🦎3」─3─日本、一帯一路構想に賛成参加派と反対批判派。~No.17No.18No.19 * ②

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  

 日本と一帯一路構想(新植民地主義)・AIIB(金融支配)。

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 2018年11月号 Voice「米中激突、日本の決断
 安倍総理、これはいっちゃダメ
 米中新冷戦の時代、日本の選択
 福島香織/石平
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 一帯一路がもたらす『中国のATM化』
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 福島 イギリスなど欧州の先進国も含め多くの国々が、儲け話がありそうだとお金に釣られて、一帯一路やAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加しました。一方で、そうした杜撰(ずさん)なシステムがもたらす結末を日米が予期し、甘い蜜に誘われることなく踏みとどまったのは正解でした。先進人権大国を自任するEU(欧州連合)諸国のメディアは、遅まきながら今年になって急に、一帯一路のことを『新植民地主義』と言い始めた。中国からすると、かつて植民地支配を行っていた欧州にいわれる筋合いはない、という思いでしょうが。
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 石 福島さんがしてきされたとおり、習政権が一帯一路を進めば進めるほど、国内の不満は高まり、経済力が弱まるという局面にきています。そして国際社会においては、一帯一路を『新植民地主義』だと批判している欧州だけでなく、アジアでもとりわけマレーシアやパキスタンで反発が高まっており、中国はいまや四面楚歌に陥っています。
 対米外交や一帯一路の失敗を挽回するために、習近平はいま日本に泣きついています。伝統的に中国は、アメリカとの関係が悪化すると日本に接近する傾向がある。逆にアメリカとの関係が安定すると、そうした必要性は薄れ、日中関係は動揺してしまう。1989年の6・4天安門事件で中国が国際社会から孤立したとき、江沢民政権は天皇陛下の訪中を取り付け、各国の信頼を回復する突破口見出しました。そうやって国際社会との関係が改善されると、反日的姿勢に傾倒したのです。
 この教訓を踏まえ、安倍総理に進言したい。中国との関係改善自体はもちろん何の問題もありません。しかし、日本政府として『一帯一路を支持する』などということは、くれぐれも口にすべきではありません。もし日本が一帯一路に関わってしまうと、中国の片棒を担いだ存在として欧州やアジア諸国から批判の対象になってしまう。これは米中貿易戦争の当事者であるアメリカに対する裏切りにつながり、日米同盟そのものを揺るがしかねない。火中の栗を拾うような愚策だけはけっして犯さないようにしてもらいたいと思います。
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 3月9日 産経新聞「「日本よ立ち上がれ」「一帯一路に関わるな」海外出身3論客語る 「正論」トークショーに850人
 「正論」トークショー。左から有元隆志・正論調査室長、呉善花氏、石平氏ケント・ギルバート氏=9日午後、東京都千代田区
 産経新聞社の月刊誌「正論」主催のトークショーが9日、東京都千代田区砂防会館で「日本よ立ち上がれ!」と題して開かれ、米国弁護士でタレントのケント・ギルバート、評論家で拓殖大教授の呉善花(オ・ソンファ)、評論家の石平の海外出身の3氏の議論に、約850人が耳を傾けた。
 米朝協議が合意に至らず米中貿易戦争も続き、東アジア情勢の行方が見通しにくいなか、呉氏は朝鮮半島情勢について「北朝鮮との恋に落ちてしまっている韓国を、日本が引き留めようとしても無理」と指摘。ギルバート氏は「トランプ米大統領は中国の習近平国家主席を引きずり降ろそうと考えているはず」として、米中貿易戦争は5年続くと予想した。
