることもある。そういったスパイたちが時に、ヒーローのように扱われていることもある。
 イベントでは、本当のスパイの仕事を知る上で参考になるような映像作品を、関係者たちが紹介していた。名前が上がったのは、たとえば『アルゴ』。これは1979年に発生した、在イランの米大使館での人質事件についての映画だ。
 また連続ドラマシリーズ『ジ・アメリカンズ』も紹介された。この作品は、アメリカ社会に深く溶け込みながらソ連のために長年スパイを務めてきた夫婦についての話だ。筆者も元CIA幹部から「絶対見るべきスパイ作品だ」と実際に勧められたことがある。
 そして『アルゴ』も『ジ・アメリカンズ』も、実話を基にした話だ。
 両作品とも、外国のCIAでの活動、または外国人スパイを取り締まるアメリカの防諜活動の「成功例」に関する話である。
 ハーバードの記事はこうまとめている。
 「何十年もの間、CIAはアメリカの外交政策の決定、いくつもの紛争、海外における危機において重要な役割を果たしてきた。第二次大戦終結後の1948年ベルリン封鎖から、現在のロシアによるウクライナ侵攻まで。だがその完全な歴史と仕事の数々は、成功に終わったものほど明らかにされることはなく、一般的に理解されることもない」
 もっとも、世界の国々にはそれぞれスパイ機関がある。それぞれが自国の利益のために、自分たちの歴史と価値観を背景にして活動している。たとえばロシアのスパイたちは、祖国を裏切った元同胞スパイを暗殺したりする。他の国でも、ライバル国の重要人物を暗殺するというような物騒な話もしょっちゅう報じられている。
 アメリカやイギリスで製作される「ポップカルチャーとしてのスパイ像」は、少なくともアメリカのCIA元スパイたちの見方では、多くの場合、実態を描写できていない。
 しかしそれも仕方がないことだろう。スパイの仕事というものは、その多くが白日の元に晒されることのない機密作戦だからだ。
 冒頭でバイデンがスピーチを行った会場にある「追悼の壁」には、殉職者の数を示した星が彫られている。だがその活躍も素性も機密だ。彼らによるアメリカへの貢献が映画になることは、決してない。
 Toshihiro Yamada」
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