🐒30」ー1ー中国共産党とロシアによるハイブリッド脅威が自由・民主主義をむしばむ。~No.82No.83 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 キリスト教価値観による自由・民主主義は、マルクス主義価値観による独裁・権威主義に敗北する。
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 中国共産党は、日中友好を隠れ蓑にして、日本国内で蝗害を繰り広げている。
 日本を含む世界で活躍している中国企業の全てが、中国共産党の管理・支配されている。
 中国国内はもとより国外に生活する全ての中国人は、中国共産党の法律に従い中国への愛国心と忠誠心を誓い、居住する国の法律より中国の法律を守り行動する。
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 2025年7月26日 MicrosoftStartニュース ニューズウィーク日本版「民主主義をむしばむ「ハイブリッド脅威」──今そこにある見えない戦争
 一田和樹 デジタル権威主義ネット世論操作
 © ニューズウィーク日本版
 <ニュース、SNS、選挙、ジェンダー、移民──すべてが分断の火種となり、誰かの手で巧妙に操作されているかもしれない>
 「ハイブリッド戦」という言葉は、2014年にロシアが従来型の軍事侵攻とは異なる手法でクリミア半島を掌握した際に注目を集めた。その背景には、ゲラシモフ・ドクトリンの発表や、中国での『超限戦』の出版があったこともあり、従来の正規戦に非正規戦を組み合わせた「全領域での戦い」という概念への関心が高まった。
 ただし、その後この概念の定義は徐々に拡大・曖昧化し、現在ではかなり広義の意味で用いられている。
 ハイブリッド脅威とは何か
 ハイブリッド脅威とは、このハイブリッド戦から正規戦の要素を除いたもので、非正規な戦い全般を指し、多くは平時にも実行可能である。具体的には、認知戦、サイバー攻撃、自国技術の国際標準化をめぐる競争、法制度を使った争い、さらにはテロなど多岐にわたる。社会活動のあらゆる側面が武器化されつつあると言ってよいだろう。
 なかでも情報戦、認知戦、デジタル影響工作などは近年注目を集める分野であり、日本でもこれらに関する報道が増えている。一方で、これらの話題にばかり関心が集中し、ハイブリッド脅威全体の構造が見えづらくなっているという弊害も生じている。
 情報戦や認知戦、デジタル影響工作は、攻撃主体の特定(アトリビューション)やその効果検証が難しく、また他の攻撃と連携することで影響力を拡大する傾向があるため、個別にではなく総合的に捉える姿勢が重要となる。
 ハイブリッド脅威の源
 現在、グローバルノースの民主主義国家(米国やEU諸国、日本など)で顕著となっているハイブリッド脅威には、認知戦を通じた世論操作、ローンウルフ型や小規模組織によるテロ、また政治的暴力などがある。これらの多くは反主流派の個人や小集団を源とし、彼らはインターネットを通じて互いに影響し合いながら行動するようになっている。
 民主主義国の内部には、白人至上主義者、陰謀論者、極右勢力などさまざまな思想を持った反主流派が存在し、時に社会に大きな影響を及ぼしている。
 これらの集団は、反移民、反LGBTQ+、反リベラル、反ワクチンといった共通の主張を持ち、選挙不正や経済・エネルギー不安に言及することも多い。日本でもこのような主張を掲げる動きが増加しており、直近の参院選で気づいた人も多かったのではないだろうか。日本も例外ではないのだ。
 反主流派の一部は、海外からの介入に同調したり協力したりする場合があり、それがテロや政治的暴力に発展することもある。
 たとえばロシアがウクライナに軍事侵攻した際には、反ワクチンを掲げていた人々が突然親ロ、反ウクライナを発言しはじめる現象が見られた。これは、反主流派の多くがロシアに対して好意的であり、またロシアがそうした勢力に直接・間接に影響を与え、支援しているためである。
 ロシア以外には、イスラム過激派組織のIS(イスラム国)、アルカイダ、またはネオナチの思想を持つグループとSNS(とくにTikTok)上でつながりを持った若者らが、テロ活動に走るケースも増加している。
 紛争がつくるハイブリッド脅威の脆弱性
 ハイブリッド脅威の核のひとつである反主流派の多くは反移民を主張している。世界の移民状況を見れば、反移民がEU諸国や北米といった民主主義国にとって無視できない問題であることは明らかである。以下の二つの世界地図を見てほしい。
 一つは移民の比率(青が濃いほど割合が高い)を示した地図、もう一つは民主主義度(紫が濃いほど民主的)を示す地図である。先進的な民主主義国の多くで人口の10%以上が移民となっており、その数は今後も増えると見られている。
