- 作者:真壁昭夫
- 発売日: 2015/07/02
- メディア: 新書
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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
2017年5月17日 産経ニュース「【主張】「一帯一路」会議 覇権主義の危うさ拭えぬ
世界との共存共栄を唱える中国の習近平国家主席の言葉に、どれほどの説得力があったか。
習政権が最重要の国家戦略としている現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」をめぐり、初めて開いた国際会議が終わった。
共同声明では反保護主義をうたい、開放的で公平な貿易体制を推進することも記したが、違和感は消えない。
中国を世界の中心に置く新たな国際秩序は、経済、軍事両面での習政権の覇権主義傾向と密接につながるからである。これにより、中国が国際政治の影響力を強める危うさこそ認識すべきである。
日本は一帯一路が世界経済の健全な発展に資するものか、厳しく見極めねばならない。
安倍晋三首相は、一帯一路を資金面で支えるアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加について「公正なガバナンスが確立できるのかなどの疑問点が解消されれば前向きに考える」とテレビ番組のインタビューで語った。慎重な対応が求められるのは当然だ。
秋の共産党大会に向け、政権基盤の強化が必要な習氏は会議後、構想を全面展開する「新たな段階に入った」と成果を誇った。
新興国は自国のインフラ需要を支える中国マネーに期待し、先進国は中国市場への足がかりとしたい。参加した国にはそんな思惑もあろうが、中国の膨張路線への懸念が払拭されたわけではない。
中国の海外支援については、人権や環境への配慮を欠き、採算を度外視する弊害が指摘されてきた。軍事利用が可能な港湾整備などへの懸念もあり、「新植民地主義」と批判されている。
これに真摯(しんし)に応えなければ、習氏が「社会制度や発展モデルを輸出することはない」と語っても、額面通りには受け取れない。
中国があえて内政不干渉を掲げている点も要注意だ。ずさんな融資が相手国の腐敗の温床となっても、内政問題として意に介さぬつもりだろうか。
米国主導の既存の国際秩序に揺らぎがみえるなかで、中国は勢力拡張に動いている。トランプ政権の保護主義志向が、中国の覇権主義を利することにならないか。
会議の直前、米国が米産牛肉の中国輸出を取り付け、一帯一路の意義を認めた点も気になる。中長期的な対中戦略の構築に向け、日米間の緊密さが求められる。」
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6月2日 産経ニュース「【断末魔の中韓経済】過剰生産の輸出を企む「一帯一路」 いまだに日本にAIIB参加促す理由 三橋貴明
「一帯一路」をテーマに北京で開かれた国際会議後、中国の習近平国家主席は記者会見した=15日(ロイター)
中国経済は、現在も過剰投資問題に苦しめられ続けている。特にひどいのが粗鋼と石炭だ。(夕刊フジ)
2016年の中国の粗鋼生産量は、およそ8億トン。それに対し、粗鋼の生産能力は12億トンもあり、設備稼働率は7割を下回る。石炭の場合、16年の生産量がおよそ33億6000万トン。対する生産能力の方は、57億トンで、稼働率は6割未満である。
先月21日に閉幕したG20(財務相・中央銀行総裁会議)では、麻生太郎副総理兼財務相が中国経済について、「過剰生産や過剰投資が世界経済に混乱をもたらしている」と懸念を表明した。
実際、中国は過剰になった粗鋼製品を世界中にダンピング輸出しており、日本の鉄鋼メーカーも被害を受けている。しかも、中国は政府が輸出補助金を付与してまで、世界市場で不当廉売を続けているわけだから、悪質だ。
17年3月4日、米国の国際貿易委員会が中国産鉄鋼製品に関するダンピングを認定した。炭素鋼板の反ダンピング関税として68・27%、輸出補助金に対する相殺関税が251%。ステンレス鋼板・鋼帯の相殺関税は最大で190・71%という制裁関税が課せられることが決定された。
5月14日、中国が主導する「シルクロード経済圏構想」(一帯一路)の第1回フォーラムが開催された。一帯一路構想は、ユーラシア大陸を横断する巨大な経済圏を作るという中国の基本戦略だ。第1回フォーラムで講演した習近平国家主席は、一帯一路の沿線となる国々のインフラ建設に資金を提供するシルクロード基金に、新たに約9000億ドル(約101兆1510億円)を拠出すると表明した。
英紙フィナンシャル・タイムズは、中国の一帯一路構想について「中国経済のアンバランスを輸出することになる」と批判している。過剰生産に苦しむ中国は、一帯一路を通じて沿線諸国にインフラを輸出し、需要を確保しようとしているのだ。
すなわち、中国は一帯一路構想によって、シルクロード経済圏を構築し、巨大なランドパワーと化すと同時に、国内の過剰生産能力問題の解決を図るという、一石二鳥を狙っている。AIIB(アジア・インフラ投資銀行)にしても、もちろん中国の一帯一路のための資金調達手段に過ぎない。
中国は、いまだに日本に対してAIIB参加を促している。日本がAIIBに参加すると、中国を巨大なランドパワー化する一帯一路構想を、資金面でサポートすることになってしまうのだ。
日本では、中国の基本戦略を理解せず、AIIB参加を促す(=バスに乗り遅れる!など)幼稚な論調が実に多い。日本国が今後も主権国家であり続けるためにも、AIIBには決して参加してはならない。
■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書・共著に『2017年 アメリカ大転換で分裂する世界 立ち上がる日本』(徳間書店)、『中国不要論』(小学館新書)、『世界同時 非常事態宣言』(ビジネス社)など多数。」
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6月18日 産経ニュース「AIIB早期参加論が政府・与党内に浮上も 統治や審査能力に懸念、中国を利する恐れ
韓国・西帰浦で開かれたAIIBの第2回年次総会開幕式=16日(共同)
韓国・済州島で18日までの日程で開かれたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の年次総会では、AIIBの金立群総裁が「ドアは常に開いている」と述べ、日本と米国に加盟を促した。日本の政府・与党内からも早期参加を求める声が出ている。ただ、公正なガバナンス(統治)や融資能力などへの懸念は拭い難い。拙速な決定は中国を利する恐れがある。
政府はAIIB参加に慎重な姿勢を崩していない。だが、与党からは「後れを取らないうちに対応する心構えが必要」(自民党の二階俊博幹事長)などと早期参加を求める声があるほか、政府の一部にも参加に前向きな意見がある。
ただ、AIIBは習近平政権が掲げる現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を金融面で支えるものだ。同構想について、政府関係者は「経済的に協力すればいいという単純な話ではない」と警戒する。すでに中国はインド洋周辺諸国の港湾整備などを支援する一方で、その国の港湾に自国艦艇を寄港させるなど軍事的な野心を隠さない。
融資判断を行う北京のAIIB本部は常駐する職員が約100人と、日米が主導するアジア開発銀行(ADB)の30分の1程度にとどまり、加盟国の理事も常駐していない。審査体制や透明性に疑問符が付く中で、AIIBが返済能力を度外視した貸し付けをすれば「まともに貸していた方が割を食う」(麻生太郎財務相)恐れがある。日米政府は慎重に判断すべきだ。(田村龍彦)」
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