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2023年3月18日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「誘拐した人間を“バラバラ死体”にして薬の材料に…中国で起きていた「人身売買」の恐ろしい現実
昭和初期の満州を舞台に、アヘンの密売を描いたクライムサスペンス『満州アヘンスクワッド』(原作/門馬司、漫画/鹿子)。1931年9月18日の満州事変を契機に現在の中国東北部に成立した満州国は、アヘンで栄えアヘンとともに滅びたと言えるだろう。
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そんな約100年前の満州の「裏社会」では、いったい何が起こっていたのか……? 『昔々アヘンでできたクレイジィな国がありました』より、当時の満州の社会事情を紹介しよう。
闇市場で「人間」はいくらか?
『満州アヘンスクワッド』にて、母親がペストに感染して虫の息となったとき、主人公・日方勇はサルファ剤を求めて奉天の薬局を訪れますが、200圓という金額を聞いて絶句します。
「そんな大金とても……」
そう言う勇に対し、薬局の店主は笑みをたたえながら、さらに驚くべきことを口にしました。
「目玉は眼病、胃袋は臓器系、脳みその蒸し焼きは万病に効く」
回は進んで、哈爾濱の大観園では、臓器目当てで子どもが殺される現実が描かれていますが、これらはすべて現実に起こり得た話です。
誘拐ビジネスは1930年代を通して盛んで、人質は「肉票(ロウピャオ)」と呼ばれました。肉票ひとり当たりの相場は5~10元。指定期日までに身代金が支払われなければ、その20倍くらいの金額でよそへ転売されます。
人間の目玉を“服用”すると…
肉票の運命は、女性であればまず風俗店行き。男性や子どもの場合、奴隷同然の重労働か、薬の原料にされるかの、恐るべき二択でした。日方勇をからかった薬局の店主もそういう闇のルートを利用していたのでしょう。
動植物や鉱物だけでなく、人体をも生薬の原料とみなす。中国では古くから医療現場で実践されてきたことですが、中国本草学の集大成とも呼べる大著、李時珍(リーシーチェン 1518 ~1593年)という医師が著した『本草綱目』の中には、具体的な部位と効用が記されています。
詳細は省きますが、生薬の材料として挙げられているのは、人毛、爪、垢、骨、口腔、分泌液、排泄物、血液、結石、胎盤とへその緒、ミイラ、人肉、内臓、陰茎、魄ハク、気で、「魄」は心を落ち着かせるのに、「気」は腎機能の低下、骨関節の痛み、鼻血に効果ありとされ、目に見えないものまで処方していたことがうかがえます。
眼球や脳みそへの言及は見当たりませんが、民間療法ではもっともらしい理屈をつけられれば何でもアリ。「目玉は眼病」に、という組み合わせは、いかにももっともらしい組み合わせです。
脳みそは全身に指令を発する器官ですから、それが万病に効果ありというのも何となく説得力があります。蒸し焼きと指定しているのは、形状が饅頭(マントウ)に似ているからでしょう。和菓子の饅頭とは違って、中に具のないやつです。
作中では、真阿片が切れてしまったけれど、もう売るものがないという妻に、昊天の主人が、「闇商人に目玉や臓器を売れば、いい金になるぞ」と伝え、妻も「素晴らしい考えね、あなた」と応じていますが、果たして誰の眼玉や臓器を売ったのやら。
一度吸ってしまったが最後、死ぬまで中毒から立ち直れないとも言われる禁断の麻薬「アヘン」。続く連載記事『キマると支離滅裂に…一瞬で「理想の世界」に行ける麻薬「アヘン」のヤバい作用』では、そんなアヘンを服用してしまった人の「ヤバすぎる言動」について紹介する。
島崎 晋(歴史作家)
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