₩96」─42─中国が狙う「金融強国」、日本に危機。  終わり。 ⓭  

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 2019年3月18日 産経新聞「【ビジネス解読】中国が狙う「金融強国」、日本に危機
 今後の経営戦略を説明する香港取引所の李小加最高経営責任者=2月28日、香港(ロイター)
 巨額の投資マネーを引き寄せる国際金融拠点として世界に冠たる力を誇る米国に中国が迫ってきた。英国の欧州連合(EU)離脱の動きがロンドン金融街に影を落とす一方、中国の習近平政権の政策も追い風に、香港が急速にマネーの吸引力を強めている。米中のはざまで、東京証券取引所を核とする日本は存在感を守れるのか、分岐点に来ている。
 ■NYと並ぶ金融センターに
 「中国と世界を結びつけ、アジアの取引時間帯で世界のリーダーを目指す」
 香港取引所の李小加最高経営責任者(CEO)は2月28日、2021年までの3カ年経営計画を発表。この中で中国本土との株式や債券の相互取引を一段と強化すると宣言した。
 上海や深●(=土へんに川)の取引所に上場する国有企業など、中国を代表する「A株」の先物商品を新たに提供し、海外投資家の中国株投資の利便性を高める一方、中国本土の投資家が、アジア企業の新規公開株や債券など香港取引所が扱う金融商品を円滑に売買できる仕組みを整備。高成長が続くアジア地域と巨大市場の中国、そして世界の投資家の3つを結ぶ「結節点」としての取引機能を拡充することで、ニューヨークに比肩する国際金融センターの地位を固めようという戦略だ。
 英調査会社のブランドファイナンスが2月にまとめた世界の取引所のブランド価値ランキングの最新(19年)版では、6年連続首位のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループをはじめ、上位5つのうち4つを米国勢が占めた。その米国勢に割って入り、ニューヨーク証券取引所を抜いて前年の3位から2位となったのが香港取引所だ。
 ブランドファイナンスの調査は、ビットコイン先物などの金融商品開発や最新IT技術の導入などで、米国勢の資本市場への影響力が依然強いことを示す一方、18年の新規株式公開(IPO)調達額で世界首位となった香港の台頭を「米国の支配を崩す」脅威とも評価する。
 香港取引所は新経営計画に合わせて、ITと金融を融合する「フィンテック」企業の深●(=土へんに川)市融匯通金科技の買収を決定。ビットコイン取引に使われている「ブロックチェーン」と呼ばれる先端IT技術や人工知能(AI)の活用にも布石を打っており、フィンテックへの取り組みでも米国勢を追い上げる。
 ■大湾区構想が後押し
 さらに、香港には中国政府の強力な後押しもある。習近平政権が推進する「ビッグベイエリア(大湾区)構想」だ。
 構想は、先端企業が集積する深●(=土へんに川)市を含む広東省と金融都市の香港、カジノや観光で有名なマカオを一体化した経済圏を35年までに構築する長期計画。このエリアをシリコンバレーのような世界規模の技術革新拠点とし、先進的な製造業を育成する「製造強国」政策の一環だ。また、構想には、人民元の越境取引など域内の金融市場の改革開放が盛り込まれており、香港を先陣に米国に対抗する「金融強国」を目指す中国政府の狙いも透ける。
 実際、中国政府の昨年来の金融・資本市場政策には米国のドル覇権に挑もうとする動きが目につく。
 昨年3月、上海先物取引所傘下の「上海国際エネルギー取引所」で始まった人民元建て原油先物取引は、原油の国際指標であるドル建てのWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)への挑戦。続く4月の中国預託証券の発行解禁は、ニューヨーク証券取引所に上場する電子商取引大手アリババなど、中国企業の米国取引所上場で逸していた投資マネーを奪い返す仕掛けだ。
 預託証券は、上場株式の預託を受けた金融機関が、これを裏付けに上場先以外の第三国で発行する証券。仮にアリババが中国本土の取引所に預託証券を上場すれば、中国当局の資本規制でアリババ株を自由に購入できなかった中国本土の投資家も、わざわざ米国に口座を開設することなく直接、人民元でアリババに投資できるようになる。
 市場では今年6月にもアリババや、検索エンジン大手の百度バイドゥ、米ナスダック上場)が中国預託証券の発行で“里帰り”上場するとの見方があり、投資資金の流れが大きく動く可能性がある。
 中国預託証券の登場は、本土の上海、深●(=土へんに川)両取引所と香港取引所の競争につながるとの指摘もある。中国の金融市場改革には課題も多いが、香港の「結節点」戦略を考えると本土取引所の活性化が相乗効果を生むようにもみえる。
 ■日本は存在感低下?
 英金融コンサルティング会社のZ/Yenが分析している、金融業で中心的な役割を持つ都市や地域の国際競争力を示す「世界金融センター指数(GFCI)」では、英国のEU離脱に備え、大手金融機関の機能流出が相次いだロンドンが昨年、首位をニューヨークに譲り、2位に転落。3位の香港に3ポイントの僅差に迫られた。香港の積極的な機能強化策を踏まえると、香港がニューヨークに肉薄する局面は遠くないかもしれない。
 翻って日本は、傘下に東証を抱える日本取引所グループ東京商品取引所の統合による総合取引所の実現や、東証の市場構造改革の検討が進んでいる。構造改革は現在の1部、2部、新興市場の再編もテーマだ。
 だが、香港取引所が、ロンドン金融金属取引所の買収で国際的な総合取引所体制を整えたのは7年も前。国際水準では、実現しても「当たり前」に過ぎない。
 焦点は、日本株の魅力を高める大胆な市場構造改革の迅速な実行だろう。それができなければ存在感の低下は避けられそうにない。(経済本部 池田昇)」」
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