🔯48」─1─ヨーロッパでは「悪魔祓い」「エクソシスト」がいまでも超大忙しだった…! その意外な実態。~No.169No.170No.171 

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 日本におけるエクソシストとは、死霊憑きや生き霊憑き、狐憑きや犬神憑、その他である。
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 日本民族の宗教には、西洋のゾンビや中華(朝鮮・朝鮮)のキョンシー
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 2022年11月6日 MicrosoftNews 現代ビジネス「ヨーロッパでは「悪魔祓い」「エクソシスト」がいまでも超大忙しだった…! その意外な実態
島崎 晋
 エクソシストは実在する
 2009年の連載開始から、既刊27巻の累計発行部数は1700万部を突破。テレビアニメも第2期まで放映され、劇場版も1作。集英社の人気漫画『青の祓魔師(あおのエクソシスト)』は、新巻の発売とテレビアニメ第3期の放映が待たれている。
 © 現代ビジネス
 ここではエクソシストの日本語訳として「祓魔師」という見慣れない言葉があてられているが、一般には「悪魔祓い」とされることが多い。
 単に「エクソシスト」と表記して問題ないくらい、日本人はこの外来語に馴染んでいる。その出会いがあまりに強烈だったからだろう。
 1973年に製作、日本ではその翌年に公開されたアメリカ映画『エクソシスト』。この作品がもたらしたインパクトは実に強大だった。ホラー映画の一大ブームを巻き起こし、『ヘルハウス』『オーメン』『キャリー』『家』などアメリカのホラー映画が続々と上陸。どれも大ヒットを記録した。
 先陣を切った『エクソシスト』はリスペクトの対象となり、正統な続編が何作も作られたうえ、「エクソシスト」の名を冠した作品、エクソシストを題材にした作品はゾンビ映画同様、一つのジャンルとして確立したかのように見える。
 このような流れのなか、2017年に公開されたイタリア・フランス合作の『悪魔祓い、聖なる儀式』と、2018年にNetflixで配信された『悪魔とアモルト神父 現代のエクソシスト』の二つは異色の作品だった。どちらも実在するエクソシストを追ったドキュメンタリー映画だったのである。
 前者で取り上げられているのはシチリア島のカタルド神父、後者のそれはバチカンで「主任エクソシスト」を務めたローマ教区のガブリエーレ・アモルト司祭である。
 つまり、エクソシストは実在する、それも現在進行形で。
 エクソシストは「数百人単位」でいる!
 信じられない読者もいるだろうが、カトリックの総本山であるバチカン市国教皇庁は悪魔の存在を公式に認め、ローマ郊外にある教皇庁立レジー使徒大学ではエクソシスト専門の講座も開設され、一般人にも開放している。
 新聞社のローマ特派員としてバチカンへの取材を重ねた郷富佐子著『バチカン――ローマ法王庁は、いま』(岩波新書)によれば、講座の内容は「聖書と神学における天使と悪魔」「悪魔からの短期、長期的な解放」「エクソシストが直面する危険性」「オカルトと悪魔主義者」などからなり、講師は現役エクソシスト神学者が務める。最終試験に合格すれば修了資格がもらえるが、残念ながらそれでエクソシストになれるわけではない。なれるのはカトリックの神父だけという。
 同じく同書によれば、2007年の時点でイタリアには300~400人のエクソシストがおり、悪魔祓いを求める人は年間数十万人に及ぶ。
 相談者たちのなかで、本物の「悪魔つき」である例は極めて稀で、そこには以下の特徴が見られる。
1.突然、知っているはずがない外国語を話し出す
2.年齢などからみてありえない怪力を示す
3.物理的に不可能な動作をする
4.十字架など神聖なものを怖がる
 本物かどうかの見極めは難しそうだが、相談者の増加を受けて徒手傍観するわけにはいかず、バチカンは1999年に、エクソシスト向けのガイドラインを1614年以来初めて改訂した。それによると、いきなり悪魔祓いをするのでなく、精神科医と連絡を密にすることを義務づけ、医学的な治療を必要とする病人や「悪魔につかれた」と思い込んでいるだけのケースと区別をするよう定めたという。
 インタビューをもとにした文章であれば、聞き手と話し手が変われば細部に違いが出るのは仕方のないことで、『文春オンライン』で今年の6月10日に配信された『「この娘は俺が自殺させるんだ」「サタンよ、神の力を認めよ」なぜ人は“時代遅れ”の悪魔祓いを頼るのか フランスには現役エクソシストが100人以上…』(ジャーナリスト柳下雄大)では、本当に「悪魔につかれた」かの判断基準を以下のように記されている。
1.声が変わり、床を這い回るなどの異常な行動
