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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
欧米で起きている移民対立は、将来日本でも必ず起きる。
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世界のバスは、移民排斥・難民拒否へと動いている。
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2025年4月6日 YAHOO!JAPANニュース 産経新聞「フランス、旧植民地アルジェリアと「移民対立」 強制送還の受け入れ求め、こじれる関係
フランスのマクロン大統領
フランスと旧植民地アルジェリアが移民問題で対立を深めている。仏側がアルジェリアに強制送還の受け入れを求めるのに対し、アルジェリアは「押し付けるな」と反発し、批判の応酬が続く。マクロン仏大統領は旧植民地との関係改善を目指してきたが、歴史に根ざす確執克服の難しさが浮き彫りになった。
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■国外退去、実現1割以下
「移民対立」が火ぶたを切ったのは今年1月。仏当局が南仏在住のアルジェリア人を「交流サイト(SNS)で暴力を扇動した」として逮捕し、強制送還しようとしたことだった。アルジェリア政府は受け入れず、身柄は飛行機でフランスに戻された。
2月にはイスラム過激派とみられるアルジェリア人の男が仏東部でテロ事件を起こし、1人を刺殺した。テロ礼賛の言動で有罪判決を受け、強制送還の対象となった人物だと発覚。バイル仏首相は「アルジェリアに10回受け入れを拒否された」となじり、圧力をかけるため、強制送還の対象者約60人の名簿を突き付けた。アルジェリアは取り合わず、仏閣僚や与党重鎮から「わが国への侮辱」「対抗措置を」など怒りの声が出た。仏統計によると昨年、アルジェリア人不法滞在者は国別最多の約3万4千人で、国外退去に至ったのは約3千人にとどまる。仏側にくすぶっていた不満が噴出した形だ。
■国境紛争で態度硬化
今回の移民対立には伏線がある。昨年夏、アルジェリアとモロッコの国境紛争で、フランスがモロッコ寄りの姿勢を表明したことだ。米国やスペインと歩調を合わせたものだったが、アルジェリアのテブン大統領は激怒し、駐仏大使を召還した。テブン氏は移民問題ではかねて強硬派で、仏紙との会見で「アルジェリア人は(フランスが植民地支配を続けた)132年分のビザ(査証)をもらってもよいではないか」と歴史に重ねて皮肉を言ったこともある。
仏在住のアルジェリア人は約87万人で、2世を加えると約200万人とされる。モロッコなどほかの旧植民地と異なり、フランスが2国間協定により家族呼び寄せで優遇措置を認めたことが背景にある。アルジェリア移民の多くは両国に親族を持ち、経済交流の担い手となっていることから、故国での影響力は強い。ビザ削減や協定見直しをほのめかす仏側に、アルジェリア政府は対抗姿勢を示さざるを得ない。
■「未来志向の関係」難航
アルジェリアは1962年、フランスから独立した。血みどろの独立戦争の記憶が残り、両国関係は常に緊張をはらんできた。
マクロン氏はアルジェリア独立後に生まれた初の仏大統領で、未来志向の関係作りを目指してきた。2017年の大統領就任直前、植民地支配は「人道に対する罪だ」と発言し、右派の反発を浴びながらも相手国の感情に寄り添おうとした。仏当局がアルジェリアで独立派を拷問してきた歴史を認め、両国の歴史家による共同研究も提唱した。
今回の移民対立でマクロン氏は「敬意を持って対話を」と述べ、アルジェリア批判を続ける閣僚をけん制した。3月31日にはテブン大統領と電話会談を行い、関係改善に向けた共同声明を発表した。ロシアや中国が北アフリカで影響力を強める中、外交関係を重視したとみられている。一方、仏世論調査では8割が「強制送還に協力しないなら、ビザ発給を差し止めよ」と強硬策を求めた。国民の不法移民への不安が広がる中、マクロン氏は難しいかじ取りを迫られる。(パリ 三井美奈)
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4月26日 YAHOO!JAPANニュース All About「10人に1人が「移民」のフランスで今起こっていること。現地在住の日本人が肌で感じる「分断の気配」
欧州では、いくつかの国が厳しい対策を取る一方で、今も世界中から移民が集まり続けています。フランスもその1つですが、実際の生活や日常はどうなのか。在住者が現地からリポートします。(写真は筆者撮影、以下同)
移民の受け入れ問題は、日本を含め、今や世界中で大きな社会テーマとなっています。近隣諸国と陸続きのフランスも例外ではありません。移民との関わりも大変深く、ヨーロッパの中では最も長い歴史を持つ国だと言われています。
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特にフランスは、戦後1945年から1975年までの「栄光の30年」と呼ばれる高度成長期に、労働力を補うために大量の移民を受け入れてきました。それから半世紀以上が経った今では、移民2世、3世の人口も各地で増加しています。
◆10人に1人が移民のフランス
2024年にフランス国立統計経済研究所(INSEE)が発表した報告によると、2023年のフランスでは約730万人の移民が居住しており、総人口の10.7%を占めています。このうち、到着後にフランス国籍を取得した移民は約250万人。いずれにしろ1975年の移民総人口7.4%から比べると、彼らが占める割合は確実に増加傾向にあります。
移民の出身地別で見てみると、移民の48%がアフリカ地域出身、32%がヨーロッパ出身、14%がアジア出身、6%がアメリカ・オセアニア出身となっています。年齢層では25歳から54歳がほとんどで、女性が男性よりもやや多いとのこと。特にアフリカ地域では、かつてフランスの植民地であったアルジェリア、モロッコ、チュニジアの「マグレブ」3国出身者がとても多く、労働力として積極的に受け入れてきた歴史があります。