 石氏は、米中の対立が深まれば中国は日本にすり寄ってくるとして「日本は中国に接近しすぎないほうがいい。まして“ヤミ金融”というべき一帯一路計画に日本は絶対、関わってはいけない」と強調した。」
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 日本は、食糧・物資・エネルギーをアメリカ若しくはアメリカの影響下の国・地域から輸入し、金融・情報・サービスをアメリカに依存し、交通・運輸・運搬の安全・安心・安定をアメリカ軍に守られている。
 東アジア諸国に、アメリカに代わる国は存在しない。
 故に、日本は、アメリカとの安全保障条約を結び、アメリカの同盟国に留まるしかない。
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 日本国内には、実態が新植民地主義や金融支配であれ、儲かるのなら一帯一路構想やAIIBに参加したいと切望する人々がいる。
 彼らが求めるのは、国益や公益ではなく私益や民益である。
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 日本の歴史上、現代日本ほど最も政治・外交・経済・軍事の多方面で戦略能力が低下している時代はない。
 戦略能力低下は、戦前や戦中よりも数段劣っている。
 戦略能力の高い中国共産党から見れば、日本などは赤子を操るほどに扱いやすい。
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 歴史が嫌いな現代日本は、歴史を鑑とせず、歴史を教訓として学ぶ事が少ない。
 そして、何度も同じような失敗を繰り返し、そのたびに損害を被っても責任を隠蔽して反省をしない。
 それが、現代の日本人である。
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 中国共産党反日派勢力であり、中国軍は敵日派軍隊である。
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 10月25日 産経新聞「安倍首相、中国に到着 26日には習近平氏、李克強氏と会談
 北京国際空港に到着した安倍首相と昭恵夫人=25日(共同)
 【北京=原川貴郎】安倍晋三首相は25日午後、中国を公式訪問するため政府専用機で北京に到着した。この後、日中平和友好条約締結40年の記念レセプションで挨拶を行う。26日には中国の習近平国家主席李克強首相と会談する。一連の会談で、中国向け政府開発援助(ODA)の終了方針を伝え、第三国での人材育成などを念頭に置いた「新たな次元の協力」を議題とする考えだ。
 安倍首相は25日昼、訪中を前に官邸で記者団に対し「今年は日中平和友好条約締結40周年の節目の年だ。訪問を通じて両国関係を新たな段階へと押し上げていきたい」と述べた。
 習氏らとの会談では「胸襟を開いて、両国関係だけでなく、世界のさまざまな課題についてもじっくりと話し合いたい」と発言。習氏とは「朝鮮半島の非核化と、日本にとって大切な拉致問題の解決について連携を確認したい。自由で公正な貿易体制の強化や、東シナ海を平和、友好、協力の海にしていくことについても率直に意見交換を行いたい」と語った。
 日本の首相の中国訪問は、国際会議への出席を除けば平成23年12月の野田佳彦首相以来、約7年ぶり。」
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 10月26日18:26 産経新聞「日中が第三国での経済協力を確認 安倍首相も呼びかけ 企業関係者ら北京でフォーラム 
 中国の李克強首相(右)と握手する安倍首相=25日、北京の人民大会堂
 【北京=西見由章】中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を念頭に、日中の企業関係者らが第三国でのインフラ投資などについて話し合う両政府主催のフォーラムが26日、北京の人民大会堂で開かれた。安倍晋三首相と中国の李克強首相も出席し、タイでのスマートシティー開発など52件の事業協力に関する覚書の締結が発表された。次回は日本で開催することも決まった。