 民主主義をむしばむ「ハイブリッド脅威」──今そこにある見えない戦争
 © ニューズウィーク日本版
 民主主義をむしばむ「ハイブリッド脅威」──今そこにある見えない戦争
 © ニューズウィーク日本版
 アフリカや中東で紛争が発生すれば、ヨーロッパへの移民は増加する。同様に、ヨーロッパ内部で紛争が起きても移民は増える。つまり、紛争というのは移民の増減を人為的にコントロールする手段ともなりうる。
 もちろん、単に移民を増やすことだけを目的に紛争を起こすのはリスクが高く合理的ではないことが多い。しかし、別の目的で紛争を必要とする場合、その結果として得られる移民制御の効果も計算に入れられている可能性がある。
 たとえばロシアが、選挙に対する認知戦干渉の効果を最大化するためにウクライナへの軍事活動のタイミングを調整していたように、移民流入の時期を戦略的に操作していても不思議ではない。
 また、ヨーロッパの民主主義国に特に効果的なのは、地域内(ヨーロッパ)と域外(中東・アフリカ)から同時に移民を流入させることである。
 多くの国では、地域内移民に対しては寛容だが、地域外移民には否定的、という二重基準が存在する。ロシアのウクライナ侵攻時、こうした現象が顕在化し、国際的論争にもなった。移民受け入れをめぐって国内でも分断が深まる傾向にある。
 ここで確認しておきたいのは、移民そのものが問題なのではないという点である。
 むしろ、社会や経済の構造的な問題があるゆえに、移民がスケープゴートにされやすいのである。本質的な問題ではない移民が問題にされることで反発する人々が現れ、社会の分断はさらに進む。こうした分断があるところでは、認知戦やデジタル影響工作、反主流派によるテロや政治的暴力の効果は大きくなる。
 移民問題だけでなく、ジェンダー、選挙不正、経済不安など、民主主義国は多くの脆弱性を内包している。これらは単独でも攻撃対象となるが、それぞれが連携し合うことで、より破壊的な影響をもたらす可能性がある。
 社会が不安定になり、極右政党などが台頭して政権に影響を与えるようになると、民主主義と権威主義の狭間にある「アノクラシー」状態に陥る危険性が高まる。
 アノクラシーとは、制度的な未成熟さゆえに揺れ動きやすい政体であり、そこから権威主義へ逆戻りするケースが多い。たとえば2011年のアラブの春では、SNSを通じた民主化運動の成功が注目されたが、結果的には多くの国がうまく移行できず、権威主義へと回帰した。
 また、2021年のアメリ連邦議会襲撃事件も一時は失敗と見なされたが、その後、偽・誤情報対策の弱体化、歴史認識の改ざんが進み、最終的に2024年にはトランプが再選される事態となった。
 民主主義の状態を示すV-Demのデータでは、2024年時点で民主主義から権威主義への変化(ベルターン)が27カ国、権威主義から民主主義への変化(Uターン)が12カ国にとどまっていた。数だけでなく、母数に対する割合で見ても、民主主義は構造変化が起こりやすく、権威主義に転じた後は元に戻りにくい傾向があるということである。
 アノクラシー化を避けるには、全体としてのハイブリッド脅威を正しく理解し、相互に連携した対策を講じる必要がある。
 権威主義にとって有利な「時間」
 民主主義の弱体化は長らく指摘されている課題である。近年、多くの民主主義国の政治家が「偽・誤情報は民主主義の脅威である」と口にするようになった。我が国の政治家も例外ではない。偽・誤情報が脅威に映るのは、社会そのものに脆弱性が存在するためで、偽・誤情報をモグラ叩きのように否定していても問題は解決しない。
 しかし、民主主義国においては、問題に対処するためには手続きや議論を経る必要があり、制度改革が即座に行われることは少ない。加えて、人権などに対する配慮も求められる。一方で、権威主義国家は迅速な意思決定が可能であり、柔軟に対応できる。この非対称性がある以上、民主主義は常に劣勢に立たされる。
 「時間」は民主主義にとって不利に、権威主義にとって有利に働く。同じコストをかけても、民主主義は遅れを取りやすい。したがって、民主主義が対抗するには、より多くのリソースを投入し、戦略的に備えることが求められる。「同等に戦うためには、相手よりはるかに多くのリソースを投入しなければいけない」という現実を直視しなければならないのである。
 さもなければ常に後手に回り、じりじりと後退し、国内の反主流派によって民主主義を失うことになる。アメリカはそうなった。EUもその道を進みつつある。我が国は欧米を轍をたどることが多かったが、いまそれを行うのは民主主義を捨てることに等しい。
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