しかしながら、この統計は外国生まれの移民のみなので、フランスで生まれた移民2世や3世、そして難民の数も含めると、その割合は10人に1人どころではなくなりそうです。移民の教育水準も自国民より格差が顕著になっていて、36%が低学歴、うち27%が高卒者と言われています。
◆フランスにおける移民問題の深刻さ
筆者自身の肌感覚でも、移民の存在感は「10人に1人」をはるかに超えていると感じます。かくいう筆者も、もちろん移民の1人。世界中から多様なバックグラウンドを持つ人々が集まるフランスの日常は、数字だけでは伝わらないエネルギーに満ちあふれています。とはいえ、異なる文化背景を持つ人々が集まる社会では、その交差点で価値観の衝突や摩擦が起きていることも否定できません。
例えば、移民に関連する事件で、フランスの社会問題にも発展した大きな出来事が2023年にありました。パリ郊外で、車を運転していた17歳の少年が検問中の警察に射殺されたのです。少年はアルジェリア系移民の2世でした。
パリ郊外は貧困層や移民が多く暮らす地域で、貧富の差がはっきりと現れています。警官も多く配置されていて、昔から衝突の絶えない場所ではありました。
そこで起こっているのは、移民1世である親の世代から受け継がれてきた、さまざまな差別に対する移民2世の「不満と憤り」です。彼らはまた、自身のよりどころがフランスにも祖国にもないという「アイデンティティの欠落」にも悩まされている世代。こうしてフランス生まれの移民子世代の中には、どこにも居場所を感じられずに苦悩を抱え、結果的にフランス社会そのものを憎んでしまうという層が少なからずいるのです。
2023年の少年射殺事件をきっかけに、不満を募らせている人々がフランス中で暴動を起こしました。失業問題や社会的不平等に反発する声を高らかに上げ、移民2世の若者を中心に大きな暴動へと発展したのです。
しかし、こうした放火、破壊、略奪などの暴力行為は初めてではありません。自国フランス人の間でも「いい加減にしてほしい」と批判が強まっています。昨今の右傾化、特にフランスの極右政党が支持を集めている理由には、上記のような事件が長年にわたってフランス社会を脅かしていたためでしょう。フランスの極右政党「国民連合」は、移民に対して厳しい公約を掲げている政党としてよく知られています。
◆二極化する意見。フランス人が移民に思うこと
もちろん、全ての移民が問題を起こしているわけではありません。大多数はこちらで働き、フランス語を話し、フランス社会に溶け込みながら普通に暮らしています。実際にトラブルを起こすのは、全体で言えばごく一部の層でしょう。
移民から帰化し、フランス国籍を取得した人々の中には、問題を起こす層を「迷惑だ」と厳しく非難する人もいます。「移民の移民に対する風当たりが強い」という現実は、実際にこちらで暮らして初めて知ったことでした。自分は真面目に生活しているのに、彼らのせいで自分にも偏見の目を向けられる——こうした別の不満は、移民の多いフランスならではの感情かもしれません。
一方では、フランスの各地でハラルフード(イスラム教の教えに則った食品)の肉屋が増加している現実もあります。イスラム教徒の多いフランスでは、ハラルフードはごく当たり前の存在。ですが最近では、逆に「自分はフランスの伝統的な肉屋でしか買わない。彼らを守りたい」という地元フランス人の声も、ちらほら聞くようになりました。
前述したのは一例ではありますが、今のフランスでは、移民に対する見解があちこちで鋭く二極化している印象を受けます。それは単に「良いか悪いか」を問う次元ではなく、より複雑で、個々の思想の深いところに根ざしたもの。フランス社会を静かに分断しかねない危うさすら感じます。
◆フランス社会では、「腫れ物に触る」ような慎重さが求められている
というのもフランスでは、移民問題はときに差別を助長するとして、非常にセンシティブなテーマとなっています。例えば、先に挙げたように、「ハラルではなくフランスの伝統的な肉屋でしか買わない」と公言すれば、それだけで差別的と受け取られ、批判の対象となってしまう可能性があるのです。
日本ではあまり考えられませんが、移民がマジョリティ化しているフランスでは、ちょっとした「悪気ない」発言が差別になりかねません。差別発言がきっかけで減給になったり降格処分になったりするケースもあります。だからこそ移民を巡る話題には、日本語で言う「腫れ物に触る」ような慎重さが求められるのです。
「それならば、もう何も触れないほうがいいのではないか」と、移民問題をタブー視する人も多いです。自らの思いや考えを口にできず、実際は見て見ぬふり。心の内にため込んだ結果、匿名のSNSの世界だけが過激になっていく……。これが、今のフランスで実際に起こっていることです。
筆者が「フランス社会を静かに分断しかねない」と記したのは、まさにこうした背景を踏まえてのことでした。移民という繊細なテーマに触れることを避ける姿勢こそが、かえって状況を複雑にし、対話の機会を遠ざけ移民子世代の暴徒化につながっている。自治体も行政もどこから手を付ければいいのか分からない……。フランスで暮らす筆者が肌で感じた現実は、思ったより解きほぐしがたく、痛みを伴うものでした。
日本も含め、現在の世界では移民問題が避けて通れない社会テーマになっています。フランスは規模的にも歴史的にも移民と深いかかわりを持つ国ですが、現在ではそれが「良いか悪いか」という段階を超え、「共に暮らす」という営みの本質が問われているように感じます。
この記事の筆者:大内 聖子 プロフィール
フランス在住のライター。日本で約10年間美容業界に携わり、インポートランジェリーブティックのバイヤーへ転身。パリ・コレクションへの出張を繰り返し、2018年5月にフランスへ移住。2019年からはフランス語、英語を生かした取材記事を多く手掛け、「パケトラ」「ELEMINIST」「キレイノート」など複数メディアで執筆を行う。
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