 安倍首相は約1千人が出席した全体会議で演説し「日中が協力して国際スタンダードに合致し、第三国の利益にもなるウィン・ウィン・ウィンのプロジェクトを形成していこう」と呼びかけた。
発表によると、タイ政府が推進する東部経済回廊(EEC)をめぐり、JFEエンジニアリングなどの企業連合が中国企業と連携してスマートシティーを開発。吉本興業は第三国を含む高度エンターテインメント人材育成に関する協力覚書を中国企業と交わした。
 ただ日中間の思惑のずれも浮かび上がった。一帯一路については「覇権的なにおいがある」(日本財界首脳)などと日本では警戒感が根強いが、鍾山商務相は両国首脳が「一帯一路の枠組みの下での第三国市場協力を展開することで合意している」と強調。一方、世耕弘成経済産業相は会合後に「あくまで日中の民間企業間での協力であり、基本的に一帯一路とは関係ない」と記者団に語った。
 また日中当局が「極めて大きな成果」(世耕氏)とアピールする一方、日本企業の幹部からは「すでに決まっていた事業を首相訪中に合わせて急遽(きゅうきょ)焼き直したものや、これから協議を詰めていくものが多い」と冷めた声も聞こえる。官主導で豊富な成果を演出したものの、新興国での投資はリスクも高く「外交関係だけでは解決できないところが大きい」(先の企業幹部)のが実態だ。」
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 10月26日18:34 時事通信社「中国、天安門に日の丸掲揚=「不快」反応も−安倍首相訪中
 【北京時事】安倍晋三首相が日本の首相として7年ぶりに中国を25日から公式訪問し、北京の天安門前には久しぶりに日本の国旗、日の丸が掲げられた。長年悪化していた両国関係が正常化した象徴的な光景だ。ただ、中国のネット上では「通常の国家同士の儀礼だ」という冷静な書き込みがある一方、「不快だ」と反発する意見も相次いだ。
 安倍首相の同行筋は26日、天安門前の日の丸掲揚について「日中関係が正常な軌道に乗ってきたことを歓迎したい。しっかり発展させていくことが大事だ」と述べた。天安門毛沢東が1949年に建国宣言を行った場所で、正面に毛の肖像画が飾られている。」
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 10月26日 01:00 産経新聞「日中通貨スワップは日米の信頼損なう 編集委員 田村秀男
 安倍首相の訪中を前に北京の天安門近くに掲げられた日の丸=25日(共同)
 米中貿易戦争を受けて株安連鎖が頻発する。最優先すべきは日米結束だが、安倍晋三首相は訪中して中国との大規模な通貨スワップ協定締結に応じる見通しだ。これは窮地に立つ習近平国家主席を側面支援することになりかねない。
 日本との通貨スワップ協定は習政権にとってまさに干天の慈雨である。今回のスワップ規模は、沖縄県尖閣諸島をめぐる日中関係悪化を受けて2013年に失効した旧協定の10倍、3兆円規模に上る。中央銀行同士が通貨を交換し合う通貨スワップ協定の実相は、金融市場が脆弱(ぜいじゃく)な国が緊急時に自国通貨を買い支えるための外貨確保手段である。中国が誇る世界最大、3.1兆ドル(約348兆円)の外貨準備は対外負債を差し引くと実質マイナスで、張り子の虎同然だ。そこに米国が貿易制裁で追い打ちをかけるので中国市場不安は募る。
 財務省や日銀は、対中進出の銀行や企業が緊急時に人民元を調達でき、利益になると説明するが、「日中友好」演出のための印象操作だ。1990年代後半のアジア通貨危機がそうだったように、不足するのは現地通貨ではなく外貨であり、困るのは現地の当局と金融機関、企業であって外資ではない。
 日本の対中金融協力は米国の対中貿易制裁の効果を薄める。トランプ米大統領には中国の対米黒字を年間で2千億ドル減らし、黒字が年間1千億ドルに満たない中国の国際収支を赤字に転落させる狙いがある。流入するドルを担保に元を発行する中国の金融システムを直撃するのだが、日本はドルとただちに交換できる円を対中供給する。
 トランプ政権は中国人民解放軍を金融制裁し、ドルを使ったハイテク、IT(情報技術)窃取の阻止に躍起だ。巨大経済圏構想「一帯一路」については「債務押し付け外交」であり、軍事拠点の拡大策だと非難し、アジア各国などに同調を促している。
