💥19」─1─中国人旅行客がスウェーデンで騒動 中国が「人権問題」と非難した“ウラ目的”とは。~No.71No.72No.73 @ ⑪

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 2018年10月7日 産経ニュース「【中国ウオッチ】中国人旅行客がスウェーデンで騒動 中国が「人権問題」と非難した“ウラ目的”とは
 中国人旅行客の宿泊をめぐる騒ぎを最初に報じた環球時報の記事。スウェーデンの警察官が男性の父親をホステルの外に運び出す様子を写した写真も掲載されている
 北欧スウェーデンで中国人旅行客が現地警察から乱暴に扱われたことが「人権侵害」にあたるとして中国政府がスウェーデン側に謝罪を要求、これに対して現地テレビ局が中国人のマナーを風刺した番組を放送し、中国側が再び反発するなど深刻な外交問題となっている。(北京 西見由章)
 泣き叫ぶ親子
 事件の発端は9月2日未明。中国人旅行客3人がスウェーデンの首都ストックホルムのホステルに到着した。だが、予約していたのは同日の宿泊で、チェックインまで10時間以上あったことから、トラブルとなった。
 3人は60代の夫婦とその息子で、ロビーでの休憩を断られたにもかかわらず居座り続け、ホステル側が警察に通報。外に連れ出された後も泣き叫ぶなどしたため、警察が車で地下鉄駅まで運び、3人を降ろした。
 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は同15日付で「病気のため意識がもうろうとなった父親を警察が殴打した」とする旅行客の男性の主張を掲載。男性は市中心部から数十キロ離れた郊外の墓地に放置されたと訴え、「ノーベル賞のおひざ元で、常に人権を唱える国がこうした行為に及ぶとは大きな皮肉だ」と非難した。現地の中国大使館も「警察の行為は中国公民の生命の安全と基本的人権を侵犯した」として、事件に対する調査と当事者への謝罪、賠償を求めた。
 中国外務省の耿爽(こう・そう)報道官も17日の定例記者会見で、「中国側はまだスウェーデン側から調査の進展状況について報告を受けていない。これは外交慣例に適合しない」と不快感を表明している。
 中国国内では一部のネットユーザーが怒りを爆発。在中国スウェーデン大使館のSNSアカウントには「中国から出て行け」「IS(イスラムスンニ派過激組織『イスラム国』)がスウェーデンを攻撃することを支持する」といった罵詈雑言(ばりぞうごん)が寄せられた。
 “火付け役”も軌道修正
 一方、騒動が起きた当時の映像やスウェーデン側の主張がネット上で拡散し始めると、中国人旅行客に対する批判も強まってきた。映像では、警察官2人が父親の足と上半身を抱えてホステルの外まで運び出す様子が映されていたが、3人を乱暴に扱っている様子はない。一方、息子は英語で「これは殺人だ! みんな見てくれ」「差別だ」と一方的に叫び、自ら突然倒れ込んで泣き叫ぶ姿も。路上に座った母親は両手を突き上げながら中国語で「助けて」と叫び、警察官らが困惑している様子が伝わってくる。
 スウェーデンメディアは17日、「警察側にいかなる過失もなかった」とする検察当局の見解を報道した。また警察車両が3人を降ろした地下鉄駅の付近には、宿泊場所がない人たちを24時間態勢で受け入れる教会があったとされる。
 国内世論の風向きが怪しくなってきたことを受けて、“火付け役”の環球時報は17日付の社説で「当時の動画から判断すると、旅行客の態度には明らかに不適当なところがあった」と言及し、一方的な被害者だったとする当初の報道を微修正。一方で「中国外務省と世論が不満を持っているのは、現地警察による中国公民への暴力的な行為だ」と強調した。
 騒動はこれで終わらなかった。公共放送「スウェーデン放送」(SVT)は21日の番組で、「文化的衝突を起こさないため」として、中国人旅行客への“助言”を特集した。
 風刺番組で反撃
 「われわれは歴史的建造物のそばで排便をしない」
 「犬を連れている人がいても、それは昼食として買ったわけではない」
 「スウェーデンは、すべての人々は同じ価値を持つという原則に従っている。これが最も大きな文化的相違だ」 
 コメディー要素の強い番組とはいえ、あまりに攻撃的な風刺という感は否めない。ただ制作者側が、それだけ中国人旅行客や中国政府への“怒り”を感じていたということでもある。
 中国政府は「レイシズム(人種差別)と排外主義だ」と猛反発、さらに番組で使用された中国の地図に「台湾とチベット自治区の一部が含まれていなかった」として中国の主権が著しく侵犯されたとも主張し、同放送局に「強烈な抗議」を申し入れた。中国国内でもスウェーデンへの旅行の取りやめや、スウェーデン家具大手イケアの製品の不買運動を呼びかける声が広がった。
 SVTは28日の番組で「文化的な敏感さを欠いていた。傷つけられたと感じたすべての人に謝罪する」と表明した一方、「この謝罪は民衆に向けたものであり、中国政府に向けたものでは断じてない」と強調し、逆に中国政府が言論の自由を尊重していないことを批判した。
 中国の作家、周健氏は今回の騒動に関する見解をネット上で公表し、中国メディアが当初、スウェーデン側の主張をまったく紹介していなかったことを批判した。「罪深いのは大衆の情緒をあおり立てる報道であり、報道のウラには公表できない目的がある」とまで言い切った。もし中国国内で旅行者が同様の態度を取れば「騒ぎを引き起こそうとした容疑」で数日間拘束されるだろうと指摘し、今回の問題は中国人旅行客による「自業自得」だと結論付けている。
 意趣返し?
 周氏は「報道のウラにある目的」について具体的に言及していないが、一部のスウェーデンメディアは、人権問題をめぐる両国政府間の近年のあつれきが背景にあったと指摘している。人権問題で常に批判を受けている中国側が、今回の「事件」を利用して“意趣返し”をしたというわけだ。
 あつれきの一つは、中国共産党の批判書籍を扱っていた香港の「銅鑼湾書店」関係者5人が2015年に失踪した事件だ。中国当局が釈放した書店親会社の大株主、桂民海氏は今年1月、中国当局に再び拘束された。桂氏はスウェーデン国籍を取得しており、同政府は人権問題として中国側をたびたび批判してきた。
 さらに直接的な原因とみられているのは、9月12日にチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世がスウェーデンを訪問したことだ。中国当局ダライ・ラマチベットの分離独立主義者と決めつけ、各国に訪問を認めないよう要求している。現地の中国大使館は翌13日、「チベット人は差別を受けており、自らの民族の言語の教育を受けられず、政治や宗教について公開の場で議論できない」とする現地メディアの報道に対して、「著しく事実と異なる」とする抗議談話を公表したばかりだった。」



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