2.話せないはずの言語をしゃべる
3.知っているはずのないこと(行ったことのない場所で起きた出来事の詳細など)を知っている
4.キリストやキリスト教に関する事象への激しい嫌悪
5.異常なまでに強い物理的な力
 郷富佐子著では、本物の「悪魔つき」の特徴が4つ、5つ挙げられているが、子細に読めば内容は完全に一致していると言っていい。1973年製作『エクソシスト』に出てくる描写とほぼ同じで、同映画を手本にそっくりに演ずることは不可能との判断によるのだろう。
 映画『エクソシスト』では、言動に異常をきたした少女を病院に連れていくが、精密検査では何の異常も見られず、精神科医によるカウンセラーも効果なし。暴力と怪奇現象がエスカレートし、頭の180度回転と空中浮遊を見せられるに及んで、少女の母親はエクソシストへの依頼を決意した。
 エクソシスト、大忙し
 現在のカトリック教会は明確なガイドラインを示しているから、実際に悪魔祓いが行われるのは、すべての条件に当てはまったうえ、精密検査や精神科医によるカウンセリングを経てなお原因もわからなければ、何ら改善も見られない場合となる。
 柳下雄大氏の記事では、「歴史的にカトリック教国であるフランスには、全国におよそ100ある教区に必ず1人以上のエクソシストが存在する」とした上で、首都パリを含むイル・ド・フランス地域圏の教区のエクソシスト、ジャン・パスカル・デュロワジー神父の「忙しすぎて猫の手も借りたい」という発言を取り上げ、さらに次のように記す。
 同じくデュロワジー神父の談話として、神父が忙しいのは本当らしく、悪魔祓いのために教会を訪れた人の名前で台帳はびっしりと埋まっている。神父の秘書の電話は「ほぼ鳴りっぱなし」で、毎日5人ほどは新たな依頼者が現れるという。「多いのは『誰かに呪いをかけられた』という相談だ。自分の人生の問題を解決するためにシャーマンや魔術師、霊媒師などに助けを借りて問題を悪化させた人たちがここに来るのだよ」とデュロワジー神父。
 柳下雄大氏の記事は悪魔の憑依に懐疑的な心理学者にも取材して、「悪魔の責任なら自分は悪くないからね。問題と向き合うことを避けようとする人間の弱さから来るものだと思います」というコメントを引き出しているが、心を病んでいる人びとにとっては、これこそ悪魔の言葉に聞こえるかもしれない。
 16万の悪魔を祓った!?
 バチカンで主任エクソシストを務めたガブリエーレ・アモルト司祭は2016年9月19日に呼吸器疾患のため91歳で亡くなっているが、訃報を伝えるAFP通信社の記事はその経歴を以下のように報じている。
 アモルト氏は「国際エクソシスト協会(AIE)を設立し、2000年に引退するまで会長を務めた。AIEには今日、30か国で活動する250人のエクソシストが所属している。
 2013年にはフランスの出版社が、人に「取りついた」悪魔を追い払うのではない祈祷の儀式を含め、16万件の悪魔払いを行ったとするアモルト氏本人の言葉を紹介。同年、著書『ラスト・エクソシスト──悪魔と私の戦い』がフランスで刊行された。
 アモルト氏はまた、人気児童小説「ハリー・ポッター」シリーズについて、子どもたちに黒魔術を信じ込ませるものだとして非難していた。
 バチカンは2014年にAIEを公認したが、カトリック教会の中には悪魔払いを疑問視する見方もある。
 ガブリエーレ・アモルト司祭への取材記事は他にもある。2012年7月に行われた日本記者クラブ主催の取材団報告のなかで新聞記者調査研究本部主任研究員(当時)の秦野るり子氏が発表したものである。
 そのなかで記者は、アモルト司祭が第二次世界大戦にはパルチザンとして銃を手にファシストと戦ったこと、戦後は少年時代から天職だと考えていた聖職者への道へと進み、1986年にローマ司教代理から呼び出され、当時のイタリアで最も有名だったエクソシストの元で修業するよう命じられたことなどに触れて、神父自身の体験として、「5万人から悪魔を払った」という功績に加え、悪魔祓いは超能力を使うものでもオカルトでもなく、悪魔に立ち向かう武器は唯一、「あつい信仰心」とのコメントを引き出している。
 ガブリエーレ・アモルト司祭ほどユニークな生涯を送った人であれば、世界のエンタメ界が傍観するはずはなく、バイオハザードやアンダールドなどを手掛けたアメリカの映画製作会社「スクリーン・ジェムズ」が人生と回顧録2作の映画化権を獲得しており、ラッセル・クロウに司祭を演じさせるホラー作品『The Pope's Exorcist(原題)』の撮影が9月からアイルランドで開始されている。
 雷神ソーや古代ローマの剣闘士を演じてきた彼が悪魔とどのような戦いを展開するのか、アモルト司祭の内面をどのように表現するのか、非常に楽しみである。」
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