 対照的に、日本の官民はハイテク分野での対中協力に踏み込む。経団連はインフラ設備と金融の両面で、一帯一路沿線国向けに日中共同プロジェクトを立ち上げるという。対中警戒心を強めているタイなどアジア各国も、中国ではなく日本がカネと技術を出すといえば、プロジェクト受け入れに傾くだろう。不確かなビジネス権益に目がくらんだ揚げ句、習氏の野心に全面協力するというのが、かつては国家意識の高さを誇った経団連の使命なのか。
 中国市場の拡大に貢献すれば日本の企業や経済全体のプラスになる、という「日中友好」時代はとっくに終わった。今は、中国のマネーパワーが軍事と結びついて日本、アジア、さらに米国の脅威となっている。トランプ政権が前政権までの対中融和策を捨て、膨張する中国の封じ込めに転じたのは当然で、経済、安全保障を含め日本やアジアの利益にもかなうはずだ。だが、通貨スワップなど、予想される一連の日中合意はそれに逆行するばかりではない。日米首脳間の信頼関係にも響きかねないのだ。」
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 10月26日06:00 産経新聞「対中ODA、戦後最大級の失敗 古森義久
 会談で握手する中国の習近平国家主席(右)と安倍首相=9月、ロシア・ウラジオストク(共同)
 日本政府が中国への政府開発援助(ODA)の終わりを宣言した。40年近く合計3兆6千億円の公費の投入は日本になにをもたらしたのか。その軌跡を総括すると、戦後の日本の対外政策でも最大級の失敗といえる全体像が浮かびあがる。日本側の意図とその結果との断層があまりに巨大なのだ。(古森義久ワシントン駐在客員特派員) 
 1998年秋に産経新聞初代中国総局長として北京に赴任して、日本の対中政策の最大支柱だったODA供与の中国側の実態を知ったときはショックだった。日本側が官民あげて日中友好への祈りをもこめて供した巨額の血税はなんの認知もされていなかったからだ。
日本からの経済援助は中国側の官営メディアは一切、伝えない。だから一般国民もまったく知らない。北京国際空港ビル、北京地下鉄2号線、南京母子保健センターなど、みな日本からの巨額のODAで建設されたのに開設式の祝辞や碑文にも日本の名はなかった。
 日本から中国への経済援助は実はODAだけではなかった。旧大蔵省と輸出入銀行から「資源ローン」などという名称で公的資金が中国に供されていた。その総額は99年までに3兆3千億円と、その時点でODA総額を越えていた。だから中国への援助総額は実際には7兆円だったのだ。
出発点となった79年の大平正芳首相訪中で、大平氏は対中ODAの目的について「日中友好」を強調した。その後、ODA総額が大幅に増えた88年当時の竹下登首相は「中国人民の心へのアピールが主目的」と明言した。だが人民は日本からのODAを知らないから心に伝わるはずがない。
 中国政府がODAのために対日友好を増した証拠は皆無である。逆にODAがさらに巨額になった90年代をみても、「抗日」の名の下に日本への敵意を自国民にあおる共産党政権の宣伝や教育は激しかった。
 日本側からみての対中ODAの成否は政府の「ODA大綱」に照らし合わせれば明白となる。大綱は日本のODAが「軍事用途への回避」とくに相手国の「軍事支出、大量破壊兵器、ミサイルの動向に注意」、そして「民主化の促進」「人権や自由の保障」に合致することを規定していた。だが対中ODAはこのすべてに違反した。
 軍事面では単に日本からの資金が中国政府に軍拡の余裕を与えただけでなく、日本の援助でできた空港や鉄道、高速道路の軍事的価値の高さを中国軍幹部は堂々と論文で発表していた。チベットへの光ファイバー建設は軍隊が直接に利用していた。同じく日本のODAで完備した福建省の鉄道網は台湾への攻撃態勢をとる部隊の頻繁な移動に使われた。台湾の李登輝総統から直接に「日本の対中援助では福建省の鉄道建設だけは止めてほしかった」と訴えられたことは忘れ難い。
 日本のODAが中国の民主化や人権尊重に配慮しなかったことも明白だった。ODA大綱では民主主義や人権を弾圧する国には援助を与えないはずだったのだ。中国の非民主的体質はいまのウイグル人弾圧をみるだけでも実証される。
だから対中ODAとは日本政府が自ら決めた対外援助政策を無視しての超法規のような措置だった。日本政府は中国を特別に優遇した。中国の国家開発5カ年計画に合わせ、5年一括、中国側が求めるプロジェクトへの巨大な金額を与えてきた。中国には自国を強く豊かにするための有益な資金だった。
 その中国がいまや国際規範に背を向けて覇権を広げ、日本の領土をも脅かす異形の強大国家となったのだ。日本の対中ODAはそんな覇権志向強国の出現に寄与したのである。」
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10月26日21:48 gooニュース 読売新聞 「「一帯一路」アジアで不評、見直しや中止相次ぐ
 【ニューデリー=田尾茂樹、バンコク=幸内康】中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を巡り、アジアで事業の見直しや中止を表明する国が相次いでいる。一帯一路はインフラ(社会基盤)整備などを通じて影響力拡大を図る中国の国家戦略で、 習近平 シージンピン 国家主席が5年前に提唱したが、中国への債務の増加や手続きの不透明さが問題視され始めたことが背景にある。
 一帯一路への風当たりは、各国での政権交代をきっかけに強まっている。インド洋の 島嶼 とうしょ 国モルディブでは、9月の大統領選で親中国のヤミーン大統領が敗北した。11月に発足する新政権の関係者は、中国の支援で進めてきた住宅や道路、港湾などのインフラ事業について、「全て洗い直す必要がある」と語った。」
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 10月28日 産経新聞「【日中首脳会談】日中外交の転機となるか 中国の苦境見透かし、人権・東シナ海で懸念表明
 北京市内の売店に並べられた日中会談について報じる中国紙=27日(共同)
 日本の首相として7年ぶりとなる安倍晋三首相の中国公式訪問はおおむね成功したといえる。中国の習近平国家主席李克強首相らの熱烈な歓迎ムードに乗せられることなく、ウイグル族弾圧など中国の人権問題や、東シナ海南シナ海での軍備拡張など懸念を率直にぶつけ、冷や水を浴びせたことは特筆に値する。中国の顔色ばかりをうかがってきた日中外交は転機を迎えている。(原川貴郎)
 米中貿易戦争で経済的な打撃を受けている中国にとって、安倍首相とトランプ米大統領が対中外交でも足並みをそろえることだけは何とか避けたい。安倍首相が6年前に首相に返り咲いた後、徹底的に批判を続けてきた中国側が、手のひら返しで安倍首相を歓迎したのは、日米を離反させ、経済協力を引き出したいという思惑があったからだ。  
 安倍首相はそれを見透かした上で、経済協力とてんびんにかけるように、懸念を率直にぶつけた。
 李首相に対しては、ウイグル族弾圧を念頭に「中国国内の人権状況について日本を含む国際社会が注視している」と直言した。この時ばかりは李首相から笑顔が消え、渋い表情だったという。
 習主席に、スパイの疑いで拘束されている邦人について「前向きな対応」を求めたことも大きい。習主席は「中国の法令に基づいて適切に対処する」と述べただけだが、トップ会談の議題に上がったことで事態は好転する可能性が出てきた。
安倍首相が習主席、李首相それぞれに提起し、同意を得た3つのコンセプトにも大きな意味がある。
 「競争から協調へ」「脅威ではなくパートナー」「自由で公正な貿易体制の発展」−。安倍首相は「新3原則」と名付け、「これからの日中関係の道しるべとなる」とした。今後、中国が、「脅威」となる行動を取ったり、自由・公正な貿易を阻もうとした場合、この新3原則が「錦の御旗」となりえるからだ。
 一方、安倍首相の思うように進まなかった案件もある。東シナ海でのガス田共同開発もその一つ。日中両政府は、日中の境界線画定までの措置として、平成20年に共同開発する方針で合意しながら、交渉は止まったままとなっている。
 李首相は、安倍首相との会談で交渉再開に前向きな姿勢を示したが、その後、発表された成果文書では「(共同開発の)実施に向けた交渉の早期再開を目指して意思疎通をさらに強化していくことで一致した」と後退してしまった。」
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